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竜のペット

 海は比較的早くにたどり着いた。

 元々もうすぐだと思ってたし、全力で移動を初めてから1日もかからなかったよ。

 もちろん俺は止まることなく、海の上に突っ込んだ。


 でも、海の上に来てすぐに海竜に襲われたからビックリしたよ。

 どうやら東側の海は海竜が海岸沿いに住んでるらしい。

 道理でどの街でも海の魚が売ってないわけだ。

 いちいち相手をしてられないので海から飛び上がってくる海竜を避けながら進んでたんだけど、さすがに速度がかなり落ちた。

 急いでるのに!


 海竜や他の魔物を避けるために出来るだけ高い位置で飛んでるけど、これ以上は上がれない。

 上には海竜よりももっとヤバイのがいる。

 狭間の道で手に入れたスキルに『危険感知』ってのがある。

 それが上はダメだってずっと訴えてるんだ。

 俺が竜種に囲まれても生き残れたのはこれのお陰だと思う。

 だから俺はこれには逆らわないようにしてる。



 海を進んで2日が経った時、『危険感知』が危険を知らせてきた。

 咄嗟に横に避けた俺は、横を通り過ぎたものを見て驚いた。

「げっ!」

 目の前に突然現れたのは青竜だった。

 まだ子供らしく体は小さいけど、それでも俺の倍くらいはある。

「何でこんなところに!」

 上を飛んでたのはこいつじゃない。

 上からはまだ危険な臭いがプンプンしてる。


 逃げられないかな?

 そう思って移動を開始するけど、すぐに『危険感知』に反対される。

 くそっ!

 これじゃ進めない!

 急いでるから出来れば転移で逃げるのは避けたい。

 意識を『危険感知』に集中して安全なルートを探す。

 俺の『危険感知』はまだレベル3だ。

 あの辺は危なそうってくらいしかわからない。

 上空だって安全な時くらいあるだろうに、ずっと反応してるからね。

 だから急いでスキルを育てる。

 今までの経験上、集中すればスキルはかなり早く育つ。


 集中して様子を伺っていたら、青竜の気配が急にぶれた。

 危険を感じたのですぐに横に避けた。

 やっぱり青竜は俺に向かってまっすぐ突っ込んできた。

 青竜が後ろに回ったので、俺は前に進む。

 こんなのを相手にする気はない。

 時間をかければ何とかなると思うけど、逃げた方が早い。


 そう思ってた俺が甘かった。

 こいつは最初に後ろから攻撃してきた。

 つまり、全力の俺よりも遥かに早いってことだ。

 青竜は俺を追いかけてくるだけじゃなく、氷のブレスを吐いてきた。


 俺は体当たりを警戒してたので青竜のブレスをモロに食らってしまう。

「冷たっ!」

 冷たいっていうか痛い。

 耐性スキルを持ってなかったら凍ってるんだろうけど、今ならなんとか耐えられない事もない。

 狭間の道で成長したのはステータスだけじゃないからね。

 なのでブレスはともかく、警戒すべきは体当たり、噛み付き、爪だ。

 牙や爪は流石に冷たいとか痛いじゃ済みそうにないし、何よりも体当たりを食らってそのまま上空か海に連れてかれるのが一番マズイ。

 それに比べたらブレスなんて根性でなんとかすればいい。


 と思ってたら、氷竜は俺にブレスばっかり吹きかけてくる。

 ジワジワ削るつもりか?

 たまに海竜の攻撃があるので、俺にはブレスまで避ける余裕はない。

 これくらいなら耐えられないこともないけど・・。



「あぁもう!寒い!」

 ブレスを受けてもしばらくは耐えられると思ってたけど、ずっとは無理だ。

 このままじゃ凍え死ぬ。


 俺は青竜に当たらないように気を付けながら止まると、結界を発動させた。

 とりあえずこれで安全だ。

 俺は自分にファイアをかけて暖を取る。

「あぁ、暖かい・・」

 でも、ちょっとレベルが足りないかな?

 ファイアのレベルを2、3と上げていくと、3はさすがに熱かった。

 俺はレベル2.5くらいに調節したファイアで冷えた体を暖める。

 俺、凍ってたんじゃね?


 ゆっくり体を暖めた後、治療魔法で残った痛みを取り除くと青竜を見た。

 青竜は俺が結界を張ってからずっと、結界に抱き付いて爪と牙で攻撃している。

 たまに海面から飛び上がってくる海竜は青竜が尻尾で弾いている。

 海竜って海の中では相当に強いんだろうけど、それ以外では雑魚だな。

 青竜は攻撃っていうよりも噛み付くのに夢中になってるけど、結界って美味しいのか?


 ん?

 美味しい?

 結界の様子を見てみると、噛み付かれてる部分の厚みが微妙に減っていた。

「食ってるのか?」

 結界を食べるとか、どんな生き物だ。

 そういえば、コリューも魔力を食べてたっけ。

 竜種って、非常識だな。


 ふと思い付いたことがあったので、早速実行してみる。

 青竜が結界に夢中になってるのを再度確認してから、素早く青竜のさらに外側に結界を作る。

 今度は物理結界を作った。


 これで、もしかしたら俺のペットが増えるんじゃないか?

