困った時のギルド頼み
「こんにちわー。」
「こ、今日は!」
「すみません。トマルさんはいらっしゃいますか?」
「は!はい!少々お待ち下さい!」
ガタッと席を立つと、ギルドの職員はダッシュで階段を登っていく。
対応がこの街に居た時よりも酷くなってないか?
なぜかカークの街のギルド職員達はいつも俺にビビりがちだ。
なんかヤクザになったみたいで落ち着かない。
前に普通に接してくれって言ったはずなんだけどね。
カウンターの奥をチラッと覗いてみたけど、オバサンの姿が見えなかった。
今日は休みなのかな?
やることがないので依頼書を眺めていたらトマルが降りてきた。
「待っていたぞ。こっちだ。」
トマル支部長は緊張した面持ちで俺をギルドの奥に案内する。
何かあったのか?
それとも依頼かな?
「ここでいいか?」
「・・まぁ、いいけどね。」
案内されたのはなぜか運動場だった。
ルビィの街のギルドみたいに壁や天井が魔法で保護されてるみたいだ。
こちらの方が魔法のレベルは上かな?
「まずは謝罪しよう。すまなかった。」
「・・何のこと?」
「君の情報を流したことだ。そのことで来たんじゃないのか?」
「あぁ、そんなこともあったね。あれはトマルが流したの?」
「あぁ。強い子供がいるらしいって噂を聞き付けた軍の兵士がきてな。」
なるほど。
それで流したのか。
それにしては上手く流したもんだな。
俺のところに来たのは軍のスカウトが一回だけだ。
しかも現れた兵士は俺のランクも知らなかった。
経緯はわからないけど、トマルも責任ある立場上仕方なかったんだろう。
むしろ守られた感じじゃないか。
「そのことじゃないのか?」
「違うよ。全然関係ない。旅の途中で知りたいことが出来たから聞きに来ただけ。」
「旅の途中でって・・わざわざここまでか?」
あぁ、トマルは俺が転移出来るのを知らないんだっけ。
「まぁ良いじゃない。それよりさ、竜と魔鉱と召喚魔法について知りたいんだけど。教えてくれない?」
「魔鉱はわかるが、竜と召喚魔法なんて聞いてどうするつもりだ?」
トマルが怪しいものでも見るような目で俺を見てくる。
「何が出来るのかを知りたいんだよ。」
「・・まぁ、良いだろう。借りもあるしな。どんなことが知りたいんだ?」
お?
情報の借りは情報で返すつもりか。
律儀だな。
というか、借りがないと教えてくれないのか?
俺は知りたいことをドンドン聞いていった。
その質問にトマルはすらすらと答えてくれる。
さすが支部長。
頼りになる。
まずは召喚のことから。
「知ってると思うが、術者が従えてる魔物を呼び出すのが召喚魔法だ。便利なようだが面倒なことも多いし、最低でも一度戦って勝たないと召喚には応じないからな。使うやつは少ないぞ。」
「勝てばいいの?」
「いや、魔物によるが、条件がいくつかある。代表的な条件でいうと・・物理的にか、もしくは結界等で逃げないように捕まえること、自分の魔力を与えること、自分の実力を認めさせること、なんかだな。条件さえ合えば同じ種族の魔物を魔力の続く限り呼び出すことも出来る・・場合もある。」
その条件だと、もうあの子竜って召喚できるのかな?
実力は、認めてくれたと信じたい。
稽古相手としてあれ以上の相手はいない。
是非ともペットにしたい。
「ちなみに竜の召喚条件って知ってる?」
「あ?知るわけないだろ。」
そうだよね。
「やってみていい?」
「ダメだ!」
「えぇ~何で?」
「嫌な予感しかしないからな。」
勘の鋭いやつだ。
召喚魔法と竜の召喚条件を聞いただけで感付くとは・・いや、普通か。
いきなり竜を召喚したら普通の人は泡吹いて倒れると思う。
やるなら最低でも街の外だな。
「じゃあさ、召喚した後、必要なくなったらどうするの?召喚を解除したりできる?」
「それは出来ない。召喚は片道だ。それが人気が無い原因の一つだな。」
じゃあ俺は転移とかで帰せばいいかな。
どこにいたかわからないのに適当に帰して怒られないかな?
家がある訳じゃないから平気かな?
「それじゃあ竜について教えて。」
「竜についてはまだわかってないことが多いぞ。」
「ちなみに赤ちゃんって何色?」
「子供も親と同じはずだが、生まれたては知らん。」
親と同じか。
俺が会った子竜は黒かった。
黒い竜とか聞いたことがない。
赤ちゃんだから岩の保護色とか?
