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始まるよ!

この世界にきて6ヶ月がたった。


魔力量はもうかなりのものだと思う。

毎日魔力の使い道に困るので色々試した結果、俺の元々の魔力そのものを圧縮出来ることがわかった。

最初は苦労したけど、慣れれば意識せずに圧縮したままでいられる。

魔力を出す時点でもう圧縮済みなので、やる気になれば大量の魔力を一気に使える上にスピードアップにも貢献している。

で、魔力を使いきるために窓際で読書をしながら空に向かって魔力のビームを打ちっぱなしにしたりしている。

これがなかなか難しい。

最初は読書どころじゃなかった。

限界まで圧縮した魔力を、出来るだけ遠くまで散らさずに均等に飛ばし続ける。

もう波打つし簡単に散っちゃうし散々だったけど、やっと読書もそれなりに進むようになってきた。

もちろんその他の魔力操作も進んでいる。

魔力球はとりあえず5メートルくらいの範囲なら自由に動かせるようになってきた。

放った魔力球の操作もこの5メートルの範囲内ならできる。

魔力には質量がないからか、ちゃんとコントロールすればピタッと止めたりクネクネ曲げたり出来る。

魔力球も球体ではなく矢のように尖らせることも出来るようになってきた。

まぁこれは魔力のビームを断続的に飛ばすだけなんだけど、そのうち先をしっかり尖らせてみせる。


スピードもかなり上がった。

たぶん弓矢くらいの速度は出てると思う。

弓矢の速度とか知らないけどね。

操ってた魔力球が気がついたら5メートルの範囲から出てたりするから危ない。

まぁ良い練習になるからやってるけどさ。


ウサギ狩りの経験から魔力球が複数出せないか試してみたんだけど、これが一番難しい。

出せるには出せるんだけど、両方すぐに散っちゃうか、片方がいつの間にか消滅してる。

でもやっと徐々に形になってきた。

これが出来るようになったら、かなりの武器になりそうな気がする。

今後はこれを中心に練習すべきかな?


体力もついてきた。

魔力操作しながらランニングも孤児院の敷地内でしてるから足腰も鍛えられて一石二鳥。

しかし、4才児が木刀を振ってる姿ってどうなんだろう?

先生は不思議そうな顔で俺のことをみてるけど、文句は言われないから稽古に混ぜてもらってる。



今ならウサギは狩れる。

たぶんそこまで苦労はしないと思う。

まぁ元々騙し討ちするならいくらでも狩れたと思うし。

でもメリンダに言われて狼くらいは倒せないとダメだと感じたから、まだ森には行かない。

冒険するにはまだ速い。




さらに一年がたった。

こちらに来てからやっと一年半だ。

俺は5才になった。


「もうロイも5才ね。」


突然そんなことを言われたので


「え?そうなの?僕の誕生日っていつ?」


と聞いたらメリンダがちょっと悲しそうな顔をしてしまった。

孤児だからね!

目安だよね!


メリンダに頼んで誕生日を7月11日にしてもらった。

日本にいたころの誕生日だ。

正直これくらいしか自分のことを覚えていない。

何年生まれとかも覚えてない。

まぁやってたスポーツとかバイトしてた店とかは何となく覚えてるんだけどね。

記憶の偏り方が意味わからんね。



こちらでは誕生日を毎年祝う習慣はないらしい。

孤児院だからじゃないよ!

貴族や王族だって5、10、15才しか祝わないって言うんだから。

一般市民も15才だけは祝うらしいけどね。

成人式ってやつです。


孤児院でも15才になるとお祝いをする。

まぁ実際は送別会だ。

成人したら孤児院は出なくちゃならない決まりだからね。

一般的に孤児は孤児院を出ると結構な割合で兵士に志願するらしい。

衣食住が保証されてるからね。

でも、この孤児院は先生の教育のお陰で就職先に恵まれてる。

この世界で読み書きや計算が出来て、ある程度丁寧な言葉を喋れれば職場には困らない。

まぁ自ら進んで兵士になる卒業生も結構いるらしいけどね。

そうゆう子供は孤児院で先生から剣を習っている子供ばっかりだ。

軍からしても剣の腕に覚えのある新兵は大歓迎だ。

しかも読み書きが出来るから幹部候補にだってなれるかもしれないらしい。


このように、先生のお陰で将来は安泰だ。

先生。

あんたすげぇよ!