 結界の外側に転移して中の様子を伺うと、青竜はコリューが結界に捕まった時の様に外に出ようと暴れていた。

 しばらくすると諦めたのか、暴れるのをやめて俺の方を見てくる。

 俺が青竜に魔力を与えると、やっぱりこいつも食べた。

 なんか美味しそうだ。

 いや、嬉しそうなのか?


「これでいいんだよな?」

 コリューの時はこれで召喚できたはずだ。

 他には・・特に何もやってないよな?

 コリューはすぐに結界から出しちゃったけど、こいつはまだ捕まえておける。

 試しにコリューには避けられる鑑定魔法をかけてみたら、青竜にも避けられた。

 結界で捕まってるのに器用なやつだ。

 嬉しそうにしてるけど、別に遊んでる訳じゃないぞ。


 もしかして、俺って舐められてるのかな?

 なつかれてるのはコリューの時も感じたけど、遊ばれてる感じがしたんだよね。

 何でだろう?

 見た目かな?

 いや、ここは相手を見た目で判断出来るような甘い世界じゃない。


 ということは・・魔力か?

 魔物もそうだし、動物ですら相手の危険度は魔力で判断してるはずだ。

 じゃあ竜種も一緒だろう。


 俺は押さえ込んでた魔力を解放してみる。

 前に解放したのはいつだっけ?

 カークの街のギルドか?

 いや、その後でヴァンフォーレの王都で解放したな。

 俺の魔力はその後も増え続けてるはずだ。

 迫力はなかなかのものだろう。

 解放した魔力を感じ取ったのか、青竜が一気に大人しくなった。

 ちょっと怯えてるように見える。


 俺は魔力を解放したまま、もう一度自分の魔力を青竜に与えた。

 怯えてるように見えた青竜は魔力を食べると少し落ち着いたようだ。

 このまま鑑定魔法を発動すると、今度は避けることなく受け入れてくれた。


『青竜 レベル9 S』


 やっぱりSランクか。

 この鑑定魔法ってあんまり参考にならないよな。

 まぁ受け入れてくれたんだから良かったよ。


 しかし、これで言うことを聞くのかな?

 召喚した魔物が仲間に襲いかかったら洒落にならないし、命令は聞くって話だけど・・。


「あ~えっと、お前の名前はセイリューだ。わかったか?」

「キュイ!」

 おぉ!

 返事したよ!

 名前が適当で申し訳ないね。

 どうせ日本語は理解できないから良いでしょ?


「じゃあこれからセイリューに魔法を放つから、攻撃魔法は避けてそれ以外は受けるんだ。出来るか?」

「キュイ!」

 セイリューが頷いてる。

 言葉がわかるのか?

 いや、わからなきゃ命令は出来ないけどさ。

 もしかしたら奴隷紋に魔力で触れた時みたいに、与えた魔力を通じて意志疎通が出来るのかもね。

 奴隷商人は心の声が聞こえるみたいなことを言ってたけど、メトラの奴隷紋に魔力で触れて日本語で話しかけたら通じたんだよ。

 便利だよね。


 セイリューは俺の魔力を見てから俺のことを主人だと認めてくれたみたいだ。

 暴れることはなさそうなので、結界を解いてあげた。

 俺はセイリューに色んな魔法を放ってみた。

 言った通りに攻撃魔法は避けてそれ以外は受けるのは出来た。

 おまけに魔法に混ぜて魔力を放ってみたら食べやがった。

 器用なやつだ。



 俺はセイリューで色々試してる間も魔力を解放したままだった。

 それが良くなかったのかもしれない。


 突然大きな危険が俺に迫ってるのを感じた。

 咄嗟に避けると、俺がいた場所をセイリューのものより遥かに大きなブレスが通りすぎた。

 今のは・・風か?

 危ないな。

 食らってたらズタズタに切り裂かれてたかもしれない。


 ブレスが来た上の方を見上げると、そこには大きな緑竜が飛んでいた。

 全身を鮮やかな緑色をしている緑竜にしては緑が黒ずんでいて、深みのある緑色に見える。

 すごく大きいし、結構歳を重ねた竜種なのかな?

 狭間の道で色んな竜をみたけど、こんなに大きな竜種を見たのは初めてだ。

 海竜はもっとデカいのもいるけど、竜の亜種らしいし。

 この緑竜は羽を広げた長さがうちの屋敷くらいあるんじゃないのか?

 それはさすがにないか?

 でも、少なくとも普通の一軒家くらいはあると思うよ。


 こいつが現れてからは、海の上に出てから上空に感じていた危険は無くなっている。

 こいつがずっと感じてた危険の正体なんだろう。

 その代わり、目の前の緑竜からはすごい気配が伝わってくる。

 きっとこの辺りの主なんだろうね。


 でも、俺は『危険感知』が示すこいつの縄張りには入ってないはずだけどな。

 もしかして、魔力を解放したせいで脅威だと思われたのか?


