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王城で迷子

 俺は転移でミドリの背中に戻ってきた。

 どうせルビィの街には転移出来ないからね。

 俺がいなくなった後の行動も気になってたんだけど、特に問題はなさそうだ。

 みんな大人しく街の上空を旋回してる。


 ちゃんと言うことを聞いたご褒美の魔力を与えた後、みんなに今後の事を伝えた。

『じゃあ移動するのね?』

「移動は転移でやるからすぐだよ。」

『私達がやることは?』

「暴れる必要はないから、兵士が認識出来るようにゆっくり飛んでてよ。」

『なるほど。撹乱すれば良いのね。』

「そーゆーこと。じゃあ行くよ。」

 そう言って、俺はみんなを連れて転移した。



 辺りの景色が変わるのは、俺はもう慣れてる。

 でもコリュー達は慣れてないから、かなりはしゃいでいる。

 子供ってこうだよね。

 ミドリが落ち着いてるのは大人だからか、俺を乗せてるからか。


 改めてみんなにやって欲しいことを伝える。

 そんなに難しいことは言ってないから、なんとかなるだろう。

 最後にミドリ達に変幻魔法を、自分にはそれプラス透明化の魔法をかけた。

 今後のことを考えると顔は売らない方が良いからね。


「じゃあみんなよろしく。」

 そう言って俺はミドリの背中から離れた。

 みんなには騒ぎを起こしてもらうだけだ。

 まぁそれも必要ないとは思うけど、念には念をってね。



 さて俺が今向かってるのは、お城だ。

 ライクス王国の王城。

 だって、戦争をやめさせるなら起こした本人に言うのが一番早いでしょ。


 俺は久々の透明化の魔法が効いてるのを確認しながら城の方に降りていくと、窓を目指して進んだ。

 まぁ正面から入ればわかりやすいのかもしれないけど、王様が一階にいるとは思えないからショートカットだ。


 近くにあった窓を開けてみたら鍵もかかってなかったのか、すぐに開いた。

 戦争中なのに不用心だね。

 俺が城に入ったので、ミドリ達が旋回をやめて城に近付く。

 あとは誰かに見付けてもらえば騒ぎになるはずだ。


 城中でパニックが起きる前に王様を見付けなくちゃいけない。

 どこかに隠れられたら面倒だからね。

 俺は王様を探しながら走って奥に進む。


 俺が浸入した場所は・・広間かな?

 いや、縦に長いからきっと廊下だと思う。

 壺とか絵とか飾ってあるけど、廊下だよね?

 そういえば、お仕置きのことを忘れてた。

 今後も余計なことを考えないように、城の金庫の中身でも貰っておくか。

 貴族の屋敷でもかなりの金貨が蓄えてあったけど、城の金庫は初めてだ。

 楽しみにしておこう。



 俺は城の中を闇雲に進んでいる。

 はっきり言って、今自分がどこにいるのかもわからない状態だ。

 階段を何回か上がったから、かなり上の方にいるはずだ。

 窓の外を見ても同じような風景が広がってるだけだし、方角がわかったからって王様の位置はわからない。

 もう諦めて誰かに聞こう。


 そう思った時、城の中の気配がかなり少なくなっていることに気が付いた。

 今もどんどん少なくなっている。

 もうとっくに外では騒ぎが起きているから、戦える者は外に出たんだろう。

 ミドリ達が上手くやってくれているみたいだ。


 自分の不甲斐なさを改めて感じていたら、まだ戦えそうな気配が城の中に残っているのがわかった。

 ほんの数名だけど、一ヶ所に集まっているようだ。


 俺は急いでそちらに向かう。

 どうやら俺は上に来すぎていたらしい。

 もしくは竜が現れて城の中心に移動したかな?


 たどり着いたのは、大層立派な部屋だった。

 魔法の明かりがあるせいか、中は凄く明るい。

 部屋の至るところに甲冑が飾ってあるし、入り口から突き当たりまでは赤絨毯が引いてある。

 謁見の間とかいうのはここのことか?


 部屋はかなりの広さがあるけど、中にいるのは20人にも満たないほどの人数だ。

 部屋がスッカスカ。

 そこにいる人のおよそ半分が、魔大陸で貴族が着ている服が普段着に見えるような高そうな服を着ている。

 あれが王族かな?

