あつまれ!さんれんじゃあ
みんなのしあわせをまもるため、がんばれせいぎのサンレンジャー(さんれんじゃあ)!
あくのクラインジャー(くらいんじゃあ)にはまけないぞ!
はるとくんはみんなとおなじくらいの年のげんきなおとこのこ。
ある日、はるとくんがかえりみちをあるいていると、
めのまえにふしぎなひかりがひろがりました。
「うわ、まぶしい!」
とてもまぶしい光のなかから
とてもかわいいおひめさまがあらわれました。
ひめも、みんなとおない年くらいかな。
「わたしはおはなのくにののばら姫。いま、
くらやみ戦隊クラインジャー(くらいんじゃあ)が
みんなのしあわせと平和をこわそうとねらっています。
そこでわたしは、でんせつのヒーロー、ひまわりのせんしをさがすためにきました。」
「ひまわりのせんし?」
「はい。ひまわりのせんしはクラインジャー(くらいんじゃあ)にもまけない、
おひさまのちからをもつせんしです。
きっとこのあたりにいるはずなのですが。あなたも、さがすのをてつだってくれませんか。」
「いいけど、なにかてがかりはあるの?」
「ひまわりのせんしは、おはながすきなとてもやさしい少年です。」
それを聞いてはるとくんは、ぴんときました。
「それならきっと、なつきくんだね!」
「こころあたりがあるのですか?」
「うん!なつきくんはぼくの友だちだよ。
ぼくは、なつきくんの友だちのはると。
なつきくんはいまならきっと花壇のおせわをしているころだよ!
いっしょにいこう!」
そのときです。
「まてえ!」
うしろからさけびごえがして、はるとくんたちはふりむきました。
するとそこに
からだじゅうまっくろなふくとヘルメット(へるめっと)のひとたちが、
たくさんあらわれました。
「われわれはくらやみ戦隊クラインジャー(くらいんじゃあ)。
のばら姫、さてはひまわりの戦士をさがしだすつもりだな!?
そうはいかんぞ!」
たいへんです。のばら姫とはるとくんたちは、
ひまわりの戦士かもしれないなつきくんを見つける前に、
クラインジャー(くらいんじゃあ)に見つかってしまったのです。
「こうなったら。はるとくん。ここはわたしがたたかいますから、
いそいでなつきくんにこのメダル(めだる)をわたしてくだい。」
のばら姫は、ひまわりの絵がかかれたメダル(めだる)を
はるとくんにわたしました。
「たたかうって、どうするの?」
「わたしには、この野ばらのメダルがあります。見ててくださいね。」
姫は、じぶんのメダルを高くもちあげて、さけびました。
「へんしん!サン(さん)・のばら!」
のばら姫はあっというまに
白とピンク(ぴんく)のヘルメット(へるめっと)と
ふくをきた戦士、サン・のばらになりました。
「うわ、かっこいい!」
サン・のばらはもうひとつメダル(めだる)を出しました。
「これは、はるとくんのぶんのメダル(めだる)。これを、わたしのようにして
サン・チューリップ(さん・ちゅーりっぷ)!とさけんでみてください。」
はるとくんは、メダル(めだる)をうけとりました。メダル(めだる)には、
げんきなチューリップ(ちゅーりっぷ) の絵が描かれています。
「わかった!ぼく、やってみるよ!」
はるとくんは、さっきののばら姫と同じように
メダル(めだる)を高くもちあげて、
さけびました。
「へんしん!サン・チューリップ(さん・ちゅーりっぷ!)」
はるとくんのからだにふしぎなちからがわいてきて、
あっというまに赤い戦士サン・チューリップにへんしんしました。
「はるとくん、メダル(めだる)をなつきくんにとどけて!」
「うん!でものばら姫はだいじょうぶなの?」
「わたしは、がんばります!」
そのこたえをきいたはるとくん、つまりサン・チューリップ(さん・ちゅーりっぷ)は
サン(さん)・のばらの手をつかんでひっぱりました。
「いっしょにいこう!」
ふたりはいそいでなつきくんのいる花壇にむかってはしりだしました。
「おのれ、まてえええ!」
ふたりのへんしんにびっくりしていたクラインジャー(くらいんじゃあ)は、
いっせいにおいかけはじめました。
(うわ、すごいはやさだ!)
