第四十六話
期間が空いたのであらすじをも載せました
【前回までのあらすじ】
マリアナ沖海戦で敵将スプルーアンス大将を討ち、正規空母『ヨークタウン2』『バンカーヒル』軽空母『カボット』『カウペンス』『サン・ジャシント』が撃沈させ、正規空母『イントレピッド』を鹵獲に成功しマリアナ諸島の攻略を諦めさせた近藤率いる日本海軍であったが、マッカーサー率いる陸軍はフィリピン奪回を諦めてはおらず、また米海軍も復讐に燃えるハルゼー大将を機動部隊司令長官とし沖縄や台湾を航空攻撃した後にフィリピン攻略に動き出した。
対して日本陸海軍も準備をしており、陸軍は約11個師団に1個戦車師団、1個飛行師団を揃え海軍もGF旗艦『高雄』以外4個艦隊を投入するのである。
先手は日本軍が取った。レイテ島に上陸した米上陸船団に対し第二航空艦隊は航空攻撃を実施、第七艦隊の戦艦『ペンシルベニア』『テネシー』『カリフォルニア』は撃沈され戦艦『ミシシッピ』は大破するのである。
宇垣中将の第一遊撃部隊はハルゼーからの航空攻撃を戦闘機等で防いでいたが、囮の小沢機動部隊を発見した事でハルゼーが小沢機動部隊を全力攻撃するために北上を開始、ハルゼーは釣られたのである。
そしてスリガオ海峡から侵入してきた西村中将の第一遊撃部隊第三部隊と近藤率いるGF直卒隊はオルデンドルフ少将の第70任務部隊第2群と交戦、戦艦『ウエストバージニア』『メリーランド』を撃沈するも戦艦『扶桑』を喪失する。
しかし、オルデンドルフ少将の第70任務部隊第2群を壊滅させた事で第三部隊と直卒隊は道を開く事が出来たのである。
レイテ湾に突入した第三部隊と直卒隊は酸素魚雷を上陸船団にぶっ放し、三式弾をレイテ島の海岸に叩き込む事に成功したのである。レイテ湾を火の海に変えた第三部隊と直卒隊であったが宇垣中将らの第一遊撃部隊主力はリー中将の戦艦部隊と艦隊決戦を行っていたのである。
「『長門』被弾炎上!! 『陸奥』も炎上!!」
「戦況は……尚も不利……ですな」
「まぁ……敵旗艦を集中して狙い撃ちをしたからな」
『大和』の艦橋で宇垣中将と参謀長の木村少将はそう話していた。第一遊撃部隊はサマール島沖でスプレイグ少将の護衛空母部隊を全滅させ南下をしようとしていたところ、第七艦隊の悲報を聞きつけ急遽レイテ湾に向かっていたリー中将の戦艦部隊を発見。宇垣中将は直ちに艦隊決戦に移行した。
リー中将も望むところとし、両艦隊は同航戦での艦隊決戦を行ったが宇垣中将は先に敵旗艦を叩く事を先決し第一遊撃部隊の第一戦隊の『大和』以下4隻を敵旗艦『ワシントン』を電探射撃で砲撃、これがたまたま3発の46サンチ砲弾が2番砲塔を吹っ飛ばし、弾薬庫を貫き爆沈するという悲劇を繰り出したのだ。
無論、乗員は8名を残し残りのリー中将以下は戦死したのである。これで混乱するかと思いきや、第13巡洋隊司令官のデュボース少将が「リー中将の仇討ちだ!!」とばかりに指揮権を継承して砲撃戦を繰り返していたのだ。
それが功を成したのかは不明だが『長門』は5発、『陸奥』は4発が命中して炎上していたが今のところ2隻は沈没する気配は無かった。開戦前の大改装で防御力も強化していた事もあり2隻は十分に耐えうる戦艦であったのだ。
しかし集中砲撃されたら流石の2隻も耐えられないのは宇垣も承知済みである。
「奴等を追い返す事を優先しよう。差し当たって『サウスダコタ』級を狙う」
「はっ。第二部隊はどうしますか?」
「乱れたところを奴等の喉元を喰い破れ」
「鈴木中将にはそのように伝えます」
宇垣中将の言葉に木村少将はニヤリと笑うのである。『大和』『武蔵』は『サウスダコタ』級の『マサチューセッツ』に照準を合わせて砲撃を再開した。
