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21話

朝起きて、目が覚めてからずっと暇だった。


テーブルの上には朝食が置いてあり、その横にはメモが書かれ置かれていた。


「…暇だ。そしてメモも読めねぇ?」


そろそろ識字の勉強もする冪なのだろうが、俺が言い出した領地改革で忙しく、多忙に動き回る皆に俺の為に時間を割かせるのも悪い気がする。


だが優先事項の第一は俺であるべきだ。何故なら俺、皇子だしな。


やっぱりサイドルールに言って文字とか、ダンスやマナーの教育を再開してもらうかな。


「じゃないと、退屈で死んでしまう」


次にサイドルールに会った時にでも、そのことを一度きちんと話をしよう。


「…というか最近、クリークとハロルド以外に会っていない気がする」


あの二人は必ず、一日一回は俺の部屋へと訪れて、異常がないか、問題はありませんか?と尋ねに来てくれる。


あいつらは暇なのだろうか?いや、考えてみるとそれがクリークとハロルドの仕事じゃないか、だからハロルドが家事手伝いの女達や、城内のメイド達と話しているのを見掛けることが良くあるとしても、暇ではないのであろう。


…色んな意味で、ってか?

そもそも他の皆は偶にしか会いに来てくれなくなった。

ミナ、アリア、カトナ、リナ共に、俺の世話係の為だけに雇われている筈なのにだ。


怠慢なのではないか?業務を疎かにするのはどうかと思うぞ。


「……俺も何か手伝った方が良いんじゃないだろうか?」


結局の所、俺が領地改革をする!と言って動き出した計画が原因だしな。


一般人達より優秀な彼女達は、幼くともやはり選りすぐりのエリート、雑務能力も高く、思考力が柔軟な為に対応能力も高い。


まさに改革にはうってつけの人材というわけだ。


「しかし、俺が手伝おうにも何をして良いのか、分からんしな?」


そう悩みつつ、部屋の中を右往左往していたのだが、考えるのが面倒になったのと、歩く事に疲れた為、俺は部屋の床に座り込み、何か手伝える事は無いかと黙考する。


駄目だ。なんか眠くなってきたわ。


コンコン


寝落ちする寸前に、扉から聞こえた軽めのノックの音に、意識を夢の中から現実へと戻された。


「殿下、ご飯ですよ〜、あれ?殿下が居ない?」


「居るよ、お前の足下に」


身体を起こすのが面倒だった為に、寝たままで扉を見上げると、扉を開けて入って来たのは、リナだった。


「きゃっ?な、なにしてるの殿下?!」


驚いてそう俺へと尋ねてくるリナに、俺は理由なんて無いとは思いつつも、適当に答える。


「黄昏てんだよ。暇なんだよ、することねぇーんだよっ!」


「…そっか、ミナ、サファリ領内の事で忙しいみたいだもんね?」


リナは両手に持っていた昼食を片手に持ち替えながら、空いた片手を顎に当てながら考えつつ言う。


「ミナだけじゃなく、他の皆だって、そう言ってるリナも忙しいだろ?」


ミナだけでなく、アリアもカトナも、それこそお前だって忙しそうに領内と城を行き来してるだろう。


そう思い俺は返答する。


「私はそうでもないけど…」


俺がそう言っているにも関わらずに、自分が忙しい事を認め様としないリナ。


というかさ、そんなに忙しくないって言い張るなら、もっと俺の所へ来て、俺に構えよ。とそう思わずにはいられなかった。


「最近、見てたんだバルコニーからさ。そしたらリナを寄宿舎の方でよく見かけたけど、あれって何してたの?」


「….ぁあ、あれは寄宿舎の人達に入り用の物がないかを確認してたんですよ」


俺がそう尋ねると、リナは今それを思い出した様に納得すると、俺に向かい答える。


「…御用聞きみたいだな?っていうか欲しい物があったら買ってやるのか?」


「そうだね、本当に必要な場合に限るけど。…私は基本的には食料品の在庫管理がメインだからね」


何でもかんでも欲しいと言われたら買い与えてないよな?そう思い尋ねる。