で、俺も先生の授業にも何度か出てみたけど、算数とか今さら教わってもね。

文字は毎日少しずつでも読書してるお陰でもう完璧!ではないけど、読めない言葉はかなり減った。

お陰でボキャブラリーも豊富になった。

それと、見た目の関係で自分のことは僕って呼ぶことにしたけど、最近やっと慣れてきた。


授業は強制ではないので、たまに参加してはいる。



さて、毎日コツコツ自分を鍛えていた俺・・僕だが、目安が無いためにいつ動き出せばいいのかわからなくなっていた。

とりあえずの最低ラインを『狼に勝てるくらい』と設定したものの


「狼って普通は複数で出てくるんじゃね?」

とか

「そもそも狼ってどれくらい強いの?」

とか、

目標を若干見失っていた。


それでも訓練は続けていたので、最初に森に入った時よりは大分ましになったはずだ。


そして今、俺には動く理由がある!


その理由とは最初に森に入った時と一緒。

食糧の調達だ。

だが今回はみんなを喜ばせたいから、なんて緩い理由ではない。

みんなの命がかかっている!

秋の収穫時期を前に孤児院の畑が獣に荒らされてしまったのだ。

冬を越えるための備蓄が蓄えられなかったらどうなるか?

去年は比較的豊作だったが、それでも冬越えではみんなでひもじい想いをした。

今年はそれではすまない!

もしかしたら餓死者が出るかも知れない!


ということで皆のため、俺は森に行くことにしたのだ!



まぁ、実際は卒業生や付き合いのあるお店、それに街の人から寄付まで集まって結構な蓄えが出来ている。

去年よりは少ないが、餓死者は出ないだろう。


俺が冬が明けるまで我慢出来なかっただけである。

謹慎も一年半もやれば十分だろう。

これ以上やるなら監禁罪で訴えてやる。

どうせ冬は雪も積もるし寒くて外には出れない。

今が最後のチャンスなのだ。



大事なことを聞き忘れていたことを思い出し、メリンダではなく先生に聞きに来た。


「先生!狼って食べられる?」


先生は突然の質問にきょとんとしている。

何かレアな顔が見れたかも。


「一応は食べられますけど・・」


「そっか、ありがとう!」


これで必要な情報は手に入れた。

あとは狩りまくるだけだ。


「狩りまくるぞー!」


早速裏庭から森に出る。


気分はウキウキでピクニック気分だ。


「とりあえずウサギかな?」


まずは基本から、というかウサギ以外はどこにいるのか、何を狩ればいいのかさっぱりわからない。

ということで、前にウサギを見つけたポイントに行ってみる。



「うわ、いたよ。ポップしてるわけじゃないよな?

無限に湧くならそれでもいいけどさ。」


早速見付けたので気合いを入れてウサギの方に歩いて行くが、ウサギはこちらに気が付くとすぐに逃げてしまった。


む、勘が良いな。


しかし、その後もウサギは近付くと逃げてしまう。


「何でだ?ウサギを狩り過ぎ?

