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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

彼女の部屋

作者: 波騎

久しぶりの休日

私は一人でふらふらしていた

本当なら愛しの恋人とデートのはずだったのに

ついさっき、彼女の方に電話がかかってきたのだ

仕事の電話だった

結局、彼女は休日出勤

久しぶりのデートだったから気合いをいれてメイクしたのに

服だって一番のお気に入りを引っ張り出してきた

それもこれもたった一本の電話でぱあになってしまった

これからどうしようか

まだまだ太陽は高い位置にいる

このまま一人で買い物するのもあり

だけどそれは何か虚しい気がする

かと言って家に帰るのも寂しい

さて、どうしよう

何かないかと鞄の中を探ってみる

「あっ」

あった

彼女の家の鍵だ

合い鍵を貰ってはいたが使ったことはまだ一度もない

「使ってみようかな・・・」

最近行っていなかったから掃除もろくにしていないだろうし

きっと疲れて帰ってくるだろうから料理を作っておいてあげよう

そうと決まったら彼女にメールしよう

『あなたの家にいてもいい?』

送信、と

しばらく返信が来るのを待つ


♪~♪~~♪~


あっ着た

『大丈夫です。ちょっと遅くなるかもしれないけど、待っててくれますか?』

『もちろん。待ってるからね。』

『ありがとうございます。6時位には帰りますから。』

『了解』

すぐに返信して携帯を鞄に仕舞う

「さてと、」

スーパーに寄ってかなきゃな


何作ろう・・・

私は野菜売り場の前で野菜達を見下ろしている

正直なところ献立を決めかねていた

久しぶりなので彼女の好きな物を用意したい、が

きっと彼女のことだ

洗濯物もゴミも馬鹿みたいに溜まっているに違いない

料理だけに時間は掛けていられない


♪~♪~~♪~♪~~


「ん?」

『本日、午後2時から一時間。卵の特売を開始します。1パック―――』

・・・・・決めた

あれにしよう

私は適当に野菜を選び卵売り場へ向かった


な、なんか緊張する・・・

私は鍵を握りしめて彼女の家の扉の前に仁王立ちしている

あぁ、とうとうこの鍵を使う日が・・・

よしっ!!

行くぞ、女は度胸だ!!

震える手で鍵穴に鍵を差し込む


カチャ


そしてドアノブを回す

扉はなんの抵抗も無く開いた

ああああ開いた!!!!

いや、開いて当然なんだけど

えーっと、こうゆうときは

「・・・おじゃまします」

誰もいないとはわかっているけどつい言ってしまう

電気も着いていないし人の気配もない

こんな彼女の部屋初めてだ

でも、そこら辺に脱ぎ捨ててある服を見て、やっぱりここは彼女の部屋だと安心する

こんな所に服って・・・彼女らしいな

つい頬が緩む

だらしないなって思いつつもそんな所も可愛いとも思ってしまう

はぁ、もう、ほんと、べた惚れだなぁ

そんなことを考えながら取り敢えず荷物を置いて部屋を見渡す

うん

予想通り汚い

洗濯物は放置しっぱなし

ゴミはゴミ箱からあふれ、そこら中に散らばってる

台所の洗い場は食器やらなんやらが山になっている

「どこから手を付けようか・・・」

食器は調理を始める前になんとかしたいんだよね

まぁ、ここは無難に洗濯機をまわしてる間に食器を片付けてしまおうかな

掃除は全部終わってからでも大丈夫だろうし


よし、やるぞー

軽く腕まくりをして落ちてる洗濯物を片っ端から拾い集めていく

それと一緒に少しだけ彼女の匂いがする洗剤を洗濯機に入れスイッチを押す

洗濯機がちゃんと動いたことを確認にてから台所へ

正直ここが一番の難関

何が埋まってるか予測がつかない

汚れた食器は勿論

弁当の容器、刃が上向きになってる包丁、生ゴミこれ位はまだ普通

中身が入ったままのお菓子の箱とか何故かバスタオルが入っていたり

一番酷かったのは魚をまるまる一尾見つけた時

あれは一種の恐怖映像だった

暫くは魚を食べれなかったほどだ

そんな魔の洗い場

覚悟を決めて私はそこへ手を伸ばすのだった


「ふー、やっと終わった・・・」


疲れた


本当に疲れた


私は魔の洗い場に勝ったのだ


そして無事に洗濯物を干しきり畳み終え


部屋中のゴミというゴミを退治し終えたのだ


残る仕事は一つ


料理のみ!!


まずは道具を用意する


まな板、包丁、木ベラにお玉と菜箸それから鍋とフライパン


次に冷蔵庫から食材を取り出す


玉ねぎ、人参、レタスにピーマンとじゃが芋ほかにはチーズとブロッコリー等々


あっあとお米も忘れちゃいけない


よし、道具OK、食材OK


始めよう


これくらいでいいかな?


