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神殿破壊兵器

 

 いつから意識を失っていた……。


 五話ッス。

 



 





 神殿屋上。今日のノルマは迷路のある辺り。改めて規模を見てみるとやはりチマチマ個人で崩すのは容易ではないと思い直すが、だからといってリオや村人に協力をお願いするのもどうかと思う。せめて重機のような物でもあれば楽――。いや、作れるのか……?


 神殿解体をそこそこにし、神殿の近くにユニークな形をした建造物を建てる。いつものように道案内をしてくれたリオが不思議そうにしていたが、スキルを使っているので残念ながら彼の出番はない。


 建造物には材料に神殿の石材を使い、あっという間に築き上げる。そうして、【加工】のスキルを乱用して出来上がったのは巨大な滑り台。高さは神殿と同じぐらいで、滑る部分は半円状にくりぬいてあり、滑り台の先は上に向かって口を開けていた。


 滑り台の頂点で更に別の物を作り出すと、俺はリオを滑り台の上に呼んだ。おっかなびっくり梯子を登ってやってきた彼に俺は作り出したを自慢げに語った。


 【設計】および【計測】を併用して作られた単なる球体にしか見えない石のボールの説明を聞き、驚きに目を見開くリオを満足げに見ながら、俺は躊躇うことなく弾を滑り台に向かって押し出す。ゴロゴロと滑り台を滑り、急激に加速していく弾丸はやがて位置エネルギーを全て運動エネルギーに変換し、有り余るエネルギーのままに前方へと射出される。


 ごっがああああああああああん。


 入り口を壊された事で剥き出しになっていた迷路の入口へと巨岩の弾丸が命中した。


 到底個人では不可能な破壊により、神殿の一部、少なくない範囲が完膚なきまでに瓦礫の山へと帰す。その結果を見たリオは顔を青ざめ、俺は思惑が成功した事による達成感で満面の笑みを浮かべた。


「な、な……」


「すげぇなおい。予想以上だ。これなら意外に早く神殿攻略出来そうだ」


 俺は弾を回収するために滑り台を滑って下に降りる。弾の他にも破壊した神殿の一部も回収し、もう一度滑り台の上へ。再び弾を生成して射出。生成、射出。壊しにくくなったら滑り台を拡張したり場所を変えて設置し、改めて生成、射出を繰り返した。


 結果的に今日だけで神殿の四分の一ほどの範囲が解体完了となった。このままのペースでいくと後二、三日もしないうちにこの神殿は更地になるだろう。リオは何故か呆然としているが、気にするほどの事じゃないと判断してそのまま村へと帰った。


 夕食の後、今更ながらにお風呂の件を思い出す。今日はもう時間も体力も残っていない。悔しいがお風呂は明日にしなければならないようだ。ちくしょう。夢のハーレムが。桃源郷が。あまりに悔しいので武器である木槌を石槌に改造して憂さ晴らしをした。柄はそのままに叩く部分を石に変え、片方をピッケルのように尖らせ、一方を短い刃が剣山のように突き出た形の非常に攻撃的な武器だ。まさに俺の心を写し出したかのような荒々しさだ。明日には絶対に風呂に入ると決心し、俺は床に横たわった。






 次の日、神殿入り口前。無惨にも破壊され尽くし、その痕跡すらほとんど奪い取られた神殿の一部を遠目に眺めながら、俺は噴水の前で自分の欲望に忠実な行動をとっていた。


「あの、私は席を外しましょうか?」


「大丈夫。そうゆうのじゃないから」


「え、あはい。すいません……」


 少しばかり挙動不審な態度だったせいか、いつものように神殿に案内をしてくれたリオが検討外れの気遣いを見せるが、俺は気にせずに神殿解体作業とは違う作業を始めた。


 まず余っていた木材を水瓶に【加工】すると、噴水の水を掬い上げる。当然のように視界に障気汚染水と表示されるが、【浄化】を使い綺麗な水へと早変わり。そのまま中の水だけをアイテムボックスに入れ、また水を汲んでアイテム化と必要な量を満たすまで繰り返す。お風呂の為の作業だが、村で井戸から手に入れるより楽なんでついでに入手しておこうと思っただけで他意はない。


 十分な量をアイテムボックスに収納したら、ようやく神殿解体作業に取りかかる。材料が結構溜まっているのでいっその事今出来る最大の物を作ってみようか。自重という言葉をどこかに置き去りにし、俺は手慣れた動きで破壊兵器を作り上げる。


「あの……」


「ん?」


「これはまさか昨日の……」


 結果出来上がったのは巨塔のような滑り台。見上げるほどの弾丸。使ったらどれほどの破壊を撒き散らすか分からないような怪物だった。リオが顔を青ざめさせてそれを見つめているが、俺はそんな彼にお前も共犯だといい笑顔で言い渡し、昨日憂さ晴らしに作り上げた石槌をアイテムボックスから取り出して構えた。弾が大きすぎて普通に素手では難しいのだ。


