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情報の共有は大事だ

 ディオと色々と話した後の俺は、まずは店の引き継ぎに走り回ることになった。

 とりあえずまとめ役はクレールだ。

 それ以外いないし。

 一応新しく奴隷を買う場合はライアンに契約とかを任せることにした。

 ルーク?いるよ?

 いまだに下っぱだけどね。

 あいつには何も任せられないわ。


 うちのグループは大陸間での貿易も一応やってるけど、そっちはちょっと縮小だ。


 だってガラシャもヘルヘイムに連れていくことにしたからね。

 実感はないけど、一応世界の危機だ。

 向こうに連れていく人材は惜しまない。

 店が潰れなきゃそれで良いよ。


 現状うちのスタッフで転移魔法がマトモに使えて店の戦力として残せるのはメイドのミリィだけだ。

 小さい頃に俺の奴隷になって以降、ずっと魔法の練習を続けてただけあって、魔力だけなら人類でもトップクラスだ。

 たぶん体術はからっきしだけどね。

 教育係はクレールのお陰で縮小できそうだし、俺とガラシャがいなくなるから屋敷の方はメトラに任せる。


 手の空いたミリィには大陸間の連絡や少しの荷物の運搬くらいを出来る範囲でやってもらうことにした。


 あと、大事なことなのでディオによーく確認したけど、奴隷紋はあっちの世界に行っても有効なままらしい。

 俺がヘルヘイムに行ったとたんに従業員に反乱を起こされる心配はなさそうだ。

 今でも遠くで働いてる竜種には奴隷紋を刻んでそれを使って魔力を与えてるけど、全員に刻んでおけば竜種の反乱というか、離反も防げる。


 それと、向こうでこっちの世界から竜種とかを召喚することは出来る。

 出来るけど、違う世界に召喚するだけあって物凄い魔力が必要らしく、今の俺が精一杯頑張っても1日一匹が限度だと思う。

 ただし、それだけ頑張って召喚しても魔族が相手だと竜種はあんまり役に立たないって言われた・・

 ディオが言うには、単体で対抗できそうなのは進化個体である龍種か、黒竜か魔龍だけらしい。

 俺、ヤバくないか?


 それで、魔龍は流石にペットにはいないので、一応黒竜であるコリューを連れて行くことにした。

 コリューは人間の言葉を覚えたばっかりで従業員と意思の疎通がままならないから、店としては半分戦力外なんだよ。

 それと最近知ったんだけど、竜種って人間に化けられるらしい。

 普段は人の姿の竜種に用はないし、竜も魔力を使うのを嫌がるから滅多にやらないけど、まぁ一緒に連れて行くことは出来る。

 見た目はただの子供だけど、結構強いよ。


 とりあえず、今はやれるだけのことをやるしかない。

 本来あっちの世界ではイレギュラーである俺とガラシャが頑張れば、流れくらいは変わるかもしれないし。


 ディオが言うには俺が倒すべき魔族の幹部の数は5~300人くらい・・

 数が凄くいい加減なのは未来の事がわからないせいだって・・

 神様にも未来はわからないらしい。


 5人だと良いなぁ。


 一応本人の意思を確認するためにガラシャに一緒に行くか聞いてみたら、付いていくと即答された。

 神様がーとか魔王がーとか言ってる頭のおかしい男に何も言わずに付いてくるとか・・お兄ちゃんはお前の将来が心配だよ。


 だってさ、細かいことは全く言ってないんだよ。

「神様に言われて異世界に魔王を倒しに行くけど、一緒に行くか?」って聞いたら「行く」って言われた。

 相手は魔王なのにコンビニのノリだよね。

 異世界なのに、まるで最寄り駅くらいの距離感出してるよね。

 お兄ちゃん余計に心配だわ。

 ガラシャに聞かれたのは出発の日にちだけだもんな・・


 ちなみにコリューは魔力をやるから付いてこいって言ったらすぐに頷いてた。

 竜種ってホントにチョロい。


 俺は従業員と竜種へミリィとクレールの引き継ぎをしたり奴隷を補充したりと、全力で引き継ぎを済ませながら残り時間を過ごし、俺とガラシャ、おまけでコリューの3人は旅立ちの日を迎えた。


 俺達はメイズの迷宮の入り口で従業員に囲まれている。

 世界を救うとか神様とか魔王とか、みんなへの説明がめんどくさかったので、俺が迷宮の最下層を目指すって適当なことを言ったせいだ。


 コーラドールチームの調査の結果、この迷宮はかなり深いってことがわかってる。

 俺達がしばらくいなくなる言い訳にそれを利用したんだけど、我ながらしくじったと思う。

 迷宮に入って長時間出てこなければ普通それは死んだってことなんだよ。

 でもまぁ、俺の場合は奴隷紋が生きてる限り無事だとわかるし、別にいいかな。

 ドンマイ、俺。


「悪いな。町作りまで手が回らなかった。」

「いいえ。私に任せて頂いたからには立派な町にしてみせます!」

「いやーホント、クレールにかかってるからな。よろしく」

「はい!お任せを!」


 あれ?

