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虚空の天使【完結】  作者: 木口なん
精霊王編

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324/566

EP323 勇者と精霊殺し①


 三人の勇者はすぐに【樹の都】へと向かった。セイジの《時空間魔法》による転移を使い、殆ど一瞬で移動したのである。この早さには依頼主の女王ユーリス・ユグドラシルも驚いていた。

 そして三人は今、女王を含めた幹部会議に出席させられていた。



「さてと、セイジ、レン、アヤトの三人も集まったことだし、まずはアンチエレメンタルについて分かったことを簡単に説明して貰うわ。頼んだわよアクツル・ホワイトリリー?」


「賜りました」



 ユーリスの言葉に答えたのは、長老家に名を連ねるホワイトリリー家の当主アクツルだった。彼は長老家の現当主で最も年上であるため、こういった場で指名されることが多い。エルフ族は基本的に年功序列の意識が強いからである。

 女王、三人の勇者、七長老家の揃った会議の場でアクツルは立ちあがり、一度咳払いしてからアンチエレメンタルについて説明を始める。



「ゴホン。まず、奴について分かっているのは精霊様のみを攻撃するということですな。攻撃する精霊には特に属性へと偏りがなく、無差別という印象が見受けられます。アンチエレメンタルの姿はローブ姿に大鎌というもので、ローブの中身を見た者はおりません。また、奴の持つ大鎌で斬られた精霊様は必ず一撃で葬られております故、被害が大きくなっているのです。更にアンチエレメンタルは一週間と少し前に初めて姿を顕して以来、数を増やしながら各地で被害を拡大させ続けております。これではアンチエレメンタルを一体ずつ屠ったとしても意味がない。倒しても結局は増えるようですからな。そもそも、アンチエレメンタルを倒す方法すらよく分かっていないのです。我らの中でアンチエレメンタルを倒せたのはユーリス陛下のみ。まずはアンチエレメンタルが一体何なのかを知る必要がありますな。魔物なのか、何者かが召喚した存在なのか……」


「そうね。他にアンチエレメンタルは空を飛んでいるって特徴もあるけど、私たちでも分かっているのはこんなところかしら? とにかく、アンチエレメンタルは倒し方がよく分からないのよ。通常のスキルや精霊魔法は殆ど効果がなくて、唯一、私の【固有能力】なら明確なダメージを与えることが出来たわ。だから私と同じ【固有能力】を持つ勇者さんに来てもらったというわけ」


「なるほど。なら僕たちが来たのは好都合でしたね」



 セイジはユーリスの言葉を聞いて少しだけ安堵する。元々、この依頼は勇者全員に当てられたものだった。辺境城塞都市を放っておくわけにはいかないので、依頼を受ける組と城塞都市に残る組みを分けたのだが、もしも【固有能力】を持つレンやアヤトが向こうに残っていたら大幅な戦力ダウンになっていた可能性もある。

 情報伝達不足によって危うくなるところだった。

 尤も、必要ならばセイジの転移でいつでも連れて来れたのだが。



「取りあえず、今夜から【樹の都】でアンチエレメンタルと戦って欲しいのよ。本当は他の都市にも行って貰いたいんだけど、贅沢は言えないわ。何も分からないうちに戦力分散は出来ないもの。残念だけど、他の都市は精霊部隊に対処してもらうことになっているの」


「王としての決断……というやつですか?」


「そうね勇者セイジ。これでも私は長く女王をしているもの。非情な決断を下すこともあるわ。それにこれは精霊王も許してくれたことよ」



 実はこの場に精霊王フローリアも存在しているのだが、彼女は姿を顕すことなく空間に溶け込んでいる。そのせいで、精霊を見ることの出来る者以外は精霊王の存在を知覚できなかった。

 セイジたちはフローリアが不満そうにしていることには気付かなかったのである。

 一方で、七長老やユーリスは精霊王フローリアの表情まではっきりと見えるため、特に長老たちは冷や汗を流していた。精霊たちの王が不機嫌というのは、彼らにとって起爆寸前の爆弾のようなものだからである。



