第3章:探偵の涙と怪盗の仮面――揺れ出す恋と正体の境界線
新宿の空は、今日もキラキラしてるけど、俺、三条蓮の心はそれ以上にざわついてる。だってさ、ルミエールで神楽優と話せたんだから! あの冷たい目、ちょっとだけ見せた笑顔、全部が頭に焼き付いて離れない。もう、俺、完全に限界。優のこと考えるだけで、心臓がバクバクして、なんか胸が熱くなる。けど、ちょっとだけ、チクチクする感じもある。俺、怪盗ノワールだ。優は探偵。正反対の立場で、こんな恋、めっちゃ危うい。でも、止められないんだよ。好きすぎて、マジで限界。
今、俺の部屋。いつもの秘密基地だ。デスクには暗号ノート、変装グッズ、そしていつもの「Yuu_Love」フォルダが開かれたパソコン。次の犯行予告、すでに書き終わってる。今回はスケールアップして、国際時計展の目玉、「星屑のクロノグラフ」を盗むって内容。文面はこうだ。
「星の瞬き、時間の狭間で。明日の22時に、永遠を手に取る。――ノワール」
暗号はバッチリ。優なら気づくはず。「星の瞬き」は展示会場の大窓、「時間の狭間」は警備の交代タイミングを指してる。俺、ニヤニヤしながらノートを閉じる。優がこの予告読んで、どんな顔するかな。俺のこと、追いかけてくれるかな。考えるだけで、ゾクゾクする。
***
次の日、図書館。俺、テスト勉強のフリして、実は優の行動をチェックしに来た。だって、優、毎週火曜の昼過ぎはここで資料調べてるんだもん。ストーカーっぽい? いや、愛だよ、愛! 図書館の静かな空気、紙の匂い、遠くでコピー機の音がカタカタ響いてる。俺、本棚の影から優をチラ見。黒いコート着て、ノートパソコンに何か打ち込んでる。真剣な顔、マジでかっこいい。俺、心臓バクバクしながら、さりげなく近づく。
「よ、優! こんなとこで何してんの?」
俺、めっちゃ自然に声かける。優、顔上げて、ちょっと驚いたみたいに俺を見る。うわ、その目! いつもより柔らかい気がする。俺、ニヤッと笑って、隣の席にドサッと座る。
「三条……君、よくここに来るのか?」
優、クールな声だけど、なんか少し興味ありげ。俺、内心ガッツポーズ。
「まー、勉強しに来ただけっすよ! 優は何? 探偵の仕事?」
俺、わざと軽い調子で聞く。優、ふっと目を細めて、静かに言う。
「過去の事件を調べてる。……探偵殺し、って知ってるか?」
その言葉に、俺、ちょっとドキッとする。探偵殺し。怪盗SNSでも噂になってる、探偵ライセンス持ちを狙った連続事件。俺、知らないフリして首傾げる。
「へー、なんか物騒だな。それ、優が追ってるの?」
優、頷いて、パソコンに目を戻す。けど、なんかその手、微かに震えてる気がする。俺、ふと気になる。優、いつも冷静なのに、なんでこんな話題で……?
