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27話

『ーーーー強くなれ、俺と対等に戦える様に…』


『…理由ーーー例えばあの女とかどうだ?』


『ーーーー目の前で殺される』


『ーーー殺るのは俺』


『それでも戦う理由にならないか?』


昨夜起こったこと、何の脈絡もなく、理由などなく興味を持ったことだけで襲い掛かってきた殺意。


「本気、なんだろうな。あの感じは………」


あの後、ジオラルドは王宮で貸し与えられた部屋に戻ると、直ぐにベッドへと潜り込み、恐怖感を忘れたいが間に合っ為、その意識を闇の中へと溶け込ませた。


「………怖い」


心の底から沸き起こった感情を口の中から吐き出した。


ただ居るというだけで、威圧感を与える巨体だった。


なにもしていないというのに他と違う。この人は別格だと内心思っていた。


そんな者から向けられた敵意、日本という争い事のない平和な国で生きてきた自分が向けられたこともない感情だった。


最初は何のことだかんからなかったし、実感もなかった。


この世界で初めて出会った人が、自分の目の前でその命を奪われそうになるまで、向けられたのは敵意だけだと思っていた。


だがその意志は殺気を孕んでいると理解した瞬間に、自分が死ぬということを意識した。


俺は闘わなければ殺されるのか?……みんなも?


そして思った守らなければならない。と、だが夜があけて朝を迎えた今、ベッドから身を起こして改めて考えてみる。


「守る守らないの前に、あんな奴に勝てるのか、戦争になるのか…、そもそも喧嘩もしたことないし、あんな化け物と対決…いや、あの雰囲気殺し合いーー」


今のジオラルドの立場は王族、王族に降りかかる他国の脅威、無論、王はジオラルドを護るために国を動かすだろう。


それは親愛の有無だけでなく、国家体制維持のためにも絶対だ。


負ければ国がなくなり、国があった地は荒れるだろう。


負ければ死ぬのだろう。


「ーーー怖い、死にたくない。そもそも考えていなかったけど、俺は、前の俺はどうなったんだ?」


前世と言っていいのか、本来の自分の最後の記憶は一切なく、現在のジオラルドという自分が存在していた。


いつも通りに仕事をして、いつも通りに家に帰り寝たのである。


夢なのか?夢であるなら長く、あまりにも真実味を帯びた異世界だ。


「死んだのか?」


寝ている間に死んだのであれば、何が原因で自分はジオラルドとなったのだろう。


「もしそうだったとして…、今死んだとして俺はどうなる?」


もう一度、自分が死んだ場合に次があるのであろうか?そもこの場合の死ぬということは、殺されるということなのだ。


死ぬということは、どれ程の痛みを伴うのか、自分がいなくなるという喪失感、何と恐ろしいことなのだろうか、とジオラルドは考える。


死にたくないのは勿論、殺し合いなんて見たくもなければやりたくもない。


ならばこの国から逃げるべきなのだろう。


「……無理だ。逃げて何処に行く?こんな右も左も分からない世界で、逃げてどうやって生きていくんだ?」


異世界の住人となり一年程度、この世界の知識も当初よりは把握出来ていた。


その為、余計に一人ではこの世界で生きていけないということも実感していた。


お金を稼ぐ事は、この身体能力を持ってすれば力仕事も出来るため可能であるが、そんなものは大人の獣人がいれば、態々子供を雇う必要はないだろうし、雇ってくれたとしても、次は住む場所を借りる必要があるが…、子供に部屋を貸す大家が居るだろうか?


ならば誰かを連れて一緒に逃げるか?


