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1話

「おぎゃーおぎゃー」


産まれた直後に赤子があげる産声の様だ、そう自身で判っていながらも、何処かの誰かへと聴こえるようにと、深く息を吸い限界まで溜めて、それを一度にすべて吐き出し発声する。


何故だか判らないが、発せられた声色は甲高い。

様子が変だと、そう思考しながらももう一度声をあげる。


「おぎゃーおぎゃー」


やはりおかしい。

何故だか滑舌が悪い、だから声帯を振るわせても声にならない。

そんな状況で話そうと声をあげればただ喚いているだけで、正に赤ん坊の様じゃないか…。


一先ずは声を上げることを諦め、横たわっている場所から身を起こそうと腹へ力を入れる。


そして感じる違和感。


体が随分と鈍く重いことに、どれだけ身を起こそうと力を籠めても、意思と反して身体の自由が利かない。


そのため、満足に起き上がることは勿論、首を左右に振ることすら出来ないでいた。


事故か何かで身体が麻痺しているのか、いや弱く緩慢ではあるが身体は意思通りに動かせている。

ただその動きが身体の向きを変えるだけまでの力がないのだ。


どうにか動く手を天井へと向け顔の前へとかかげる。


見えたのは、とても小さく丸みをおびた赤ん坊かの様な手であった。


思考回路のショートというもの、それが本当にある。

…ということを自らの身を持って知れた日であった。




次に目が覚めたとき、自身の身体こそ小さいままでありながらも、ある程度ではあったが、自身の思考通りに身体が動くようになっていた。


「ッツ!!」


その場で顔を左右に振り、状況を確認しようとした時、初めて自分が知らない子供達に囲まれて、上から見下ろされていることに気付いた。


いつの間にか居た存在に驚き、本能的に身を小さくして自分を守ろうとしたと同時に、俺の身体は、その子供達の一人に軽々と抱えられていた。


「うゅ……」


こちらが目覚めたことに気付いたのか、俺の寝ている場所、そこから一番近くに居た赤髪の少女が、両手で俺を抱き上げて胸元に抱え微笑み掛けてくる


「ーーー、ーーー?」


赤髪の少女が俺の目を見て、そう話しかけてくるも、俺には彼女の話している言葉が全く分からず、何を言っているのかもわからない。


「ーーー?ーーー?」

「ーーーー、ーーー?」


暫くすると赤髪の少女の周りに、金、青、緑、黒、茶の髪色をした少女が集まってき、俺を見ながら何やら話している様だった。


そんな少女達の話し声に聞き耳を立てていても、やはり俺には少女達が話している言葉が何を話しているのか、さっぱり分からなかった。


言葉が分からなければ、聞き耳を立てていても仕方がない。早々に少女達の言葉を理解することを諦めた俺は、視線を部屋の中へと巡らせ、何か参考となるような情報はないかと探し始める。


部屋の広さは俺の住んでいる6畳半のワンルームの数倍はあるだろうか、部屋の造りとしては西洋風であり、壁の柱や飾りが手彫りで精巧に作られていることが素人目にも確かにわかる技巧の良さだ。


置いてある家具にしてみても、文化財として管理されている洋館に置いてありそうな、格式高い調度品ばかりで、一般市民としては扱いに困る様な代物ばかりだ。


天井には何かの地図だろうか?世界地図の様なものが一面に書いてあった。中央に大きな大陸が描いてあり、その大陸から離れた場所にも幾つかの大陸と島々が描かれている。


納得行くまで地図を見続けて見るも、其処に描かれている地図は、俺の知っている世界の地図とはかけ離れていた。


…この天井に描かれている地図が合っているとするなら、ここはやはり地球ではなく、異世界ということになるだろう。


そして漸くここで、今更ながらに気付いた。


自分の身体は今、以前の自分の身体ではなく、身体は自由が利かず、手も以前と比べると随分と小さくなっている。


身動きも自分だけでは儘ならない状態の赤ん坊の身体へとなってしまっているのではないだろうか、それは如実に俺が転生したという結果を示しているということなのではないだろうか?


「……っぁ」


本当に転生したのか?