だったらそのうち変わるのかな?
「じゃあさ。山脈にいる竜の平均的なステータスってわかる?親と子供が別で知りたいんだけど。」
「竜の・・ステータスだと?」
「そうだけど?」
何か変なこと言ったかな?
「お前ステータスが何だと・・いや、その前に、竜はどんな生き物だ?」
「どんなって・・強い?」
正直、それ以外はよく知らない。
あとは空を飛ぶよね。
いや、海竜は飛ばないか?
「そうだ。」
そうなのか?
「竜は強い。人間より遥かにな。そこでステータスだが、ステータスの基準はなんだと思う?」
基準?
なんだそれ?
一番弱いのがF-で一般的な成人女性とそれ以下、だったか?
たしか普通の男はFだ。
人間はどんな集団でもAが最高で、それ以上がSだ。
つまり?
「人間?」
「そうだ。あくまで基準は人間だ。竜は人間よりもはるかに強い。当然ステータスはほぼ全てSだ。」
わぉ。
役に立たねぇ~
「例えば、お前の魔力はSランクだな?」
「・・そうだけど?」
知ってたのか。
「そう警戒するな。別に珍しいことじゃない。ステータスだけならな。」
「どうゆうこと?」
「お前は装備無しでSだ。これ自体は年齢のことも含めて異常なんだが、装備込みのステータスなら誰でもなれる。満タンにした魔力石を沢山持てば良いだけだからな。」
そんな殺生な。
「攻撃力や防御力だって、それこそ一流の戦士が魔鉱の装備を全身揃えれば両方Sランクにだって成れる。だけどな、そんなゴテゴテの装備で素早さをトップランクに置くことは不可能だ。素っ裸の人間の素早さの限界がAだからな。」
素っ裸の男で計測したのか?
なんか嫌だなそれ。
それとも女性か?
「補助魔法で上げることは出来るが、一時的に使えるだけのスキルや魔法はステータスに影響しないからな。だから人間の限界はせいぜいA。そうゆう基準なんだよ。」
なるほど。
ということは俺のさっきの質問は『人間を超越してるやつの強さって人間で言うとどれくらい?』って聞いてたのか。
世間知らずな質問だな。
「竜が強いのはわかったけど、海竜ってAクラスの冒険者チームなら倒せるんでしょ?それはなんで?」
「必ず倒せる訳じゃないぞ。それに海竜は竜種の中では弱い方だ。弱点がはっきりしてるからな。」
「弱点があるの?」
「あぁ。陸地と火だ。」
それは分かりやすい弱点ですね。
聞いただけで俺でも倒せそうな気がするよ。
「魔物のステータスも同じ計り方をしてる。これの問題点はわかるか?」
それは前々から思ってた。
「魔力かな?」
「まぁそれもそうだな。ほとんどの魔物は魔法どころか魔力すら使わない。だかステータスには反映されてるから強さの基準になってる。こちらにとって知りたい情報はどのランクならその魔物を倒せるか、なんだがな。」
そういえばロックタウンでゴーレムの襲撃があった時も変な感じだったな。
アイアンゴーレムのランクはCだったのに、シャサ達はBランク以上のチームがいないから倒せないって言ってた。
そのことか。
「その内新しい鑑定魔法が出来るから、そしたら少しはましになるだろうがな。」
「また新しくなるの?」
「魔法なんてそんなもんだ。まぁどれだけかかるかわからんし、剣士や戦士と魔術師で必要ランクが違う魔物はどうするんだって揉めてるから変わらないかもしれないがな。」
そんなの戦士辺りに合わせればいいだろ。
魔術師だけで戦うのなんて俺くらいなんだから。
って世の中には魔術師だけのチームとかもあるんだろうな。
確かにめんどくさい問題だ。
現状で魔術師が参考に出来る指標がないんだから欲しくもなるか。
「ちなみにさ、仮にだけど俺がSランクに上がることはないのかな?」
「理論上はないな。お前が強くなっただけ周りのランクが落ちるだけだ。お前が世界一強くなったらSランクの生き物がいなくなる。だが、基準をいつ誰が見直すのか、それともこのまま放置するのかは俺も知らねぇからな。わからんよ。」
「自動的に基準が変わるんじゃないの?」
「自動的に変わるなら魔力だけとはいえ、装備なしでSランクのお前が居るわけないだろうが。」
なるほど。
そりゃそうか。