「…何だ、家事手伝い雇ってるだろ?そいつ等にやらせればいいのに」


折角、雇った人材なのだ。

有効に活用してくれなければ、大金を出している意味がない。

いくら払っているのかは、忘れたが…。兎に角、無駄金になるのだけは嫌だと、そう思い聞く。


「…うん、勿論してもらってるよ。でも確認も必要だよ、多く使い過ぎると、それだけお金が掛かるからね」


「ふーん、何か大変そうだな。俺も手伝おうか?」


ダブルチェックみたいなもんか、必要と言えば、必要か、平民が何処まで員数確認出来るかも分からんしな。


もし、大変な様であれば、俺も員数確認位ならば出来るかも、そう思ってリナに尋ねると…。


「ううん、大丈夫!私1人でも対応できてるから!っと、そろそら戻らなきゃ、じゃあ殿下、また夕食の時にね!」


慌てて戻らねばならない位に、仕事を抱えているのなら、俺にも手伝わせろ。内心そう思いながらもリナを見送った。


「ほーい、…俺には何もさしてくれないのかな。あぐあぐっ、美味い!」


昼食の味は、ミナが作ったものでないのか、美味しくはなかった。



「…んー暇だ」


昼食を食べて、また暫くすると、食後の満腹感も消えた性か、退屈が押し寄せて来た。


「……やっぱり暇だ」


一頻りテーブルとセットの椅子に座り4脚の椅子を斜めに傾けて、2脚でバランスを取ったりして遊んでみたものの、やはり退屈を拭うことは出来なかった。


…外は何時の間にか暗くなっていた。どうやら随分と暇潰しになった様だった。


「…というか昼にもこんな事言ってた気がするな」


リナが昼食を持って来る前にも、確かに俺は暇だと連呼してた気がする。これがデジャブというやつか…。



コンコン

「…失礼します。殿下、晩御飯をお持ちしました」


「おう、カトナ!ありがと、一緒に食う?」


カトナが入って来た事を確認すると、俺はそう笑顔で彼女に声を掛けつつ、尻尾でテーブルの反対に転がっていた先程まで、俺がバランスを取って遊んでいた椅子を掴み持ってくると、テーブルに椅子を2つ並べて、その内の1つをカトナに座る様に進める。


「いえ、あたしはまだ書かないといけない仕事が残っているので…」


考える間も無く、断られがっかりと来るも、日が暮れているというのにまだカトナの仕事が残っている事に驚いて聞く。


「もう日も暮れてるのに、まだ仕事してんのか?…そう言えばカトナは採掘場の方によく行ってるけど、何してるの?」


「はい、あたしは採掘場でラルド粘土の品質管理と、石切り場の方の進捗状況の確認をしています」


何かリナのやっていることと比べると明らかにカトナのやっていることの方が難しく激務そうであった。


「おぉ、何かリナより仕事してるっぽいな。大変じゃないか?」


内心で思った事を其の儘、カトナへと伝える。


「いえ大丈夫です!言うと難しく感じるんですけど、実際にやっていることと言えば、ラルド粘土のすり潰し後の状態を見て確認することと、切り出された石の個数と、どの区画にどれだけを割り振るかを、現場からのオーダー毎に優先順位を付けているだけですので…」


「お、おう、そうなんだ。全然難しくないなんてことはないだろ?良かったら手伝おうか?」


うん、なんか全然簡単に思えないんだけどな。これがスペックの差なのであろうか…。


本心はそんな難しそうな事を、手伝いたくはなかったが、一応、リナに聞いておいてカトナには聞かない。というわけにもいかないと考えて、聞いてみる。


「…いえ、あたしだけで十分ですので、殿下は身体をお休めになってて下さい」


内心、断ってくれて良かったと、そう思った心から…。


「1日中、休め過ぎて身体が逆に凝ってるくらいなんだけどな」



翌朝、起きてから暫くベッドの中でゴソゴソと寝返りをうってみるも、やはり暇だった。


「…今日も暇だな」


確か、就学、就職、職業訓練をしていない人をニートと言うんだったか、あからさまに俺の今の状況とはそれではないだろうか?


