表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/30

第28話 薩長同盟の裏交渉

京都の夜は、依然として静寂の中に緊張を孕んでいた。

しかし、今夜はただの夜ではなかった。倒幕の行方を左右する、歴史の分岐点――薩長同盟の最終交渉が行われる日だった。


祐一は龍馬とともに屋敷の一室に忍び込み、窓の外から暗躍する黒装束の監視者を警戒していた。

「……西郷、大久保、桂、小五郎、高杉……全員集合か」

龍馬が低くつぶやく。


「……お前、緊張しているな」龍馬の笑みは、いつもの軽さではなく、戦士の顔だった。

祐一は天祈を握りしめ、拳の中で刀身がうっすら光るのを感じた。

「……あの力があれば、暗殺も伏兵も怖くないはずです」

「そうだが、油断は禁物だ。相手は魔導局の傀儡も動かしている」


一方、薩摩藩の西郷隆盛は静かに椅子に腰かけ、鋭い目で長州藩の桂小五郎を見据えていた。

「……この交渉、うまくいくと思っておるのか?」

桂は眉をひそめ、慎重に言葉を選ぶ。

「倒幕は急務だ。しかし、薩摩の安全も守らねばならぬ」


西郷は小さくため息をつき、視線を大久保利通に向ける。

「大久保、やはり慎重すぎるのではないか」

大久保は静かに答える。

「西郷殿、情熱は必要ですが、無謀では戦を招くだけです」


その時、祐一は背後の窓に黒い影を感知する。

「……龍馬さん、奴らが動いています」

龍馬は小さくうなずき、海援隊の仲間たちに合図を送る。

勝海舟や伊藤甲子太郎たちは、室内の監視網と夜間偵察で影を封じる。


黒装束の幹部たちが、屋敷内に侵入しようと黒霧を放った。

祐一は瞬時に天祈を抜き、白光を振るう。霧が裂け、影は悲鳴を上げて散った。

「……さすが、天草の血だな」龍馬が感嘆する。

祐一は呼吸を整え、戦場で培った感覚を研ぎ澄ます。


交渉が再開される。

桂小五郎は長州の慎重な態度を示すが、祐一の力を知った西郷は大きく頷き、倒幕への意志を強める。

「……若者の力も借りよう。これで日本を変える」

西郷の言葉に、祐一の胸が高鳴る。


交渉中、突然、魔導局の幹部が屋敷に乱入。黒霧と怨念の影が交渉室を覆う。

祐一は迷わず刀「天祈」を振るう。白光が闇を裂き、影は吹き飛ばされる。

桂や西郷、大久保らは驚きながらも、祐一の存在が倒幕勢力にとっての奇跡的後押しであることを悟る。


夜が明ける前に、交渉はついに成立。

薩摩・長州両藩は表立って倒幕の盟約を結ぶことを約束した。

祐一は刀を鞘に収め、龍馬と視線を交わす。

「……これで、倒幕の道が開けた……いや、開国への道も」

龍馬の声には決意が込められていた。


その夜、祐一は再び夢を見た。

島原の炎の中、天草四郎が立ち尽くしている。

『……ようやく目覚めたか……』

祐一は夢の中で拳を握る。

「はい……今度こそ、負けません」


交渉が成立した京都の夜空に、月光が静かに差し込む。

遠くで祈る人々の影が揺れる。

祐一は天祈を握り締め、歴史を変える力を実感しながらも、その責任の重さを知った。


「龍馬さん……俺、やっぱり怖いです」

龍馬は小さく笑い、祐一の肩に手を置く。

「怖がるな。力は使い方次第だ。そして、俺たちは歴史を動かす」

祐一は深呼吸して、仲間たちとともに夜の京都を見渡した。

これからの戦いは、幕府魔導局との全面対決、戊辰戦争、そして新政府樹立まで続く――。


――つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