ヒーロー指令
200文字作品。
元日。決勝戦。
この試合に臨めるチームは2つだけ。それだけで名誉なことだ。しかし、勝負の後には勝者と敗者しかない。たとえ準優勝だとしても。
寒空の下、彼は入念なアップを終え、出番を今や遅しと待っていた。試合はもつれ、延長に入っても0-0が続き、既に試合時間は110分を越えた。
監督から一言、彼に指示が下りる。
「ヒーローになってこい」
彼は熱くなった。体でなく、心に火が付いた。
背番号11。半袖姿のヒーロー。
拙作をお読みいただき、ありがとうございました。