それを未だに現実として信用出来ていない状態に、他にも何か、此処が地球ではなく、異世界という事を判断できる根拠となる品物又は生物はないだろうか?


そう思い、三度、視線を巡らせたことによって、自分の状況を知ることが出来るだろう手段を見つけることができた。


それは壁に飾られている豪華な装飾が施された鏡だった。


あの鏡に自分の今の姿を写せれば、現状を少しは把握できるかもしれない。そう考えた俺は、鏡の方へと小さく、そして短くなった手を伸ばす、当然、俺の手は鏡へは全く届かないが、元々それは分かっていため何も不快感を感じることはない。


ただこの行動は俺をその胸に抱く、赤髪の少女へ、鏡の前に行きたいという俺の意志を伝える為に起こした行動だったからだ。


「ジオラルドー、ーーー、ーー?」


「ーーー、ージオラルドーーーー、ーーー?」


今まで大人しく赤髪の少女の抱かれていたのに関わらず、突如として何かを求める様に、俺が身動きしたことにより、少女は俺が何かを求めている事を察したのか、俺の目を見て話しかけてくる。


その赤髪の少女が何かを言った後、周りにいた少女達があたふたと動き始めて、ポットや水の準備を始めた事を見て、俺がお腹を空かせていると勘違いしていることに気付いた。


「…っぎぁ……ぎぁーっ!ぎゃ?!ぎがぁーっ」


それが違うという事を伝え様と、声を発したのだが前回と違い今回は喚き声でなく唸り声の様になってしまう。


数度、発声を挑戦するも唸り声以外を出すことは叶わなかった。


仕方なく、手を鏡がある方へと向って伸ばす事で、再度伝え様とするも、赤髪の少女はそれに気付くことなく、他の少女達がミルクの準備をしている方へと向かい歩き始めてしまう。


「ーーー、ージオラルドーーーー、ーーー?」


その時、赤髪の少女の近くに居たもう1人の少女、髪の色が金髪の子が、俺の考えを分かってくれたのか、此方へ近付いてくると、赤髪の少女と数度言葉を交わした後、赤髪の少女は金髪の少女へと俺を渡そうとする。


金髪の少女は俺を落とさない様に、一度その場で抱き、抱え直すと、ゆっくりと歩み、俺を鏡の前へと連れてきてくれる。


そしてまた気が効くことに、金髪の少女は鏡の前まで来ると、俺の身体が鏡に全て写る様に抱え直してくれる。


「ジオラルド、ーーー。ーーーーーー?」


「ーーー?」


「ー、ーーージオラルド」


「ーーーー、ーーー?」


金髪の少女が俺へと、そう何かを話し掛けてき、その視線を鏡越しに写る俺の瞳へと向けて見てくる。


そんな彼女に促され、視線を鏡へと向けると、其処には金髪の少女の胸に抱かれている一人の赤子の姿があった。


髪色は金髪、目は産まれたばかりなのか未だにハッキリとはしていないが、瞳の色は紫陽花の花の色と同じ様な、すこし透明感がある紫色、耳の部分には髪と同じ色の毛が生えており、尻の後ろからは、同じく金色の短い毛に覆われた細長い尾の様なものがある。


動物に例えると虎の尾に酷似しているが、その長さは長く、自身の身長よりも少し長い。そしてその尾は身体と違い自由自在に意思通りに動かせる。


試しに、と、俺は尻尾を操り自身の耳や髪を触ってみる。耳については飾りでなく、本当に獣の様に耳から毛が生え揃っていた。


まるでアニメやゲームに出でくる獣人の様ではないか、この世界の人は全てこの様な耳をしているのだろうか?