なわけないだろうし、もしかして俺の魔力のせいか?」


前回の狩りと変わったのは体の大きさを除けば魔力量くらいだ。

試しに次のウサギを見付けた時に近付かずに立ち止まったまま、自分の中の圧縮している魔力を少し解放してみた。


「うわっ。すげぇ勢いで逃げていくな。」


なるほど。

魔力がデカ過ぎるらしい。

そこで無意識に少し圧縮していた魔力の濃度を弄ってみると、出来るだけ小さく圧縮してウサギに近付いて見たときには逃げないことがわかった。

魔力球だと圧縮すると逃げるくせに、意味わからん。

とりあえず、このままの圧縮した魔力では強すぎると思ったので、十分近付いたところで集めた魔力をウサギに打ち込む。


「あっちょっと強すぎたか?」


かなり上手くいった。

成功と言って良いだろう。

狩れることがわかれば次の獲物を探すだけだ。

ありがたいことにこの森にはウサギがいっぱいいるみたいだし。


「ウサギは昔の日本でも害獣扱いだったらしいし、いっぱい狩っても問題ないだろ。」


ということでコツも掴んだことだし、次々と仕留めていくことにした。


「もう持てないな。」


いくら鍛えていても両手に2羽ずつ持ったら限界だ。

というか両手に2羽ずつ持てるのが凄いと思う。

俺、5才だぞ?


「先生の剣術を見てても思ったけど、この世界の人間の体って性能良いよな~。

トレーニングしたらすぐ強くなるし。」


さて、一度孤児院に戻るべきだろう。


ウサギを引きずりながら孤児院に戻ると、ウサギを裏庭に置いて先生のところに向かった。

メリンダに言っても怒られるのは分かりきってるし、どうせ獲物を捌くのは先生だ。




「これは・・」


裏庭に並べられたウサギを見て先生が絶句している。


「先生、これ保存食に出来る?」


「出来ますが・・これは、ロイが?」


「うん。捕まえた。」


先生は驚いてウサギと俺を見比べている。


「ロイ。このウサギは後で捌きます。まずはウサギを狩るところを見せてくれますか?」


おぉ!怒られなかった!

一緒に来てくれるなら荷物持ちが増えて好都合だ。


「うん!いいよ!」


一度部屋に戻った先生は剣を持っていた。

稽古で使う木刀ではなく、真剣だ。


「護身用ですよ。」


先生は驚いている俺を安心させるように頭を撫でてくれた。

先生と一緒に俺の案内で柵の板を外して森に出ると、今度は先生が驚く番だ。


「これは・・直さなくちゃいけませんねぇ。」


そりゃそうなるよな。

まぁ他にも何ヵ所かあるからいいけどさ。


早速森に入り、俺は魔力を圧縮してからウサギに近付くが、俺の側にいる先生の魔力に反応してウサギに逃げられてしまった。


「先生は離れてて。」


「あぁ・・はい。」


なんか先生が驚いているけど、先生が離れればこっちのもんだ。

サクサクとウサギを狩っていく。

さっきと同じ4羽狩ったところで先生に止められた。


「ロイ。それは誰に教わったんですか?」


「え?・・誰にも?」


「自分で考えたと?」


「うん。魔法が使いたくて。」


俺の言葉を聞いて「魔法・・」と呟いた先生は側の木を見た。


「これは出来ますか?」


そう言うと先生の右手に魔力が集まっていく。

その右手を振ると木の枝がポトリと落ちた。


えぇ~何それ?

この人ただ者ではないとは思ってたけど、素手で木を切ったよ!


「・・出来ません。」


「きっと出来ますよ。やってみて下さい。」


なかなか無茶を言う・・

出来ねぇっつうの・・


「魔力を手に纏うんですよ。」


纏うねぇ・・

まぁやっては見るけどさ。


言われた通りに右腕に魔力を集める。

うーん、こうじゃないんだよなぁ。

これじゃ魔力で手を包んでるだけだ。

まさかこれだけじゃないだろう。


うーん・・筋肉って魔力で強化出来るのかな?

やってみるか。


まずはイメージだ。

魔力が右腕に染みていく。

細胞の一つ一つを魔力で包んで保護する。

さらに細胞の中にも染みて、細胞が元気になる。


こんなイメージでいいのかな?

う~、全然出来てない気がする。

まぁ出来ないって言ったし。

失敗しても怒られないだろ。


目の前にある木に向かって拳を突き出す。

思ってたよりも遥かに速い拳に驚いたのは、その直後の衝撃によって塗り替えられた。

自分の胴体よりも太い木が殴った場所でへし折れたのだ。

いや、折ったの俺だけどさ。


「先生!何ですかこれ!?すごいですね!」


先生は何故か顔がひきつっている。


「・・すごい、ですね・・何でしょうか?・・これは・・」


一番驚いてるのが先生だった。


「今、何をしたんですか?」


いや、あんたがやれって言ったんだからな!