「と、ともかく勇者殿には期待しております」


「我ら長老家も一同に頭を下げましょう」


「あなた方は光神シン様の使いなのです。御用があれば何なりと申しつけ下さい」


「どうかよろしくお願いします……」



 長老たちは次々に頭を下げる。

 彼らにとって、精霊とはパートナーであると同時に信仰の対象でもある。その精霊が無差別に殺されているという事実は、我慢ならない事態なのだ。

 何より、怒りの意思を見せる精霊王フローリアが怖すぎる。

 彼らの中で八割はその感情で占められていた。

 精霊王は数多に存在する精霊を統べる王であり、女王ユーリスのみが契約している。その契約によってユーリスはハイエルフへと至り《精霊同調》という【固有能力】まで開花した。周囲の精霊から無尽蔵に魔力を受け取ることが出来る上に、精霊魔法の効果が極限まで底上げされる。その威力は一人で嵐を鎮め、大地を怒らせるほどだ。

 その力の大元である精霊王を畏れないわけがない。



「分かりました。微力を尽くします」


「勿論、俺も頑張らせてもらいますわ」


「僕もだよ」



 三人の勇者は同時に頷き、了承したのだった。







 ◆ ◆ ◆






 夜になって、セイジたち三人は【樹の都】中心部にある大樹の根元で集まっていた。精霊王が精霊に命じて大樹へと近寄るように言ったからである。これによって【樹の都】にいる精霊は全て、大樹ユグドラシルの下へと集まってきた。

 これによって、ユーリス以外の誰もが一時的に精霊魔法を使えない状況に陥っているのだが、アンチエレメンタルは精霊のみを攻撃する習性を持っているため大丈夫と判断された。

 ある意味では精霊を囮にしてアンチエレメンタルを呼び寄せるという作戦である。

 自分たちの働き如何では精霊たちに犠牲も生じる戦いだ。自然とセイジは聖剣の柄を握る手に力が入り、レンやアヤトもそれぞれ聖銃と聖弓を握りしめつつ嫌な汗を流す。



「アヤトさん、怪しい影は見えますか?」


「特にないね」



 遠視スキル《鷹目》を持つアヤトが周囲を見渡すが、アンチエレメンタルが現れた様子はない。既に月が真上にまで昇っている深夜であり、いつもならそろそろアンチエレメンタルが現れる時間帯だ。

 三人は更に警戒を強める。

 勇者である彼らは、通常の二倍ものステータス値を誇り、スキルポイントやスキル《融合》のお陰で常軌を逸した成長速度となっている。既にレベルだけでも人類最高クラスであり、スキルも含めれば人族最強も名乗れる程である。

