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13話

目が覚めると目の前にカトナの顔がありました。


思わず飛び起きて完全獣人化しつつ、部屋の中央で雄叫びをあげた俺は悪くないと思う。


カトナがそんな俺にビックリして、半泣きになっているのに気付いて、ちょっと申し訳なくて、ちょっと萌えた。


「朝からうるせぇーですよ!殿下ッツ!!!」


次の瞬間、ミナのオーラバーストにより床に叩きつけられて、頭にたんこぶ出来るまで気分は上々だった。


「…殿下、未熟者なあたしですが、今日も1日、宜しくお願いします」


落ち着きを取り戻して、俺に頭を下げつつ言うカトナ。


そうなのか、未熟者なのか〜とエロい妄想に浸っていたのが悪かった。


「お、おうっ!カトナ、俺も経験ないんだ!」


「えっ?….経験ですか?何のでしょうか?」


…カトナに変な風に返答してしまった。最近、ミナに頭を叩かれ過ぎて、頭が現実と妄想の区別がつかん様になってきているのやも…。


「言わせる気っ?!……っとダメだ!駄目だったら!落ち着くんだ俺……」


っていうかカトナ、俺の口からそれを言わせる気かっ!と興奮し、再度獣人化しそうになる自分を落ち着けつつ、深呼吸していると、部屋の中にオヤツが飛んでいた。


「ピーぃ!ピーぃ!ピッピー!!」


「ん、おやつ?」


さっ!と手を伸ばしオヤツを捕まえ様とした時、俺の手よりも早くオヤツに手を伸ばしたカトナの両手が、俺より先に小鳥を捕まえてしまった。


「ち、違いますっ!この子は殿下に頂いたピースケですよ」


「あぁ、食わなかったのか?」


例のあの時の小鳥か、まだカトナが食っていなかった事に少し驚きつつ、少し成長して骨ぼったくなったピースケとやらを見る。


「その着眼点は永遠に、共有することのない視点です」


「…骨ぼったくなったなぁ」


骨が太くなると身がただで少ないのに、それに加えて肉も固くなるので美味くないのだ。


「……ピースケを食べないで下さいね?」


…カトナが良いと言うまで我慢くらいは出来るよ。


「えーっと、カトナ。今日は何をするんだったかな?」


「はい、本日はナルニート国の成り立ちと、国の細々とした取り決めを勉強したいと考えています。既に殿下も聞いていて知っていることもあるとは思いますが、確認の為と考えて頂いて、拝聴して頂ければ幸いです」


「あぁ、解らない所はその都度聞いた方がいいか?それとも後で纏めた方がいいか?」


「…あたしはどちらでも大丈夫ですので、それは殿下のやり易い方でお願いします」


「そっか、…ならその都度、不明点は質問させて貰うな」


「はい、畏まりました。…それでは最初はズーランド大陸の成り立ちを説明させて頂きます」


「有史以前、…その前に有史とはズーランド大陸に六獣王国が建国されてからの歴史、六獣王国が建国される前の事を有史以前と便宜上言わせて頂きますね」


つまり六獣王国が建国されてから、歴史を書き記し残しだし始めたから有史、それ以前は残してないのか、残っていないだけなのかは分からないが、記載した物がない為、有史以前と呼称するってことだな。


「あぁ、分かった」


「はい、有史以前の遥か昔よりズーランド大陸に獣人は住んでいましたが、それは現在の人口と比較すると凡そで3割程度だったと言われています。人口が少なかった原因は、獣人のルーツが其々違い、種族間の対立を産んでいた事が原因とされる説もありますが、一般的に知られているのは御伽噺にもなっている有史以前にズーランド大陸を支配していた闇の者達の存在が原因と言われています」


「獣人のルーツと言うと、確か俺のシロクマや、カトナ達のウサギ、リナのチーターっていう血統のことだよな?」


確か以前にミナにそんな事を聞いたことがあった気がする。


「そうです。ルーツとは獣人達の受け継ぐ血統を表しています。有史以前はその血統ごとの縄張り意識が高く、血統ごとの派閥化が進んでおり、対立することも頻繁にあったとか…。そしてもう一つ説明しなければならないのが闇の者達の事です」


「彼ら、いえそもそも性別が有るのかすら分かっていないので、呼称がこれで合っているのかは解りませんが、ここでは便宜上、そう言わせて頂きますが、彼らはその身が金属で出来た生命体と考えられています。闇の者達にも種族、いえ種類でしょうね。があり、其々アーツ、ハイアーツ、ポインター、コマンド、ロード、そして単一種であるマザーフィフスという種族構成をしていたそうです」


「…金属で出来た生命体?グラノドワームみたいな感じかな?」


「いえ、以前にあたしが見たことのある挿絵には、生物的な特徴は一切見受けられず、その身が全て、そんな事はあり得ないとは思うのですけど…。まるで金属を溶かして型抜きして組み立てたのでは?と思える程に鉱石とレアメタルのみでその身が出来ている様に書かれてました」


…それはそのままロボットってことじゃないのか?もしそれがロボットだとしたら有史以前にはロボットを作れるだけの文明があったということになる。


それにあの時の変なマナが言っていた日本語と英語はマナに影響を与えるってことを考えると、その闇の者達とも無関係とは言えないのではないだろうか?


