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神殿崩壊

 

 四話目ッス。


 

 





「この神殿ぶっ壊していい?」


「何言ってるんですか!?駄目ですよそんな罰当たりな事っ」


 当然のように猛反対を受けた。確かに罰当たりだとは思うが、一々ゲームみたいに攻略するよりも建物ごと壊した方がずっと早い。馬鹿正直にダンジョンを攻略するのはゲームの中だけの話だ。こんな意味の分からない世界でそんなゲームのような行動プレイが出来るわけがない。そもそも障気汚染という呪いを一刻も早く解呪しなければならないのに手段なんて選んでられないと思うんだよ。


「そうですが……」


「じゃあ呪い解いたらちゃんと直すよ。それでいいか?」


「……直せるんですか?」


「勿論。神に誓って」


「その神を祭る神殿を壊そうとしている人がいいますか……」


「てへ」


「はあ……。分かりました。それで村が救えるなら」


 リオはまだ納得しきれていないようだったが、一応の許可は貰った。よし、盛大にぶっ壊してやろう。神殿を直す事ぐらい俺のスキルを使えば造作もない。もっとも、完全に元の形に戻るわけではないのだけれど。そこはご愛嬌ということで。


 まだ日は高い位置にあるがもう村へと帰る事にする。神殿解体作業は明日からでいいだろう。今日は新しい発見も出来たし。少し疲れた。今日はもうゆっくり過ごそう。





「ん……」


 村へと帰る途中。俺は唐突に危機に陥った。周囲にはリオ以外に誰もおらず、魔物の姿も見えない森の中である。だが二人きりの今このタイミングしかこの危機を回避するチャンスはない。徐々に迫り来る限界を、焦りを意思の力で抑えながら、先導するリオに声をかける。


「リオ……」


「どうしました?」


「いや……」


 もどかしい。どう言えばいいのだろうか。花?用?ん?ご不浄?どう言ったら伝わるだろうか。流石にストレートに言うのは駄目だろう。仮にも男と女だし。いや考え過ぎか?この世界ではどんなだろうか。普通に言っても構わない、か?分からん。全然分からん。いやとにかく何か言わなければ。じゃないと限界が……。


「リオ」


「はい」


「ちょっとそこで用足してくるから待ってろ」


「え……、あ、はい…………」


 後でラミに然り気無く聞いてみると普通に意味は通じる事が分かった。盛大な赤っ恥だった。


「は、ふ、ぁああ……」


 リオから少し離れた場所の茂みに腰を下ろし、さっさと用を足す。昨日初めてした時はとても興奮したものだが、流石に二回目三回目ともなると冷静なものだ。冷静に両眼はロックオン。最早ブレもしない。迸る黄金の橋は今日も元気です。終わったらそのままズボンを穿いて【浄化】。全く便利なスキルである。


 リオと合流すると何故か気不味げだったが、俺は気にするほどの事ではないと判断して彼の案内で村に帰った。その夜、ラミとそういう話をした後の夕食の場にて、俺はあまりの羞恥にリオの顔をまともに見る事が出来なかった。記憶を消すスキルってどこかにないのだろうか。切実にそう思う。





 早朝。村長宅の一室にて、朝早くに目が覚めてしまった俺はしばらくゴロゴロと寝転がって暇を潰していた。それにも飽きるとウィンドウを開いたりして時間を潰すが、変わらずログアウトの項目はなくレベルアップもしていなかったのでやれる事は少なく、すぐにウィンドウを弄るのにも飽きてしまう。


「ふう……」


 このゲームのような現実のような世界に来て四日目。何故俺はここにいるのだろうか。何故こうなってしまったのだろうか。分からない。普通の男子高校生だった俺が今や褐色ロリータなドワーフとか。本当に笑える。否、笑えない。いや別に悪いことばかりでもないのだけれど。青い果実といいますかこう熟しきれていない何かとか、こう、ね。明言は控えるが悪い事ばかりでもない。うん。いやだからといってこの世界がいいというわけでもなくて……。つまり、分からない事が不気味で嫌な感じがするのだ。この世界が何なのか。カイナとして生きていけばその答えも見つかるのかもしれない。かもしれないであって確実な可能性はない。ただそれ以外に確かめる術が俺の手にはない。ままならないものだ。本当に。世界が変わってもこういうところは変わらないんだな。


 それからいつも通りの時間にラミが朝食の準備が出来た事を知らせに来てくれた。俺は軽く身だしなみを整えて一階に降りる。村長とリオが出迎えてくれるが、昨日の事を思い出してあまりリオの顔を見ることは出来なかった。朝食と雑談が終わり、いつものように村長宅の前に行くと既にリオの姿があった。