そう内心で思い立ち、即、確認する為に自身を抱いている金髪の少女、その金色の髪で隠れた耳を見る為に尾を少女の顔へと這わした。


髪の毛を掻き上げようとした際、尾が少女の額へと触れた瞬間、尻尾の先がほのかに光り暖かくなった。


金髪の少女はというと、その様子を笑顔で見つつ、俺の尾が動く様子を視線で追っていたが、その尾の先が自身の額に触れて尾が光った途端、顔を強張らせて驚愕した表情へとなってしまった。


「ジオラルド!??」


「ジオラルドーーー!?」


「?!ーーージオラルド、ーー!!」


他の髪色の少女達も慌てて、おろおろとしだすと、金髪の少女を残して全員が全員、部屋の外へと扉を開け放ったままで駆け出して行ってしまう。


「ーーー」


そんな少女達を見送ってから、何かしてしまったのか?と考えていると、急に視界が揺れた。


何事かと驚き、視線を金髪の少女へと向けると、少女は身体を震わせて床に座りこんみ、まるで人生が終わったかの様な悲壮な表情で、泣き始めてしまった。


一体、何が駄目だったのだろうか、少し前まで笑顔であったというのに、突然泣き出してしまうとは…。


なんとか泣き止んで欲しいと考え、唯一自由に動かすことのできる尾で彼女の瞳にある涙を拭う。


そうした瞬間、彼女はびっくん!と驚いて嫌がる様に顔を後ろへと反らすと、涙を拭ったのが俺の尾であることを見てとってから、さらに声を大にして泣き始めてしまった。


「…ーージオラルド?!ーーー!ーーー!」


…流石に今ので気付いた。

尻尾が顔に触れたタイミングと、涙を拭った時に泣きだしたのだ。


もしかすると、いやもしかしなくても、人の顔を尾で触れることは、この世界では良くないことなのであろう。


予想するに、尾で触れられると身が穢れるなどという迷信めいた理由が罷り通っているなどではないだろうか?


それならば他の少女達が部屋から、慌てて逃げる様に飛び出して行ってしまったことも、俺の尾で自分もこの金髪の少女の様に身を穢されない様にとった防衛行動ではないだろうか?


バン!

「…ーーー?ーーーージオラルド!!」


大きな音を立てて少女達が出て行った扉から、反動にてやや閉まり掛けとなっていた扉を跳ね開けながら、大きな音を立てて現れたのは、身長が190cmはあるのではないかという大柄な男だった。


そしてその背後には控える様にして最初に入って来た男に見劣りはするも、同じく屈強そうな男が3人、腰に剣を携えて控えている。


一先ず状況を理解できていない俺は、今、この場の状況を取り仕切っているだろうと思われる大柄な男へと視線を向ける。


髪と瞳の色は濃い茶色であり、肩にはマントを付けており、その纏っているマントの中央には何かの紋章の様なものが刺繍してある。


その大柄な男は扉を開け放つや否や、金髪の少女を睨み付けて、何かを大声で話すと彼女から俺を奪う様に抱き上げ、俺を丁寧に部屋の奥にあったキングサイズのベッドへと横たえる。


「ー!ーー!!ーーー?!!」


「ーーージオラルド?ーーーー!」


「ーーー!!」


俺をベッドへと寝かせた後、大柄な男が金髪の少女を再度怒鳴りつける。


一方で怒鳴りつけられた少女は、赦しを請う様にその大柄な男へと向き直って、その場で姿勢を正し、頭を床に擦り付けん勢いで謝りはじめてしまった。


「…ぅ」


いや辞めてあげてくれ!!本心からそう思わずにはいられない状況であった。


俺は必死に動かない身体をモゾモゾとさせて、大柄な男に意識疎通を図ろうとするが、男が謝る少女を見たまま此方を見向きもしない為、その行動はまったく意味を成さない。


その間も金髪の少女は頭を床に擦り付けたまま、謝り続けている。

そもそもが俺が尻尾なんかで彼女の顔に触れたのが原因なのに!なんでらこんなことになっているんだ?!


「ージオラルド。ーーー!」


「…ーーー」


俺が足掻いている内に、大柄な男が沙汰を下した様で、先程まで部屋の外で待機していた男3人が、大柄な男により呼ばれると、金髪の少女に向かい何処から出したのか縄を手に持ち、彼女をその縄で縛ろうと……??!待て、待て待て!待てっ!!?一体そんなに幼い少女に大の男が揃いも揃って何をする気なんだ!!


