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14話

それは突如としてナルニートシティの空へと現れた!


『バッナァナァ!!!アゲマセェーン!アゲマセェーン!』


己を誇示するかの様にナルニートシティ上空を飛空し、咆哮をあげる怪獣!ミリィーゲス!


逃げ惑うナルニートシティの人々達!!そんな中にただ1人だけ、逃げ惑う人々の波に逆らいながら怪獣ミリィーゲスへと走って行く男がいた!


「「「待って殿下!(あたし)達も連れてって!!」」」


そんな男を後ろから追い駆けてきたのは3人の少女達であった。

まだ幼いながらも、成長すれば美人へとなるだろう少女達は、男のその背中へと抱きついて叫ぶ!


「それはダメだ!何故なら、危険すぎる!」


少女達の声を聞いても直、男は少女達に振り返ることはなく、一言そう言って少女達を優しく振り払い言う。


「「「でもっ(あたし)達!殿下のことがッツ!」」」


少女達はその綺麗な瞳に涙を浮かべ、男へ自分達の心のトゥルーラヴァーを伝え様とするが!


「…チッ、チッチッチ!馬鹿なこと言っちゃいけねぇ、こんな命知らずな俺に、君達の様なスィーツは甘過ぎるぜ(キッラーァン!)」


男が、此処に来て初めて少女達へと振り返った。


そして男、いや!決戦兵器超獣王戦士ジオラルガーが歯に衣着せぬ物言いで、その煌びやかな犬歯を見せ微笑みそう言った!


「「「どっきゅーん!!?」」」


その微笑みがより一層、少女達の想いを強くする事に気付くことなく、決戦兵器超獣王戦士ジオラルガーは少女達を置いて、再び走り出した!


「俺がっ!俺がやらなきゃ!誰がやる!!」


次回!鳥か?小鳥か!?バナナか!!美味いのはどれだ!!?決戦兵器超獣王戦士ジオラルガー感動の最終回!好期待!!


「…っという夢をな見たんだよ。っあ、ミリィーゲスってのがお前のこと、な」


「……ぶっ殺しますよっ?!!誰が怪獣ミリィーゲスですか!もうそれ唯の悪口ですからね?」


王城へと向かう馬車の中、俺はミナへと今日の朝に見たばかりの夢の話を教えていた。


因みに馬車の中には俺と怪獣ミリィーゲスの他にサイドルールも居るが、サイドルールは先程から式典の段取りについて何度もチェックを行っていた。


「…そんなに何度も書状を見ても、褒美を貰って帰るだけなんだから、意味ないぞ、サイドルール?」


「しかし殿下、今回は殿下が初の公けの場に出るという晴れ舞台!このサイドルール、一寸のミスさえも許されませぬ!!」


如何して其処まで気負うのかは、知らないが例え王城にて、サイドルールが失敗したからといって俺は何もするつもりもないのだが、何故なら彼には本当に世話になっているから…。


「いや、別に失敗しても俺は許すけど?」


「そういう問題では御座いませぬ!」


そう思って気を使って言ったつもりが、余計にサイドルールの気負いを増させることになるとは思わなかった。


「いや、じゃあ誰に許されないつ心算なんだよ、お前は…」


と言うか主人である俺が許す許さないというのが問題でないなら、それはもう問題ではないと思う。


「…殿下、サイドルール様もその内落ち着くと思いますから、それよりも報奨金の分前の話を!!」


「……何故にお前にやらにゃーならんのだ?」


そしてもう1人の部下と言えば、頭の中が金貨で一杯な状態である。


「それはもう、何時もお疲れミナ!みたいな感じでくれれば十分なんで!?」


「…考えるだけ考えよう。多分やらんが、な」


お疲れ様のお金は俺でなく、俺にお前を付けている王家から支給されてる筈だ。


俺からは言葉以外に、追加で誰かに金を渡す気などない。


「ぶぅーっ!ケチですね!?それでも王族ですか!?」


「懐が広かろうが狭かろうが、血さえ流れてりゃ王族だよ」


本当にただの血統だけの問題だしな。


そんなことを延々とやりとりしていると、漸く王城に着いた。


馬車の中から王城を見上げると、ジオジーク宮殿と同じ色の城が其処にあった。


「…王城も白いんだな、やはりシロクマの血統だからか?」


「でしょうね、数年に一度塗り替えること考えると、白は高く付きますよ。しかもあんな良い色だと特に値段が張りますね」


「…そうなのか、平民の年収の何倍位なんだろうな塗り替え費用って?」


こんなに大きな城の塗装の塗り替えが数年に一度の規模で有ることに驚くと同時に、どれ位の金額でそれが出来るのかと思いミナへと尋ねてみる。


「ざっと200人分位ですかね。さてこれは金貨で何枚になりますか?」


藪蛇であった。えーっと平民の年収が銀貨80枚程度だったから、それに200人分を掛けて、銀貨16000枚だろ?そして銀貨が1000枚で金貨1枚だったか?そうだよな?えーっとだから……。