あれ?

もしかして殴っちゃダメだったのか?

そーゆー問題?



どうやら先生がやったのは手を魔力で包んだだけだったらしい。


はい。

出来ました。

『切る!』というイメージが大事って言われたけど、よくわかんなかったから魔力操作で魔力を尖らせた。

教わって、『こうかな?』ってやったらすぐ出来たよ。

便利だなこれ。


というか、先生は素手でも普通に枝を切れるらしい。

魔力で切れ味を上げてるだけなんだって。

意味わからん。


逆に俺がやったのは先生には出来なかった。

皮膚に魔力が弾かれるから、普通は出来ないって言われた。

確かに俺も最初は弾かれたな。

体から出した魔力が皮膚に弾かれる・・何でだろうね?

意味はわからないけど、出来ないのは魔力操作が甘いんじゃないか?




先生って元冒険者だよな?

ロイの記憶があるから今まで親戚のおじさん的な印象だったし、孤児院でも剣しか教えてなかったけど、もしかして、というか


「先生って魔法使える?」


「使えますが・・」


だよね。

だと思ってました。


「教えて下さい!」


「・・ふむ・・ロイ、それには条件があります。

私がこの間渡した本は読んでますか?」


あぁあの分厚い本ね。

俺が先生の授業に出ないから宿題とばかりに渡してきたのだ。

特に魔法とは関係なかったと思うけど、あれがどうかしたのだろうか?


「もう読みましたけど?」


「もう?・・まぁ・・いいでしょう。魔法の勉強は座学がほぼ全てです。冬の間は時間が作れますからその時にでも教えましょう。」


おぉ!いつもの『まだ早い』じゃないのか!

座学が全てって、なんか俺が思ってるのと違うんだけど、まぁ教えてくれるなら文句はない!

これで俺も念願の魔法使いに!・・いやなんかこの呼び名は語弊がある気がする。

えーと、魔術師でいいか。

そう!俺も念願の魔術師になれる!



「さて、久々に森に来たことですし、柵を直す前にもう少し狩りましょうか。肉は孤児院の倉庫にも今はないですし。」



最初は先生と一緒に行動していたが、俺の実力をみて護衛は必要ないと判断してくれた。

途中からライアンを呼んできて俺が狩りを、ライアンが孤児院前に運び、先生が捌くという役割で動いた。

ライアンは最初、俺の護衛だと思ったらしく、先生に剣を借りようとしたが、先生に剣は邪魔だから必要ないと言われて驚いていた。

それでも心配だったのか木刀は腰に差してあるけどね。


俺にもさっき説明してくれたけど、街を囲む柵には魔物避けの魔法がかかっている。

その魔法は魔物が嫌がる気配を出すらしく、ある程度広範囲に効くらしい。

そのお陰で森の中でも街の近くなら魔物や魔獣がいる心配はあまりないそうだ。

それでも普通の動物ならいるし、子供達には言うと遊びに出てしまって危ないので黙っているんだって。

その説明を受けてライアンは呆れたようだったが、先生の話を疑うことはなく、せっせと獲物を運んでくれた。



「おい、こりゃなんだ?」


そのライアンが獲物を運ぶ手を止めて俺に質問をしてきた。


「熊だと思うけど?」


ライアンは馬鹿だなぁ。

そんなことも知らないのか。


「そんなことはわかってる。これはどうしたんだ?」

「捕まえた。」


やっぱり知ってるよね。

なんでもなさそうに言う俺をライアンは呆れた顔で見ている。

実際はなんでもない顔を作ってるだけなんだけどね。


だって熊だよ?

ウサギを探してたらいきなり熊が目の前に現れたのだ。

もう死んだかと思ったよ。

ビックリして魔力球を全力で打ち込んだのに起き上がって来るしさ。

結局魔力球を乱れ打って仕留めたけどね?

