表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/81

飛行様々

 起きたらもう昼だった。

 朝ご飯は食べ損ねたみたいだ。

 まぁ屋台で済ませるから別に・・あぁ、しまった。

 この宿のご飯は美味しいんだった。

 残念。


 俺はご飯を屋台で済ませると、昨日と同じく戦利品を売るために店を回った。

 やっぱり王都はカーク襲撃の話題で大盛り上がりだった。

 二日連続で事件が起こったせいで、次はどこだって予想を言い合う人達が沢山いた。

 次の予定はないんだけどね。


 それと、防具屋で俺が着れそうな鎧を探したけど、やっぱりありそうになかった。

 普通は子供が鎧なんて着ないからね。

 ましてや俺が探してるのは、この世界では高価な金属製の鎧だ。

 そうそう売ってないでしょ。


 仕方がないので特注で作ってもらうことにした。

「見た目や防御力はどうでもいいから動き安さを重視しつつ重くするために装甲は厚めで」

 という意味のわからない注文に店主は首を傾げていた。

「お金も鉄も沢山持ってるから、ふんだんに使ってもらって良い。」

 と良いものをお願いしといたよ。


 ついでに魔鉱や魔獣系の素材が売ってないか聞いてみたけど、やっぱり売ってないって。

 今は売ってるところもたぶんないらしいから、お金があれば買えるものでもないみたいだ。

 そういえば魔獣には会ったことがない。

 かなり珍しいのかもしれないね。

 それを戦わない貴族が使うのは勿体ない気がする。


 魔獣系の素材はもちろん、魔鉱なんて胸当てだけでも物凄い防御力だった。

 普通の鉄製の鎧とは比べ物にならないだろう。

 それに、なんといっても魔法や魔力を防げるのはかなり大きい。

 桁違いに高いのも納得だ。


 今回手に入れた魔獣の革は、残念ながら鎧等にするには向かないらしい。

 柔らかすぎるんだってさ。

 その代わりローブを作るのには向いてるらしいけど、もう服にしてあるしそこまで大きな生地は取れない。

 ツギハギはカッコ悪いし耐久性も落ちるから、結局服として使うしかないみたいだ。

 まぁ鎧の下に着る鎧下着としては最高級品らしい。

 でも、革も布も今の俺のサイズで服を作ったら来年には使えなくなりそうだし、勿体ないから取っておくことにした。



 戦利品を売り終わった俺は南の街道に転移した。

 少しだけでもトレーニングがてら進んでおくつもりなんだ。

 ライアンとルークはかなり先行してるから、俺も頑張って進まないとね。


 久々にダッシュしたけど、体は鈍ってなかった。

 むしろちょっと早くなった気がする。

 鉄を持ってスクワットとかやってたから、その効果が出たのかな?

 それなら有り難いね。

 しばらくはこの調子で頑張ろうと思う。



 次の日からは街道を突き進んだ。

 変幻魔法を使って商隊とすれ違ってみたら全く気にされなかったので、こちらも気にしないことにした。

 そのお陰で徒歩にしてはペースがかなり早くなった。


 5日が経ったところで全身の鎧が出来上がった。

 よくわからないけど、急いでくれたみたいだ。

 金に糸目を付けなかったのが効いたのかもしれない。


 次の日からは鎧を着て走ってみた。

 やっぱりメチャクチャ遅くなる。

 スタミナの減りもかなりのものだ。

 サイズは少しずつ余裕を持って作っているので、少しくらいなら体が大きくなってもこのまま使えそうだ。

 とても良い仕事をしてくれた。

 これでトレーニングが捗るぞ。


 と、思ったんだけど、鎧を着てるとなかなか先に進めない。

 動きにくいし、鎧が重すぎるんだよ。

 スタミナがすぐに無くなっちゃうからね。

 途中で遭遇する魔物から逃げるのも一苦労だったし。


 ライアン達との集合場所は東の国の首都だ。

 しかもこっちは山脈を遠回りして進むルートを選んだ。

 つまり、俺はライアン達の2倍以上進まなくちゃいけないんだよ。

 のんびり進んでる余裕はないんだ。


 仕方がないので進み方をちょっと変えることにした。

 ダッシュで疲れたら歩いていたけど、休憩は歩きじゃなくて『飛行』を使って空中ですることにしたんだ。

 このお陰で進むペースは格段に早くなった。

『飛行』が早いし歩くよりもずっと楽だからね。

 これで『飛行』の練習にもなるし、かなり効率が良い旅になりそうだ。



 そのまま南に進み続けたら山脈が見えてきた。

『飛行』で空を進んでると山の大きさがよくわかる。

 かなりの速度で進んでるのに山が近付く実感がわかないんだよ。

 何メートルくらいあるんだろう。

 エベレストより高いのかな?