「……おはよう。行こうか」


「お、おはようございます。じゃあ早速行きましょう


 多少ぎこちないやり取りをした後、いつものようにリオに神殿への道案内をさせる。村長には夕食の時に神殿を壊すことを了承させた。流石に村人全員の命と捨てられた神殿では比べるべくもない話だ。


 道中何事もなく神殿に辿り着いた俺は、さっきまでの気不味い雰囲気をぶち壊すが如く神殿を壊し……解体を始めた。だけど流石に一日で神殿全てを解体するのは無理なので、一日にどれくらいやるかを部分部分で区切って目安を決め、作業する事にした。


 今日のノルマは神殿入り口部分。入り口前の広場には背の高い柱や美しい彫刻、噴水など解体するのが面倒な物が多いが、そういう部分は必ずしも壊さなければならないものではないのでスルーする。実際に壊すのは入り口だけで、他は明日のノルマに回そう。


 入り口を解体する。生き埋めが怖いのでわざわざ屋上に登り、ブロックを持てるだけ持って【建材化】してそのままアイテムボックスに収納。それを繰り返す。【建材化】もアイテムボックスも筋力のステータスに依存するのでこの方法が一番楽だ。どう見ても筋力のステータスが足りないような重量のある物は木槌で砕いて細かくして軽量化し、後は同じ手順でアイテムボックスに収納して作業を続ける。


 時折神殿から出てくるゴブリンを相手にしながら作業を続ける事しばらく、木槌が何度も壊れてその度に【加工】のスキルを使用して新品同様に直しての流れを数十回は続けた頃にはなんとか入り口の解体を終了出来た。今日のでコツは掴んだので明日からもっとスムーズに作業が出来るだろう。空を見上げれば既に日が傾いており、そろそろ村に帰った方がいい頃合いだ。リオに作業の終わりを告げ、帰路につく。





 それから、帰り道も退屈なほどに何事もなく、無事に村に帰った俺は村長宅でトイレをリフォームしていた。本当なら明日に備えてゆっくりしたかったのだが、この世界の衛生観念に我慢出来なくなった俺は仕方なく、自分のために村長宅のトイレを改造している。


 村長宅のトイレは汲み取り式便所で、所謂ポットン便所だが最近はあまり手入れされていないのかとても汚ならしい有り様だった。今日まではそれでも我慢していたのだが。しかし、あの悪魔だけは駄目だ。あれだけは、あの存在だけはどうしても許容出来ない。あの黒い光沢のある羽を羽ばたかせるあの悪魔だけは。だから決めた。あの悪魔を二度とここに呼ばないために。二度とこの目にしないために!


 【浄化】をフルに使い、トイレを完全に清潔にして解体する。そして【計測】、【設計】、【演算】を使い設計図を作り出し、【建材化】で素材をアイテム化して設計図通りに組み立てていく。


 そうして出来上がったのが、汲み取り式便所改。素材を木材から石に変えただけで他はあまり違いがない。一々水道をひいてまでトイレを作る元気がなかった故の手抜き作だったが、それでも前の便所よりはかなりマシな作りになっている筈だ。まず便器を石にしたお陰で木材のように腐る事はないし掃除もしやすくなっている。排泄物を溜める場所も頻繁に掃除出来るようにデザインに気を配り、また清潔に保てるような設計だ。残念ながら洋式便所の仕組みが分からないので和式便所だが、その完成図は十分満足のいく出来だった。もしも水道をひく機会があるならば必ず水洗式にしようと思えるほどに。ついでに男女別にトイレを作り、俺は大満足でリフォームを終えた。





「カイナ様。お湯を持って参りました」


「ああ。そこに置いといてくれ」


「はい」


 その日の夜。ラミが部屋にお湯と布を持って来た。この村長宅にはお風呂が無いのでお湯で体を拭いて清潔を保っている。【浄化】で常に体を清潔に保てる俺とは違い、村人達はよくそれで平気だと関心したものだ。


 そんな村人達から見たら贅沢だとは思うが【浄化】だけでは俺もお風呂に入った気がしない。全く癒されない。熱々のお湯に浸かり、一日の疲れをとろかして欲しい。日本にいた頃は普通に毎日シャワーだったのだが、ここに来て妙にお風呂が恋しくなる。


 明日は風呂でも作ってみようかな。それで村の女性達と一緒に……。ふふふははははは。今から楽しみでしょうがない。明日の朝早速村長に伝えよう。そうなるとお湯をどうしようか、湯船の素材は何にしようか。ああ、興奮して眠れない!










 

 次回。レベルアップ。


 誰か感想プリーズ。


 

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