「といっても俺も自動だと思ってたんだけどな。お前が現れて違うとわかったよ。」
「なんで?」
「さっき言っただろ。お前がいるのに誰も魔力のランクが下がってないんだ。自動じゃないってことだろ。おそらく基準を直す魔法でもあるんだろうな。誰かが唱えたら一気に全員のランクが下がるんじゃねぇか?」
はぁ。
そりゃそうか。
俺の魔力はSになってからも増え続けてる。
というか、人間の限界がAなら俺はとっくにSだったはずだ。
「まぁステータスの問題はそれだけじゃないけどな。」
「他にもあるの?」
「攻撃力と防御力、素早さと知力のバランスだよ。」
あぁ、それはおかしいよね。
アイアンゴーレムなんか鉄の塊なんだから、人間が基準なら当然防御力はSランクだろう。
でも俺は倒せたし、Bランクの冒険者チームでも倒せるらしい。
バランスがおかしいのも納得だ。
実感はしたことないけど、同じように素早さと知力もバランスがおかしいってことなんだろう。
「人間は生き物全体から見れば攻撃力に特化してるからな。そこのバランスが一番おかしい。今のステータスは人間同士のランク分けにしかなってないんだ。」
「あれ?待ってよ。素の人間が基準なら攻撃力や防御力も基準がおかしくない?」
「どこがだ?」
「だって裸の人間が基準なら剣を持っただけで、攻撃力なんかみんなSランクじゃなきゃおかしいでしょ?」
防御力も同じだ。
確かに脂肪や筋肉は天然の鎧になる。
でも、金属の鎧よりも強いわけがないんだ。
トマルが言うには、それについてはスキルが関係してるらしい。
『竜化』というスキルがある。
ずっと使ったままでいられるから、ステータスにも影響するスキルの一つだ。
生まれ持つスキルだから俺には使えないけど、体の表面を竜のように変化させるスキルで防御力や素早さ、爪を使った攻撃力がすごく高いんだって。
だから、ステータスはかなり『竜化』が人間の基準になってるらしい。
「『竜化』のランクはわかったけど、『物理耐性』のランクはどうなるの?」
「はぁ?『物理耐性』だと?」
『物理耐性』がどうかしたのか?
ここのギルドのスキルリストに書いてあったんだから、そこまで珍しいものじゃないんだろ?
「あれは、防御力は確かに高いが人間で持ってるやつなんていないぞ?」
「は?」
「あれはスライムとかが持ってるスキルだ。人間で持ってるやつなんて聞いたことないぞ。」
えぇ・・
スライムって防御力が強いのか?
確かに読んだ本には『弱点は炎』って書いてあったけどさ。
「・・ちなみに、『状態異常耐性』と『環境耐性』は?」
「『状態異常耐性』はゴーレムとかが持ってるな。『環境耐性』は・・ゴーストとかか?人間にはいないぞ。」
そうだったのか。
俺は魔物用のスキルを貰ったのか?
なんか嫌だな。
というか、よく考えたら何で人間をステータスの基準にするんだよ。
生き物全体とか、せめて魔物と人間を基準にすれば何の問題もないだろ。
バランスがどうこうもそうすれば解決するんじゃないのか?
それとも・・竜を基準に入れると人間はもれなくF-になるとか?
「お前・・いや、聞くまい。他に聞きたいことはあるか?」
トマルは俺の持ってるスキルに感付いたらしい。
まぁ言ってもいいけど、わざわざ言う必要もないから聞かれないなら言わない。
「あとは・・魔鉱ってどこで取れる?山脈で取れるかな?」
「さあな。取れるんじゃねぇか?魔力がかなり濃い場所ならな。」
そりゃわかんないよね。
行ったことないんだからさ。
「ちなみに魔鉱は見たことあんのか?」
「うん。持ってるからね。」
「持ってるのか?よく買えたな。」
持ってるよ。
買った訳じゃないけどね。
「見たところ装備はしてないみたいだが・・まぁ、保管には気を付けろよ。」
「保管に?」
「なんだ?知らないのか?定期的に魔力を注がないと量が減るぞ?」
なんだと!?
俺はすぐに魔鉱の胸当てを取り出すと、あちこちをチェックした。
どうやら減ってなさそうだ。
大きさや重さなんて覚えてないけど、魔鉱が縮んでたらメッキにシワが入ったり剥がれたりしてるだろう。
その形跡は無かった。
とりあえず魔力を送っておくと、かなりの量が吸われた。
危なかったかな?
