結婚までの時間
自分が、おかしいと言うことは分かっていた。
でも、精神病と結びつける自分はいなかった。
私が、精神病?
ありえなかった。
その頃の私には結婚を控えた婚約者がいた。
3つ年上の男性でバイト先で知り合った先輩。
自分で言うのもなんだが・・・芸能人になれるんじゃないかと
思うぐらいかっこいい容姿をもっている男性でした。
性格も優しく、一緒に仕事をしていた経験もあるせいか彼には
甘える事が出来た。
婚約をしていて結婚式の準備、親同士の挨拶と幸せな事も順調に
進んでいた。
もう、結婚するのだからと・・・ずっと家族を持ち母親になりたかった
私は、彼といつ子供が出来ても良い行為さえしていた。
でも、いつまで経っても彼との子供を妊娠することはなかった。
病院へも行ったが・・・私には何の問題もないと診断された。
だったら・・・彼に問題があるのだろうか・・・
でも、なかなかその気持ちを伝えることが出来ず・・・自分の中で抱え
日に日にストレスとなっていたのかもしれない。
結婚する相手、どんな事があってもきちんと受け入れなければ・・・
そう思えた時、私は彼に検査をしてきて欲しいと頼んだ。
彼は「うん、わかったよ。行けたら行くね。」と答えた。
私は、申し訳ない気持ち。男としてのプライドを傷つけてしまっている
のではないかという気持ちを心の奥底にしまい
彼がどんな状態でも私は彼の手を離したりしないと自分で心に誓い
彼に謝ることはなかった。
彼は、それから病院に行くことはしなかった。
今、思えば当然だと思う。自分のせいで子供ができないのか・・・
その不安は彼も抱え込んでいたと思う。
彼は、その現実を知るのが恐怖で仕方なかったんだと思う。
でも、その頃の私は・・・彼をそのまま受け入れようと勝手に自分で決め
勝手に自分で覚悟を決めていたが為に、彼のなかなか行動にうつさない
その考え方、言い回しに苛立ち、彼と喧嘩をする日が絶えなかった。
なぜ、妊娠できないのか・・・
本、ネット色々な所から情報を探した。
子供の事。
まだ、そのときには自分自身は分かっていない不安、確認。
起きている時間は、ずっとその事だけを考えていた。
自分が安らげる時間。いや・・・何も考えなくていい時間は
寝ている時だけだった。
明日なんか来なければいいのに・・・
また、起きたら考えなくてはいけない。
悩まなければいけない。
楽しい事なんか何もない。
このまま、目が覚めなければいいのに。
いつも前向きだった自分は、何処へいってしまったんだろう。
彼との結婚までの時間は、幸せではなく覚悟を決める時間でしかなかった。