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この辺から新章かな

 さて、今日は何をしよう?


「ガラシャ、今日の予定は?」

「何もないよ。あぁでも、そろそろ残り少ない素材が増えてきたかな?」

「じゃあ買い付けに行くか。」



 俺が店に専念しはじめてからずっと、店は順調だ。

 物凄く。


 最近はほとんど俺の手から離れつつあるけど、転移と収納魔法が使えるので手伝うと言えば出来ることは多い。

 素材の買い付けや商品の運搬なんかは特にそうだ。

 買い付けなんかは扱う量が増えたので近所の店では賄えないことが多いからね。

 まぁ後は魔力注入を自前で賄えるのは結構大きいかな。


「お兄ちゃん。買い付けも良いけど、そろそろ従業員を増やした方がいいんじゃない?」

「いや、そうなんだけどさ・・良い人材って中々いないんだよ」


 ちなみにガラシャは今、俺の秘書をやっている。

 秘書にした覚えはないんだけど、俺につきまとってる内にいつの間にか仕事を覚えていたのだ。

 周りが秘書扱いして仕事を頼むから、本人はノリノリで仕事をしている。


 ガラシャは出来る子だ。

 魔法は物凄いスピードで覚えるし、先生に無理矢理習った剣術もすぐに一通り出来るようになったらしい。

 勉強にもその才能を発揮すると、計算などもさっさと出来るようになってしまった。


 先生いわく、基本的なことではもう教えることがないそうだ。

 天才だね。


 なんと言っても『成長補正』のスキルを持ってるのがデカい。

 それがわかった時、本人も含めみんなはかなり驚いていたけど、俺に言わせれば今更だ。

 本人の成長速度を見ればわかるだろ。

 やっぱり、天才だね。

 スタイルも良いし、顔も可愛いので言うことは何もない。

 やっぱり将来は有望だ。


「お兄ちゃんは求めすぎなんだよ。店番に魔法が使える人とかいらないんだよ?」

「でも、何かがあったときに困るだろ?」

「護衛は別にいるの!」


 ま、まぁ確かに・・

 でも、護衛程の実力は求めてないぞ?

 店員は人格重視だし。


 ちなみに『成長補正』と頭の良さは関係ない・・と、思いたい。

 じゃないと俺は・・ね。




 ヴァンフォーレ王国のカーク領で知り合ったシャサ達、双子狼は覚えているだろうか?

 実力もあるし、愛想も良い。

 申し分ない人材なのでニートグループで雇っている。

 まだ専属という訳ではないけど、似たようなものだ。




 買い付けが終わり、イゴイスの首都にある本店に行ってみると、今度は魔力石が足りないと言われた。

 ある意味いつものことだけど、一辺に言って欲しい。

 まぁすぐに終わるけど。


 俺の仕事は使いっ走りがほとんどで、あとは新入社員の面接くらいかな?

 俺があーしたいこーしたいって言うだけで、大体みんながやってくれる。


 お陰で我がニートグループはこの世界始まって以来の大企業に急成長しました!

