情報の共有は大事だね
俺達はイーラさんに城内の一室に案内された。
まずメイドさんがお茶を出してくれた。
メチャクチャ可愛かった。
そしてお茶も旨い!
さすがお城!
まずは改めて自己紹介を済ませた後、現状の説明を聞いた。
召喚された理由とか、この世界についてとかそーゆーやつね。
で、ガラシャがそんな魔法は聞いたことないとか勝手に困るとか言ってくれた。
もうホントにありがとう。
感謝でいっぱいです。
その間俺はずっとコリューの魔力を圧縮しながら話を聞いていた。
圧縮をやめるとすぐに具合が悪くなっちゃうんだよ。
食べる余裕があるんだから大丈夫だとは思うけど、念のためにね。
ただ聞いてるだけってのも暇だし。
それで、説明ではロックフォード王国ってのはヘルヘイム大陸の南にあって、山に囲まれているらしい。
国が丸々山の中っていうんだから凄いね。
チベットみたいな感じかな?
それで現在チベットの・・いや、ヘルヘイムの人類は魔族の侵攻によって壊滅の危機に晒されているらしい。
魔人は単体でも動くけど、大きな集団になった時はかなりの脅威になり、特に魔王と呼ばれるものが従える大群は人間には止めることが出来ないほどだとか。
現在ロックフォードでは山に囲まれた地形も手伝って小規模の襲撃は撃退できているものの、被害もそれなりに出ているし国境線を抜かれるのは時間の問題だそうだ。
そうすれば国内は他国と同様、蹂躙されることになる。
なんか、ディオから一応聞いてはいたけどさ。
やっぱり、勇者を召喚するの遅いよね。
なんか手遅れじゃない?
特に他国がさ。
滅んだ国とかあるんじゃないの?
気になったので聞いてみた。
「仰る通り、滅んだ国もいくつかあります。正直に申し上げて、召喚に踏み切る決断は遅すぎました。しかし、我々にとって召喚は最後の手段であり、大きな賭けなのです。」
「賭け?召喚が?」
「はい・・。先ほど召喚させて頂いた部屋に魔術師が倒れていたのは見られましたか?」
「・・あぁ」
まさか・・
「通常の魔法における魔力のように、召喚にも代償が必要なのですが、それが人の命なのです。もちろん膨大な量の魔力も必要ですが」
「マジかよ・・」
さらっと言いやがって・・
もちろん何となくわかってはいた。
死体の真ん中に召喚とか普通に考えてもおかしいし。
それでも・・正直に言って、なかったことにしたかった。
まぁ無理だけど。
「最初は犯罪者や奴隷を使って試してみましたが、ロックフォードも含めてどこの国でも上手くいきませんでした。もっとも、それは当然です。伝承から代償となる術者達にも多くの魔力や魔法を扱う技術が必要だとわかっていましたから・・」
イーラが言うには代償となることの出来る魔術師のレベルは国の中でもトップクラス。
それが今回は15人近くいたらしい。
当然ロックフォードだけで人数が足りるはずはなく、近隣の複数の国から出して貰ったそうだ。
「そんなに沢山・・」
「失敗するわけにはいきませんから人数は多めに集まって頂きました。それでもギリギリでしたね。一人でも少なければ失敗していましたから」
「そうなの?」
「えぇ。私も魔力はもう限界です。もう少しで命も失っていたでしょう。」
イーラさんも代償の一人か・・
随分重い展開だな。
勘弁しろよ・・
大体の説明が終わったところで宰相のおじさんが部屋に入ってきた。
俺達が簡単な説明を受けてる間に王様に報告に行ってたらしい。
宰相はイーラさんの横に座って少し話すと、俺達に向き合う
「それで、一方的な話で申し訳ないのだが、ご協力頂けないだろうか?」
元々断る気もないけど、断らせる気もないって感じだな。
ここでガラシャに質問があるようだ。
「ちなみに断った場合、私達は帰れるのでしょうか?」
この質問にはイーラさんが答える。
「それは・・すぐには無理ですが、私が責任を持って。一度道を切り開いていますから、帰りは代償も少なくてすむでしょうし」
帰りも代償が必要なのね。
わざわざ言うあたり、やっぱり断らせる気はないと。
って当然だけどね。
でも、俺は帰り方をディオから聞いてるから代償は必要ない。
もっともこの方法はこの世界を救った後じゃないとやりにくいかな。
少なくとも魔王とやらを倒さないと無理だろう。
「お兄ちゃん、どうするの?」
「やるしかないだろ?あぁでも・・出来ることしかやりませんよ?」
と、イーラに釘を刺しておくが、宰相が答える。
「もちろんだとも!本当にありがとう!国も全力をもって協力させて頂きますぞ!」
いや、協力するのはこっちじゃなかったのかよ・・
さっきと言ってることが違うけど、まぁこっちが本心かな。
所詮異世界人だし、魔族と戦う道具だよね。
その後、俺達はロックフォードの王様と各国の代表と会った。
会ったと言っても「大義である」とか「期待している」とか言われただけなんだけどね。
各国の代表も黙ってたからどれが誰とかわからなかった。
まぁ言われても覚えられないし、別に興味もないけど。
見た限り、各国の代表や王様も質素な服を着ていたように感じた。
まぁ今考えると地球の国家の代表だってスーツとか着てるし、地味だよね。
俺が生地の善し悪しがわからないだけかもしれないけど。
王様との謁見を終えた俺達が美味しいお茶を飲みながら控え室で休んでいると、イーラさんが現れた。
魔力が限界だって言ってたのに、この人も大変だな。
「お疲れ様です。ロイさん、早速で申し訳ないのですが、訓練場に来て頂けますか?」
「訓練場に?何故です?」
「伝承では召喚される勇者はその時点で強いとは限らず、成長して強くなる場合もあるらしいのです。皆様の安全のためには外に出られる前に力試しが必要かと。」
うん。
そうね。
雑魚だと困るもんね。
つーか、力試しねぇ。
必要なのは向こうかな。
大きな犠牲を払った召喚の対価が普通の村人Aとかじゃやってられないし。
まぁ俺としてはもちろん。
「力試しですか、是非お願いします。」
だって、死にたくないじゃん?