サン・チューリップ(さん・ちゅーりっぷ)にへんしんしたはるとくんは、
じぶんたちのあしのはやさにびっくりしました。
いえもでんちゅうも、まわりのけしきがどんどんうしろにふっとんでゆきます。
「まてえええ!!」
クラインジャー(くらいんじゃあ)もなかなかのはやさでおいかけますが、
ふたりにおいつくことはできません。
「のばら姫は、だいじょうぶ?」
あんまりはやくはしれるので、はるとくんはしんぱいになって
姫にそう聞いてみました。
「へいきです、だってわたしもいまはサン(さん)・のばらなんですから!」
ふたりはクラインジャー(くらいんじゃあ)たちをひきはなして、あっというまに
なつきくんのいる花壇につきました。
「いた!のばら姫、あれがなつきくんだよ!」
なつきくんはちょうど花壇のおはなに
じょうろでおみずをあげているところでした。
「あのこが、でんせつのひまわりの戦士なのですね!」
なつきくんは、かっこいいヘルメット(へるめっと)とふくのふたりの戦士が
きゅうにやってきて、びっくりしています。
「うわあ、なんだい、きみたちは。」
「なつきくん、ぼくだよ、はるとだよ。きみも、ぼくたちとたたかって!」
「なつきくん、わたしはおはなの国の、のばら姫。
あなたにあうためにきました。」
「は、はるとくん?それにおひめさま?やだよ、たたかうなんて、こわいよう!」
やさしいなつきくんは、たたかいなんていやなのです。
「なつきくん、ゆうきをだして。ぼくだってこわいのはいやだけど、
いませかいをまもれるのはきみだけなんだ。だから、ぼくたちといっしょに、
みんなのしあわせをまもって!」
「みんなのしあわせを?」
なつきくんのめに、光がわきました。そのときです。
「ふはははは、ついにおいついたぞ!」
おおぜいのクラインジャー(くらいんじゃあ)たちが、3にんのまえにあらわれました。
なんだかさっきよりもっとおおぜいにふえてるみたい。
「なつきくん、これがきみのひまわりのメダル(めだる)だよ。」
サン・チューリップ(さん・ちゅーりっぷ)になったはるとくんが
なつきくんにメダル(めだる)をわたしました。
「へんしんしたくなったら、このメダル(めだる)を高くもちあげて、
サン(さん)・ひまわり!とさけぶんだよ。」
「へんしん…。」
「きみだけにこわい思いはさせない。見ていて。」
赤いヒーローのサン・チューリップは、
おおぜいのクラインジャー(くらいんじゃあ)のまえにいさましくたちました。
「のばら姫は、なつきくんがへんしんするまでまもってあげて。」
「わかりました。はるとくん、きをつけてね。」
はるとくんは、のばら姫にちからづよくうなずきました。
「わるものめ、おまえたちなんかにまけないぞ。」
「ふははは、なまいきなこぞうめ、ひとひねりにしてやる。みんな、かかれ!」
サン・チューリップ(さん・ちゅーりっぷ)とおおぜいのクラインジャー(くらいんじゃあ)たちは
おたがいにはしりだして、1たいおおぜいのだいけっせんがはじまりました。
「サン・パンチ(さん・ぱんち)!サン・キック(さん・きっく)!」
サン・チューリップ(さん・ちゅーりっぷ)がわざをくりだすたびに、
なんにんものクラインジャー(くらいんじゃあ)たちがふっとんでゆきます。
「うひゃあ、つよいぞ。」
しかし、えらそうなやつがなかまたちにこえをかけました。
「へこたれるな、おれたちをほんとうにたおせるのはひまわりのせんしだけだ!」
たしかに、いくらたたかってもきりがないので、
いくらつよいサン・チューリップ(さん・ちゅーりっぷ)でも
あっというまにへとへとです。
「なつきくん、どうかゆうきをだして。
このままでは、はるとくんもいつかやられてしまいます。」
のばら姫のおねがいに、やさしいなつきくんも心を決めました。
「わかったよ、見ていて。」
なつきくんはひまわりのメダル(めだる)を高くもちあげて、さけびました。
「へんしん!サン(さん)・ひまわり!!」
まぶしい光があふれて、みんながおもわず目をつむり、
もういちど目をあけると。
なつきくんは、金色にかがやくヘルメット(へるめっと)とふくをきた、
でんせつの戦士サン(さん)・ひまわりになっていました。
「ついにあらわれたな、でんせつのひまわりの戦士め!!