其処まですんの!?というかこんな感じで縄に縛られ部屋から出て行ったりしたら、確実にこの子の結末って、牢屋に入れられた後に拷問、そして最終的に処刑とかされるんじゃないのっ!?そんなイメージしか浮かばなかった。


そう思ったら動かずにはいられなかった。金髪の少女はまた泣きだしてしまうかもしれないが、背に腹は変えられない。


俺は現在、唯一自由に動かせる尾を使い、少女を縄巻きにしようとしている男達より早く、尾で彼女を巻き取ると、自分が寝転ばされているベッドへと連れてくる。


「ージオラルド?!ーーー」


「「「ーー?!!」」」


「ーー!!」


自分に何が起きたのか分かっていない金髪の少女を俺と同じベッドに下ろしていると、大柄な男と他の部下であろう男3人が少女を捕らえようと此方へ来るのがわかった。


当然俺は反射的に、そう反射的に彼女を守ろうと、そう思って、こっちへ来るなという思いを多分に籠めて尻尾を彼等へと向かい横方向に一閃した。


何度も言うが尻尾を普通に横に、来ないでね?と言う様に軽く振るった。そうただそれだけの事だったんだ。


そのつもりだったんだ。


ズォオン!!!

「「「「ーーーー?!!」」」」


だが結果として訪れた次の光景は、尻尾が彼等に触れた瞬間、何の抵抗もなく彼等は丁度開いていた部屋の扉の外の廊下へと吹き飛ばされ、その先にあった廊下の壁へと激突したという最悪の結果だった。


「ージオラルド!?ーー!!」


『ーーー!!』


大柄な男とその部下が吹き飛び壁に当たった音に驚いてきたのか、俺達の様子を見に来ていたのか、はたまた、この金髪の少女を心配して来たのか、最初にこの部屋にいた残りの5人の少女達が驚いた表情で飛ばされた男達と、彼女達を見ていた俺に視線を行き来させている。


その彼女達の表情は、全員が全員、驚愕していることを見るに、俺はとんでもないことをしてしまった様だ。ということが分かった。というか察した。


「ーージオラルド?」


俺の背後に居た金髪の少女も同じ様に呆然とその光景を見ていることからもやはり察する。


「…がぉ」


どうやら俺がとんでもない事をやらかしてしまったらしいということを…


バタン


そんな少女達の視線に耐え兼ねた俺は、取り敢えずは見られている視線を減らすため、部屋の扉へと尾を伸ばし、扉を閉めることで一先ず、視線を減らす事に成功する。


その扉を閉める際に、扉に内鍵があることにも気付いたので、念の為、その鍵を掛けておくことも忘れない。


「……ジオラルドー?」


扉を閉めて数十分、扉の外でザワザワと複数の声が聞こえている。

恐らくは先程の事が大きな問題になっているのだろう。


外の状態が気になるが、出るに出れない状況である。


頻繁に外から大な声が聞こえると思うと、ベッドから降りて、床に膝をついて俺の側にいる金髪の少女が、それに対して答える様に声をあげている。


ならば少女が答えない時の、この大半の掛け声というのは、俺へと向けて呼び掛けられているものなのだろうか?


「ーーー、ーー?!」


金髪の少女は、未だに不安そうな表情ではあるものの、大柄な男といた時よりは幾分か表情が和らいでいるため、もう彼女が殺される様なことはないとみていいのではないだろうか?


そんなことをら考えながら、彼女の表情を見ていると、彼女も俺に見られている事に気付いたのか、彼女も俺へと視線を向けてくる。


「………」


「ジオラルド?ーーー、ーー」


無言の俺に対して、静かにゆっくりと話しかけてくる少女、先程からそうであるが皆が皆、言葉の端々でジオラルドと言っているのは、それが俺の名前だからなのだろうか?


「ーーー、ーー?」


彼女は俺が閉めた扉を指差しながら、身振り手振りで俺に何かを伝えようとしている様だ。


執拗に扉を指差していることから、扉を開けて欲しい様ではあるが、果たし扉を今開けてしまってもいいものなのだろうか?