 クレールってこんなに熱いやつだっけ?

 正直よく知らないんだよねぇ。


「うん。まぁ、よろしく。」


 俺はクレールとの話を終えて冒険者チームの所に行く。


「迷宮は任せて下さい。」

「うん。任せる。これを渡しておくから使うといいよ」


 そういって俺が渡したのは人数分の剣と槍、ナイフ等だ。

 オリンが不思議そうに俺を見ている。


「あの、武器ならもう持ってますが・・」

「たぶんこっちの方が良いよ。」


 確かに俺がドラゴンクロウにあてがったのはうちの商品の中でも高級品だけど、それでもただの剣だ。

 コーラドールと双子狼にいたってはなぜ武器をくれるのかと首を傾げているけど、それぞれが思い思いに武器を手にとって試している。


「へー軽い」

「大きいのに何でだ?」

「あっ紋章が刻んであるぞ!」

「これ、売ったら高いんじゃない?」


 みんな楽しそうだ。

 気に入ったなら良かったよ。

 あげるとは言ってないんだけどね・・


「じゃあ私もありがたく・・えっ?これ!もしかして、魔鉱じゃないですか!?」

「そうだよ。100パーセント魔鉱で出来てる」

「ひゃ・・って!そうだよ。じゃないですよ!こんなの受け取れません!いくらすると思ってるんですか!」


「魔鉱だってよ!」

「俺魔鉱の剣なんて初めてだ!」

「太っ腹ぁ!」

 と、双子狼も浮かれてる。

 あげるんじゃないんだ。

 なんか・・ごめん。


「あげるとはいってないだろ。俺がいない間に怪我でもされちゃ困るからな。制服みたいなもんだと思ってみんなで使えばいいよ。」

「制服って・・これ一本で城が建ちますよ・・」


 そうなの?

 なんか価値が上がってないか?

 って、土地代抜きなら建つのかな?


「まぁ、無くすなよ」

「使えませんよ!」

「別に弁償しろとは言わねぇよ。怪我すんなって言ってるだけだ。あぁ、そうだ。前衛には鎧も用意してる。剣もそうだけど、サイズとかが合わなかったらうちの鍛冶屋で直してもらってくれ。」


 といって俺は鎧も収納から取り出して配る。

「鎧も魔鉱とか・・」


 さて、なんか数人はビビっちゃってるけど、これでたぶん迷宮は大丈夫だろう。

 店は元々順調だから心配はないし・・

 と忘れ物はないかと考えていたら、頭の中に声が聞こえてきた。


『そろそろだよー』


 時間か。


 俺はみんなに後のことを頼むと、ガラシャとコリューを連れて迷宮に入った。

 ディオはもうそろそろだと言ったけど、迷宮の中ならまだまだ時間がある。

 食糧は大量に持ってきたけど、あっちの世界のお金は持ってないからな。

 折角迷宮に来たから、すぐに現金化できる物を召喚される前に集めるつもりだ。

 召喚したやつがお金をくれるとは限らないし。


 え?魔鉱?

 やだよ。

 あれは俺のもんだ。


「さて、行くか。」


 俺が迷宮の奥に向かって歩きだすと、すぐにガラシャが俺に並んで質問をしてきた。

 流石にいよいよとなるとガラシャも不安なんだろう。


「ねぇお兄ちゃん。迷宮で何をすればいいの?」

「えっ?何をって、まぁそうだな。みんなに説明するのも面倒だったから・・」

「あぁ、説明なら私がしておいたよ?お兄ちゃん忙しそうだったからね。」


 ちょっと。

 嘘でしょ?

 じゃあわざわざ迷宮に来なくても良かったじゃん・・


「ここの最下層に魔王がいるの?」

「いや、そこじゃないな・・」

「そっか。異世界に行くんだからそんなに簡単じゃないよね。それで、この後はどうすればいいの?とりあえず最下層まで行くんでしょ?」

「ん・・いや、まぁ、そうだな・・」


 そういえばガラシャには召喚のことすら言ってなかったっけ・・

 なんか言い出し難いんだけど・・


「おなかすいた!」

「あぁ、そうか。コリューに魔力をあげないとな。約束したし。」

「コリューちゃん。さっき私もあげたよね?もうお腹空いたの?」

「すいた!魔力、いっぱいほしい!」

「そうか。まぁ沢山食えよ。」


 なんか、緊張感ないなぁ・・

 もしかして、ビビってるのって俺だけか?


 結局、俺は召喚のことを言い出せなかった。

 というか、言わなかった。

 だってさ、驚いた演技するのやだし。

 そこはガラシャとコリューに任せたい。


 その後、俺達はしばらく迷宮を進んだのちに白い光に包まれた。

 一瞬迷宮の罠かと思ったけど、召喚魔法だろう。

 たぶん。

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