「…本当に、…暇だ」


「…というか昨日もこんな事言ってた気がするな」


そしてこの発言をすると、誰かが俺の部屋へとやってくるのだ。


コンコン

「…失礼します。殿下、朝飯をお持ちしました」


これがフラグメントというものか!?内心で驚く。


「……昨日と違うな」


昨日とはまた違うのが来た。


「っえ?なになに?何が違うの殿下〜?」


はて、何がチガッタのであろう?

やばい、考えることを辞めすぎて、思考力が低下してる?!


「…いや、何でもない。所でアリア何時も石切り場とか、運河の近くで色んな人と話してるみたいだけど何してるんだ?」


石切り場や運河の工事現場の近くで、作業員や建築士などと話しているのをよく見た。


実はアリアが一番忙しいのではないだろうか?と俺は思っているのだ。


「え?殿下のお世話をしてますよ?それが私の仕事だから〜ぁ」


なら領内の至る所で、作業員やら建築士達と長時間何をしてたんだよ!?


「…そうか、アリアは暇人なのか」


…まさか、こいつ立ち話をしていただけではないだろうな。なら逆にこいつは暇人なのでは?そう思い尋ねる。


「暇じゃないよ!ちゃんと殿下の食事とか作ってるよ?マークさんに教えて貰いながら、ね!」


そうか、アリアが作っていたのか、だから最近あんまり美味しくなかったのか!


「…食事作ってる以外は?」


というか、先程から俺の食べてる物を作っているとしか言わないが、ならばアリアは料理をしている以外の時間は何をしているのだろうか?


「領内を見学に行ってるよ」


「やっぱりお前暇じゃねぇーか!?」


聞いてみたところ、本当にこいつだけ、他の皆様に仕事が割り振られていないということが判明した。


「そんなことないよっ」


そう否定して怒っているアリアの目の前で、朝食を一気に口の中へとかきこみ、呑み込む。


「…よしっ、あぐっあぐっあぐ!あぐっ!あぐっ!あぐ!!ぷはーっ!喰ったぁー!さて現場視察に行くかっ!着いてこいアリア!」


最後に昔にサイドルールがファイナルフィンガーボー?とか言っていた器に入っている水を飲み喉を潤すと、俺はアリアに向かい言って、部屋の扉を開け放ち外に出る。


「えっ、ちょっと待ってよ。殿下〜ぁ」


「その語尾をぁ〜と伸ばすのやめい!なんか俺が変なことしてるみたいだ」


そう、なんかお代官になった気分になるのだ。


「変なこと〜ぉ?」


「聞き返すなっ、そして伸ばすな」


変な気分になってしまうだろ!?


「…久し振りに来てみるとなんだ。随分と崩れてた岩もなくなったな?」


何だかんだと話しながら、一番近い現場である城の丘横にある大岩があった所へ来ると殆どの岩が切り出されたのか、平地へとなりつつあった。


「一番最初に工事を始めた所だし、人数も一番掛けてたからね。…来月にはもう岩がなくなるんじゃないかな。そしたら此処は居住区にするってミナが言ってたよ」


そうか、此処なら幾分他よりも高台となっていることもあり、もし運河が氾濫する様な状況に陥ったとしても、直ぐに水はこないかな?