「収納にしまってたなら減らないはずだが・・まさかそれ、全部魔鉱か?」
「・・そうじゃない?」
表面はメッキだから全部ではないけど、ほとんど魔鉱なんじゃないかな?
しかし、見ただけで良くわかったな。
見た目は鉄だと思うんだけど。
それにしても、収納さん。
便利過ぎですよ。
「・・まさか、お前が作ったのか?」
「は?」
変なことを聞くんだな。
俺が作ったなら子供用のサイズで作るだろ。
「いや、それだけの魔力があるなら、もしかして魔鉱を作れるんじゃないのか?」
「あぁ、そーゆーこと。やってみたけど出来なかったよ。」
俺も自分で作ってみようとしたことがある。
ルビィの街で魔力注入で稼いでいた時だ。
魔力石を自分で作れないかと手頃な石でやってみたんだけど、どんなに魔力を込めようとしても石が変化する様子は無かった。
魔鉱は遥かに珍しいし、作るにはもっと多くの魔力が必要らしい。
どうせ無理だろう。
「やったのか?素材は何で試した?」
「石だよ。魔力石を作ろうとしたけど、ダメだった。魔鉱なんてもっと無理でしょ。」
「魔力石?普通の石からか?」
「そうだけど?」
「出来るわけないだろ。あれは魔晶石っていう種類の石から作るものだ。」
「知ってるよ。その魔晶石も出来なかったってこと。」
「それは・・木から鉄を作ろうとしてるようなものだぞ?」
なんだと?
違うのか?
俺は石が魔力を吸って出来るって聞いたはずだけどな。
「魔晶石とただの石は関係ない。お前は魔鉱と同じように魔力を込めると魔晶石になると思ったようだが、それは違う。魔力で変わるならそこら中に転がってるだろ。特に山脈なんて魔晶石の塊になって色が変わってるはずだ。」
そういえばそうだな。
かなり近くに行ったけど、山脈は俺の知ってる普通の山の色をしてた。
「お前は木に魔力を込めたことがあるか?」
「あるよ。」
木刀によく込めてる。
「何も変化しなかっただろ?」
そうかな?
丈夫になってる気がする。
まぁ確かに魔木刀に変化したりはしないな。
「まぁ石のことは良いからちょっとやってみろ。」
「・・わかった。」
トマルが言うので俺は収納からバレーボールくらいの大きさの鉄を取り出すと、魔力を送ってみる。
鉄を魔力で包み込むけど、特に吸われてる感じもしないし変化は感じない。
「おい、本気でやれ。」
「・・わかったよ。」
トマルが何故かノリノリだ。
何かあるのか?
俺は魔力を更に出すと、出来る限り圧縮して鉄の中に押し込む。
調度『纏い』で自分の細胞を一つ一つ包み込むように、鉄の分子一つ一つに魔力を送り込むイメージだ。
「それが本気か?」
何で煽るわけ?
しょうがないので変幻魔法を建物にかけた。
外で騒ぎになるのは困る。
「いくよ。」
俺は全開で魔力を送る。
魔力の圧縮は出す前から鉄に入り込むまでに行う。
俺から出た大量の魔力が漏斗の底に吸い込まれるように鉄に消えていく。
こんなに送り込んで爆発とかしないだろうな。
俺は知らんぞ。
魔力石やただの石と違って、鉄は際限なく魔力を吸収していく。
もう俺の魔力の半分以上を送り込んだ。
鉄の見た目に変化は見られない。
そのまま続けて魔力量が残り1割を切ったところで魔力注入をやめた。
「何も変わらないね。」
「そ、そうだな・・」
トマルは額に汗をかいている。
俺の魔力にビビったかな?
全力を出せと言われたから出したまでだ。
トマルは鉄に触れて何かを確認しているようだ。
よく見てみると魔力を送っている。
なるほど。
魔鉱になってたら魔力を吸うからそれで確かめられるわけか。
「これは魔鉱を含んだ鉄か?」
「まさか。ただのアイアンゴーレムの残骸だよ。」
たぶん腕の辺りだ。
「じゃあ変わってるな。少しだが、魔力に反応するぞ。」
「ホントに?」
俺が聞くとトマルは俺に鉄の塊を渡してきた。
自分で試せってことか。
俺は鉄を魔力で包んでみる。
すると、ほんの少しだけ魔力が吸われてる感覚があった。
だけど、言われなければ気付かないくらいほんの少しだ。
何かの間違いじゃないのか?
