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12話

朝、久し振りにミナに起こされ、正装への着替えを手伝って貰い、朝食を食べて部屋に戻るとミナがいる。


今まで当たり前だったことの筈が、お互いに二人きりというのが久し振りな性か、微妙な空気となっていた。


「…なんか久し振りですね、こうして二人でいるのって?」


「確かに、俺は少し驚いてる」


ミナが声を掛けて来てくれたお陰で、雰囲気が少し何時も通りのものへと戻り出す。


「ん、何がです?」


「ミナが経済の事を教えれるレベルに頭が良いってことにだ」


そして俺がミナに軽口を言って、ミナがそれに応える様に怒ることで、何時もの俺達の関係へとなる。


ぱっしーん!

「ブン殴りますよ?…もう殴りましたけど」


強かに叩かれた頭に手を乗せて摩りながら、タンコブが頭に出来ない様に願う。


「…少し思うんだ、最近特に」


「ええ、何をですか?」


「俺はまだ生後二ヶ月という世間様で言うところの赤ちゃんな訳だ。実際見た目の大きさも、少しフィジカルが強いだけの、な。そんな俺をパコパコ叩くミナって世間的に見るとどう見えるんだろうな?」


最近、頭を良くミナに叩かれることについて、俺はずっと考えていたのだ。


あれ、これって幼児虐待じゃね?と…。


「…まあ、そうですよね。世間的に見ると虐待、ですかねぇ?ただあたし達、ジオラルド殿下家臣一同からの視点も言っておくと、殿下=規格外=不死身=何でもOKって感じになります」


「…それって言うのはつまり?」


明け透けなまでに正直に気持ちを伝え合える関係であると考えると、それは俺の様な立場の獣人には本当に有難くて大事ことだが、正直、最近はそれが偏り過ぎて、どっちが主人であるのか、家臣あるのかが分からなくなりつつある。


「はい、あたし達からすると死ななきゃ良いじゃん。的な、感じですね」


「部下に恵まれてねぇーな!おい!?」


余りにも部下に慕われていないことについて、今直ぐに何処に掛けて良いのか覚えてもいないが、部下に対する不満について、ダイレクトコールしたくなった。


「そんなことないですよ。ナルニート最強の騎士クリーク様、そのクリーク様と同等とぽっいハロルドさん。そして国の重鎮である筈が、何故か殿下がお産まれになると同時に降格された元国賓、元賢者、元ナルニート法力師団総隊長のサイドルール様です。これだけでも恵まれてると思いますけど?」


「ナルニート最強ってのは、ジオジークの近衛のあの弱い奴じゃないのか?本人が自慢気に自分で言ってたぞ?ってかクリークは兎も角として、ハロルドも微妙な評価じゃねぇーか、何だよ、っぽい?ってのは?それに最後のサイドルールはもう人生色々あり過ぎて、結局凄いのか凄くねぇーのかすら理解が及ばん」


本当に凄いのか、凄くないのか解らない布陣で有ることだけは確かだ。


「ではでは、あたしのターンです!今までの殿下達では為されなかった国を挙げての家臣団、まあつまり世話役の私達の招集、こう自分で言うのも何なんですが、私達って同年代で一番優秀な6人だったんです。自らが子爵位を冠するリナ、子爵家のアリア、男爵家のカトナ、商家の私」


何がお前のターンなのか、そして何時をもって俺のターンがエンドしたのか、ツッコむべき箇所は複数あるが、一先ず今まで公募的なことしなかったのは他の二人の皇子には後ろ盾になってくれる貴族たちがいたからと言われればそれまでじゃないのか?


というか、俺の母親は何処に居るんだよ。意識芽生えてから会ってないよな。メルノーラ様までとは言わずとも、俺のこの顔面偏差値的に、相当美しい女性だと思われる。


率直にいって会いたいわ。会いたくて焦がれて震えちゃうね。というか最初に居た6人の内、残りの2人は何処行った?!ジオラルド宮が崩壊したときにケガでもしたのか?それなら見舞いに行かないと!!