「あぁ、此処が居住区になるのか、確かに地盤が岩なだけあって、土台がしっかりしてるもんな。前にミナが言ってた様に、城からも近いし…」


しかし、人力でこのスピードは驚異だな。やはり種族的に身体能力が有る為か、こういう作業は前世では考えられない程の速度で終わってしまう様だ。


「此処の作業が終わったら、此処の人達は採掘場と石切り場に其々振り分けられるみたい。向こうは人数が足りないってカトナが言ってたよ。見に行ってみる殿下?」


石切り場か、今から行って帰ったら昼食抜きになってしまう事を考えると、また明日にすべきか…。


「…岩山は行くにしても明日の朝からだな。馬車もクリークに言って用意してもらわないといけないし、取り敢えずは、次は運河の方に行くぞ」


「はーい。じゃあ、こっちから行った方が近いよ〜ぉ」


アリアに案内されて、今工事が行われている場所へと、運河の塀の上を歩きながら案内される。


「これは凄いな。近くで見るとこんなに規模が大きかったのか!ん!まさかあれが水力エレベーターかっ!」


運河の中にある隔離された長方形の水槽、それは恐らく船を高い場所へも移動させる事が出来る水力装置だろう。


「….っあ、殿下?!危ないよ!」


俺はそれを近くにて見る為に、壁から扉を降り、今まさに工事をしている現場へと向かった。


「…おっ、サイドルールじゃないか!」


「これは殿下?!お一人で城から出て来られたのですかっ!!?」


現場へと着き、水力エレベーターへと近付いていくと、其処にはサイドルールと建築士の数名が何やら話し込んでいた。


サイドルールは俺へと気付くと、驚いて声を掛けて来た。


「….アリアも居るぞ、ほら彼処の運河の上の方に」


運河の塀の上を顎でさして、サイドルールに1人ではないことを伝えた。


「工事現場は危険ですので、殿下には来て頂かなくても大丈夫な様にミナから、報告がいっている筈ですが?」


唐突に始まった説教を軽く流しつつ、俺は近場から水力エレベーターを見上げる。


「お堅いこと言うなよ、俺もたまには外くらい出たいぞ」


「しかし安全が確保出来ないので、やはり護衛もなく出て来られるのはお辞め下さい」


安全、安全と最近サイドルールが口煩くなったのは、恐らくジオジークとの一件があったからだろう。


「わーった、わーった。次からはそうするよ」


そう言いつつも、内心ではあまり迷惑を掛けない様に心掛けようと思った。


「…ってかこの水力エレベーターでかくない?」


俺の考えていた大きさは精々が、学校にある25mプール位の大きさだったのが、実際に運河に作られた装置は、その倍以上は優に有りそうだった。


「はい、将来の物流拠点とする為に、全長25m、幅18mの貨物船が2台入る様に設計していますからね」


「…それって効率悪くないか?水槽を大きくすれば其れだけ水を貯めるまでの時間が長くなるだろ?それなら1台ずつでも早く移動させれる様に水槽のサイズを狭めて、早くに上や下へ移動した方がよくない?」


水槽が大きくなると、どうしても水を貯めるのに時間が掛かる。

時間が掛かるということは、物流が停滞するということ、しかも大型船が2台同時に来れば確かに効率はその方がいいかもしれないが、1台が先に来て、水力エレベーターで上昇中の場合に、後からもう1台が来た場合は、時間がかかる分、渋滞が発生する可能性があるのだ。


「…確かにそういう意見もありましたが、将来に残し使って行く事を考えると、ここ数十年でズーランド大陸で使用されている船体も巨大化が進んでいますので、何方にしても何はこのサイズは必要になります」


「…そうか、ちゃんと考えてるのな」


将来的に貨物船が大型になるという見込みがあるのなら、後で作り変えるよりも、初めからその様に作った方が得策だからな。


「当然です、予算も限りがありますから、限度は知れていますが、やれる所は今にしておきませんと、動き出してからでは、早々改装する機会もないでしょうからね」


「…そっか、そうだよな。実際に使い出すと、そんな事をする時間が無い。時間を作ると物流が其の間止まって損害が出るか…。難しいねぇ」


領地改革とは、実際にやるのと、色々と柵があり、難しく簡単に行かないものなのだな。


「殿下は悩む必要などありません。王が成したい事を言い、それを最善の結果として世に出すことが、我々家臣の責務でございますので…。ジオラルド様、部下に信を置いているのなら、貴方はその結果を言葉は悪いですが唯待っていれば良いのです」