みんな、まだうまれたての今のうちにみんなでたおしてしまえ!!」
えらそうなやつがなかまたちにめいれいすると、
おおぜいのクラインジャー(くらいんじゃあ)が
こんどはサン(さん)・ひまわりとなったなつきくんにおそいかかりました。
なつきくんはうでをばってんに組んで、それをいきおいよくひろげると
あたたかい、つよい風がふいて、ちかくのクラインジャー(くらいんじゃあ)たちは
ふきとばされてしまいました。
「うわあああ!!」
それをみたはるとくんものばら姫もかんしんするばかりです。
「さすが、伝説のヒーロー(ひーろー)だ!すごいぞなつきくん!」
「ついにヒーローをみつけました!これでもうだいじょうぶ」
サン・ひまわりのなつきくんが、そんなふたりに声をかけます。
「はるとくん、のばら姫、いっしょに!」
「うん!ぼくはゆうきのせんし、サン・チューリップ(さんちゅーりっぷ)!」
「わたしは、あいのせんし、サン・のばら!」
「そしてぼくは、おひさまのせんし、サン・ひまわり!」
3にんは、声をそろえてさけびました。
「おひさま戦隊、サンレンジャー(さんれんじゃあ)!!」
「おのれええええ~!!」
クラインジャー(くらいんじゃあ)たちがくやしそうです。
「ようし、こっちもまけずに名のるぞ!おれはクラインジャー・ぶらっく!」
「おれは、クラインジャー・しゃどー!」
「おれはクラインジャー・だーく!」
おおぜいのクラインジャーたちが、ひとりずつ名のります。
でも、おおぜいなので、なかなかおわりません。
あたりはもうすっかりゆうやけの赤いお空です。
ここで、サン・のばらがふたりに、クラインジャー(くらいんじゃあ)の
おそろしいひみつをはなしました。
「くらやみ戦隊クラインジャー(くらいんじゃあ)は、
夜になるとつよさがまして、もっとつよくてごわくなるのです。」
それをきいてふたりもきがつきました。
「そうか、このままじかんかせぎをして、よるになるまでねばるつもりだな!」
「そうはさせるか!おい、クラインジャーたち!もうまってあげられないぞ!」
ふたりはクラインジャー(くらいんじゃあ)たちにそうしらせました。
「ふふふ、われわれは200にんくらいいるのだ、
このまま名のりおわるまでまて!」
ふたりとも、そうしてあげたいのはやまやまでしたが、
みんなのしあわせと平和のほうがだいじです。
「そうしてあげたいけど、もう時間ぎれだ!」
3にんは決意をかためて、ひっさつわざのたいせいにならびました。
からだのまえでうでをばってんに組んで力をためます。
「うむむむむ…」
3にんのからだにエネルギー(えねるぎー)がたまって、じゅんびがととのいました。
いきをあわせて、ばってんに組んでいた両うでをひろげ、さけびます。
「サンレンジャー・ビーム(さんれんじゃー・びーむ)!!!」
今まででいちばんまぶしい(ひかり)がはっしゃされて、
まわりはまひるのようにあかるくなりました。
「ぐわ、これはたまらん!!」
おおぜいのクラインジャーたちは、ほうほうのていで、
ひとりのこらずにげてゆきました。
「おのれサンレンジャー(さんれんじゃー)!きょうのところはここまでだが、
このつぎはみんなのしあわせをうばってやるからなあ!」
とてもゆるせないまけおしみのことばが、さいごにのこされました。
「ふう、勝ったぞ。」
3にんがヘルメットをぬぐと、サンレンジャー(さんれんじゃあ)のすがたではなくなって
いつものふくにもどりました。 3にんの手にはメダルがあります。
「ふたりとも、ゆうきをだしてたたかってくれて、ほんとうにありがとう。」
のばら姫がふたりのゆうきをたたえ、おれいをいいました。
「ぼくたちこそ。のばら姫は、ぼくたちをたすけにきてくれたんだよね。」
「はい。クラインジャー(くらいんじゃあ)は、みなさんからも、おはなのくにからも、
しあわせをうばってしまおうとたくらんでいます。
きっとまたあらわれてきますが、そのときはまた
ゆうきをだしてたちむかってくれますか?」
「もちろんだよ!のばら姫も、どうかよろしくね。」
「はい!」
そして3にんは、それぞれのおうちにかえりました。
「またね。」
こうして、サンレンジャー(さんれんじゃあ)のたたかいがはじまりました。
みんなのしあわせと平和をまもるため、がんばれ!まけるな!
おひさま戦隊サンレンジャー(さん・れんじゃあ)!!!
じかいのおはなしは!
はるとくんとなつきくんの組に、あたらしいお友だちが!
「はじめまして。のばらです。」
次回「しゅつどう!サンレンジャーロボ!」を、おたのしみに!
ーおとなのみなさまへー
これは、「もしも51番目のスーパー戦隊が、自由に企画できるとしたら」という、
ある種の提案書です。
いっぺん、とことんシンプルに、そして子どもたちの等身大まで
てらいなくぐーんと近づいてみるのもいいんじゃないかな。という発想です。
子どもたち、というのは、本当に小さい子たちで、要は戦隊版あんぱんまんといったところ。
今の50番目の戦隊が戦いを終えて、いつか再び新たなスーパー戦隊が現れるとき
そのあいだや、それと並行したどこかの時間のどこかの町角や公園で
勇気あるちいさな戦士たちが、この世界の平和を守っているのです。




