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透明世界~見えない俺の異世界記~  作者: 例示
1章 おかしな世界
2/2

強盗世界1~脱税を俺の手に~

 《ガン!》

 勢い良く地面に落ちた、神様の言うとおり確かに地面までの高さはなく、ただの尻もち程度ですんでいる、周囲の状況はというと、野菜を入れた籠を持つ女性、元気のいい声で肉を売る肉屋の男、木の棒を持って遊ぶ少年たち、レンガ造りの建物、そしてモヒカンでいかつい男たち、その男たちに囲まれておる金髪の女性、、、


「さっそく俺の思い描いていた異世界と違う!!!!!!!!!!」


 俺の想像していた世界にはモヒカン男なんていない、なんでそれ以外は完璧に想像通りなのに!!、あれが居るだけで世紀末だよ!


「おい姉ちゃん、流石に金返さないとこっちも手荒い真似をしなきゃならねえんだがな?、金はあるか?」


 ふむふむ、あれらは金貸しなのか、、、まあ金貸しは悪者感溢れるデザインでも許される、大目に見よう、、


「ふむ、私に金を返して欲しい君たち、金を返す気がない私、つまり!!!、殴り合いだな!」


 金髪の女性は手を握りしめてとんでもない暴論を吐いた、見た目は襲われているふうだが明らかに悪いのは女性だというのがよく分かる、、、


「何言ってんだこの女!!、意味不明だろ!」

「意味不明なのは君たちだ、殴り合いがしたいなら直接言いなさい」


 この時点で俺の価値観は逆転、モヒカン男よりも金髪の女性のほうが明らかに脅威に見える、むしろ世紀末ファッションのほうが可哀想に見える状態だ


「第一銀貨3千枚なんて何に使ったんだ!?」

「ギャンブルに決まってるだろ!!!、ぶん殴るぞ!」


 まあ清々しいほどのダメ人間である、ギャンブルで大量の金を借りて擦った、この時点でもはやなんというか、、モヒカン男を助けてあげたい状態だ、まあそんな能力はないしと見て見ぬふりをして何処かへ行こうとした瞬間、先ほどのモヒカン男が俺に体当たりをしてきた


「いってえ!、何するんだ、、、」


 体当たりをしてきたわけではなかった、顔には大きな拳の後が残っている、しかも地面に転がったまま起き上がらない、、つまり


「やはり殴るのはいいな、殴った後でどうするか考えるほうがよほど効率がいい」


 金髪の女性はモヒカン男数人を完全にKOしていた、、、もはや暴君、暴力の化身にも見えた、しかもその女性は俺の方へ近づいてくる


「君、ごめんね、それぶつかっただろ」

「い、いえ全然、、、では俺はこの辺で」


 俺が急いでその場を離れようとすると、女性は俺の手を掴んできた、やばい、冷や汗が泊まらない


「おいおい、待ってくれ、お詫びの一つに酒でも奢らせてくれよ」

「ひぃ!!」


 俺は恐怖に逆らえずに彼女に言われるがままに酒場に連れて行かれた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 酒場に連れて行かれるとそこは、魔道士の格好をした者や剣士のような格好をしたものなど多くの武装者で賑わっていた、酒場の中は木造で酒の匂いと汗の匂いが充満している


「しっかし、聞いてくれよ、私借金作りすぎてさ、仲間が逃げちゃったわけ、あはははは、まったくひどい話だよね~」

「ははは」


 酒場の席に座らされ彼女の身の上話を聞かされる、飲む酒は味すらしない、しかも話の内容は最悪、彼女は博打で借金を作って仲間を失ったと言うこと、この世界にいる魔物を倒す冒険者であること、それ以外の内容がないのにずっと同じ話をするのだから、、、


「じゃ、じゃあ俺そろそろ帰りますね、ははは」


 俺が逃げ出そうとすると借金女は俺の腕をがっちり掴んでニヤリと笑っている、もう嫌な予感しか無かった、帰りてえええ!!!!!