 戦闘経験では及ばない部分もあるが、殺し合いではなく模擬戦ならばSSSランク冒険者レインを相手にしても勝つことは可能だろう。





―――――――――――――――――――

セイジ・キリシマ 18歳

種族 人 ♂

Lv164


HP:16,832/16,832

MP:16,482/16,482


力 :16,731

体力 :16,742

魔力 :16,831

精神 :16,213

俊敏 :16,177

器用 :15,919

運 :40

スキルポイント:16


【固有能力】

《光の聖剣》

《融合》


【通常能力】

《魔闘剣術 Lv7》 Class UP

《魔導》

《時空間魔法 Lv4》 Lv2 UP

《罠感知 Lv8》

《魔力支配》

《気力支配》

《超回復》



【加護】

《光神の加護》


【称号】

《異世界人》《光の勇者》《スキルホルダー》

《到達者》《真なる勇者》《纏い剣士》

―――――――――――――――――――








―――――――――――――――――――

レン・サギミヤ 17歳

種族 人 ♂

Lv121


HP:12,631/12,631

MP:14,932/14,932


力 :11,872

体力 :11,593

魔力 :13,949

精神 :12,311

俊敏 :11,858

器用 :12,844

運 :33

スキルポイント:83


【固有能力】

《破邪の光弾》

《融合》 New


【通常能力】

《看破 Lv6》 New

《銃術 Lv7》 Lv2 UP

《光魔法 Lv5》

《召喚魔法 Lv9》 Lv1 UP

《魔力支配》 Class UP

《気力支配》 Class UP

《MP自動回復 Lv9》 Lv4 UP

《極魔 Lv7》 New

《恒心 Lv5》 New


【加護】

《光神の加護》


【称号】

《異世界人》《光の勇者》《魔物使い》

《到達者》《真なる勇者》《災いの具現》

―――――――――――――――――――




《極魔》

強化系スキルの魔力型。

自身の持つ魔力濃度を調節することで、通常

よりも高威力な術行使が可能となる。魔力を

扱う技能全般に対して効果を発揮する。

スキルレベル分だけ、対応する倍数の濃縮が

可能となる。




《恒心》

強化系スキルの精神型。

常に落ち着いた状態を保つことが出来る。急な

ことでも慌てず対処できるパッシブ効果がある。

魔力を消費してアクティブ状態にすると、精神

攻撃を無効化することが出来る。







―――――――――――――――――――

アヤト・ヤシマ 22歳

種族 人 ♂

Lv123


HP:12,283/12,283

MP:11,925/11,935


力 :12,473

体力 :12,832

魔力 :14,938

精神 :13,743

俊敏 :12,242

器用 :14,284

運 :38

スキルポイント:9


【固有能力】

《虹の聖弓》

《融合》 New


【通常能力】

《魔法弓術 Lv7》 Lv1 UP

《光魔法 Lv6》 Lv1 UP

《鷹目 Lv9》 Lv3 UP

《魔力支配》 Class UP

《気力支配》 Class UP


【加護】

《光神の加護》


【称号】

《異世界人》《光の勇者》《狙撃手》

《到達者》《真なる勇者》《致命撃クリティカル

―――――――――――――――――――








 レンとアヤトは、セイジには能力的に及ばない。しかし、遠距離攻撃という点ではスペシャリストであるとも言えた。

 レンは《看破》によって相手を探り、《召喚魔法》によって蹂躙し、聖銃と共に放たれる《破邪の光弾》によって相手を殲滅する。《極魔》スキルによって魔力濃度を高め、威力を底上げすることも可能だ。

 アヤトは《鷹目》によって遠距離から相手を知覚し、聖弓による狙撃で一撃必殺クリティカルヒットを狙う。スキル《虹の聖弓》のお陰で、その場に適した属性付与が出来るという点も強みだ。

 二人とも、エクストラスキル《魔力支配》と《気力支配》を手に入れたことで安定感も増している。

 セイジはスキル《魔法剣術》を《魔闘剣術》へと進化させたことで、戦闘力が爆発的に上がった。オーラと魔法を同時に纏わせた防御不能な攻撃は、あらゆるものを切り裂く。更に《時空間魔法》を剣に纏わせることで遠距離斬撃すら可能とした。もはや並みの魔物程度なら相手にならない。



(けど、アンチエレメンタルはどうだろうね……)



 セイジは気配と魔力を探りつつ、ジッと待ち続けた。

 未知の魔物というのは、自身がどんなに強くなっても警戒するものだ。ステータスでは測れない、魔物特有のスキルで嵌め殺しされるかもしれないからである。例えばサキュバスのような悪魔系の魔物は、特殊な幻影によって人を惑わしてくる。幻影にかかってしまうと、そのままHPを吸い尽くされて幻覚を見たまま死に至るのだ。

 このようなケースもあるので絶対に気は抜けない。

 たとえ精霊しか襲わないと言われても、気を抜くことは出来ない。



「来たッ!」



 唐突にアヤトが叫び、セイジは思考を引き戻される。何が来たのかは考えるまでもない。

 見上げると、大樹の周囲に数十ものアンチエレメンタルが浮かんでいたのだった。ローブで身体を隠し、両手で大鎌を構えるアンチエレメンタルは死神を彷彿とさせる。



「時空よ纏え!」


「魔力濃密化……《破邪の光弾》!」


「まずは光かな? 矢を生成」



 セイジは時空間属性を剣に纏わせ、レンは圧縮魔力を聖銃に込める。アヤトは《虹の聖弓》によって光の矢を生成し、弓につがえてキリキリと引き絞った。

 三人の勇者と精霊殺しアンチエレメンタルの戦いが始まる。








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