 緑竜は大きく息を吸って、再びブレスを吐こうとしているようだ。

 どうする?

 避けるか、結界で防ぐか。

 というか、流石にこれは撤退だな。


 そう思った時、緑竜がブレスを吐いた。

『危険感知』は反応していない。

 標的はセイリューだ。


「セイリュー!」

「キュア!」

 セイリューはまともにブレスを食らってしまった。

何て早いブレスだ。

風属性だからか?

 流石にセイリューが子供でも竜種なだけあって、これで死んだりはしない。

 でも、かなりダメージを受けたみたいだ。

 鱗と皮膚が切り裂かれて血がかなり出ている。


 さらに緑竜がセイリューに迫る。

 とどめを刺すつもりか!?

「セイリュー!逃げろ!」

 転移は間に合わない。

 俺は離れすぎている。


 セイリューは緑竜の噛み付きを上手く避けたものの、尻尾で殴られて海面に叩き付けられた。

 危なかったよ。

 ダメージは受けてるだろうけど、あれくらいで死ぬことはないだろう。

 噛み付きを避けられなかったら死んでたかもな。

 邪魔者がいなくなったので、緑竜は俺に向かって唸っている。

「てめぇ。人のペットに何してくれてんだ!」


 俺は緑竜に向かって両手から一つずつサンドストームを放った。

 いくら的がデカくても、単体向けの魔法を竜種に当てるのは今の俺にはたぶん無理だ。

 でも、広範囲攻撃魔法ならなんとか当てられる。

 今回は二つを別々の角度で放ったから、転移でもしない限りは避けようがないだろう。

 はっきり言ってこんなにデカい竜種に自由に動かれたら勝ち目がない。

 先手必勝。

 不意打ちのお返しだ。


 強烈な砂嵐に巻き込まれて緑竜は身動きが取れなくなっている。

 広範囲攻撃魔法の中でも一番良くわからないのがサンドストームだ。

 火は燃やすし氷は凍らす。

 風の広範囲魔法は辺り一面のものを吹き飛ばせるけど、砂嵐って何をするのか不思議だったんだよ。

 見た感じだと物理ダメージを与えながら動きを止めるみたいだね。

 これはいい。


 動けない緑竜に対して俺はファイアボールを放った。

 緑竜はファイアボールに気付くのが遅れて直撃する。

 レベル10のファイアボールは炎というよりは、爆発のような勢いで対象を焼き付くす。

 炎が消えたあとに残るのは・・焦げた竜だ。


「ギャオォ!」

 生きてやがる。

 丈夫だな。

 まぁもう一発当てれば終わると思うけどね。


 またファイアボールを放とうと思ったところで、サンドストームの効果が切れた。

 緑竜が逃げないように慌ててまた放つ。

 緑竜は避けようとしたみたいだけど、広範囲魔法なんてそんな簡単に避けられるもんじゃない。

 竜のブレスだって広範囲に吐かれたら避けるのは至難の業だからね。


 サンドストームに捕まってる緑竜を良く見ると、ジワジワと体力を削られてるみたいだ。

 レベル10のサンドストームともなると砂だけじゃなくて石も岩も飛んでるからね。

 俺の体くらいのデカい岩も沢山ある。

 それが互いに不規則にぶつかり合いながらかなりの広範囲に猛スピードで飛んでるんだ。

 とてもじゃないけど避けられないし、人間だったらどんな装備を付けててもとっくに死んでるだろう。

 岩山とかで使ったらもっとすごいと思うけどね。


 サンドストームの激しい嵐の中で静電気でも起きたのか、バチバチと音がしているのが聞こえた。

 ・・なんで?

 今まで何度か試した時はこんなことなかったけどな。

 同じ場所で2度もサンドストームを発動したから、空気が帯電したのか?

 不思議に思ったのでもう一発サンドストームを放った。

 砂嵐は激しくなったけど、別に新たに電気は発生していない。

 2発目のサンドストームだけだったようだ。


 よくよく砂嵐の中を伺ってみると、俺が放った魔力の一部が電気に変わっているのがわかった。

 何かを間違えたらしい。

 緑竜がサンドストームから逃げようとした時に焦って放ったせいだろう。


 でも、これは最高の結果だ。

 この世界には俺が知る限り、雷の攻撃魔法はない。

 新発見だ。

 偶然とはいえ、魔力を観察できたので使い方はわかった。

 早速使ってみよう。


 サンドストームは混ざりあった二つがゆっくりと終わろうとしている。

 緑竜はもう結構弱っているようだ。


 攻撃魔法と広範囲攻撃魔法にはそれぞれ共通点がある。

 魔力を電気に変換出来るならどちらでも攻撃魔法の法則に当てはめれば放てるはずだ。

 緑竜に対して雷の攻撃魔法を唱えると、ぶっといレーザーみたいな雷が緑竜にあっという間に当たった。

 まさに一瞬。

 雷って速いんだね。

 しかも避けようとしてた緑竜を少し追い掛けたように見えた。


 これは・・すごいな。


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