「……えっと、16枚だな?」


「0が一つ足りませんよ、ちゃんと覚えて下さいね?」


「了解致しました!」


まだまだ勉強が必要で有ることが分かった。


「ようこそっ!いらっしゃいました!ジオラルド殿下!!わたしはっ!陛下の側近をしております!フルーガと申します!では!早速!陛下の元へっ!!お二人もご一緒にとの事です!」


王城の中庭にある宮殿への正門の前で馬車から降りると、其処には派手な虎柄の服を来た大柄の男が俺達を待ち受けていた。


その男へと声を掛ける直前に、サイドルールが声を潜めて、俺とミナに囁いてきた。


「…フルーガ・ガットストン、見た目の洋服通りに虎の血統の持ち主です。気性が荒いので、二人とも気を付けて」


「「はい」」


ただでさえ暑苦しそうな奴であるのに、その上に気性まで荒いとか、困ったちゃんな奴である。


「陛下っ!今!連れて参りましたぞ!!」


「…あぁ、通せ」


心なしか、親父の返答も疲れている様に聞こえてしまうのは、俺がフルーガが苦手な為か、親父が本当に疲れている為なのか、どちらなのであろうか?


「陛下、お目通り頂き「よい、少しデカくなったなジオラルド?」えっ、そうかな?」


一先ず事前にサイドルールに教えて貰っていた口上を述べてしまおうと思い、その場に屈んで話出した途端、親父によりそれは制止された。


まあ、相手が構わないと言うのならら何時も通りに話してしまおう。

その方が俺にしても楽なのだからな。


「あぁ、前にジオジーク宮殿で会った際より身長が伸びているぞ」


「…おぉ!そうか!?それは良かった!自分じゃ分からなくて!」


自分の身長が順調に伸びている事を知り、嬉しい気持ちになった。

ってきり、このまま小さいままでなのでは?とかちょっとだけ思っていたのだ。


「「で、でででで、殿下!いけませんっ!陛下が良いと言ったからと言って、態度を崩しては?!?!」」


「えっ、そうなの?」


俺が早々と親父に対等な口調で話している事を、漸く緊張で固まっていたサイドルールとミナが気付いたのか、早速注意されてしまう。


やはりダメなのだろうか?そう思って再度、親父へと話を振る。


「構わんぞ、サイドルール久し振りだな。よくやってくれていると聞いている。そしてそっちの少女がミリィーナ・パロマウントだったな、ジオラルドに契りの証をつけられたとか、苦労をかけた」


「「はいっ!有り難きお言葉っ!!」」


当然、当の親父が良いと言っているので、駄目だとなる筈もなく、再度、許可を貰ったことで安心して話せる様になった。


親父はサイドルールとミナに、よく頑張っているとかそんな事を言っていた。


「さて、ジオラルド。少ないがこれは報奨金だ。金貨1000枚入っている。好きに使え」


そう顎で自分の足元にある宝箱をさしながら親父は言った。


えっ、金貨1000枚?城の壁を何度塗り替えれますか、それ?


「「!!?!」」


その金額に度肝を抜かれたのか、サイドルールとミナは金貨入った箱を凝視したまま驚き黙り込んでしまった。


「これだけあれば城買えるかな?」


「何だ?お前の城なら2年もすれば新しいのが建つぞ」


「どうもジオジークと仲が悪くって、いずらいんだよな。だからこれで自分の城買っても良いかな?」


そう最近では、会う度に睨まれたり、すれ違い様に鼻をふんっ!と鳴らされることに嫌気がさしていた俺は、この金で城を買えるなら買ってしまい、早いことあのジオジーク宮殿から出て行ってしまいたかったのだ。


「……仲違いか、まあお前の金だ。自由にするといい。一つ言っておく、王位が欲しくば兄弟だろうと遠慮するな。お前に何かやりたい事があるなら、まずこの国の天下を取れ」


「………王位ねぇ」


別に王に成りたい訳ではなく、嫌な奴の側にいなくても良い様にしたいだけなのであるが…。


「王にならねばジオジークの命令を聞かねばならぬぞ?」


「……うーん、取り敢えず城の件は好きに買っていいんだな?」


ジオジークが王になり俺に命令、そんなことになった暁には大変な人生になりそうだ。


これは少し真面目に王を目指してみるべきなのかもしれない。


「構わん、ある程度の自由は親である俺が居る内は認めてやる。お前だけに限らず他の息子達にもそう言ってある。…所でジオラルド、ケーキはまだ好きか?」


「うん!食べるっ!!」


ケーキと言えば、以前食べたあの美味しかった物を思い出した俺は、それに即座に答えた。


「そうか、なら付いて来い。茶にしよう!今日は丁度、お前の母も来ていることだし、逢わせてやろう!フルーガ、お前はその2人に報奨金を渡して相手をしておけ」


へっ、お袋?…お袋に逢わせる?

