表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/30

第13話 血の記憶、過去の叫び

長崎の夜風が港町を冷たく包み込む。

祐一は、昨夜の激闘で疲弊した体を引きずりながら、天祈を握った手を見つめていた。

光の刀――天祈――は祖先の血の記憶を宿し、まだ温かく脈打っている。

その力は、昨日の戦いで初めて自覚したものの、完全に制御できているわけではない。


「……俺は、なんでこんな力を……」

祐一は呟き、胸の奥にうずく過去の記憶に目を閉じる。

霧の中、彼の意識は時空を越え、祖先――天草四郎の時代へと導かれる。


――島原の地。

炎が、空を覆っていた。

赤く、黒く、うねりながら村を焼き尽くす。

民の叫びが、祐一の胸の奥で震える。

少年の祐一は、そこに立ち、手を差し伸べることしかできなかった。


『……すまぬ……』


その声は、天草四郎のものだった。

民を救おうと立ち上がった少年――しかし、夢は砕けた。

幕府の軍勢、重税に苦しむ村人たち、絶望――

すべてを守ることはできず、祐一は涙を流した。


「……なぜ、俺の血にこんな思いが流れている……」

胸に残る怨念と無念。

それは、血として、魂として、時を越えて祐一に託された。


意識が戻る。

長崎の夜、祐一は港の上で深く息を吸う。

背後にはマリアが立ち、静かに彼を見つめる。

「祐一……?」

祐一は微笑むが、心の中では祖先の悲しみと怒りを感じていた。


「……四郎は、俺に何を望んでいたんだろう」

祐一は天祈を握り、刀身を揺らす。

祖先の思いは、復讐か――それとも、守る力か。

その答えを、祐一は自分の力で見つけなければならない。


思考が現実に戻ると、港にはまだ霧が漂っている。

遠くで、黒装束の魔導局刺客が潜む気配。

彼らは天祈の力を恐れ、しかし諦めてはいない。

「……次も、戦いになる」

祐一は刀を握り直し、心の奥で決意を固める。


「俺は……祖先の血を受け継ぐ者として、必ず守る」

胸に宿る血の記憶と、仲間の想いを力に変え、祐一は立ち上がる。


港に月光が差し込み、天祈の白光が港全体を照らす。

祖先天草四郎の怨念も、祐一の覚悟の前ではただの力の源となる。

祐一は知っていた――血の重みを背負うことは、力を持つことと同義だと。


龍馬がそっと声をかける。

「祐一、次は俺たちも共に行くぞ」

「……はい」

マリアも微笑みながら、祐一の決意を見守る。


――そして、祐一の戦いは、血と光とともに続いていく。

祖先の夢を胸に、彼は新たな戦いに挑むのだった。


――つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