「…そういうもんなのかね。まあ、俺は違うと思えば口を出すけどな」


皆が苦労して案を出し考えてくれてる中、本当に俺だけそんな調子で良いのか、それが王ということなのだろうか?


なら今の俺は王でないので、思ったこと位は言わせてもらうことにしよう。


「それもまた王の決断なら、その通りに…、さて殿下、上でアリアが待っております。此処は私に任せて城へお戻り下さい、きっとクリークが心配しておりますぞ」


結局は俺の好きに出来るということか?よく分からないな、サイドルールの言うことは…。


俺の頭が悪いのが理由か、サイドルールが遠回しに言い過ぎなのか、何方なのであろうか?


「…そうだな、いや、確か農業と酪農も始めたんだよな。それを見てから帰るわ」


最後に農業と酪農を見て帰ることをサイドルールに告げ、その場を去る。


「…そうですか、危険はないと思います。しかし油断はされませぬ様に、前回の件もあります」


去り際にサイドルールからそう心配する声が掛かった為、それに応える為に振り返り言う。


「分かってるよ、取り敢えず知らない奴に会ったら獣人化しとくわ」


そうすれば取り敢えずは、あんなことになりはしない筈だ。


「…ハロルドには後で言っておきます」


背後から呆れた様に、サイドルールが言う声が聞こえた。


「もうっ、殿下!勝手に行かないでくださいよっ!私が怒られるんですからね!?」


塀の上に戻ったら戻ったで、今度はアリアに怒られる。


「…アリア、農場に行くぞ!」


そんな怒っているアリアの横を通り過ぎて、牧場と農地のある方向へと向かい歩き出す。


「帰らないんですかっ?」


「…まだ昼まで時間があるだろ。農場と牧場に行って帰れば丁度良い頃合いだよ」


アリアの言葉にそう返事を返しながらも歩みは止めない。今帰ったとしても、昼食までの間、また暇な時間を退屈に過ごすのはいやだった。


それにアリアも暇だろ?そう思い声を掛ける。


「殿下はそうかも知れませんがっ!私は殿下の料理を作らないといけないんですっ!」


それは早く見てから城へ戻らなければないとな。


「ヤギのミルクを飲んでみてぇーんだ!」


「………ヤギじゃなくてヒツジしか買って無かったと思うんですけど」


「何方でもいい、ミルクを飲めればな」


牧場に着き、俺は驚いた。


「…なんだこれは?」


「なんだ!?って殿下、此処が牧場ですよ」


「どうして一匹もヒツジが居ないんだよっ?!」


牧場に家畜が一匹もいないことに…。


「当然ですよ。山に放ってますからね」


「……逃げるだろ、それ?!って言うか肉食の獣に襲われないのかっ!?」


何で山に放った?!ここはアルプス山脈か?違うだろ多種多様の獣、取り分けて肉食獣が多いズーランド大陸だぞ!?


ただヒツジを山に放っただけなんて、獣に餌をやってる様なもんだ!


「一応は襲われない様にする為に牧羊犬が見張ってますよ。だから1年間で数匹位しか居なくなりませんよ」


数匹でも居なくなられたら損なんだよっ!?

ってか普通は一匹も逃がさない様に柵で囲った所へ放すんだよ!?