「…後二人は何処行ったんだよ。そう言えば初めて会った時は居たよな?」


彼女達が俺の唯一の良心になるはずだ!!そう思い一度しか会ったことのない、顔も覚えていない少女達に思いを馳せつつ、ミナヘ確認する。


「ティアとハミィですね。私達の中ではカトナの次に其々が優秀な人達でした。2人とも家柄も伯爵家でしたね」


「んで、何で居なくなってるんだ?」


そうかそうか!伯爵令嬢か!これは期待大だな!深淵の令嬢か、はたまた大事に育てられて来た純真無垢な引込み思案な、そしてちょっと病弱な箱入り娘か!!?お見舞いは小鳥でいいかな、一羽と言わずに3羽ずつ捕まえてくか!


「お家の方針がどうだかと言ってましたけどね。ぶっちゃけると、殿下が私なんかに契りの証を授けた性ですね」


「あぁ、そういやそんな事があったけ?」


何で其処でミナと交わした契りが出てくるのかと思いながらも、そんこともあったなぁーと思い出し振り返りつつ言う。


「……簡単に言いますね。こちとら死にかけたんですよっ?!」


「そういや前にサイドルールに言われたな。無闇に人の顔を尻尾で触るなって、顔を触ると契る事になってんのか、獣人って簡単に絆しちゃうんだ?」


それならば知らなきゃ防ぎ用もないだろ?寄って俺は悪くない筈である。だって知らなかったんだからな。


「それはないです。それだと触れる度に契っちゃうじゃないですか。獣人は本能で生まれつき、自分より強い、又は信頼出来る人が本能で解るんです。それで自然と契るんですよ。これは王族は特別で契ると証がこんな風に出ますけど、一般的な獣人もすることですよ」


「証が出るから重要視するのか?」


あぁ、名誉の証みたいな感じね。文明が進んでないこの世界だとそういうのが凄く重要視されそうだな。


「そうですね、この証があると身体能力とかが証を宿した本人に近づきますから、王族の力が一部手に入ると考えるなら誰もが、特に騎士達の様な戦う人は賜わりたがります。その結果があの出来事ですよ、ホント、死ぬかと思いましたからね。殿下の性で!?」


なんと証にはそんな力があったのか、そりゃあ当初のクリークがあそこ迄してミナを害そうとする訳だわ。


「…悪かったな。で、その他の2人がそれとどう関係あるんだ?」


性格が良くて可愛かったら俺は授けちゃうねどね。後でカトナにもあげとこうかな。


「私みたいな何の特筆ものない、ただ世話役として優秀なだけの子供に契る程度と、殿下は彼女達にそう判断されたってことです」


うん、つまるところ俺は彼女達に見限られた訳だ。


「…ダイレクトアタックだな、心が粉砕しそうだよ」


……ティアとハミィ、お前達の名前は絶対に忘れないぞ。


「まあ、でも後悔してんじゃないですか?殿下は基本スペックが異常な上、オーラバースト、完全獣人化までする怪物であったこと、そしてこの間のワーム種を倒し国を救った功績、物凄く後悔してると思いますよ、彼女達の性格なら特に…」


……そのティミィとハミィアがどんな性格なのかは敢えて聞かない方が良いのだろう。


こういう言い方をミナがする時は大抵が悪い方向だからな。でもお前達二人の名前、あれ?何だったっけ?ティムとハムだっけか?いや兎に角!俺は二人の事を絶対に忘れないぞ。


「そういうことだったのか、契りの証にそんな効力まで有ったとはな」


「…そうですね、殿下が強く成れば為る程、私も何時の間にか強くなるんですよ。この間なんて料理作る時にまな板に包丁を振り降ろしたら、厨房の棚ごと切れましたからね。若干8歳にしてオーラバースト使える世話役なんてこの世で私一人ですよ」


「ええっ?!ミナも使えるのかよっ!?」


なんと!俺だけが特別みたいな感じだったのに、ミナまで使えるようになってるとか、それに確かクリークとハロルドも使えるから、全然使えても格好良く見えないではないか!!?