「…ミナは一緒に逃げてくれるのか?」


「逃げません。……殿下と逃げる?…あり得ませんね」


ジオラルドがそう独り言を呟いたとほぼ同時に、背後から返答があった。


「ッ?!おまっ!何時からそこに居たんだ!?」


まさか、自分の寝ていたベッドに人が居たと思わなかったジオラルドは、そう驚きつつ疑問を口にすると、ミナは呆れた表情でジオラルドを見やると、溜め息を吐きつつ言う。


「………何時からって、昨日のあの後、殿下があたしを放さなかったんじゃないですかーー」


「ーーーしかもあたしに全身で抱きついて震えて、危険に身を捩るあたしの身体を愛ぶぅーーんっ!?!」


途中、息を吐きながらそう言ったミナに、そういえば、と昨夜の事を脳内で回想しつつ事の発端を思い返していると、ミナの発言の方向性が変な方向へと向かっている事に気づいて、慌てて尾の先でミナの口を塞いだ。


「変な事いうな!こっちは何も知らねぇ素人だぞ!?あんな化け物の感情?殺気ってやつか!?浴びさせられてみろ!そりゃ震えるわ!!……ってかミナは大丈夫だったのかよ?」


「いや!あれは怖いですよ!恐い何てもんじゃないですっ!!ーー」


「ーーーけど、逃げても殿下追われますよ。完全にエルファニカ王は殿下を獲物として認識してるっぽいですからね」


そう息を荒げながら言いきったミナにジオラルドは肩を落としながら言う。


「わかってるのに何で落ち着いていられるんだよ!!?」


「そんなの、逃げてもどうもならないからです。……昨日身体をまさぐられて寝れなかったので回避する方法を模索してましたけど、例えばあたしだけで逃げると、職務放棄と判断されナルニート国から追っ手が…牢獄end、なら殿下と逃げる?国からの追っ手は殿下が対応してくれるでしょうけど、あたしの家族は?何れ追ってくるエルファニカ王は?…と、結局どうしようもないんですよね」


そうか、昨日は俺が原因で寝れてなかったと言っていたのだった。その間に色々と整理したり、対応を考えていてくれたりしたのだろうが、やはり結論としては闘うしかないのか…。そう内心で黙考してから、その結果が頭に思い浮かび、であるならば、彼女はただ諦めて死を待つつもりなのだろうか?と疑問に思ったジオラルドはミナへと問うた。


「……なら彼奴が来るのを黙って待って、黙って殺されるのか?俺はそんなのごめんだ、悪いが一人でもにげっ「逃げますか?ナルニート王やカトナやアリアやリナ、あたしを見殺しにして?」」


「っ仕方ねぇーだろ!?俺はとてもじゃないがあんな化け物に勝てる!とか思え「んー、……勝てんじゃないですかね?」ッツ!?はぁあっ?どうやってーー」


まるでジオラルドの言おうとしていることを見透かした様にそう言ったミナは更に腕を組つつ、ジオラルドへと視線を向けてから、暫し考えると途方もないことを言いのけたのだった。


「ーーーどうやってだ!?見てたか彼奴のこと?!鍛え抜いた身体、圧倒的な種的な優位、獰猛な性格、俺の何処に勝機を見出だせるんだ!?」


溜め息を吐き、呆れたように話し出したジオラルドだったが、ミナの余りにも他人事の様な態度に苛立ちを覚えてか、最後には声を怒鳴り声に変えて叫ぶように言った。


しかしミナは、そんなジオラルドを冷静に観察しつつ、組んでいた腕を解きながら、右手の人差し指をジオラルドの目前に突き出して言う。


「ひとつ、種的優位であれば殿下もシロクマ、そしてオオカミのハイブリッドですから負けてません。ふたつ、性格は殿下もエグイですね。一人でも逃げようなんてするとことか鬼畜です。みっつ、身体なんて今から鍛えれば良いんです。そもそも身体能力に関して言えば、殿下の方が圧倒的に化け物です」


「……そんな事言われようと、俺はーー」


確かにジオラルドのルーツはシロクマとオオカミ共に肉食獣であり、戦闘に適しているように思うが、元々の生物の生態系を上下関係として考えててみる。


アフリカ像、シロクマ、オオカミ、この3種が同じ場所に存在していたのなら、像に勝てるか?