 全員が王族にしては多いから貴族が混じってるのかな?

 誰も王冠とか被ってないし、ちょっと違いがわからない。

 子供とか文官っぽいのがいるけど、他は大体同じに見える。

 まぁそれは後でいいか。

 王族とかはともかく、残り半分の護衛兵達は俺の存在に気が付いているらしい。

 まぁ普通に扉を開けて入って来たしね。

 そうじゃなきゃ変幻魔法で誤魔化せたかな?


 俺は集団の方に歩いて近付きながら、揃ってこちらの方に槍を向けている兵士達に話しかける。

「こんにちは~。」

「何者だ!姿を見せろ!」

 すぐに返事が返って来たのはいいけど、ちょっと物々しい。

 こーゆー場合は一番偉い兵士が話し相手をしてくれるのかな?

 違うか?


 とりあえず、今さら意味がないことはわかるけど、筋は通したい。

 俺は透明化を解除すると、槍兵の後ろで一番偉そうにしている兵士に話しかけた。

「初めまして。王様に話があるんですけど、えーと・・良かったら取り次いでもらえません?」

「ふざけるな!お前は何者だ!名を名乗れ!」

 偉そうな兵士が話している間に槍兵の一人が俺に近付こうとして、別の槍兵に止められてる。

 連携はそれほど上手くなさそうだ。


 最悪、子供だってのはバレてもいいかもしれないけど、名前は言いたくない。

 今後の生活に影響しそうだ。

 かといって名乗らないままじゃ話が進まない。

 しょうがないので、俺は思い付いた名前を口にした。

「えーと、じゃあポメラニアで。」

「ポメラニアン?聞いたことのない名だな・・。どこの国の者だ!」

 ポメラニアンって・・犬じゃないんだけど、まぁ何でもいいや。


「どこでもいいでしょ。王様に話があって来たんだよ。」

「ふざけるな。ここまで忍び込んできて、生きて帰れると思っているのか?」

 入って来れたんだから帰れると思うけどなぁ。

 それより、名乗ったんだから話させてよ。

 いや、無茶を言ってるのはわかってるけどね。


 王族と貴族は部屋を出ていくこともせずに護衛兵に守られている。

 まぁ俺が陽動なら外に出た途端に殺されるだろうし、戦力差を考えれば安全なのはこの部屋なんだろうね。


「戦争、やめてもらえません?」

「やはり敵国の者か。どこだ?シボラか?」

 シボラってどこだよ。

 戦争中の国のことか?


「どうしたら王様と話せます?」

「我らを全員倒すことだな。出来るものならやってみろ。」

「・・了解。」

 とりあえず、逃げられたらめんどくさいし援軍がきてもこれまためんどくさいので、俺はここにいる全員を囲むように結界を張った。

 これで戦いに集中出来る。


 正直に言って、槍兵は大したことはない。

 というか、雑魚だ。

 大方、貴族の息子とかそんなんだと思う。

 今も目の前の俺よりも、俺が張った結界にビックリして気が散っている。

 どう見ても隙だらけだ。


 しかし、槍兵に俺を捕らえろって命令しないのは何でだ?

 無理だってわかってるのかな?

