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まだまだちっちゃいからね

 次の日からライアンとルークは旅のルートを決めるための情報収集を始めた。

 しかし、街道の情報は戦争でも使えるため、他国であるこちら側ではなかなか集まらない。

 そもそも大陸の地図も大体の物しかないし、自国の街道の情報でさえ集めようと思っても遠くとなるとなかなか集まるものでもないのだ。


 大した成果もなく、情報を集めだしてからもう3日が過ぎていた。

 王都が広いので聞いて回るにしてもすごく時間がかかる。

 今日もまた、報告を聞く限りは情報は思うように集まっていない。


「そろそろ諦めて進んだ方がいいんじゃないか?」

「国境まで距離があるし、調べるのも限界かもね。普通は知らない場所に行く時は乗り合い馬車でルートも任せちゃうんでしょ?」

「そうだな。私も通る道を気にしたことはない。」


 それじゃあ街道の情報なんて集まらないだろう。

 もう合流場所を決めて進んでもらうか?

 街道は無理でも街の情報ならそこそこ集まってるはずだから、何とかなるんじゃないかな?

「じゃあさ、もう・・」


 トントン


 俺が二人に出発を促そうとした時、部屋の扉がノックされた。

 顔を見せた宿のスタッフは来客を告げてすぐに下がっていった。


 どうやら客が来ると、スタッフが部屋まで知らせに来てくれるらしい。

 さすがだ。

 実は王都に来て2日目に宿を変えて、ランクを一段階上げたんだよ。

 前の宿は風呂が汚かったからね。

 チャックの宿は風呂がほぼ新品だったので比べようもない。

 まぁ目的地がある王都の東側に宿を変えたってのも理由の1つだ。

 お金はいっぱいある。

 というよりもドンドン増えていくから予算なんて気にすることはない。

 一番高い宿にしなかったのは、高すぎても居心地が悪そうだと思ったからだ。


「客って誰だろ?」

「まともな客じゃないのは確かだな。」

「そうだね。」

 ライアンも気が付いたらしい。

 来客を告げにきたスタッフの顔は緊張していた。

 喜ばれるような客じゃないんだろう。

 そもそも訪ねられて嬉しい相手が思い付かないけどね。


「しかし、行かない訳にもいくまい。」

「まぁね。じゃあ二人はどうする?」

「付いていこう。私達は護衛なのだろう?」

ルークはどうやら客がカーク関係だと思っているようだ。

 ルークの言葉にライアンも苦笑いをしながら頷いている。


「じゃあ対応は俺がするからね。」

 と言って俺達は部屋を出た。


 宿の一階に降りると、そこには3人の兵士らしき男達が俺達を待っていた。

 やっぱり嬉しい来客じゃなさそうだ。


 とりあえず俺は、一番先頭にいる兵士に話しかける。

「僕に何か用ですか?」

「子供に用はない。」

 あら?

 人違いかな?


「最近街道について詳しく聞いて回る怪しい二人組がいると通報があった。お前達だろう。」

 と言って兵士がライアンとルークを見る。

 どうやらカークのことじゃないらしい。

 スパイか何かだと思われたか?


「二人は僕の護衛ですよ。旅の予定を組むために色々調べて貰ってたんです。」

「ガキは黙ってろ!」

 後ろにいた兵士が俺に向かって吠えた。

 その時、先頭の兵士がビクッと反応し俺を窺うように見たのを、俺は見逃さなかった。

 何だよ。

 やっぱりカークか。


「あなたは王都の兵士ですか?」

「・・そうだ。」

 言い切ったけど、後ろの兵士の目が泳いでますよ。


「じゃあ証明するものを出してください。」

「き、貴様!何様だ!」

 再び後ろの兵士が吠えてるけど、その言葉はそのままお返ししたい。


 もういいや。

 こーゆー輩は嫌いだ。

 それに、このまま話してたらお風呂が冷める。

「すみませんが、この命令を出した方に伝言をお願い出来ますか?」

 俺は先頭の兵士をまっすぐに見る。

「・・何だ?」

 命令で来たことは否定しないらしい。


「では、用があるならお前が来い、と伝えてください。」

 兵士だけでなく、カウンターで話を聞いていた宿のスタッフも驚いている。

 あらら。

 また宿を変えなきゃダメかな。


「ふざけるな!」

 と言って、先ほど俺に吠えた兵士が剣を抜こうとするが、咄嗟に先頭の兵士が止めに入る。

「やめんか!」


 やめるのか。

 俺は別に構わないんだけど。


 さすがに剣を抜かないからって鞘ごと斬るとか、意味がないことはやらない。

 この人たちだって仕事でしょ。

 来たくて来てるんじゃないだろうし、大人しく帰ってくれれば別に用はない。


 斜め後ろの兵士を止めに入ったことで、先頭の兵士が腰に差した剣が目に入った。

 やっぱり上司なのかな?