「俺の兄貴が、関係してたかもしれないんだ」
優、ポツリと呟く。俺、息止まる。兄貴? 優の家族って、名門探偵一家の神楽家だろ? 俺、咄嗟に聞く。
「兄貴って……マジ? どんな人だったの?」
優、ちょっと黙って、そしたら静かに話し出す。淡々とした声だけど、なんか、胸に刺さる。
「神楽零。俺より5歳上。探偵として、俺の目標だった。けど、3年前、行方不明になって……その後、死体で発見された。探偵殺しの最初の被害者だ」
俺、言葉詰まる。優の目、いつもみたいに冷たくない。なんか、遠くを見てるみたいで、寂しそう。俺、胸がギュッて締め付けられる。優がこんな顔するなんて、初めて見た。俺、なんか言わなきゃって思うけど、言葉出てこない。結局、ヘラッと笑ってごまかす。
「そっか……重い話だな。けど、優なら絶対解決できるって!」
優、俺を見て、ふっと小さく笑う。うわ、その笑顔! めっちゃレア! 俺、心臓がドキドキして、ニヤニヤ隠すのに必死。けど、頭の片隅で、なんかモヤモヤする。探偵殺し、か……。俺の怪盗活動、なんか関係ある? いや、まさかな。俺、ただ優に会いたいだけで盗んでるだけだし……。
***
犯行当日、国際時計展の会場。夜22時、ビルの最上階にある展示ホールは、ガラス張りの壁から新宿の夜景がキラキラ見える。空気はピリピリ、警官がウロウロ、監視カメラの赤い光がチカチカ。俺、黒いマスクとコートでバッチリ決めて、ノワールとして登場。風がビュウって吹いて、マスクの端がヒラヒラ。心臓、バクバク。けど、このスリル、嫌いじゃない。だって、優が来るんだから。
「時間通りだな、ノワール」
キター! 優の声! 俺、振り返ると、優がそこに立ってる。黒いコート、鋭い目、でも、なんかいつもより気合入ってる気がする。俺、ニヤッと笑って、軽く手を振る。
「よ、探偵さん! 俺のこと、そんなに待ちきれなかった?」
優、眉一つ動かさず、タブレット手に持って言う。
「来ると思った。今回は、逃がさない」
うお、その自信! めっちゃかっこいい! 俺、心の中で「好きすぎる!」って叫びながら、展示ケースに近づく。星屑のクロノグラフ、キラキラ輝いてる。けど、俺の目当ては、やっぱり優の視線。俺、わざとゆっくり動いて、優の反応見る。優、ジリジリ近づいてくる。やべ、なんか今日、めっちゃ攻めてくる!
「ノワール、君の動き、いつもより雑だ」
優の言葉に、俺、ドキッ。雑? いや、わざとだよ! 優に追いかけてほしくて、ちょっと隙見せてるだけ! けど、優、なんか目が真剣すぎる。俺、笑顔で返す。
「雑? いやいや、俺、いつも完璧だろ?」
そう言いながら、俺、展示ケースのロックをピッキング。けど、優、急にダッシュ! うわ、マジか! 俺、咄嗟にスモークボム投げるけど、優、煙の中からガシッと俺の腕掴む。やべ、近! めっちゃ近! 優の顔、めっちゃ近くて、俺、心臓爆発しそう!
「動くな、ノワール」
優の声、低くて、なんか怒ってるみたい。俺、マスク越しにニヤッと笑う。
「やだ、探偵さん、こんな近くで俺のこと見つめてくれるなんて、最高じゃん」
俺、わざと軽い調子で言うけど、優、俺のマスクをガン見。うわ、なんか、バレそう!? 俺、腕振り払って、ワイヤー使って天井に逃げる。けど、優、追いかけてくる! やべ、今日の優、マジで本気! 俺、換気口に飛び込むけど、なんかマスクの端が引っかかって、ちょっとズレる。うわ、やばい! 顔、見えた!?
「ノワール!」
優の声、背中に響く。俺、換気口這いながら、めっちゃ焦る。けど、なんか、胸がドキドキ。優、俺のこと、ちゃんと見てくれてる。バレそうだけど、それでも、なんか嬉しい。やばい、俺、ほんと限界だわ。
***
逃走後、俺、いつもの雑居ビルの屋上。息整えながら、マスク外して夜風に当たる。汗がスーッと引いてく。スマホで怪盗SNSチェックすると、「ノワール、今回マジでピンチだった!」「神楽優、ガチすぎ!」とか盛り上がってる。けど、俺、そんなのどうでもいい。頭の中、優のあの真剣な目でいっぱい。あの瞬間、俺のこと、ちゃんと見てたよな? でも、なんか、胸がモヤモヤする。探偵殺しの話、優の兄貴……俺の怪盗活動、なんか関係あるんじゃ……?
