日本語の「音象徴」まとめ。
言葉のチョイスのお勉強。
詩や文章を書く際の手助けに。
「オノマトペ」は「音象徴」に内包される。
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【 音象徴(sound symbolism)】
言葉の音(音形)と、その言葉が表す意味・感覚の間に、自然な結びつきがある現象。言語学的な概念で、広い範囲の言葉や音の意味的な傾向を含む。
例:「チ」音は小ささを連想させる(ちょこちょこ、小さい、チビ など)
【オノマトペ(onomatopoeia)】
音や様子・感情などを模倣して作られた言葉。日本語では特に擬音語・擬態語・擬情語などを指す。音象徴の中でも、模倣性が強く、より表現的な語彙。
例:「ワンワン」「ふわふわ」「ドキドキ」など
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<擬音語>
音を表す言葉
・ワンワン(犬の鳴き声)
・ニャーニャー(猫の鳴き声)
・ドンドン(太鼓の音など)
・ガタンゴトン(電車の音)
・ポタポタ(水滴が落ちる音)
・ゴロゴロ(雷の音、または重いものが転がる音)
<擬態語>
状態や様子を表す言葉
・ふわふわ(柔らかく軽い様子)
・ぴかぴか(光っている様子)
・どきどき(心臓が高鳴る様子)
・ぎゅうぎゅう(詰まっている様子)
・うろうろ(あてもなく歩き回る様子)
・しーん(静まりかえっている様子)
<擬情語>※擬態語と重なる部分あり。
感情・心理状態を表す言葉
・いらいら(苛立っている様子)
・わくわく(期待で胸が高鳴る様子)
・もやもや(はっきりしない不快感)
・しょんぼり(落ち込んで元気がない様子)
・にこにこ(穏やかに笑っている様子)
―― ここまで『オノマトペ』
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<擬色語>
色の印象や雰囲気を音で象徴する語。
・きらきら(明るい光を感じさせる → 金色・黄色)
・くすん(くすんだ暗い色の印象)
・どぎつい(派手すぎる色合いを否定的に)
<擬容語>
形・大きさ・質感などの物理的特徴を表す音象徴語。
・ごつごつ(硬くて角ばった形)
・つるつる(滑らかな表面)
・ふにゃふにゃ(柔らかく形が崩れやすい)
<擬数量語>
量や数、密度、分布に関する印象を表す音象徴語。
・ぽつぽつ(点在して少ない感じ)
・ぎっしり(密集して多い)
・ばらばら(まとまりがなく散らばっている)
<擬動語>※学術的に新しい分類
動き方・運動の様子に関する音象徴語(擬態語と重なるが焦点が異なる)。
・すたすた(速く整った歩き方)
・よたよた(不安定な歩き方)
・ふらふら(目的なく動く様子)
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<母音の象徴性(音そのものが持つ印象)>
「あ」系
象徴性:大きさ、広がり、開放感、力強さ。
・あんあん(大きな声で鳴く、苦しんでいる様子)
・あつあつ(熱い、温かい)
・あふあふ(溢れる様子)
「い」系
象徴性:細かさ、鋭さ、冷たさ、尖った感じ。
・いらいら(焦る、イライラする)
・いきいき(元気で活発な様子)
・いびき(寝ているときの音)
「う」系
象徴性:丸さ、柔らかさ、重さ、落ち着き。
・うとうと(眠っている状態)
・うねうね(うねるように動く)
・うるうる(涙が溢れそうな様子)
「え」系
象徴性:鋭さ、軽さ、鋼のような硬さ。
・えへへ(照れ笑いの音)
・えんえん(泣いている様子)
・えきえき(喜んでいる、元気な様子)
「お」系
象徴性:大きさ、重さ、広がり、力強さ。
・おっと(驚きや注意を引くとき)
・おおきい(大きい)
・おろおろ(慌てている様子)
<子音の象徴性(音の質感や印象に影響)>
「p」系(ピ、パ、プ、ポ)
象徴性:軽快・小さなもの、鋭い感じ、パチンと弾けるような感覚。
・ピカピカ(光っている)
・パチパチ(弾ける音)
・ポンポン(軽く弾む、または反響する)
・ぴょんぴょん(跳ねる)
「k」系(カ、キ、ク、ケ、コ)
象徴性:力強さ、固い、硬い印象、カリカリ音。
・カチカチ(固い音、硬い状態)
・キラキラ(光っているが、やや鋭い感じ)
・コツコツ(物が固いものに当たる音)
・ガタガタ(不安定で固い音)
「t」系(タ、チ、ツ、テ、ト)
象徴性:軽やかで、シャープ・明確な印象、素早い動きや音。
・チクチク(針のように痛い)
・トントン(軽く叩く音)
・タタタ(早足で歩く)
・ツンツン(尖った感じや冷たい態度)
「s」系(サ、シ、ス、セ、ソ)
象徴性:細かい、滑らか、柔らかい、しなやかな印象。
・サラサラ(滑らかな様子)
・シューシュー(蒸気や水が出る音)
・スーッ(軽く動く、息を吸う音)
・ソワソワ(落ち着かない)
「m」系(マ、ミ、ム、メ、モ)
象徴性:柔らかい、穏やか、重い、丸い印象。
・ムニムニ(柔らかく、弾力がある様子)
・モコモコ(ふわふわ、膨らんだ感じ)
・ムズムズ(かゆい感じ、動かしたくなる)
・モヤモヤ(はっきりしない気持ち)
「n」系(ナ、ニ、ヌ、ネ、ノ)
象徴性:穏やか、柔らかい、閉じた感じ。
・ヌルヌル(滑る様子)
・ニコニコ(穏やかに笑っている様子)
・ノロノロ(遅い、または鈍い動き)
・ナミナミ(水などが波を立てて流れる様子)
「r」系(ラ、リ、ル、レ、ロ)
象徴性:軽やかで、音が反復的な印象。丸みを帯びた音。
・ラララ(軽快に歌う様子)
・リズム(規則的な繰り返し)
・ルンルン(楽しい気分)
・ロロロ(転がる音)
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<音の対比による象徴性>
高音(「い」系、「き」「ち」などの音)
→鋭い、速い、軽い、細かい、強い印象
低音(「お」系、「ご」「ど」などの音)
→重い、力強い、ゆっくり、大きい印象
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<硬質な音>
母音:あ、い、お
子音:カ行、サ行、タ行
<柔らかい音>
母音:え、お、う
子音:マ行、ヤ行、ラ行
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< 硬質と柔らかさの対比>
硬質:「か、き、く、け、こ」、「さ、し、す、せ、そ」、「た、ち、つ、て、と」
柔らかさ:「ま、み、む、め、も」、「や、ゆ、よ」、「ら、り、る、れ、ろ」
< 音の響きによる印象>
硬質な音:物理的に強い、重いものを連想させ、鋭い、冷たい感覚を与える。
柔らかい音:優しさ、温かさ、穏やかさを感じさせ、丸みや滑らかさを象徴する。
あとがき)ちょいちょい、編集入れるかもしれん。
あと濁点は、重力を増やす感じなのかな?