 まぁ『気配感知』を持ってるならわかるか。

 俺が透明化してたから、槍兵達は他にも仲間がいないか辺りをキョロキョロと見ている。


「仲間はいないよ。ここにはね。」

「なんだ。そうなのか?一人で乗り込んでくるなんて、お前バカだな。」

 さっきから何回も前に出ようとしては止められていた槍兵が、俺に話しかけてきた。

 さっきから気になってたけど、こいつは絶対貴族のボンボンだ。

 弱いし一番若いのに、ちょっと偉そうなんだよ。


「下がれ!お前達では無理だ。」

 ボンボンさん、偉そうな兵士に止められてますよ。

「手柄はもらったぁ!」

 ボンボンは槍を振りかぶって俺に叩きつけてくる。

 俺は槍を左手で受け止めると、捻りながら引いてボンボンの手から奪い取った。

 ついでに魔力球をぶつけて吹き飛ばす。


 結界にぶつかって地面に落ちたボンボンは、すぐに起き上がって俺を睨み付けてきた。

「き、貴様!何をした!」

「大人しくしてなよ。何をしたかもわからないなら一生勝てないから。」

「無礼者!俺を誰だと・ごはっ!」


 かなり大きめの魔力球を当てたからこれで黙るでしょ。

 鎧の色は鉄と変わらないんだけど、魔力球のダメージが少ないなら魔鉱が含まれてるんだろう。

 流石に王族の護衛ともなると、雑魚でも魔鉱が装備できるんだね。


「はい。他に邪魔する人は前に出て。」

 槍兵達は凄く下がりたそうにしてるけど、上司が黙っていない。

「引く者がいると思ってるのか?」

 何人かビクッてしたから、下がりたいんだと思うな。


「何をしているのだ!さっさと捕らえぬか!」

 焦れたのか、王様だか貴族だかのおじさんが声を上げる。

 まだ捕らえられると思ってるんだね。

 もうめんどくさいし、全員黙らせようかな?

 いや、その必要はないか。

 まだやり様はある。


 俺は魔力を解放すると一歩近付いた。

「ひぃ!」

 さっきまでの状況ですでに軽くビビっていた槍兵から悲鳴が漏れた。

 ボンボンは偉そうな兵士と一緒に口をパクパクしている。

 さっきの魔力球でも気を失って無かったらしい。

 丈夫なやつだ。

 王族達は・・人によるかな。

 おじさん達は一気に警戒してるような顔になったけど、王妃みたいな人はのんびりしてる。

 王女みたいな子供はビビってるみたいだけど、さっきから変わらないからどうでもいいかな。


 さて、俺の魔力に動じてない人が一人いる。

 俺を取り囲むように立っている兵士とは別に、王族を守る様に立っている騎士だ。

 この騎士と偉そうな兵士だけは槍ではなくて剣を持っている。

 鎧が紫っぽいから多分、全身魔鉱だ。

 あの鎧だけで・・何が買えるかな?

 とにかく高そうだ。

 こいつを倒せば終わるだろう。


「ねぇ。そこの人、相手になってよ。」

「・・俺の出番じゃない。」

 出番って何だよ。

 まぁいいか。

 王様と話す前に出来るだけビビってもらわないと、話が進まなそうだし。


「じゃあ行くよー。」

 俺はその他の兵士達に魔力球を当てると、全員黙らせた。

 今度こそボンボンも気絶したはずだ。

 と、思ったら、偉そうな兵士だけは起き上がってきた。

 偉そうなだけあって、装備の魔鉱が多めなのかな?

 仕方がないので魔力球を5発当てて確実に黙らせる。


「はい。出番だよ。」

「・・そのようだな。しかし、俺に勝てると思うな。この鎧にただの魔力は効かんぞ。」


 ほぉ。

 魔力球が見えたのかな?

 でも、魔力だってわかってるなら魔法が使えるとは思わないのか?

 あぁ、無詠唱はほとんど見せてないからか。


「いくよ。」

 俺は魔力球を10発くらい産み出すと、騎士に向かって放った。

 魔力球が様々な軌道で騎士に向かう。

 騎士は手に持った剣でそのほとんどを切り落とした。

 間に合わなかった魔力球は食らったはずだけど、吹き飛ばずにその場で踏み留まった。

「魔力って切れるの?」

「・・そのようだな。」


 知らなかったのかよ。

 まぁ魔力を切ったんだからあの剣も魔鉱で出来てるんだろう。

 ホントに全身魔紘なんだな。


 俺は魔力球での攻撃を諦めてアイスブレッドを放った。

 とりあえず怖いので、反撃の隙は与えない。

 これは小さな水の球のような物を出して、当てた対象を凍らせる魔法だ。

 騎士が避けたら王族の誰かが凍るけど、どうする?


 騎士が剣でアイスブレッドを叩き切る。

 アイスブレッドは切られたけど、まぁそんなことはわかってた。

「何だと!?」

 騎士が初めて驚いた顔を見せた。

 アイスブレッドのレベルは6だった。

 切っただけで済むはずがない。


 今、騎士は腕が肘の辺りまで凍り付いている。

 降り下ろした剣は地面に氷で繋ぎ止められているので身動きは取れない。

 レベル6で腕すら全部凍らないって・・すごいな。

 俺も早く全身魔鉱にしたい。

 いや、この騎士の鎧を貰えばいいのか。

 よし、そうしよう。

 後でね。


「さっ、王様はどの人?」


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