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20話

「ジオラルド・ナルニート様!ここに復活っ!!」


「殿下、これが現在のサファリ領内にてで、掛かっている全ての経費になります」


ミナが手渡してきた1枚の資料に目をやると、そこには数字と文字の羅列があった。


「………ふんふん、そうか、こういうことか」


いや、全く字が読めんから解らん。とはミナに言えない状況だ。

何が駄目だったのか、サファリ領に居城を移してからのこの2ヶ月、いやもう3ヶ月目なるか、ジオジークに負わされた怪我の療養という訳で、城内で何をするでもなく、城のバルコニーから領内の開発状況を見ていた。


領内を5、6名の建築士と思われる男達を連れて歩くミナの姿。

運河の川底を掘り進めている箇所で、これまた建築士と思われる男1名と話しているサイドルール。

作業員宿舎にて大工と話しているリナ。

城の丘下周辺の石切り場にて、何かの資料を片手に持ちつつ、男と話しているアリア。

馬車に乗り採掘をしている岩山の方へと向って行くカトナ。


そして最後に、この領地の主であり、上の面々達を纏める男……。


「簡単に説明すると、前回報告した予算内容に1ヶ月目に実質に掛かった経費を元に1年間掛かると思われる費用を算出しています。道工具及び材料費については、都度購入という形を取っているので、購入する度に追加という形で記載させていただきます。後諸々の変更点は当初は……


建築士15人

年間一人当たり銀貨80枚

30×80=2400枚 金貨24枚

開発2ヶ月目にての追加増員15人

金貨24枚

石切り30人

年間一人当たり銀貨60枚

30×60=1800枚 金貨18枚

開発2ヶ月目にての追加増員100人

金貨60枚

大工30人

年間一人当たり銀貨60枚

30×60=1800枚 金貨18枚

開発2ヶ月目にての追加増員30人

金貨18枚

家事手伝い30人

年間一人当たり銀貨50枚

30×50=1500枚 金貨15枚

開発2ヶ月目にての追加増員15人

金貨7枚と銀貨50枚

食料品及びその他

金貨2枚→実質金貨7枚と銀貨56枚

(1月にて1名当たりを銅貨6枚を消費により、予算修正実施)

開発2ヶ月目にての追加費用(160名分)

金貨11枚と銀貨52枚


道工具及び材料費購入費用実質

銀貨60枚


第一回予算変更分合計

金貨83枚、銀貨16枚

資金残高、金貨916枚、銀貨84枚


第二回予算変更分合計

金貨113枚、銀貨52枚

資金残高、金貨803枚、銀貨32枚


合計金額、金貨196枚、銀貨68枚

追加資金、金貨500枚

資金残高、金貨1303枚、銀貨68枚」


「お、おう。………俺様、復活っ!!」


そうこの俺、ジオラルド・ナルニート様だ。

ちなみに俺は今日、医師により折れていた足についても、完治したと言われて復活を皆にアピールしているところだ。


「…現場のサファリ領の開発状況を纏めた資料が此方です。説明すると………


運河の掘削作業と並行して行われている石積み作業の進捗状況について、1区画にて1月に50m程度ずつで進捗しています。3区画に別れて作業を行っていますので、1月に150mの進捗になりますね。此れにはモグラとプレーリードッグ等のルーツを持つ獣人を多く雇えた事が功を奏していますね。彼等は道具がなくても穴が掘れるのですが、専用の道具を与える事でその早さを向上することが出来ました」


そう言って俺に資料を渡してくるミナ、何故だろうか、先程から俺の言葉が彼女に届いていない気がするのだが…。


「…いや、ミナ?あのね、俺、全快したよ?」


再度、ミナの目を見て俺がそう言うと、ミナは一度だけその視線を俺の瞳に移して、瞬く間に直ぐに資料へと再び視線を戻すと話し出した。


「はい、現状の進捗状況で行けば、2年と5ヶ月で運河が完成することになります。ただ、途中、途中にて都度河に流れる水流の方向を作業場所へと流れ込まない様に、別途工事をしながら作業をしていますので、完成した場所の水の通水と、工事する場所の水の咳止めに時間が掛かる事を踏まえると、運河の完成迄は、やはり3年は掛かりそうですね」