「疑わしそうな顔だな。言っとくが、普通は鉄に何をしても魔力は吸わないぞ?」
「何をしても?ってことは魔力を送っても?」
「そうだな。もっとも、かつてこんなに大量の魔力を送ったやつはいないだろう。お陰で今まで誰もたどり着けなかった結果が出た。」
トマル・・魔力を送れば魔鉱になるみたいなことを言ったのはただの予想だったのか?
なんじゃそりゃ。
俺は担がれたのか。
「魔鉱を作ろうとしたのはお前だけじゃない。まぁこんな魔力を持ってるやつなんていないから、成功したやつもいないが。沢山の研究者がいる。お前が最初の成功者だ。」
なんか、してやられた気がする。
きっとトマルも研究者の一人なんだろう。
見かけに変化はないけど、少しだけ声が興奮しているみたいだ。
「しかし、どれだけ魔力を使ったんだ?」
そりゃあれだけ出せばわからなくもなるか。
普通は魔法として使うし、大量の魔力を見る、というか感じる機会はないだろう。
「最初に鉄の中に押し込んだ分の魔力で魔法でいうレベル7くらいかな。」
「なんだと!?そんなにか!その後入った分も入れたら・・その100倍なんて量じゃなかったぞ。すごいな。俺達がいくらやっても作れない訳だ。」
魔力量だけじゃなくて高度な『纏い』が使えないと無理だと思う。
ダイヤを作るのに熱と圧力が必要なのと同じかな?
よく知らないけどね。
せっかく教えて貰ったので、トマルにそれを説明してあげた。
ちなみに、俺はずっと集めた魔力の甚蔵さんを鉄に送り込んでいる。
全く変化はないけどね。
俺が送り込んだ魔力に比べればまだ少ない。
これは魔力を集める練習にもなる。
自分の魔力を回復させるのも早くなりそうだし、消費するのはこれからは鉄に使うことになるな。
そういえばレベル10の魔法を出しっぱなしにしたいっていう俺の希望が叶ったよ。
良かった良かった。
魔鉱は鉄と混ぜても効果が高いので剣や鎧の芯に使われることも多いらしい。
魔力を流しながら使い込んで時間がたつと、全体に馴染んで素晴らしく良い武具になるんだって。
ちなみに、魔力を込めないと魔鉱が減るっていうのはちょっと表現が間違ってる。
魔鉱は魔力を与えないで放置すると普通の鉄に戻っちゃうんだ。
つまり、魔力を込めないと武器や防具の魔鉱の『割合が減る』っていうのが正しい表現だ。
さすがトマル。
研究してるだけあって詳しいね。
トマル曰く、魔鉱はちゃんと魔力を注いでも徐々に減ってくものらしいけど、それって注ぐ魔力が足りないんじゃないの?
さっきも胸当てにかなりの量を吸われたし、魔力を注いでも減っていくならどうやって自然界で魔鉱が出来るんだよ。
減るのは魔力の薄い所に置いてあるからじゃないのか?
さっき魔力を込めた胸当ての魔鉱は色が薄い金色になっている。
見えてる部分が一部なので分かりにくいけど、魔力を込めた時に色が変わったのが見えた。
普通、魔鉱は込められた魔力の量によって色が変わるらしいけど、トマルは金色の魔鉱は見たことがないらしい。
魔力が多い順に赤、紫、青、白で、白になると魔鉱が鉄に戻っていくんだって。
俺が最初に見た時は薄い紫だったから、赤の上に金色があったんだね。
さらに魔力を込めたら鉄に近い色まで変わった。
銀とか、プラチナっぽい色かな?
鉄とは少し違うけど、これで金色の鎧は着なくて良さそうだ。
全身金色とか勘弁して欲しい。
街中でたまに色のついた鎧を着てる冒険者がいるんだけど、あれは魔鉱の色を真似てたんだね。
てっきりお洒落かと思ってたよ。
良いことを教えてくれたので今日使った鉄の塊をトマルに上げることにした。
甚蔵さんのお陰で少しは魔鉱としての効果があるだろう。
そもそも鉄だって高級品だ。
ほんの少しでも魔鉱が入ってたら家宝になる。
要らないと言われたけど、お礼だと言って置いてきた。
双子狼によろしくと言っておいたので俺が無事なことは伝えてくれるだろう。
今日からは魔力消費が楽になるなぁ。
ホントに来て良かったよ。