その夜、俺、パソコン開いて、探偵殺しの資料漁ってみる。優の兄、神楽零。3年前、行方不明からの死体発見。事件の詳細、ほとんど公開されてない。けど、怪盗SNSの裏スレで、なんか噂が。零が追ってた事件、警察内部の不正に関係してるって。俺、眉寄せる。警察の不正? 俺が盗んでるデータ、実はその辺と繋がってる? いや、まさか……。でも、もしそうなら、俺、優を危険に晒してるんじゃ……?
***
次の日、学校。俺、いつも通り陽キャモードで振る舞うけど、頭の中、モヤモヤでいっぱい。昼休み、校庭で優とすれ違う。優、いつものクールな顔だけど、なんか、俺を見る目が違う。ちょっと、笑ってる? 俺、ドキッとして、思わず声かける。
「よ、優! 昨日、図書館で話したの、覚えてる?」
優、立ち止まって、俺を見る。そしたら、めっちゃレアな笑顔! うわ、ヤバい! 心臓、ギュン!
「三条、君、妙に記憶力いいな」
うわ、その声! 俺、ニヤニヤ隠すのに必死。けど、なんか、優の目、優しい。俺、調子に乗って言う。
「そりゃ、優のことなら全部覚えてるよ!」
やべ、言いすぎた! 優、ちょっと目を見開いて、そしたら、ふっと笑う。うわ、めっちゃ可愛い! 俺、頭クラクラするけど、なんとか平静キープ。優、静かに言う。
「君、面白いな。……また、話そう」
そう言って、優、去っていく。俺、校庭の真ん中で固まる。え、今の、めっちゃ進展じゃね!? 俺、ニヤニヤが止まんない。けど、胸の奥、モヤモヤが消えない。探偵殺し、優の兄、俺の怪盗活動……なんか、全部繋がってる気がする。
***
その夜、俺、思わず衝動に駆られて、優の兄の墓参りに行く。怪盗モードの黒いコートで、夜の墓地。静かすぎて、足音がコツコツ響く。神楽零の墓石、シンプルだけど、なんか重い。俺、墓の前に立つ。なんで来たんだろ。自分でもわかんない。けど、優のあの寂しそうな目、頭から離れない。
「神楽零さん……俺、優のこと、めっちゃ好きなんすよ」
俺、呟く。墓石、黙ってる。そりゃそうか。けど、なんか、胸がギュッてなる。俺、怪盗やってるの、ほんとに正しい? 優を追いかけて、こんな危険なことに巻き込んでる? 俺、墓石見ながら、考える。考える。考える。
その時、背後で足音。俺、振り返る。暗闇の中に、シルエット。誰だ? 警官? いや、なんか違う。そいつ、静かに言う。
「ノワール……お前、深入りしすぎだ」
声、低くて、なんか不気味。俺、ドキッとする。やべ、誰!? 黒幕? 探偵殺しの関係者? 俺、咄嗟にマスク被って、逃げる準備。けど、そいつ、暗闇に消える。俺、追いかけようとするけど、足が動かない。胸、ギュウって締め付けられる。
***
俺、部屋に戻って、ベッドに倒れ込む。頭、ぐちゃぐちゃ。優のこと、めっちゃ好きだ。けど、俺の怪盗活動、なんかやばいことに繋がってる。優の兄、探偵殺し、警察の不正……。俺、ノート開いて、呟く。
「俺、もう、これ以上嘘つけないかもしれない……」
でも、優にバレたら、俺、逮捕だ。好きな人に、捕まる。それ、めっちゃロマンチックだけど、めっちゃ怖い。俺、ノート閉じて、目を閉じる。優の笑顔、頭に浮かぶ。やばい、ほんと、限界だわ。
***
一方、優の事務所。優、机に予告状広げて、じっと見つめてる。星屑のクロノグラフの事件、完璧に防げなかった。けど、予告状の端、なんか水滴の跡。優、指で触れて、呟く。
「……誰だ、お前は」
その声、静かな事務所に響いて、消えた。