ミナは資料のポイント毎に、そうして語りながら、資料に書かれている文字と数値を指差しつつ俺に教えてくれている。


「…そうなんだ。っていうか俺の事無視してる?」


俺のそんな問いに答えることはなく、ミナは資料から目を逸らさずに、続きを話し出した。


「…続いて、領地内の区分化についてですが、現在この様に区画を別ける事を考えています。やはり緊急事態が起きた際に住民が避難する事を踏まえ考えると、住居については、サファリ城の近くが良いと考え、そちらに配置しています。一方で、農業と酪農用地については、臭いも有ることから極力領地の端へと考えて、日当たりも良い南側へ其々を配置しました」


区画化については、その利用する用途に寄って場所を決めることが重要になるもんな。

ミナが言っている通りで問題もなさそうだし、俺も良く解んねぇーから、まあ、任せて置くことにしよう。


「そして鍛冶屋については、冷却に水を使うこと、使用した後に水が汚れる事を考えて、運河の下流側に配置を、商会と市場やその他の政務期間については、他の領地との利便性及び、不特定多数の人間が出入りする事の警備の観点から、領地の王都側に近い入口へと配置を行うこととなりました」


そうか、市場等の人が多く出入りする場所では、犯罪者も人混みに紛れて犯行もやり易くなるもんな。

そう考えると態々、領地の中心に市場を置く必要もないか、場所が領地の王都側の入口ということもあり、反対側から来る人達に取っては手間かも知れないが、警備に対する人員を割くことを考えればそれも仕方が無いことかな。


「区画化について、殿下から何か意見はありますか?」


ミナからの報告が終わったのか、そう聞かれるも、特に反対する様な箇所は無かった為、俺は左右に首を振りながら意見がないことを伝えつつ、ミナに再度、自分の全快をアピールしてみることにした。


「いや特にはないよ。それよりもミナ、俺を見てみろよ!怪我が全快したんだぜ?!」


「…そうですか、良かったですね。後、報告することは…っと!そうですね、ラルド粘土についての話がありました」


軽く俺の言葉を流された事も気になるが、はて、ラルド粘土とは何の事だろうか?


「…何だ、そのラルド粘土って、何か俺の名前をモジッたみたいな粘土は?」


「…殿下の提案により出来た品ですからね、ほら、前に石灰を使って硬い粘土を作ると言っていたでしょ?あれを商品化したんですよ」


そうか、あの白い岩山を見つつ、そんな話をミナとした事があったな。


「…あぁ、本当に出来たんだな。それで名前がラルド粘土とか、お前俺の事馬鹿にしてんじゃないのか?仮にも王族の名前だぞ?」


「してはませんよ。殿下が喜ぶかと思って名付けたんですけど、ダメでしたか?」


「そ、そうなのか、俺のことを考えてくれてその名前に…」


「それで、そのラルド粘土ですが、使用勝手が良い為、商品化したところ、爆発的な売る事が出来ました」


「へぇーどれくらいだ?」


「1kgを5ペレットで30kgを一袋として販売していますので、一袋150ペレットです、採掘する為の人員を100名雇用しており、採掘量は1日40tでラルド粘土の生産量は1日300袋ですね。また石の状態のままで、同じ値段でもいいから売って欲しいという商会もありますので、採掘した分については、全て売れますが、運河の建設にも使用する為、ラルド粘土については半分を領内にて消費し、残りの半分と、原石を商会へ卸しています。具体的には………。


売り上げ計画値

原石売り上げ

30t×1000kg×5ペレット×365日=金貨54枚、銀貨75枚

ラルド粘土売り上げ

150袋×150ペレット×365日=金貨8枚、銀貨21枚、銅貨2枚、ペレット5枚


合計売上、金貨62枚、銀貨96枚、銅貨21枚、銅貨2枚、ペレット5枚


年間支出

石切り100人

年間一人当たり銀貨60枚

100×60=6000枚 金貨60枚

食料品及びその他

銀貨60枚


……となっており、金貨2枚、銀貨36枚、銅貨21枚、銅貨2枚、ペレット5枚の売り上げとなります。利益があまり出ていない様なものですが、それは生産しているラルド粘土の半分を運河に回しているからとお考え下さい」


うんうん、出すばがりでなく、少しは戻って来ていると分かっただけでも良かった。


「この調子なら上手いこと行きそうだな!」


「そうですね、今の所は順調に進んでいますよ。来月からは酪農が開始しますし、農地の造成も開始しますから、更に人員を増やす事になりますので、宜しくお願いします」


ミナはそう言って俺に頭を下げると、直ぐに踵を翻して部屋から出て行ってしまった。


「…最近の俺のポジションが、何処にあるのか見えない件」


一つだけ今日はっきりしたこと、それは俺に領地経営をやる手腕がないことだろう。


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