ずっとスピード重視で練習してたからか、俺の魔力球ってパワーが足りないんだよね。

まぁ魔力球をデカくすればいいだけだと思うけど、その・・焦ってたからさ・・。



ビ、、ビビってねぇし!



「さっき猪がいたのもおかしいと思ったけどさ、なんでウサギ捕り名人が熊を倒せるんだ?おかしくないか?」


おかしいのはお前だろ!誰がウサギ捕り名人だ!

そもそもこの森がおかしいんだよ!

なんでこんなにウサギがいるんだ?

普通ある程度増えたら天敵とかに食べられるもんだろ?

熊とかは天敵とは違うのか?



「こりゃ一人じゃ運べないぞ。」


しょうがないので手伝うことにした。

さっき先生に習った技を応用して、試しに全身に魔力を纏ってみたら熊を引きずったまま楽に進めた。

ライアンが持てない分のウサギは熊の腹の上に乗せてある。

台車代わりだ。


柵が見えると、柵の手前で獲物を捌くのをメリンダが手伝っていた。

獲物が大量なので、柵の外で捌いているのだ。

あんまり中でやると孤児院に臭いがついちゃうからね。


熊を引きずる俺をみてメリンダが目を見開いている。

そりゃ驚くよね。

熊を引きずる5才児。

うん。

十分異常だ。

あれ?先生も驚いているようだ。


「熊、ですか。歩いて行ける場所にはいないと思ってましたが・・」


「そこですか!?ロイが熊を引っ張って歩いてるんですよ!?ロイ!?怪我はないの!?」


あら・・なんだかメリンダが怖い。

ここは先生に任せよう。


「先生が教えた技・・では難しいですね。木を倒した方の技で倒したんですか?」


「いえ・・ウサギと同じやつです。」


俺に怪我がないか調べているメリンダを無視して答える。

先生、俺に話をふらないでくれ・・


「それはすごい。メリンダ。大丈夫ですよ。ロイには『纏い』を教えてありますから。」


『纏い』とはさっき先生がやった、魔力を手に纏う技の名前だそうだ。


「あれは防御力もかなり上がりますからね。熊くらいなら・・」


「防御力も?そうなんですか?」


思わず声が出てしまった。

そんなこと聞いてないぞ。

攻撃用の技じゃなかったのか?


「先生?」


おぅ・・メリンダがゆらゆら揺れている。

先生は気にしてないみたいだ。


「あれ?まぁ、必要なかったようですね。よかったよかった。」

「よくありません!ロイが死んじゃったらどうするんですか!」

「おい、俺は?」


ライアンはこの際みんなで無視である。

メリンダが怒ってるよ~

怖いよ~


メリンダが本気で怒っているのを感じたのか、先生はやっとメリンダの方を向いた。


「メリンダ、私がロイにとって危険なことを許可するわけがないでしょう?」


キリッとした先生の言葉を聞いてフッとメリンダの熱が冷めたのがわかった。


「まぁ、そうですね。」

「それでは問題は?」

「ありません。」


おーい!

それでいいのか?

いいならいいけど、先生の信頼って凄いな。

催眠術でもかけてるんじゃないだろうな・・



「それにしても大漁ですね。これでは多すぎます。

ライアン。裏庭に台車を持ってきて下さい。血抜きが済んだものから売ってしまいましょう。」


ライアンは頷くと柵を潜っていく。


「ロイは疲れたでしょう。もう休みなさい。」


全然疲れてないけど、獲物の解体は見ていたい作業でもない。

しかし時間が中途半端なんだよな。


「売るならもっと捕ってきちゃダメですか?」


「狩れるだけ狩ってしまっては自然のバランスが崩れるだけです。まぁ狩りをするのが今日だけならいいんですけどね。」


と言いながら俺に微笑んだ。

つまり、今後も狩りをしていいと!


「休みます!」


俺は孤児院に戻ると魔力操作の練習をして夕食までの時間を過ごした。

色々試したいこともあるしね。



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