第2章:限界怪盗、推し探偵に急接近!?バレたら終わる片想い作戦
新宿の夜は相変わらずキラキラしてるけど、俺、三条蓮の心はそれ以上にキラキラ、いや、ギラギラしてるかもしれない。
だってさ、昨日、美術館で神楽優に会えたんだから! あの冷たい目、論理的な声、完璧なシルエット……ハァ、思い出すだけで胸がバクバクする。俺、完全に恋の暴走モードだ。
怪盗ノワールとして次の犯行予告を準備しながら、頭の中は優のことでいっぱい。
もう、限界。マジで限界。
今、俺の部屋のデスクには、いつもの怪盗グッズが並んでる。黒いマスク、変装用のメガネ、暗号ノート。あ、もちろん、俺の秘密の「Yuu_Love」フォルダもパソコンにバッチリ保存済み。で、今回のターゲットは――美術館とか高級品とかじゃなくて、優が毎週通ってるカフェ「ルミエール」。
そう、俺、今回は盗みじゃなくて、優に「偶然」会いに行く作戦なんだ! だって、怪盗モードでしか会えないなんて、なんか物足りないじゃん? 三条蓮として、普通に話したい。笑顔見たい。心、近づけたい。
予告状は、いつものように暗号仕込んでる。文面はこんな感じ。
「星屑の夜、君の光を借りに。明日の17時に、カフェの片隅で。――ノワール」
ふふ、わかる人にはわかる暗号だ。優なら絶対気づく。「星屑の夜」はカフェの窓際の席、優がいつも座る場所を指してる。「君の光」は、もちろん優のこと。
俺、めっちゃロマンチックじゃね? 自分で書いててニヤニヤが止まんない。
怪盗SNSにこの予告状アップしたら、フォロワーたちが「ノワール、今回はカフェ!?」「なんか恋愛ドラマっぽくね?」とか騒いでるけど、知るか! 俺の目的は、優と話すこと。それだけ!
***
次の日、学校。俺、いつも通り陽キャモードで振る舞ってるけど、内心はソワソワがやばい。
だって、今日、17時にルミエールで優に会いに行くんだもん!
昼休み、クラスのやつらが「レン、なんか今日やたらテンション高くね?」とか言ってくるけど、「いやいや、いつも通りだろ!」って笑ってごまかす。
スマホで優の行動パターンを最終チェック。月曜17時、水曜18時、金曜16時半……うん、今日の17時はバッチリ。俺、優のルーティンを完全に把握してる。やばい、ストーカーっぽい? でも、好きなんだもん、仕方ないじゃん!
放課後、俺は速攻で家に帰って変装の準備。怪盗モードじゃないから、いつもより軽めの変装。メガネかけて、髪をちょっと崩して、カジュアルなシャツに着替える。鏡見て、ニヤッ。
「よし、これなら三条蓮、ただの高校生って感じだな!」
でも、心臓はバクバク。優にバレたらどうしよう? いや、バレるわけないよな。俺の変装、完璧だもん。
***
17時、ルミエール。カフェのドアを開けると、コーヒーの香りがふわっと鼻をくすぐる。店内は落ち着いた雰囲気で、木のテーブルと暖かい照明がなんかオシャレ。
窓際の席に、いた! 優! 黒いタートルネックのセーター着て、本読んでる。うわ、マジで絵になるな、あの人。俺、深呼吸して、さりげなく近づく。心臓、爆発しそう。
「よ、偶然ですね!」
俺、めっちゃ自然な声で話しかける。優、顔を上げて、チラッと俺を見る。うお、その目! 冷たいけど、なんか吸い込まれそう。俺、ニコッと笑って、隣の席に座っちゃう。いや、許可とか取ってないけど、勢い大事だろ!