「私の借金、なんとかする方法はないかな~、君を殴るのはあまり乗り気じゃないんだけど、、、」

「ひぃ!!!!!!!!」


 やられた!!、要するに借金肩代わりしないとぶん殴るという脅迫だ、これはあまりにも横暴、なぜ異世界に来て秒読みでこんな理不尽に巻き込まれなければならないのか分からない


「いったい借金はいくら何ですか?」

「金貨120枚!」


 いや無理でしょ、道中に売っていた武器の値段、シンプルな剣で銀貨120枚、どう考えても無理だ、これを肩代わりすれば俺は死ぬ!!!


「無理ですって!」

「命が惜しくないの?」


 交渉にならない、彼女の言い分は殺されるか借金を返済するかの二択なのだから交渉の余地なんて無いのだ、、、どうしたものか


「はぁ、、、ここらへんに大商人だったり貴族だったり金持ちはいますか?」

「え、、、まあ居るけど、、どうしてだ?」


 別に多額の金を稼ぐのは簡単だ、やろうと思えばできるしかし俺としては異世界に来てそうそうそんな真似をしたくなかった、しかし背に腹は代えられないというものだ


「え~っと、泥棒ですよ泥棒、金持ちの家に入って金をぶんどるんです」


 俺がそう言うと借金女は慌てた顔をして俺の作戦に待ったをかけた


「まてまて!、そんなの事をすれば私達の似顔絵が街中に展示されて数日後には捕まるぞ!!」

「はぁ、、、金持ちっていうのは盗まれても告発できない金っていうのがあるんですよ、それを取れば問題はありません

「告発できない金?」

「ええ、、、それは脱税している金です、それを盗めれば恐らく釣りが来ますよ、まさか脱税した金が盗まれました~なんて言えば自分がご破産しますしね」


 脱税している金、この街を見た感じだと恐らく床下や壁の中に隠す程度の技術しか無いであろう、そうであれば盗むのは簡単


「無論貴女の協力も必須です、作戦言いますから絶対にミスをしないでね?」

「ああ、分かった」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 大きな屋敷、まさに豪邸といったところであろう、俺達二人は現在そこそこ大きい商人の家の前に来ている、豪邸の大きさはかなり大きく、日本であればこの規模の建物は図書館ぐらいの大きさと言えるであろう、隣の借金女はこの世界の税務官の格好をしている、


「本当にこれで行けるのか?」

「行けるから安心しろ」


 作戦はこうだ、まず借金女が打ち抜きの脱税調査と称して豪邸の中をチェックするふりをして、程よくしたら後日また来ますと言って退散、そうすれば金が気になる商人は金の隠し場所まで行くであろう、だから俺はステルスで男をつける、で、場所がわかったら夜中に強盗と言うわけだ


 税務官のふりをした借金女が潜入している間に俺はステルスを使って豪邸に進入する、豪邸内はレッドカーペットに絵画にツボ、もう私服を肥やしているのが丸見えである、そしてしばらく歩くとそわそわしている小太りの男を見つけた、あとはこの男をずっと付けてればいいだけいいだけ、簡単な仕事だ


「やばいのう、、、バレたら人生の終わりじゃ~」


 はい来た脱税宣言、無いわけないんだよね~、そう思いながら付けていると脱税検査終了と言って借金女が退却した、しかし『後日また来ます』の一言に焦りを感じて小太りの商人はすぐさまコソコソ歩いて行く、後ろをつけていくと商人は地下室に入っていった、そして地下室にある書斎の本棚をずらし隠し部屋に入りその部屋にある麻袋の中身を確認している、そしたらまああることあること、100%脱税の金だろう、金貨が袋の中にいっぱい入ってる入ってる


「うむ、、大丈夫だろう、ああ、バレはしない!!」


 商人はずっと一人で自分にばれないと言い聞かしている、いや全く滑稽だ、これでステルスで盗みきれればいいのだが、どう考えてもこの量を持って行くには二人以上必要、なので強盗をするということなのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺は屋敷をでて酒場にいる借金女と合流した、借金女の服装はしっかりとした鎖帷子になっており、まさに冒険者といった感じである、まあ今宵やるのは強盗だが


「で、どうだ!、金はあったか?」

「あああったあった、もうたんまりあったよ、じゃあ、行くか~」


 こうして俺達の強盗作戦が始まった、異世界に来てそうそう強盗って、、と思ったがなんだか少し胸がドキドキしてスリルがある、現状況に少し楽しんでいる自分がいることに驚きながら俺は屋敷に向かうのであった。

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