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第9話 風間との再戦・敗北寸前

長崎港の夕暮れは、赤く染まった空と水面が静かに揺れる中、緊張に包まれていた。

祐一は社中の仲間たちと共に、港倉庫の警備に立っていた。前夜、天祈の力で忍びを退けたが、黒装束の魔導局隊員――風間率いる精鋭忍び――の存在は消えていない。むしろ、彼らは戦術を読み、次の一手を狙っていた。


「……今日の動きは?」

龍馬が情報班に問う。

「港の入り口に不審な影、屋根伝いに二手、確認しました」

伊藤仁の報告に、祐一の胸は高鳴る。心の奥で、祖先・天草四郎の血がざわめく。彼の血脈が、危険の匂いを敏感に察知していた。


「祐一、準備はいいか?」

龍馬の言葉に、祐一は刀・天祈を握り直す。蒼光が刃先に微かに脈打つ。

「はい……行きます」


港の倉庫に忍びたちの影が現れ、風間が姿を現す。黒装束に身を包み、刀と忍術の両方を操る凄腕の忍びだ。

「ふん……覚醒者か。前回は逃がしたが、今回は違う」

風間の目が冷たく光る。


戦闘開始。

祐一は天祈を振るい、蒼光が港の闇を切り裂く。刃先に流れる祖先の血脈が、亡き民たちの声を力に変える。

だが、風間は単純な力勝負では負けない。屋根から跳び、影に潜み、忍術で祐一の背後を突く。


「くっ……!」

祐一は振り返る。刃が影に触れた瞬間、忍びの幻影が消え、背後に敵がいた。天祈の力を過信した瞬間の隙だ。

風間は冷笑する。

「お前の力は強い……だが、まだ未熟だ」


祐一は刀を構え直す。心が揺れる。代償が大きい。体中に逆流する血、頭痛、全身の倦怠感――そして精神的な揺らぎ。島原の炎、亡くなった民たちの悲鳴、隠れキリシタンの祈り……全てが脳裏に押し寄せる。


「……まだ、俺は……!」

祐一は必死に刀に意識を集中させ、天祈の蒼光を解き放つ。光が港を照らし、忍びたちの影を押し返す。


しかし、風間はさらに巧妙だ。忍術で光を避け、仲間の影から攻撃を仕掛ける。祐一は一瞬の隙に斬られ、肩に深い傷を負う。血が流れ、足が震む。倒れる寸前、彼の目に龍馬と仲間たちの顔が映る。


「祐一! 負けるな!」

「天祈……集中……!」


心を奮い立たせ、祐一は祖先・天草四郎の声を聞く。

『恐れるな、祐一……力はお前のものだ。だが、使い方を誤るな』


刀に全てを委ね、天祈の秘技――「血脈連鎖」を発動させる。蒼光が刃先から波紋のように広がり、港の闇に潜む忍びを一掃する。光と影の戦いは終息し、風間も撤退を余儀なくされる。


戦闘後、祐一は倒れ込み、刀を抱く。体は疲労困憊、代償の痛みが全身を襲う。

龍馬が駆け寄る。

「大丈夫か、祐一!」

「……なんとか……」

仲間たちが駆け寄り、彼を支える。港の戦いは勝利したが、勝利の余韻よりも代償の重さが祐一を押し潰す。


夜、祐一は夢を見る。島原の炎、焼かれた村、亡くなった民たちの嘆き――そして祖先の声。

『お前の力はまだ未熟だ。しかし、信じる者を守るためならば、天祈の力はお前のものだ』


港の夜風が、刀の蒼光を揺らす。

祐一は刀を抱きしめ、心に誓う。

「俺は……日の本を守る。仲間を守る。決して、負けない」


風間の影、魔導局の脅威、そして天祈の代償――全てが祐一を鍛える。次なる戦いに備え、彼は再び立ち上がるのであった。

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