 山の高さとか測る技術はこの世界にはないだろうし、わかんないだろうね。


 山脈の手前は深い森になっていた。

 俺が進んでた街道は途中から東の方に流れていったので、ダッシュは諦めて森を『飛行』で飛び越えることにした。

 これだけ深い森なら魔獣とかもいそうだ。

 ハンターになったら来るのも良いかもしれないね。


 森の上をかなり進んだら、いつの間にかもう登りに差し掛かっていた。

 右側には海の気配はない。

 もしかしたら山脈の真ん中にぶち当たってしまったのかもしれない。

 というか、山ってどこからだろう?

 竜は見当たらないけど、巣はまだ先の方なのかな?


 さて、どうするか。

 俺は今のところ、竜と戦うつもりはない。

 素材的にはかなり貴重でお金にもなるから、危なっかしいことがないなら興味はあるんだけどね。

 でも、戦うつもりがないなら逃げながら山脈を越えられないかな?

 なんなら『飛行』で通り過ぎるだけでも良いんだよね。


 見えてきてからたどり着くまでに何日もかかるようなデカい山脈を回り込んでたら、それこそどれだけの日数がかかるかわからない。

 突き抜けるのだって結構かかりそうだ。

 どうしたもんかな。


 ライアンとルークは今どの当たりを進んでるんだろう?

 さすがにこれだけ離れると遠隔通話も通じない。

 実験もかねてライアン達が出発した後で何回か話しかけてみたんだけど、おそらく馬車で4日くらいの距離が限界なんじゃないかな?

 直線距離がどれくらいなのかは分からないけどね。


 とりあえず、ライアン達がどれくらい進んでるか分からないから、一度合流してみた方が良いかもしれない。

 どうせあちらにも進む必要はあるんだし、あっちの進み具合を見てこちらの進路を決めればいいよね。


 ということで、さっそく王都の東に転移してさらに東を目指す。

 せっかく街道があるのでダッシュも挟みつつ、『飛行』でライアン達を追いかける。


 ライアン達が王都を出発してからもう20日以上経っている。

 追い付くのは大変だろうと思っていたんだけど、なんと4日で追い付いた。

『飛行』って凄い。


 というよりも、馬車が遅いのだ。

 歩きよりは早いし、荷物も運べるし、人数が多いから安全だ。

 それでもこの世界では魔物がいるので、夜は軍隊でもなければ動けない。

 いや、軍隊だって動かないだろう。

 それに昼間も魔物が出る度に戦闘で馬車は止まることになる。

 俺みたいにダッシュや『飛行』で逃げる訳にはいかないからね。

 お陰で実際の速度程には距離が稼げないのだ。


 俺は『飛行』で飛んでる間に感知魔法等でライアンを探した。

 でも、結局見付けたのは遠隔通話のお陰だった。

 途中で遠隔通話が繋がって、聞こえてくる声の方に行ったらいたのだ。

 感知魔法よりも広範囲に使えるとは・・遠隔通話は思ったよりも便利な魔法かもしれない。



「どうした?まさかもう海を越えたのか?」

「まだだよ。南に行ったら山脈に当たっちゃってさ。海まで回り込むか山を越えるか悩んだから、こっちはどの辺まで進んだかと思ってね。」

「なるほどな。流石にまだ早すぎるか。」


 ライアン達は馬車の乗り換えで中継となっている街にいた。

 予定では明日にはまた馬車に揺られることになるらしい。


「こっちはまだ遠いな。イゴイスにも入ってないんだ。まだまだ半分も来てないぞ?」

「なんか遅くない?」

「これでも順調なんだよ。ロイと一緒にするな。」


 毎日馬車に揺られてるせいでライアンも疲れてるみたいだ。

 いつもより元気がない。

 それでも明日の馬車に乗らないと、次がいつかもわからないらしい。

 大変だね。


「馬車を買っちゃえば?お金ならいっぱいあるよ?」

「バカ言え。二人で馬車の世話なんか出来ねぇよ。途中ではまったり壊れたりしたらどうすんだ。魔物だって出るんだぞ。」

 なるほど。

 そういえば最初にカークに会った時も馬車が故障してたな。

 兵士が二人いたけど、直せそうになかった。

 乗り合い馬車を使うのはそんな理由もあったのか。



 ライアン達はまだまだイゴイスにすら着かないらしい。

 俺ほどではないけど、この後大きな山越えとかもあって進むペースはもっと遅くなるんだって。


 俺が予想してたよりも遥かに進むスピードが遅いみたいだ。

 王都から東に伸びる街道がかなり荒れてるってのもあるんだろうね。


 この後、ライアン達と分かれた俺は『飛行』で飛びながら土魔法で街道を軽く整備して東に進んだ。

 これで少しはライアン達も楽になるだろう。

 少しの間だけなんだけどね。


 夜になってから王都の宿に戻って今後の方針を考える。

 あれだけ進むのが遅いなら、たぶん山脈を回り込めるだけの時間はある。


 でも、逆に山越えに挑戦してみるだけの時間もある。


 やってみようかな?

 せっかく時間があるなら竜と戦って見るのも良いかもしれない。

 ちょっと自分の実力を試してみるか?


 でも、怖いよねぇ。

 どうしよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