何故こんな時にと思いながらも、メルノーラ様みたいなツンデレで、可愛い人が良いな。そう期待して親父の背に着いて行くことにした。


「はいっ!陛下!このフルーガッ!お二人の相手を全力で努めさせて頂きますっ!!!」


「…なあ、陛下?」


「馬鹿者、親子しか居らぬ場では父と呼ばずに何時、俺を父と呼ぶつもりだ?」


俺がそう呼び掛けると、親父は直ぐに歩みを止めて俺へと振り返ると、真剣な表情でそう言った。


「わかったよ、親父。それでさお袋ってどんな奴なの?」


「…お前によく似ている。ほらっ、あれだ」


俺がお袋の事を尋ねると、既にお袋は目と鼻の先に居た。


「…ジークムント、偉く遅かったね。……何だいそのガキは?」


何だこのゴリラは…。一体全体何処がどうこのプリティーな俺に似ているのか…。


嫌まさかな、これが親の母親な訳ないわ。だってこれゴリラだろ?


「…お前の子供だ。アーティア」


………母ちゃん、なのか?!!


「へぇ、もう立てるのかよ?んん、オーラバーストが使えるのかお前?」


庭の置石の上でうんこ座りしていたお袋が立ち上がり、…で、でけぇ?!2m越えてるだろ、これ!?


数百キロはありそうな巨体を揺らしながら此方へと歩んで来ると、俺の前に顔を突き出して、匂いを嗅ぎ始めた。


…く、喰われたりしないだろうな。

俺の尻尾は警戒してか、レーダーのアンテナの様に直立し反応している。


数秒して、俺にすると数百秒に感じられたが、匂いを嗅ぎ何かが分かったのか、アーティアと名付けられたゴリラは、背筋を伸ばして腕を組みながら言った。


身体を動かされる度に筋肉がギシッギシッと音を立てている。


何故か俺の成長が異様に早い理由が分かった気がする。


完璧にこのゴリラのアーティアの影響である。


「…お前ではなく、ジオラルドだ。アーティア」


「名前なんざ如何でもいいさ、興味もないしね。…そうか、選りに選ってあたしの血統を継いだ訳だ」


そう言ってゴリラが鼻を一つ鳴らした時、周囲にあった庭の花が蕾ごと散った。


メルノーラ様とは格が違う。違い過ぎてチビリそうだ。


俺はこのまま獣人化せずに、生身でいてサイドルール達の元へ生きて帰れるのだろうか?


「….俺の血統も継いでいるがな」


「あぁ、あの毛虫を倒した奴か、それがあたしの子供ってわけかい、確か噂のガキなら、獣人化も出来るわけだ!そいつぁ、面白いね!はっはは!!」


「…何、親父、この人メッチャ怖いんだけど。食われないよね!俺、喰われないよね?」


ゴリラが笑った瞬間、空気が震えた。そして俺の相棒も震えたことにより、少し迸った。


ゆっくりと親父の背中の方へと、ジリジリと移動して行く。最悪は親父を盾にして逃げよう。


「アーティアはオオカミの血統を引く一族の長だ。しかも純血種のな。本能的に察しているんだろう、アーティアの強さを…」


「くっくくく、あたしに怯えて何が王族だい?あたしの子供癖に随分とまぁ、甘ちゃんなんだねぇー」


「…ご、ごめんなさい!」


でも怖いもんは怖いですっ!!だから俺に近付かないでください!


「お前の弟の方が強くなるんじゃないかい?」


「えっ?弟居るの俺に?」


親父が俺をこのゴリラと二人で作ったことにも驚くが、更にもう一度、このゴリラにチャレンジするとは、流石は王である。


さぞかしブス専なのであろう。


「アーティアの腹の中に居るそうだ。…もっとも俺の子ではなく、オオカミの血統の純血種だろうな」


「えっ?浮気?浮気されてんの親父?!」


王妃が浮気していいのか!?っていうかゴリラじゃなくて、本当にオオカミが血統で有っているのか?DNAを鑑定した方が俺は良いと思う。


「浮気か、それで括るならば、そもそもが俺が浮気相手だろうな。アーティアはお前の他にも25人の子供が居る、腹の子を含めば更に1人追加だ」


「……何て言うか、凄いのな。母ちゃんって」


とことん無計画な女であった。

そしてそれが俺の母という、精神的ダメージがデカイわ!!?


「…アーティアは基本的に産んだらその子供を一族に預け、自分は一切子供に興味もない。そんな女だ。興味が有るのは自分よりも強い男だけだ。それはこの国に俺とアーティアの父しか居ない。…言ってる意味分かるか?」


「…分かるけど解らない」


でも他に兄弟がいる理由は聞かない方が懸命だと言うことはわかる。


そしてこのゴリラは子育てには向いていない事も分かる。


「…まあ、知らなければ悩んだままとなったかもしれんが、知ってしまえば、もう母としてアーティアに何の期待していないだろ?」


「…確かに」


「その見切りが付けられればいい。その為に俺はお前にアーティアを逢わせた」


「…区切りは付いたよ」


「それでいい」


その為に俺にこのゴリラを逢わせたということなのだろう。

その後、ゴリラはふらっと立ち上がると何も言わずに山へ帰ってしまった。


その後に食べたケーキはあまり美味しくは感じられなかった。


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