「…闇の者達か、その死体とかは残ってないのか?」


身体が金属で出来ているのなら、何体かの死体、というかパーツくらいは残っていそうなものだが…。


「現存はしてはいないですね、闇の者達が死ぬと2、3週間でワーム種がその死体を喰らってしまうとの事です。彼等の身体はワームにとっては御馳走ですからね」


「…そうなのか、一目見れば判断出来そうなもんなんだが、無いなら仕方がないか、それで種類ごとに特徴があったりするのか?」


「はい、あります。まずアーツとハイアーツですが、アーツは大きさ1.5m程度と小柄で、その体表面が銀色のレアメタルで覆われているのですが、見た目は人間の皮と肉を削いだ後の骸骨によく似ています。ハイアーツは体表面はアーツと同様ですが、大きさが2m程度あったとのことです。そして見た目が人間でなく、我々獣人の骨格に似ていたとのことです。…一般的には彼等を見て闇の者達と指します。そして彼等は知能が発達していない様で、ポインターという種類の闇の者達に指示されて動きます」


「……本当にロボットだったんじゃないのかそれって」


「何か、問題がありましたか殿下?」


「いや、何もないよ。続けてくれ」


「はい、ポインターは、アーツ、ハイアーツを其々10体ずつごとに1体の割合でいたとのことです。体長1.5m程の大きさでアーツに鎧を着せた様な物です。そしてコマンドですが、これは体長が3m程度と非常に大きく、一体だけで村や街を制圧する程だった様です」


コマンドってのは拠点強襲型ってことか…。話を聞けば聞く程にロボットっぽくなっていくな。


「そしてロードですが、ズーランド大陸では6体が確認されています。闇の者達で唯一意識を持ち、自らをロードと名乗り意思の赴くままに大陸中を暴れ回っていたとのことです。彼等の姿形は、其々で全く異なっていたとの記載が石碑に残されてあります」


感情のあるロボットか…。

しかし有るにはしてももう少し平和な感情を持たすことは出来なかったのだろうか?

サイバー映画である様な、コンピュータが暴走して人類絶滅へ向かったとかの結果がこの世界だったりしてな。


「最後に単一種であるマザーフィフスですが、初代の六獣王達からの目撃情報だけしかない存在の為、その概要は殆ど知られていませんが、ロード以外の闇の者達を産む力を持っていたと言われています」


マザーフィフス…、恐らくはロボットを製造するプラントを管理していた個体と考えれば、ズーランド大陸で一体しか居なかったということも理解出来るな。


「…ふむ、じゃあどうして闇の者達と獣人達は争うことになったんだ?」


「それも分かってはいませんが、闇の者は獣人を襲う習性があり、和解は無理と判断したという記載があるのを見たことがあります」


…習性、というかプログラムなんだろうな。問題は誰がそんな命令を下したのか、だけどな。

本当にコンピュータの暴走の結果、ではないよな?


「…続いて初代六獣王様についてですが、世界が闇の者達に支配されている時代に、ズーランド大陸から闇の者を退けた六人の英雄達の事を言います」


「六人の英雄は其々、シロサイ、シロクマ、ライオン、アフリカゾウ、セイウチ、ホオジロザメという古代の獣の血を受け継ぐ一族でした。当時この6種類の血統の一族がズーランドでも別格の戦闘力を有していたそうです」


「この6人の獣人達を筆頭に闇の者を倒した後、国が建国されてズーランド大陸に六人の獣王が居ることから、六獣王様と言われる様になりました。当時の王達は全員が完全獣人化を扱えていたとのことです」


よく聞く英雄譚、そのままな内容だな。


「これが有史以前のことになりますね。そして有史以来についてですが、ここからはナルニート国に限定させて話をさせて頂きます」


「ナルニート国は、初代国王ジオナ・ナルニート様が建国された国になります。名前から解る通り初代国王は女性でした」


「へぇ、そうだったのか!?」


初代が女王とは、それは嫁の行き所を見つけるのが大変だっただろうな。


ミナ曰く、自分より強い女の獣人は嫌煙されると言っていたし、な。


「はい、そしてジオナ様がオオカミの血統を持つラルド様と婚姻された結果出来たご子息が、ズーランド大陸で初めての混血の獣人となりました」


「そのご子息の名前は、陛下と同じでジオラルド様と言います。ジオラルド様は混血でありながら完全獣人化を扱えており、六獣王国最強と言われたお方だったそうです。しかし物凄く奔放な性格だった様で、国内に居たのは、僅か4年程度だったとか」


「4年て凄いな、ってか何処に行ったんだよ?」


齢4歳で親元を立つなんて、俺の様に身体の成長が異様に早くて前世の記憶でもなければ無理だと思うんだけど…。


「…はい、其処からの行方は不明なのですが、人間の住んでいる大陸の方で勇者と旅を共にする心強き獣人がおり、その命と引き換えに勇者が魔王を倒すのを助けたという伝承がある様です」


「人間の大陸では、金色のパープルアイの二つ名で呼ばれていたそうです…」


「恥ずかしい二つ名だな、おい?」


なんて厨ニ病な二つ名だよ!?


「文献に残る資料を見る限り、少し殿下に似てますよね?」


「…俺は4、5歳で海を渡ろうとは思わないよ」


そんな厨ニ病の奴に似てるとか言われてもちっとも嬉しくない件。


「そうですね」


なんだその顔は、俺なら海を渡りそうですね。とか思っていそうな、その表情は!!?


失礼にも程がある件。


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