なお、『大和』と『武蔵』もそうだが第一戦隊の射撃管制電探はドイツから輸入されたFuMO25レーダーであり33号や22号の性能を大きく上回る代物である。(そらそうだ)
その為、宇垣らが思っていた以上に命中弾を得るのである。『マサチューセッツ』は僅か三斉射で5発の46サンチ砲弾が命中、同艦は戦闘不能に陥るのである。
更に『大和』と『武蔵』は接近してくる『アラバマ』を砲撃、6発が命中して『アラバマ』は沈黙するのである。
デュボース少将は2隻が大破、沈黙した事でこれ以上の交戦は無理と判断し煙幕を展張し退避する事にしたのである。
「敵艦隊、煙幕を展張し撤退します!!」
「ん、追撃は不要だ。我々の目標はレイテ湾を燃やす事にあるッ」
なお、宇垣は後にレイテ湾が燃えているのを第三部隊と直卒隊からの電文を見て悔しがるも苦笑するのである。
それは兎も角、旗艦『高雄』の艦橋で近藤は笑みを浮かべる。
「さて……燃やしたし帰るか」
「はいッ」
旗艦『高雄』は最大出力にて発信した。
『作戦ノ目的ヲ達セリ。全艦、帰投セヨ』
海軍における『捷一号作戦』は上陸船団を壊滅させた事で成功に終わるのであった。囮の小沢機動部隊も何とか内地に帰還するがブルネイに戻った3個艦隊もある程度の被弾損傷をしていた。
沈没
戦艦
『扶桑』
乙巡洋艦
『鬼怒』
駆逐艦
『朝雲』『若葉』
大破
戦艦
『長門』『陸奥』『山城』
空母
『天城』『葛城』『阿蘇』『千歳』『千代田』『龍鳳』
甲巡洋艦
『三隈』『最上』『熊野』『筑摩』
乙巡洋艦
『長良』『多摩』『大淀』『阿賀野』
駆逐艦
『陽炎』『不知火』以下11隻
中破
戦艦
『大和』『武蔵』『駿河』
空母
『瑞鶴』『雲龍』『笠置』『瑞鳳』『飛鷹』
甲巡洋艦
『利根』『青葉』『衣笠』『加古』
乙巡洋艦
『穂高』『五十鈴』
駆逐艦
『野分』以下10隻
「小沢は余程ハルゼーに追い掛けられたんだな。無傷な空母が『生駒』しかいないぞ」
「マリアナ沖の仇討ちをしたかったんでしょうなぁ」
11月1日、昭南にて近藤らは修理中の艦艇を見学しながらそう話していた。昭南は元々修理工廠もあったので先の海戦で損傷した艦艇の修理を行っていたのだ。また、そこまで酷くない艦艇については『明石』型工作艦の『明石』『三原』『桃取』の3隻と『朝日』に特設工作艦『山彦丸』『山浦丸』の修理を受けていたのである。
「せめて年末までには内地に戻りたいものだな」
「米軍の動きが鈍いですからな。やはりマッカーサーを討ち取ったのが効いてますな」
近藤の呟きに白石は頷く。レイテ沖海戦後、レイテ島への艦砲射撃時にマッカーサーは三式弾によって吹き飛ばされて戦死したのだ。その他7万近い死傷者や装備等の喪失もしており米第6軍はレイテ島のタクロバンやサンホセ等の占領は維持していたがレイテ島全土を攻略するという気配は未だ無かった。
これはレイテ沖海戦の報告を聞いた米議会が「フィリピンを攻略する意義は有るのか」と騒ぎ出したのが要因であった。フィリピンを奪取したいのはマッカーサーだった為、口が悪い人間等は「マッカーサー個人がフィリピンを取り返したいだけの話ではないか」と噂する程であったが戦略上、日本と南方を途絶えさせるにはフィリピンの攻略は不可欠であるのでルーズベルト等は増援を送る気満々だったがまだ準備等で手間取っているというのが現状である。
「それと海護からもし帰還するなら輸送船団も護衛してほしいとの事です」
「……対潜警戒は厳重にしないとな」
白石の言葉に近藤はそう呟くのである。なお、聯合艦隊は航行可能まで修理を終わらせると11月18日に海上護衛隊の1個艦隊と輸送船団(高速船団)を従えて昭南を出港、12月5日には内地へ帰還するのであった。
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