無理であろう。

生物としての規格が違いすぎるのだから、例えシロクマとオオカミが同時に掛かったとしても像が負けるイメージが浮かばないのだ。


そもそもがジオラルドの中のシロクマのイメージ動物園の折の中をクルクルと病的に往き来しているという風なもので印象は悪かったこともあり、種的に勝てるイメージが浮かばないことは、仕方ないことであった。


「まあ、殿下が逃げるのは不可能ですよ。既に殿下の匂いはもしもの場合に備え、豚をルーツにもつ獣人に覚えられてますからね。探索能力に優れた獣人から逃れられる知識も技量も殿下にはないでしょ?」


その人達には大人しくトリュフを探しに山へと向かって頂きたい。内心でそう毒吐きながら投げやりに言う。


「……死を待つばかりかよ、運命を呪うわ」


ミナに言われて気付く、文明が発達していない分、生物としての能力が発達しているのだ。嗅覚、視覚、聴覚などに特化した獣人が自分の回りには護衛として配置されているのだ。


逃げようとしてもサイドルールに報告が行き、直ぐに見つけられてしまうだろう。


匂いの消し方など分からないし、追跡してくる者からの逃げ方も分からない。そんな自分が本職達から逃げきれるわけがなかった。


「…………死にたくないなら、強くなってください。幸いクリーク様もハロルド様という強い騎士が側に居られるのですからね」


「あいつら俺より弱いじゃねぇーか!?初めて会った時に何気なく放った尾の一撃で気絶するような奴だろうが?!」


目覚めて直ぐに、身体の感覚も儘ならない状態で、意図せずとも倒せたクリーク、そしてクリークと並ぶ実力というハロルドだ。


確かに一般的な獣人よりも強いのかもしれないが、王族クラスから言えば強いと言えない存在、それが ジオラルドから見た二人であり、彼等は自分よりも圧倒的な格下の相手であるのだ。


「あーっと、それは油断といいますか。流石に生後間もない赤子が、襲ってくるとは思わないでしょうし、場合が場合でしたからね。あれは置いときましょう、ね?」


顔に苦笑いと冷や汗を浮かべながら、二人をフォローする様にそう言うミナに、ジオラルドも苦笑いを顔に浮かべて言う。


「ね?じゃない。油断でやられる護衛なんて雑魚過ぎるからな!?」


「…と、とりあえず!戦闘技術はナルニート国随一のお二方なんですから、その技術を習って習得さえすれば、殿下の生来の化け物の染みた身体能力で勝てますよ!無理だったとしても、死ぬことはないですよ!?」


「…戦闘技術どうこうでどうにかなる相手なのか?そもそも勝てる気が全く起っ「根性ですっ!」はぁあ??!」


戦闘技術、確かにそれを収得すれば強くなれるであろうが、果たしてあの化け物にそれが通用するのか……。自分の獣人化した時に出てくる爪は、あの化け物の表皮にキズを遺せるのか?


その考えをそのまま言葉にしてミナに伝えると、ミナはジオラルドの話を遮りとんでもないことを言ってのけると、さらに追撃するように笑顔で言う。


「ただ伏して死ぬより、どうせなら足掻いて死んでください!弱った所をナルニート王にサクッ!とやってもらいますから!」


「俺が死ぬ前提かよっ!!?そして何故俺が尖兵か!!?」


そうだった、こいつはこんな奴だった。と内心では少しミナに起死回生のアイディアがあるのでは?と期待していた自分に自責の念を懐きながら言った。


「王が居れば国は存続できるんです!国が滅びたら市場は無茶苦茶、そしたらあたし家の様な商家は破滅しちゃうからですよ!」


「……俺の心配はしてないってことだけは十分に判ったわ」


落胆してミナに愚痴る様にそう呟いたジオラルドの頭の中に、いつの間にか先程まで心を支配していた恐怖という感情が薄らいでおり、何時も通りの掛け合いに戻っていることに気付かないでいた。


「んじゃ、ハロルド呼んできてくれよ。精々足掻いてやるからさ」


「分かりました。直ぐにお呼びしますね」


「私が殿下にお教えできることなぞ、高々知れてはおりましょうが、このクリーク、全身全霊を掛けこの名誉ある任を全う致します!」


「「…………」」


ジオラルドはその場に静かに佇み思案する。これは事案発生中なのではないだろうか?と……。


隣で同じ様に沈黙を貫き佇んでいるミナへ問いたい。何故ハロルドではなくクリークを連れてきたのか?どうして昨日会ったフルーガにクリークは性格を寄せてきてるのか?