「知らなかったんですか?殿下の頭叩く時は常に纏ってますよ。じゃないと常時オーラバーストで身体を覆ってる殿下に使わずに攻撃したら腕が折れちゃいますからね」


「…そうだったのか、通りで拳とか頭で岩や木をへし折っても痛くないのに、ミナに叩かれると痛い理由が分かったよ」


そういう訳だったのか、と言うか自分の主人を最上位戦闘技能でボコるとは、どういう了見だ。


「殿下、あんまり強く成らないで下さいね?これ以上強く成られると、私のお嫁に行く場所がなくなっちゃいますから、獣人の男は自分より強い女に拒否感を覚えるんですよね」


「そうか、何か悪いことしたな。消せるなら消してやりたいが無理なんだもんな。まあ行き遅れになりそうなら俺が責任持つってことで許してくれ」


「ではその時はお願いしますね。一生優雅に過ごさせて下さいよ!その時は金銀財宝に囲まれて生きてこうと思います」


「そうならねぇーように、王族権限で誰か宛がうわ」


軽々しく責任を取ると言わない方がいいとミナのお陰で学べた。


「早速振られてしまいましたよっ!………さて、じゃあ始めますか」


「おう!宜しく頼むぞ、ミナ」


さて漸く本題の経済のお勉強とやらが始まるのか…。


「はい、先ずはお金の仕組みから説明しますね。基本的にズーランド大陸の貨幣は其々の国で個々に製造されていますが、価値は全ての国で統一されてます」


ズーランド大陸にある6つの国で貨幣が統一されてることに驚く。


「…へぇ、其々の国で製造しているのに価値は統一出来るものなのか?何処かの国が製造し続けたりしたら物価が変動しそうなもんだが?」


そうそんな状態であるなら物価の変動が起きて、色々と問題が発生しそうなものだ。


「そうですね、価値を統一するのならそれは一番に考慮される点です。そんな事が起きても良いように、その貨幣に使用する金属自体にその価値がある材料を使用する事で、その問題は解決出来ます」


「ならその使用してる金属の山脈を多く持っている国の一人勝ちじゃないか?」


「そうですね、山脈を持つ国はそういう意味では有利です。まあ、それは貨幣に関わらず、その他の資源を持っている国にも当てはまりますが、何かを行う、例えば山脈を掘るには人手がいります。人手を雇うにはお金がという話もあるのですが、まあ、作りたければ作れば良いんですよ」


「作ればそれを世間に回さないと意味がないですから、国内消費だけではどの国も立ち行きませんし、まあ、溜め込んだりするのも良いですがね。結局の所、ズーランドにある埋蔵量には限りが有る訳ですから、一国で金属の価値は変える事はまず不可能であり、作り過ぎ様が溜め込んで様が市場に出回っている貨幣の価値は変わらないというのが結論ですかね」


確かに地球でもアラブとか石油が出る資源国は金を持っていた。

だが資源がない国は国で何かしらの手段で外貨を得ていたのだから、資源を持ってる持ってないで全てが決まると言うわけではないということか…。


「貨幣の山脈なんて言い方をしましたけど、実際の所は大陸中に居るグラノドワームから採取されるレアメタルが貨幣の主原料なので、資源を何処が多く持っているなんて事はまあないんですけどね。だってワーム種は大陸中を移動して生きてますからね」


「あぁ、それなら納得だわ」


それならば各国間を移動しているから、何処の国の資源とも言えないだろうしな。


「はい、では続きを、貨幣の種類と其々の価値について説明します。貨幣の種類は、金、銀、銅、ペレット、ズーの5種類の硬化があります。ズー硬化100枚でペレット硬化1枚、ペレット硬化が10枚で銅硬化1枚、銅硬化が10枚で銀硬化1枚、銀硬化100枚で金硬化1枚となります」


「…金銀銅、それにペレットとズー硬化か」


金銀銅は分かり易いな、前世のゲームでも良く扱っていた通貨でもあるし、ただペレットとズー硬化は少し覚えにくい。


「殿下、ここまでは良いですか?」


「うん、大丈夫だ。理解はしてるつもりだ」


ペレットとズー、ペレットとズー。何か繰り返してると、猫とネズミのムービーを思い出すな。


おっと違う違う、ちゃんと覚えないと、トムくんとジェリーちゃん…でなくて、ペレットとズーだったわ。


「…先程も言いましたが貨幣は各国にて製造されているため、其々の国でデザインが違うことも覚えておいてください。金銀銅の硬化については製造の際に硬化のサイズと色がその通りに決められている為、見分けを間違う事はありません。ただペレットとズー硬化は其々の国で、金銀銅以外の色を使用する事と硬化のサイズ以外に取り決めはなく。ぶっちゃけ見分けにくく、帳簿を付ける際に商人泣かせな硬化です」