…扉を壊して突入してこないことから、あくまで推測の域をでないが、俺の身分はこの少女と扉の外にいる人達よりも高いのではないかと考えられる。


「ジオラルドーー」


そうであれば扉を開けても殴られたりする様な危険な目にはあわないだろう。そう俺が考えていると彼女も俺に大丈夫だと態度で示そうとしているのか、両手を胸に重ねて当てている。


俺はそんな彼女を見て決意した。

どうやら扉を開けても大丈夫そうだし、それに彼女も自分から扉を開けたがっている様なので、開けた途端に斬り掛かられて、殺されるこというとはないとみていいだろう。


そう結論すると、俺は尾を振って彼女に扉を開けても良いと伝える。


すると彼女はそれを直ぐに察したのか、一礼してから扉へと向かい鍵を外すとノブを回して扉を開けた。


「キャッツ?!」

「ーージオラルド!?」


扉が開いた瞬間!先程の大柄の男と、その男と同じ様な格好とマントをした男達が部屋の中へと突入してくると、その中の一人が彼女を抑えつけて、剣を抜きその腕を振り上げた。


ガッキン!

「ーーージオラルド?!」


少女が切り裂かれ様とした間際、ギリギリで剣の先を尻尾で叩き折ることでそれを防いだ。


その際に、自分の尻尾が金属を折る程に頑強であり、剣を振り下ろすまでにそれを防ぐ速度に驚くが、今は驚いていられる状況ではない。


っていうか全然ダメじゃねぇーか!?俺が尾で剣を折ったことに男共が驚いている間に、再び彼女を尻尾で巻き上げてベッドまで移動させることで回収しておくことにする。


「ーーーッ!?」


その際に大柄な男が、彼女を捕まえようと手を伸ばすも、その手が俺の尾へ触れる間際にバチッと小さな音がなり、男の手が弾かれたことで、無事に彼女を魔の手から救うことが出来た。


「……」


…さてこれからどうするべきか、空気が重いが、切っ掛けが自分だけに、自分でなんとか解決したいものである。


しかし俺は喋れないし、そもそもが言葉が解らないのでそれには無理である。


だからと言って、何時までも尻尾で彼女を巻き上げたまま浮かせてもおけない。

さてどうする冪か、そう黙考しながらも、再び俺の横に金髪の少女を降ろして尻尾から解放する。


そして何時までもベッドに寝転んだ状況ではこの状況も解決することも出来ないだろうと考えて、尻尾で自分の身体を持ち上げ身を起こす事にする。


しかしどうすればこれを収集できるのか、内心でこんな時に何のアイディアも出てこない自分の馬鹿さ加減に辟易としつつ、本当にこいつらどうするべきか…。


そう考えながら固まって動きを止めている奴を一人一人を観察していく事にする。


『ーージオラルド!ーー』


俺に見られている事に気付いた男達が、少しの沈黙の後に一斉に声を上げて姿勢を正すと、その場に膝まづき頭を下げた。


いやっ、何が起きたしっ?!


いや、そしてあのこれって何時まで続くんですか?もう数分も跪いたままですけど貴方達?!


というかもう何もしなくて、跪いてるだけならさ、もういいから部屋から出てけよっ!


そう思い、尾をしならせて床をペシペシ!と叩き、彼等の顔が上に向くのを確認すると、俺は尾で開いている扉を指して、男達に外へ出て行く様に促す。


男達が静かにその場から部屋を出て行こうとするのを見送っていると、それに続いて金髪の少女までが出て行こうとしていた。


「きゃっ?…ジオラルドー、ーー」


お前は今、出て行ったら駄目だろ?そう思った俺は彼女の腰を尾で捕まえて、それを支点とし身体を浮き上がらせ移動させる。


そして金髪の少女に俺を抱けと分かる様に、身体を彼女の胸元に持っていく。


すると彼女は、最初こそ戸惑っていたものの俺の言わんとしていることを察知した様で、俺の身体を両手で自分の胸へとしっかりと抱きかかえる。


その様子を見ていた男達の中で一番年配の男が、彼女に一言二言何か言うと出て行ってしまった。


男達が出て行った後、念の為と思い、扉の内鍵を尻尾でかける。


「ジオラルドー」


それを見ていた彼女は、少し困ったという顔をしつつも、僅かに微笑んでいた。


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