「さて、私が考えますに武道というのは、まず身体能力の強化が最初の課題となりましょう。何故ならば基礎基本を習うにも、身体がついてこなければ身に付くものも身に付かないからで御座います」


「「……」」


ジオラルドとミナは、二人とも意図せずに、同時に無言で自身の頭上の斜め上の天井へと視線をはわせる。


二人の内心は同じだった。


何もない、であるのならどうして?何故ジオラルドに話しているのだろう彼、クリークの視線は天井に剥いているのだろうか?


ジオラルドはそう言えば、と思い出す。確か、サウジアラビアのビザ写真は顔を斜め向きにして写真を撮っていた。と……。クリークもそういう風な理由でこういう感じになっているのではないだろうか?


「確かに殿下はオーラバーストを扱え、更に身体能力もその年齢にしては並外れたものがあります。しかし、その才能に溺れ、鍛えなければそれ以上は望めないでしょう!さて、では早速、既に城の訓練所を借りておりますので、そちらに場を移して、訓練を開始致しましょうか!さっさ!此方ですぞ殿下!」


そう言うが早いか、クリークは部屋の外へと出ていこうとしている。そんな彼の姿を見て、漸くジオラルドは自分の隣で同じ様に黙っているミナへと話し掛けた。


「(…俺はハロルドを呼べと言ったのだが?)」


「(何ででしょうねー、あたしはちゃんと、ハロルド様に伝えたんですけど、ね?)」


「(なら、なんでクリークが来るんだ。しかももうなんか、勝手に部屋から出ていって)」


「んっ?殿下!!此方ですぞ!」


「ぬっお?!手を引くなクリーク、そんな事をしてくれなくても着いてくから!」


ミナと話していると、何故か笑顔で戻ってきたクリークが、ジオラルドの手を握り部屋の外へと連れていこうとする。


「いやいや、この程度のこと、手間とは思いませんので、ご安心を!」


そんなこと聞いていない。いや、寧ろ何よりも、手が汗で湿っているのだ。


それが何か生理的に嫌だ。と内心で思いながらも、流石にそれを直接伝えては可愛そうかと、何時もと様子が違う理由を尋ねることにした。


「そう言う問題でないよね?何で今日はそんなにテンションがフルーガみたいになってんだよ!!」


「…昨日、フルーガ様に鍛えられてたからですかね?まあ、いいんじゃないですか、クリーク様ならオーラバーストも使えますし、ハロルド様は剣術は凄いんですが、オーラバーストはまだ完全には扱えないとのことですしね」


いや、俺はオーラバーストを何の問題もなく使えてるから、剣術だけでも良いのだが、だから今からでもハロルドを呼んできてくれないだろうか?と考えている間に大きな闘技場な様な部屋へと案内されていた。


「…さて殿下、着きました。此所でサファリ領に帰るまでの1ヶ月間、訓練に励みましょうぞ!」


「はっ?1ヶ月間?!1ヶ月間もサファリに帰らずに王城で生活するのかよ?」


「此方に来る道すがら、サイドルール様がお話されてましたよ。まあ、殿下は外の景色に夢中で聞いてられませんでしたが…、色々と殿下関係でしないといけないことがあるんですが、全部サイドルール様が代行して行ってるんですよ。だから気にしなくて良いですけど、一月はその関係でサファリ領には帰れないですから、此所で大人しく訓練しましょうね」


通りで王城に来てから、サイドルールが自分の前へと顔を出さなくなった訳だ。

ジオラルドの代わりというが、それに本人である自分が行かなくても良いものなのだろうか?