「……知り合いか?」
優、ちょっと眉を寄せて、クールに返す。うわ、声低! かっこよすぎ! 俺、内心で「最高かよ!」って叫びながら、平静を装う。
「いや、初めてっすけど、このカフェ、よく来るんですか? 俺、最近ハマっててさ」
嘘、めっちゃ嘘。俺、このカフェ、優が来るから調べまくっただけ。でも、優、軽く頷いて、また本に目を戻す。う、反応薄! でも、俺、めげない。だって、こうやって近くで話してるだけで、俺の心、ギュンギュンしてるもん。
「その本、面白そうっすね。何読んでるんです?」
俺、ちょっと身を乗り出して聞く。優、ページをめくる手を止めて、チラッと俺を見る。
「ミステリーだ。君には、関係ない」
うお、塩対応! でも、なんかその冷たさが逆に燃える! 俺、ニヤニヤしながら続ける。
「ミステリーか、いいっすね! 俺も推理モノ好きなんすよ。ほら、最近のノワールとか、めっちゃ話題じゃん?」
やべ、ついノワールの話振っちゃった。優、ピクッて反応して、俺をじっと見る。その目、マジで鋭い。俺、ちょっとドキッとするけど、笑顔でごまかす。
「ノワール、ね……」
優、静かに呟いて、タブレットを手に取る。画面には、俺の昨日の犯行映像。うわ、マジか、こんな近くでそれ見る!? 俺、内心で「バレる!? バレる!?」ってパニックだけど、顔は平静キープ。
「ノワールって、なんかロマンチックっすよね。予告状とか、暗号とか。あ、探偵の神楽さんって、どう思うんですか?」
俺、わざと探偵の話に持っていく。優、ふっと鼻で笑って、答える。
「ロマンチック? ただの犯罪者だ。無駄な演出で気を引こうとしてるだけ」
うっ、辛辣! でも、俺、その言葉にニヤニヤしちゃう。だって、優、俺のことちゃんと見てくれてるってことじゃん! 俺、調子に乗って続ける。
「でもさ、ノワール、なんか神楽さんにこだわってるっぽくないっすか? 毎回、予告状で挑発してるし」
優、ピタッと手を止めて、俺をガン見。うわ、目がマジで怖い! けど、なんか、ドキドキする。俺、笑顔でごまかそうとするけど、優、静かに言う。
「君、妙にノワールに詳しいな。どこかで、会ったことあるか?」
うお、マジか! バレてる!? 俺、頭フル回転で切り返す。
「いやいや、ただのファンっすよ! SNSで盛り上がってるから、つい熱くなっちゃって!」
俺、めっちゃ笑って誤魔化すけど、内心、汗だくだく。優、じっと俺を見て、ふっと目を細める。やべ、その表情、めっちゃかっこいいんだけど、めっちゃ怖い! 俺、心の中で「好きすぎて死ぬ!」って叫びながら、なんとか平静を保つ。
***
その時、カフェの入口でガヤガヤした声。見ると、なんか怪しいやつが女の人のバッグをスッと抜き取ろうとしてる。スリだ! 俺、反射的に立ち上がって、そのやつの手首をガシッと掴む。
「おっと、人のもん勝手に持ってくんじゃねえよ」
俺、ニヤッと笑って、スリのやつを睨む。店内が一瞬静まり返る。スリ、ビビった顔で俺の手を振り払おうとするけど、俺、がっちりホールド。
変装してるけど、怪盗の身体能力、舐めんなよ。女の人が「ありがとう!」って叫んで、店員が警察呼ぶって動き出す。俺、スリのやつを店員に預けて、さっと席に戻る。
優、じっと俺を見てた。やべ、バレた!? 俺、軽く笑って誤魔化す。
「いやー、なんか放っとけなくてさ!」
優、静かに言う。
「素早い動きだったな。まるで、訓練されてるみたいだ」
うわ、めっちゃ探ってる! 俺、笑顔で返す。
「いやいや、ただの運動神経っすよ! バスケ部なんで!」
嘘、バスケ部なんて入ってない。でも、優、なんか納得したような、しないような顔でまた本に戻る。俺、内心でホッとしつつ、ちょっとだけガッカリ。もっと話したかったな……。
***
カフェを出た後、俺、路地裏で変装を解いて、ホッと一息。やばい、めっちゃ緊張したけど、優と話せた! あの冷たい目、近くで見れた! 俺、スマホ取り出して、怪盗SNSに投稿。
「今日のミッション:推しとおしゃべり大成功! 心、ちょっと盗めたかな?」
フォロワーたちが「え、ノワール、カフェで何!?」「恋愛編突入!?」とか騒いでるけど、俺、ニヤニヤしながら無視。だって、俺の心、完全に優に盗まれてるんだもん。
でも、ふと、さっきの優の目が頭に浮かぶ。あの、なんか引っかかってるみたいな表情。俺の動き、なんかバレそうだった? いや、まさか。俺の変装、完璧だもん。……だろ?
***
一方、ルミエールの窓際の席。優は本を閉じて、静かにタブレットを手に取る。画面には、さっきのスリの騒動を店内の監視カメラが捉えた映像。そこには、俺――三条蓮の姿。素早い動き、手首を掴む瞬間の鋭い目。優、映像を一時停止して、呟く。
「ノワール……君と、どこか似てる」
その声は、カフェの喧騒に紛れて、誰にも聞こえなかった。
***
俺、夜の新宿の街を歩きながら、ニヤニヤが止まんない。優と話せた。近くで見た。声、聞いた。もう、最高すぎる。けど、胸の奥で、なんかチクチクする。俺、怪盗だ。優は探偵。こんな近くにいるのに、俺の正体、絶対バレちゃダメだ。でも、もっと近づきたい。もっと、優の心、盗みたい。
「やばい、俺、ほんと限界だわ……」
俺、夜空を見上げて、呟く。次の作戦、もう頭の中で出来上がってる。
優、俺のこと、もっと見ててくれよ。だって、俺、君のこと、マジで好きすぎるんだから。