 他の二人は支給品なのか同じものを使っているようだけど、先頭の兵士が腰に差した剣だけがちょっとだけ高そうだ。

 ちょっとだけね。

 少しだけ装飾がされてる鞘を見る限り、中身だって少しはましなものが入ってるんだろう。

 よく見たら鎧も後ろの兵士とは違った。

 派手な装飾がされてるわけじゃないけど、細かいところで違いがある。

 かなり似ているので、同じ工房で作られた上のランクの商品なのかもしれない。


 俺が兵士の剣と鎧を見ている間に、先頭の兵士の表情が変わっていた。

 どうしたんだ?

 顔がヒクヒクしてるぞ。

 もしかして笑いそうなのか?


「どうか・・」

 と言ったところで先頭の兵士が後ろに下がり、鎧を鳴らして後ろにいた兵士とぶつかった。


「わかったっ!」


 はっ?

 何が?

 俺が首を傾げるだけで先頭の兵士がビクッとしている。


「その、伝言は・・いや、通報は間違いだったようだ。帰るぞ!」

 と言って兵士達は帰っていった。

 理由を知りたそうに部下の兵士がキョロキョロ見てくる。


 どうやら先頭の兵士は俺に怯えていたらしい。

 なぜだ。

 俺が何をした?



 部屋に戻ったあと、ライアンが教えてくれた。

 後ろの兵士が剣を抜こうとした時にはもう先頭の兵士は怯えていたそうだ。

 おそらく俺が剣を斬ったことを聞いていたんだろう。

 実物も見たのかもしれない。

 兵士は自分の剣を見られてただでさえ怯えていたのに、俺は目線を剣から鎧に移した。

 その時、兵士は剣ではなく鎧、つまり胴体を斬られると思ったんだろう。

 俺は剣と鎧を見ていて気付かなかったけど、ライアンからは兵士の表情の変化は丸見えだったらしい。

 俺からは兵士に近すぎて顔が見にくかったのだ。

 ずっと見上げてるのって疲れるし。


 命令で来た以上、剣を斬られるのは覚悟していたかもしれないけど、鎧を斬られるとは思っていなかったんだろう。

 兵士はさっさと逃げて行った。


 しかも最後のきっかけはまた俺が首を傾げることか・・

 くそっ

 やらないつもりだったのに。


 しかし、兵士って弱くない?

 剣を斬ったって噂だけで何故あそこまで怯える。

 俺には理解できないんだが。


「ロイが斬ったのがあいつの先輩か上司なんだろ?」

 ライアンが人聞きの悪いことを言いながら教えてくれる。

 まぁそれならなんとなくわかるような気がするけど、まるで俺が人殺しみたいじゃないか。


「ところで明日からのことなんだけど、もう出発しちゃえば?」

 二人には明日、東へ向けてたってもらう。

 元々そのつもりだったし、それが一番安全だろう。

 二人も異論は無さそうだ。


「合流場所はどうする?」

「とりあえずは向こうの都を目指せば良いんじゃない?それならここよりは海岸の情報も集めやすいだろうし、俺も探しやすいからね。」

「では都の一番東の宿で合流でどうだ?」

「それは気にしなくていいよ。街の中くらいなら魔法で探せると思うからね。」


 二人とも納得しているようだ。

 その後も一応緊急時の打ち合わせをしておく。


「じゃあそうゆうことで。」

「ロイはどーすんだ?」

「俺はしばらく残るよ。一緒にいなくなってそっちに追っ手とかが行っても困るでしょ?」

 俺もめんどくさいから相手にしたくないけどね。


 さて、もう少しで俺も忙しくなりそうだ。

 南に行く前に鍛練がしたいなぁ。

 最近は筋トレしか出来ていない。

 魔力も使いきるのに苦労する。

 レベル10の魔法を出しっぱなしにする方法とかないだろうか?

 ないだろうなぁ・・



 次の日、朝早くから買い物などの準備を済ませて、ライアンとルークは出発した。

 調度良く乗り合い馬車があったらしい。

 もしも今日出発の便が無かったら馬車を買おうかと思ったんだけど、あって良かった。

 御者なんてどこで雇えばいいかわからないからね。

 ギルドで頼んでも人が見付かるのなんていつになるかわからないし。


 よく考えたら馬も買えないか?

 たぶん貴重品だよね。

 馬なんて日本でも買い方なんて知らないぞ。

 馬車と一緒に売ってないかな。

 あれ?

 馬車ってどこで売ってるんだ?

 馬車屋さん?


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