いや、問題がないから気にしなくて良いということか……。なら俺は今できる事をしよう。


「……まあいいよ、聞いてなかったの俺っぽいし、な。じゃあ、クリーク訓練を頼むよ」


「畏まりました殿下、では早速、オーラバーストを解いたままで、軽く筋肉トレーニングを行いましょう」


「ところでだが、最終目標なんてものはあるのか?」


訓練するのは良い、しかし目標もなくやるのではあまりに張り合いがない。

目指すところも知らずにやるよりは、目指す物を知っている方が進みも早いはずだ。


「まず此れから目標とするのは、オーラバーストを会得することですね。その為の訓練と思って頂ければいいかと」


「オーラバーストって、それはもう会得してるぞ?ほれ!こうやって強弱もつけれれば、指先一点に集中して放つ事も出来る」


そう言いながらジオラルドは指先にオーラバーストを集中して、訓練所の床へと放つ、すると床には僅かに焦げの様な跡ができる。


「いえ殿下、それはオーラバーストを纏っているだけです」


「纏うだけじゃだめなのか?身体能力もやる前より上がっているし、防御力もロウロウビーの針も通さないくらいにはあるぞ?」


「殿下、そもそもがオーラバーストを纏う。……というのは只、制御が出来ていないという事と同意です。身体から放出しているだけとなりますから、本来、その様な方法で使用すればエネルギーが枯渇しそうなものですが、殿下の場合はーーー」


「エネルギー量が莫大なんだろう?分かるぞ」


「いえ、オーラバーストのエネルギー量は獣人により違いはなく一定です。殿下はまだ身体が小さいため、その様な使用をしていても全体的な消費量が微量なために負担が少ないのでしょう」


自信に満ちて言ってしまったことを後悔しつつも、まあ現実はこんなものかと、内心嘆息しつつ言う。


「……チートじゃなかった俺、正に大きくなれば凡人ってやつね。なら使えない奴より身体能力が向上するだけってことで、使える者同士ならさして違いはないということか?…なんか余計に彼奴に勝てる気がしないわ」


エネルギー量に差もない。ということは、オーラバーストを使用可能な者同士は能力が拮抗するということだろう。


ミナから聞いた話では、王族の獣人化は只の獣人とは比較できない次元の強さと言うことだった筈、ならオーラバーストを極めるよりも、獣人化の状態で戦えるように鍛えた方が効率がいいだろう。


同じ完全獣人化なら、エルファズの方に一日之長があり、しかも彼方は陸で単体最強の生物、自分に毒でも持ったルーツの獣人なら勝てたかもしれないが、残念ながら自分のルーツにそれはない事は判っている。


勝ち目が見えない。そう思い至った上でのぼやきだった。


「…殿下、オーラバーストが使える者は少ないですが、それでも騎士団の者達が、使えるように訓練するのには理由があるのです」


「……理由か、その理由とはなんなんだ?」


そこまで固執する価値があるということだろうか?その理由が気になり、ジオラルドはクリークへと尋ねた。


「はい、それは個々に属性能力が扱える様になるのです。それを使いこなせれば他の獣人より一段、強くなれます。そして現状、王族にはオーラバーストを使える者は貴方お一人だけなのです」


「ほぅ、属性ってのは気になるな。なんかワクワクするわ」


五大属性とか扱えたら凄く燃える。

何よりも使い方次第では、強敵にも勝てるかもしれないのだ。


力を欲している今、それはまたとない機会だ。


「解って頂けましたね。では殿下が目指す目標、その到達点の一つをお見せしましょう。このクリークのオーラバーストを……」


ガチャ


クリークはそう言いながら腰に携えていた剣を鞘から抜くと、天へと掲げる。


「……殿下、これが私のオーラバーストーーー」


「ーークリークフルバスター!!!!」


そしてそのオーラバーストの技名を叫んだのだった。


これがオーラバーストの到達点、単純に剣の刃に火炎を纏わせると言えばそこまでだが、火炎放射の様な特有な音を発している事から、その刃で切られれば、只では済まないだろう事が分かる。


この力を手に入れ、完全獣人化の力を扱いきれれば、あのエルファズにも負けないのではないだろうか?


そう思わせてくれる程にその火炎は、ジオラルドにとって希望の火に見えた。


「…しかし、だせぇ、技名がないわ」


使っている剣はバスターソードでなく只の剣、だというのに技名にバスター、そして何故だか技名の最初に自身の名を言っちゃうなんて……。




痛すぎるんだよ、クリーク。

あとフルってなんだよ、フルって!


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