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一人百物語

生き霊

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


私は長年派遣でシステム開発の仕事をしている。

以前、某大手企業のプログラム開発現場に派遣された時の事。


現場でパソコンに向かっていると、私の右の視界の隅に背広姿の男性が見えた。

誰かが立っているな、と思いながら作業を続けていると

その男性はずっとこちらの方を向いて立っている様だったので

(?)

と顔を上げてそちらの方を見ると


そこには誰もいなかった。


それに

(??)

と思い、作業に戻ると。

やっぱり視界の隅にその男性が見えている。

それで

(ああ、これは)

と思ったので、無視する事にした。


以降も何度かその男性の姿は目の端に現れる事があった。

その男性は亡くなった人ではなく、まだ生きてる人の

“生き霊"

の様だった。


私の場合、亡くなっている人と、まだ生きている人の生き霊は見え方が違う様で、

亡くなっている人は映写機で映された姿の様にぼんやりと、どこか薄っぺらく見えるのだが、何かを思う“念"が強くて、眠っている間などに念が抜け出して、その念だけが一人歩きして本人も気付いていないうちに生き霊になってしまっている様な場合は、一見、本当に生きている人と変わらない、物質感のある生々しい姿をしていて、もう一度よく見ると居ない、という様な見え方をする。


何事かをとても気にしていると、夢にまで見てしまう事は誰でもわりとあるようだが

その開発現場では、本人の念が(?)本人も気付かないうちに生き霊と化して一人歩きしているらしい姿を、他の居室や廊下等でもよく見かけた。



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