「…色分けすりゃー良いのにな。その方が効率的だろうに?」


本当に効率が悪いと思い、俺がそう言うとミナも数度縦に首を振りながら俺の意見を肯定する。


「私もその意見には大賛成ですよ。ただまあ、昔からある風習?みたいな物ですので、見分け方さえ分かれば手間が掛かるだけで間違うことはないですよ、ホント面倒なんですけど….、さてその二つの硬化の見分け方ですが、それは硬化の両面どちらか一方を見ることで分かります。丁度、私も持っているので実際に見てみてください」


ミナはそう言うと、服のポケットの中から数十枚の硬化を机の上に広げる。


ジャラジャラジャラ!

「…沢山持ってんのな。本当に白や青や黒まで色取り取りにあるんだな?……あぁ、本当だ色は違うがこの赤と黒の硬化は同じ種類ってことか?」


確かに硬化の色や、個々のデザインの縁取りなど、小さく端の方に書いてある文字、俺にはまだ読めないがに違いがあるが、その中で一つだけ色違いの硬化でも統一してある箇所があった。


これがペレットとズー硬化の見分け方ということだな。


「はい、正解です。硬化両面の中央部に文字が大きく書いてますよね?それはペレットの頭文字でPと読みます。そしてもう一種類がズーの頭文字でZと読みます。こうして一つずつ見分けて区別してから数える訳です。帳簿付ける時に面倒くさそうでしょ?」


「確かにな、数えるのに手間が掛かりそうだな。でも硬化の厚みはどれも綺麗に揃ってる様だけど?」


「良い所に気付きましたね。先程も言いましたが貨幣に使用される金属の価値は其々の硬化で一定です。つまりサイズが固定されているのですから、自ずと同じ厚みになります」


「何だ、じゃあ最初に分けるだけ別けておいて、後は積み重ねて厚みを計ればそれだけで効率もよくなるだろ?」


前世の100円SHOPに丁度そんな様な物が売っていたなぁ、と思い出しながらミナへと言うとらミナは驚いた表情で俺を見ていた。


「殿下、貴方は天才ですか?!…それは盲点でしたね。今度試しに作ってみましょう」


机に置いてあった紙に、俺が口頭で言っただけのその原案を、直ぐにイメージして描き出してしまうあたり、ミナは頭が良いんだろう。


「さて、一区切り着きましたし、残りはお昼からにして、2日続けて遅れない様に早めに正装に着替えて準備しますか」


ミナに言われて正装に着替えてから、部屋の扉を開けると、丁度俺を迎えに来ていたサイドルールに出くわした。


「…流石はミナじゃ、よう時間を考えておる」


「褒めても何も出ませんけどね。じゃあ殿下、お昼からは市場についてお話ししますので、先程まで教えた分については、昼食中に頭の中で整理して置いてくださいね!」


最近のサイドルールとミナの関係は驚く程に改善している。

何と言うか戦友ではないが、お互いに自分達のことを信頼しあっている様に感じる。


「…無茶言うなよ、昼食中だってサイドルールとメルノーラ様の視線だってあるのに、食べることに集中しなきゃ、指摘の嵐なんだぞ」


「それはそれ、これはこれで。では殿下、行ってらっしゃい!」


「…はぁーっ、6日目はこれから何時もこうなるのか、ストレスで禿げそうだ」


食堂に向かう廊下をサイドルールと歩きながら、彼にそう愚痴る様に告げる。


「すいませんな、殿下。今日は如何しても外せぬ用があった為、ミナと日を変えて貰ったのですが…」


「そうだ今日は、本来ならサイドルールと勉強じゃなかったか?何か急用か?」


そう言えば本来であるなら今日はサイドルールが、六獣王家ごとの取り決めなどを教えてくれる予定だったと思い出し、何か問題でもあったのかと思い確認する。


「急用ではなかったのですが、先日のグラノドワームの件にて、陛下が直接殿下に会い、褒美を与えるとの連絡がありました。その返事を書いていたのです。陛下より3日後の昼頃に王城へ来るようにと…」