「馬鹿!一匹でも居なくなったら駄目なんだよ!柵で囲え、そして夜は小屋を作ってそこへ入れろ!一匹足りとも獣なんかに襲わせるな!逃がすな!」


「…そんな大変なことしてられませんよ!?」


何を逆切れしてやがるんだ!こいつは!切れたいのは俺だ。俺の金で買ったのだから、しっかりと管理してもらわねば困る。


具体的には……。


「しろと言ってんの!後、角の所に購入した日付と番号を書いたタグを付けて個体で管理しろ!加齢が進んで来たり、数が増え過ぎた場合に間引く時に、その番号の若い順に間引くからっ!」


という位は基本だ。


「はっ、はい〜ぃ!ミナに言っておきます!!」


あわあわしながらメモを取っているアリアを見つつ、やはり視察は重要であると認識した。


「折角、ミルクを直絞りでガブ飲みしてやろうと思ってたのに、まさか柵もなく放牧とか、驚くわぁ」


「取り敢えず後は農地だな。この調子だと、たまには俺も見て回った方がいいみたいだ。何か漸く領主らしくなって来たじゃないかっ!!ふっはははっはっははっ!!!」


ミルクはまたの機会に飲むことにしよう!


「ちょっと殿下待ってよ〜。色々言われたことを書いておかないと、後でミナに言う時に忘れちゃうから〜ぁ!!」


「時は金なり、だ!急ぐのだアリアよっ!」


と言って見たものの、牧場と農地は隣あっていた為に、直ぐに到着することができた。


「ん、殿下?どうしたんですか、こんな所に?」


そして農地には、久し振りに会うミナがいた。

俺はミナの料理が恋しいよ。そう俺が伝えようとミナに声を掛けた所へ、アリアがミナに詰め寄りながら、先程、俺が言った内容をミナへと伝え出した。


「…ミナか、お前こっ「ミ、ミナ!殿下からね!牧場について変更する様に指示がっ、あばぁあばぁあばば!?!?」…ちょっとアリアちゃん?!落ち着いて、落ち着いて?!」


アリアの態度にミナは慌てながらも、話を聞き始めた。


「…また、費用が嵩みますね。でも、まあ、言われてる事は確かにわかりますので、サイドルール様に報告して、どう対応するか考えさせて貰いますね」


「あぁ、頼んだぞ!……で、これが田畑?」


ミナの返答に気を良くした俺は、農地計画地を見て言う。


「そうですね、今日から作り出したので完成する迄には、1月って所ですね」


「早いな、あのロープで囲っている範囲を全て耕すんだろ?」


重機も使わずに素早く工事を完了させれるのは、やはり凄いと思う。


「そうなりますね、まあ、田畑間に収穫する際に荷馬車にそのまま積み込める様に5m幅の馬車道を縦横に其々5本ずつ通す事と、縦側についてのみ、馬車道と並行して用水路を通すつもりなので、全ての面積が田畑になる訳ではありませんよ」


「…そうか、そう考えると逆に狭いのかな?」


「十分に大きいですよ、一体何を作るのか、と農夫の方達が驚く位には…。冬の家畜の餌を考えると、麦を植えるのは必須ですね、殿下は何か植えたい物とか希望ありますか?」


「ジャガイモだな。ポテトチップスが食いたいし、な」


「ポテトチップス?良く分かりませんが、ジャガイモは検討しますね」


「あぁ、頼んだ。しっ、これで大体領内は見学出来たし、城に戻って昼にするか…。行くぞ!アリア!」


「はい、殿下〜ぁ!」


「…また仕事が増えてしまいましたよ。もう牧場はサイドルール様にお任せしちゃうことにしましょう」


「…手伝ってはくれんのか?」


「わわっ?!サイドルール様?何時の間に居たんですか!?」


「…ずっとじゃ、殿下が心配だったので後を付けておったんのだ。牧場の件は聞いておった。後から殿下の方へ概算を出す様に手配しておこう。……しかし仕事は減らんな、此処のところ増えるばかりじゃ」


「まあ、開発が開拓ってくらいな規模になってますからね」


「……そうだな、腰を据えてやらねばならん」

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