 まぁ、大陸をいくつも股にかけた企業ってだけでそんなに数はないからね。

 一番は当然だよね。

 年商とかで言えば上には上がいると思う。

 そこはあんまり興味ないけど。



 メインはいまだに鍛冶屋だけど、店舗数でいうと宿屋の方が多い。

 居抜きの物件とかを見付けたらすぐに買ってきちゃうからね。

 お風呂と食事、サービスに重点をおいた接客が売りだ。

 お陰で従業員を育てるのが間に合ってない。

 研修中というのを言い訳にしたくないので、接客を任せられるまで育てるのに時間がかかるのだ。


 まぁ研修という概念がないこの世界ではかなり特殊な店だと思う。




 今日も雑用で1日が終わった。

 とても良い1日だったと思う。


 俺はいまだに本店近くの元ツック邸に住んでいる。

 広いし快適だし本店は近いし、ベッドがフカフカだ。

 引っ越す理由がない。

 まぁ、住み続けるにはそれなりに苦労したんだけどさ・・


 軽いトレーニングの後、風呂から上がったらガラシャがリビングで寛いでいた。


「ガラシャ。従業員の話だけど、先生には頼めないのか?」

「あのね、お兄ちゃん。子供は金槌で叩いても育たないんだよ?それに本人が希望しない限り強制はしないって約束だし。」


 先生が育てた子供ならある程度はすぐにでも仕事を任せられるんだけど・・

 今まで何人も孤児院の卒業生を雇ってきたけど、その辺に転がってる凡人と違ってみんな優秀なのだ。

 もちろん基本的に性格も悪くない。


 俺が孤児院を卒業してすぐに大金を寄付したお陰で、かなり多くの孤児を育てられるようになったらしい。

 寄付はずっと続けているけど、優秀な社員を得られるなら安いもんだ。


 今は子供達の世話をする大人も増やしてるし、空き部屋が全くないらしい。

 店を大きくしてから孤児院の有用性に気が付いたので、俺も先生に色々と聞きながらイゴイスや他の国でも孤児院を始めてみたくらいだ。

 孤児院というよりは子供限定で全寮制の研修センターに近いかもしれないけど。


「他の孤児院は?」

「卒業試験の合格者はもう全員雇ってるよ。」


 卒業は年齢ではなく、希望者の能力を実技と面接、学科試験で測って決めている。

 ちなみに15才までに試験に合格出来なければ孤児院は卒業。

 そして、うちでは雇わないことになっている。


 まだ始まったばかりのシステムなので卒業希望者は全員合格しているし、みんなうちでの就職を希望してくれている。

 今後はまだわからないけど、まぁ何とかなるだろう。

 うちの業務内容は鍛冶、販売、接客、流通、サービスと護衛、と多岐に渡る。

 これで嫌だと言われても、それはうちが嫌いなんだろう。

 後は農業がやりたいとか、国に仕えたいとか?

 だったらしょうがない。



「お兄ちゃん。やっぱり休日システムをやめたら?」

「そうだけど、一度やるって言っちゃったしな・・」


 ニートグループでは9日働いたら1日休める、というシステムを取り入れている。

 最初に5日働いたら2日休み、と俺が言い出した時は従業員みんなに反対された。

 仕事量を考えても無理だったので減らしたけど、なぜかいまだに不評だ。


 休みにやることがないんだってさ。

 娯楽なんてないもんね。


「今だから言うけど、休みを取ってない人もいるんだよ?」

「何それ?聞いてないんだけど?」

「まぁ休みの日に勝手に来てるだけだからタダ働きだけどね。」


 それは不味い。

 優良企業だと思ってたニートグループがいきなりブラック企業に思えてきた。


「それは絶対にダメだ。休みなのに来た従業員には手当を出そう。」

「それなら直ぐに出来るけど、休みは無くさないのね・・」


 人が足りないから残業や休日出勤はしょうがないとしても、タダ働きは絶対にダメだ。

 俺が雇っている人達はやたらと働きたがるけど、日本のブラック企業は見習っちゃいけないと思う。

 今後は気を付けよう。



 日本から来て先生の孤児院で育った俺は、基本的にはこの世界でもかなり優秀な部類に入るらしい。

 当然俺が考える基準も高いから、魔力や強さを除いても従業員に求める物が多いんだってさ。


「しょうがないな。また奴隷でも探しに行くか?」

「行くのは良いけど、優秀な奴隷がいたら商人が連れてくるはずだからあんまり期待しないでね?ホントに誰でもいいんだから。出来ることをやらせればいいのよ。」


 ガラシャの意見ももっともだ。

 頼みたいことは沢山ある。

 それこそ単純な力仕事なんか誰でも出来る。

 いや、力が無くてもやってれば力なんてすぐにつく。

 この世界の人達とはそーゆーものだ。

 だから人柄優先なんだけどね・・



 ガラシャと話していると、リビングにメトラが入ってきた。


「ロイ様、お茶が入りました。」

「ありがとう。」


 メトラはまだ奴隷のままだ。

 奴隷紋だけでも消そうと申し出たんだけど、断固拒否された。

 まだまだ借金を返せてないし、あった方が便利なので一生このままで結構です、だってさ。


 実は奴隷紋、物凄く有能だったのだ。

 奴隷紋を発動、維持させる為には魔力が必要で、それは主人の魔力で賄っている。

 つまり、奴隷と主人は魔力で常に繋がっているのだ。

 技術さえあればどんなに離れていても意思の疎通は出来るし、少しなら魔力の貸し借りも出来る。

 まぁ俺が竜種とのテレパシーで慣れたから出来るだけで、普通はこんなことは出来ないらしいけどね。


 そして奴隷紋の一番の利点は、奴隷達には擬似的に俺の『成長補正』をかけられる、ってことだ。

 最初はメトラとミリィしか奴隷がいなかったので優秀な姉妹だと思っていたんだけど、その後に奴隷にした誰もがどんどん成長するのを見てわかった。

 どうやら『成長補正』のスキル持ちの魔力にはそんな特性があるらしい。

 お陰で奴隷にするのは誰でも良い、とガラシャに太鼓判を押されることになった。

 まぁ若い方が効果があるみたいだから、条件はそれくらいかな?


 メトラはお茶を出すと、俺の斜め後ろに移動した。

 メトラの定位置だ。


「メトラ。何か足りないものとかあるか?」

「物・・ではないですけど・・メイドを増やして頂けると有り難いです・・」

「あぁ、うん。そうだよね」


 新しい奴隷(女性)の教育は主にメトラとミリィがやってくれている。

 メイドとしてうちで働いて、仕事に慣れたら系列の宿屋等に移ってもらうのだ。

 だからいくら育ててもここのメイドは増えないし、そもそも今はメイドの仕事に教育という仕事が増えただけだ。

『成長補正』のスキルが無かったら倒れてると思う・・


「ごめん。どうにかするよ・・」

「いえ、私の力不足です。申し訳ありません・・」


 人材不足が深刻だ・・




 次の日


 人格だけ。

 誰でも良い。

 人格だけ。


 俺は従業員に求める条件を自分に言い聞かせながら、イゴイスの奴隷市場を目指した。

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