「…褒美か、一体幾らくらい貰えんのかね?」


態々、王自身が呼び付ける位だ。これは期待しても良いのではないか?そう思いサイドルールへ確認する。


「あのサイズのグラノドワームですから、相当な金額に成るでしょうな」


「使い道ないんだけどな?」


金よりも褒美よりも、以前に王が俺に分けてくれたあの美味しいケーキが食べたい。


食堂の扉の前でサイドルールと、二人で話ながら待っていると、ジオジークが来て開口一番に嫌味を垂れ始める。


「ふん、貴様が私より早く来たのは初めてではないか、先日の件についての謝罪か、今なら聞いてやらないでもないが?」


「……」


もう面倒なので、ジオジークの事は無視することにした。


「…そうか、何時までもそんな態度が続けて居られると思うなよ」


ジオジークがそう言って捨て台詞を吐いて先に食堂の中へと入ってしまった直後、メルノーラ様が食堂に来られた。


「あら?ジオラルド、今日は早く来たのですね。本来ならばこれが当然の順です。良い心掛けですわ、さあ、席に着きなさい」


「はい、メルノーラ様」


メルノーラ様と一緒に食堂へと入り、メルノーラ様が着席したのを確認してから俺も着席しようとしたが、その前にメルノーラ様に着席する様に言われてしまう。


「…母上、先に失礼させていただきます」


「わかりました。昼からも勉強に励みなさいジオラーク、でないとジオラルドに追いつかれますよ」


ジオジークが一足先に昼食を食べ終わったのか、席を立ち上がると、メルノーラ様へそれだけ言って食堂を後にしようとしたが、メルノーラ様が俺とジオジークを比較してそう言った瞬間、ジオジークの雰囲気が変わった。


「ッツ!!?……心得ております。……!!!」


「……」


何ていう目で睨んできてんだよ、このマザコンめっ!


「…そうね、食べ方は良いんじゃないかしら?………えっと、そ、そう!顔よ?顔にあまり品位を感じませんことよっ、気を付けなさいね!ふん!!」


「…今めっちゃキュン!ってなったわ!?何だありゃ!可愛すぎるわっ!!?」


「……不覚ながらこのサイドルール、殿下と同感でありますれば…、ではこれにて失礼ッ!」


「…うむ、人妻じゃなきゃ好きになりそうだったわ」


赤面して自室へと駆けて戻っていくサイドルールを見送ってから、俺も一言呟いてから、部屋へと戻り、扉を開けた瞬間、部屋の壁が一面、ミナお手製の絵や図により埋め尽くされていた。


ガチャ

「…なんだこの壁一面に張り出された紙は!?」


「お帰りなさい殿下、じゃあ早速始めましょうか!」


「初日からこの量なのか?」


そうその量に辟易としながら尋ねるのも仕方ないと思う。

何故ならば壁に貼ってある資料以外にもミナの手元に束が置いてあったからだ。


「成せば為る!ともいいますし?…さて市場の話ですね。先ずは物価について、その後に平民について、その次に貴族、そして王族という順番に話したいと思います。えーっとそれがこの資料ですね」


「それを今日全てやるつもりのか?」


「つもりですが、何か?」


やる、つもりなのね。それならそれで仕方ない。どうせ騒いで抵抗してもやることになるのだからな。


「………何でもないよ」


「なら始めちゃいましょう!まず市場の物価についてですが……」


それから4時間ぶっ通しで行われ、終わった頃には何が何だか、訳が分からなくなっていた。


「……と、言う感じですかね?やつぱり詰め込み過ぎましたよね?」


「…分かってるなら、加減を頼むよ。全然頭に入って来なかった。義理で平民の平均年収が銀貨80枚ってとこまでだな」


「そんな気はしてたんですけど、楽しくってついっ?!……では今日の昼からの分については、次の週にもう一度やるということにしましょう!」


「うん、それがいい。もう今日は頭がパンクしそうだ。心なしか知恵熱がある様な?」


「……うむぅ、人に物を教えるのって難しいですね?」


「いや、十分に上手いと思うよ」


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