「せーーの」


「ま、待ってくださいカイナ様っ」


「らああっ」


 リオの制止に耳を貸さず、俺は渾身の力で石槌を振り抜いた。巨塔とすら表せる滑り台を通り、速度と威力を増して弾丸が射出される。これまでとは桁違いの迫力を見せつけ、弾丸は神殿を撃ち抜いた。……そう、撃ち抜いた。残り四分の三は残っていた筈の神殿を暴力的にねじ伏せ、抵抗など何もないかのように神殿を貫く。まさしく暴君。凄まじい破壊の一撃は神殿を破壊してなお尽きぬ破壊の力でそのまま森の中に突き進んでいった。俺もリオも開いた口が塞がらない。暴君が消えてしばらく、ようやく我を取り戻した俺は弾の回収に向かうかそれとも神殿の後片付けか迷ったが、本来の目的を思い出して神殿の残骸へと向かう。リオはまだしばらくは使い物にならないだろう。いてもいなくても問題ないので今はこのまま大人しくしてくれてても構わない。


 神殿は完全に破壊された。もしも中に呪いの元凶がいたなら既に瓦礫の下でぺしゃんこだろう。呪いは解けたのだ。――と、思ったら障気汚染の状態異常が俺を襲う。驚きはしたが慣れた動きで状態異常を治すと、思わず何故、と疑問を口に出していた。


 元凶は倒した筈だ。こんな瓦礫の中で生きていられる筈もない。否、その前にあの凶弾によって粉々にされている事だろう。それだけの威力はあった。この世界にゴーレムのようなモンスターがいて、それが神殿の中にいたとしてもあの暴君が相手ではどうしょうもない。当然のように粉微塵だろう。間違っても真っ当な生物が生きているはずがない。


 ……それはつまり、真っ当ではない生物がいる。それが幽霊のような非実体の存在か、はたまたただただ頑丈な埒外な生物か。それとも別の何かか。どちらにせよ、さっきまでのどこか浮わついた気分は鳴りを潜め、俺は自然と武器を手に構えていた。


 瓦礫を取り除きながら何か異常な存在がいないか、神殿跡地を探索する。迷路を攻略するよりは楽な、だがどこかにダンジョンのボスみたいな強力な存在がいるかもしれない緊張感を持ちながら神殿跡を歩く。途中から我に帰ったリオも一緒に警戒しながら探す。


 だが結局、そんな存在は見つからなかった。瓦礫を全て取り除き、更地同然になってしまった神殿跡を改めて探してみたが、そんな存在はいなかった。思わず拍子抜けしてしまったがしかし、地下へと続く階段が見つかった。リオも知らなかったようだが、この神殿は地下にも同じような規模の迷宮がありそうな感じだ。いっそのこと暴君を使おうかと思ったが、相手が地下では難しいだろう。何か策を考えなければならない。当然のように迷路を真正直に攻略する気はないので、これは急務である。


 神殿地上部分の後片付けを終えた後、俺達は暴君を探しに荒れ果てた森に足を踏み入れる。あんな巨大な証拠……否、弾丸をそのままにしていてもあまりいいことにならないだろうと思ったからだ。余計な厄介事はご遠慮したい。


 無惨にも押し潰された森の中を進む。薙ぎ倒された木々は勿体ないので建材として回収しつつ、森の破壊痕を辿りどんどん奥へと進んでいく。やがて辿り着いた先にあったのは崖にめり込んだ暴君の姿。周囲には興味を引く物は特に何もないので、暴君を慎重に回収して俺達は一旦村に帰る事にした。明日からの神殿攻略をどうするかも考えなければならないし、お風呂も作りたいからだ。


 森の帰り道。襲いかかるスライムを倒すとレベルが上がった。





 LV  3(+1)


・体力 8(+1)


・魔力 6(+1)


・筋力 17(+2)


・頑丈 7(+1)


・敏捷 7(+1)


・知力 5(+1)


・器用 9(+1)


・運  5(+0)





 どうせなら朝にレベルアップしろよと言いたくなるが、ここ数日はまともな戦闘をあまりしていないのでレベルアップしただけ良しとする。筋力のステータスが上がったので作業効率はますます良くなるだろうし、タイミングはともかくレベルアップは嬉しいものだ。もっとレベルをポンポン上げれればいいのだが、流石にゲームのように上手くはいかないか。……未だにゲームなのか現実なのか判断しにくい世界だ。本当に。






 

 

 次回。初めてのお風呂。

 

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