あとは彼女が帰ってきてからの方がいいよね


時間を確認する


5時13分まだ少し時間はある


本当に暇になってしまった


うーん、やるべきことも、したいことも特に思い浮かばない


まぁ、ゴロゴロしてようか



どこでゴロゴロしようかな


ゴロゴロ、ゴロゴロ・・・うぬー・・・


あれ?そういえば寝室・・・掃除・・・してない?


「忘れてた・・・」


この部屋のことで頭一杯で忘れてた


と、とりあえず行ってみよう


カチャッ

扉の隙間から寝室を見回してみる

やっぱり少し汚い

向こうの部屋ほどではないのけれど

取り敢えず入ってみる

足元には脱ぎ捨てられたのであろう服がある

・・・やっぱり服は落ちてのね

それらを今は無視してベットへ向かう

そしてベットの上からもう一度部屋を見回す

どうやら洗濯物が散らばっているだけのようで、これなら掃除はしなくても良さそうだ

取り敢えず、部屋にあった洗濯物をかき集め洗濯機の前に持って行く

これは今日洗濯しなくてもいいだろうと判断し洗濯カゴの中へ

よしっ、寝室でゴロゴロしよう!!

と、私はまた寝室へ向かうのだった


私はベットのシーツにくるまってゴロゴロしていた

右に左に芋虫のようになりながら転げ回っている

いい大人が何をと言われても反論できない

それほどまでに今の私の格好はおかしい

まぁ、人がいたら出来ないから今やっているんだけど

彼女の香りが残るこのシーツはとても落ち着く

このまま眠ってしまいそうだ・・・・

・・・早く帰ってこないかな


「――ぃ」

ん?何か揺れてる?

「お―――って――」

声も聞こえてくる

何事?

と思った次の瞬間

ふわっと彼女の香りが強くなって唇に何かが触れた

そして私の意識は覚醒してゆく

「おはようございます」

完全に覚醒してからそう言われる

「・・・おはよう」

どうやら私は本当に寝てしまっていたようだ

「寝癖付いてますよ」

「えっ」

ベットから飛び降りて寝室の端にある鏡で確認する

「本当だ・・・」

私の髪は完全なる重力無視をしている

「はい」

彼女がブラシを渡してくる

「ありがとう」

それを受け取り、髪を整え始める

「ぐっすり寝てましたね そんなに片付け大変でした?」

「うん たまには自分で掃除してよね」

「一応してるんですよ これでも」

「なら、もうちょっと上手くなってよ」

「はーい」

そんな会話をしているうちに寝癖は消えてしまった

「ただいま」

と、腕広げ言う彼女に

「お帰り」

と、返しその胸へ飛び込む

そして私から彼女に口付ける

えへへっと笑うとお返しと言うように彼女から口付けられる

ふとある言葉が頭をよぎったので言ってみる

「ご飯にする?お風呂にする?それともわ・た・し?」

その言葉に一瞬ポカンとした顔になる彼女

でも次にはいたずらっ子みたいな笑顔になって

「じゃぁ、あなたで」

と、押し倒してくる

あぁ、ちょっと、いや、かなりドキドキする

けど、次の言葉の予想がなんとなくついているので慌てない

「と、言いたいのですが、あなたが作ってくれたご飯が先に食べたいです」

彼女は私の上から退き、私に手を差し出す

「はい、はい」

その手を取り立ち上がる

「で、そのあと一緒にお風呂に入ってからあなたを戴きます」

「っ!?」

流石にこれは予想出来なかった

顔が熱い

「赤くなってるの可愛いですよ」

「そんな恥ずかしい台詞どこで覚えたの?」

「さぁ、どこでしょうね?」

ニコニコと笑う彼女を見ながら

やっぱり私が彼女を戴こうと思うのだった


おまけ



「うわー、美味しそう」

私の前には出来立て熱々のオムライスが置かれている

他にもトマトスープや温野菜のサラダもある

「いただきます」

「召し上がれ」

私の目の前にはこの料理を作ってくれた大好きな彼女が座っている

「あんまり凝ったもの作ってあげられなくてごめんね」

「いいんですよ すっごく美味しいですし、これだけで十分、いや、十二分です」

「ふふっありがとう」

本当にその笑顔だけで私は幸せで仕方ない

「いえいえ こちらこそ本当にありがとうございます」

「どういたしまして」

その顔を見ていると言いたくて言いたくてたまらなくなる

「どうかした?私の顔なにか付いてる?」

もう言っていいだろうか?

いや、言ってしまおう

いつも想って考えているこの言葉




「大好きですよ」




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