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第四話

たまたまランキング見たら日間で一位だったんですよ

へ~、一位かぁ………
















一位!?(;゜Д゜)


約18年なろうにいますが、まさかの快挙に驚愕し、そのため慌てて最新話書きました。






「正座」

「ア,ハイ」

「説明」

「あの、実は……」


 小さな庭で怒りの形相を浮かべるハンナに正座をさせられた近藤はイギリスでの出来事の説明をする。


「成る程……だからあの時、雰囲気がおかしかったのか……」

(むしろ、それで分かるハンナの方が……いや、女の勘というやつか……)


 納得するハンナに近藤は冷や汗をかく。ちなみにグレイスは到着祝いとしてラム酒を空けて飲んでいた。


「言っておくが、余はイギリスには帰らないぞ」

「オイオイ、ネルソン大尉が泣くぞ」

「……父上は亡くなられた」

「ッ。まさか……」

「……着艦事故だ。その前にも何度も着艦失敗をしていたらしく疲労困憊のまま海面に墜落したそうだ。それに伴い、イギリスの家は引き払った。コンドー、貴様の下に来るためにな」

「……そうか……」


 グレイスの言葉に近藤は目を瞑り、幾分かして開きコップを二つ持ってきてラム酒と日本酒を注ぐ。


「大尉に……」

「……ありがとうコンドー」


 日本酒を入れたコップを高々と掲げて近藤は日本酒を飲み干すのである。そしてハンナも溜め息を吐いた。


「……仕方ない。暫くは居てもいい」

「本当か!? なら宿賃代わりでラム酒をやろう!!」

「ちょっと待て!! まさか、この旅行鞄は……」

「ウム!! ラム酒の瓶と着替えの下着しか無いぞ!!」


 近藤はグレイスが持っていた旅行鞄を全部開けると10本のラム酒と下着しか無かった。


「……ノブのスケベ」

「まさかの飛び火!?」

「なら余はノッブと呼んでやろう!!」

「それは色々とヤバそうだからやめろ!!」


 だが結局、グレイスからはノッブと呼ばれる事になる近藤であった。


「それはそうとグレイス、よくこの家だと分かったな?」

「ウム、余も流石に分からなかった。そこで海軍省を訊ねたのだ。無論、門前払いされそうになったがたまたま通り掛かった将官に事情を聞かれたので説明したら住所を教えてくれたのだ」

「そ、そうか……(誰だいった奴は!?)」


 そう思う近藤であった。なお、この将官については後日、近藤も出会う事になる。それはさておき、嫁候補が二人になってしまった近藤は家を神戸に移す事を思案した。神戸は元々あった外国人居留地が返還された土地もあり、洋風の建物も数多くあったのだ。また、近藤も実家は大阪だったので親に頼る状況もあるだろうと踏んだのだ。

 なお、引っ越しに関して海軍は一切首を突っ込む事はなかったのである。そして昭和2年(1927年)12月1日、近藤は海軍大佐に昇任するが、その前月に近藤は横須賀航空隊司令官に就任したのだ。


(史実では確か海大の教官だったよな……)


 史実であれば海大の教官になり黛や野元らからの評価を下げる近藤だったが横須賀航空隊司令官に就任したのでそんな接点は無くなったのだ。


(まぁ……良かったと思えば良いか……)


 そう思う事にした近藤であった。なお、横須賀航空隊司令では時間があれば航空機の操縦訓練を見学したりパイロット達と交流をしたり酒を奢ったりするのである。このおかげでパイロット達からは好評を得るのであった。また、海軍省には航空隊パイロットの育成を専門とする練習隊創設を具申したりする。これが実ったかは分からないが近藤が横須賀航空隊司令異動後に予科練では採用人数が大幅に増加されるのであった。

 その後、近藤は横須賀航空隊司令を二年勤めると海上勤務として重巡『加古』艦長に就任し海上勤務を行うのである。また、その間にハンナとグレイスが共に第一子を妊娠し昭和5年に共に女の子が生まれるのであった。


「年貢の納め時だな」

(何処でその言葉を知ったんだろうか……)


 赤子を抱くハンナに近藤はそう思うのである。なお、グレイスは早速とばかりに特別なラム酒を空けていたりする。ちなみに書類上の正式な嫁はハンナとなり(じゃんけんでグレイスが負けた)近藤の実家に挨拶をしたりしている。

 それはさておき、近藤の家庭も順調な生活をしつつ昭和5年(1930年)に軍令部第一課長に就任するが、総長に就任した谷口に呼ばれた。


「家族を東京に?」

「あぁ。東京にとは言わないが東京に近い場所に居を構えた方が良いだろう。毎週毎週、神戸に戻るのも身体もしんどいだろう」


 神戸に居を構えた近藤に谷口も心配しての事だった。確かに現代であったならまだマシかもしれないがこの時代は辛いだろう。


「無論、費用の何割かは海軍で負担しよう」

「良いのですか?」

「君が横須賀空司令時に予科練の拡充を訴えたからその恩返しだよ」


 予科練の第一期生は横須賀空で育成中であったが採用人数は史実より倍以上の270名をも採用しており階級も二等水兵からとなっていた。ともあれ、近藤家は準備出来次第の引っ越しをし東京に近いーー横浜の近くに居を構えたのである。

 なお、仕事に関してはパイロットの育成拡充や電探の開発を押し進めた。この頃、電探ーーレーダーでは八木・宇田アンテナが有名であり、八木らもアンテナを使用してUHFの送受信機での通信にも成功している頃であり近藤はそれを利用して今からの電探開発を押し進めたのだ。

 しかしながら、この時は電探への理解度が海軍では遥かに少なかったのだ。


「電波を出すことで自らの位置を敵に教えるだけだ」

「近藤大佐は自らの場所を敵に知らせるのか」


 課員達は陰でそう口々に悪口を言うのであるが近藤は特に気にしていなかった。


「艦艇のが嫌なら航空機対策で開発を押し進めるしかないな」


 近藤は対空電探ーー日本本土の爆撃可能性を考慮しつつそう開発を進めるのである。しかし、翌年に近藤は異動命令が出された。行き先は海軍航空本部技術部主任補佐官であり事実上左遷であった。


「……成る程。なら航空機開発を押し進めたら良い」


 近藤は異動命令をそう捉えて荷物を整理して海軍航空本部に向かうのであった。






「君が近藤君か。話は色々と聞いているよ」


 海軍航空本部に来た近藤は本部長の松山少将に挨拶をすると松山はニコニコしていた。


「君は航空派と艦隊派の中立をしているけど、今後はどうなると思うかね?」

「戦争によってはやや航空派が押すでしょう」

「成る程。論じる時が面白そうだ」

「論じるですか?」

「あぁ。今はいないが技術部長に山本少将、和田技術部主任らが毎日、航空機を論じてるからね」

「成る程(そういや山本も此処に一時期いたわな)」


 後のGF長官になる山本の事を今更ながら思い出す近藤であった。その数日後には山本と和田とも会う近藤である。


「君が近藤大佐か。話は前から色々と聞いているよ」


 近藤は山本らと話をしていた。


「近藤君、これからは航空機の時代が来るかね?」

「まぁ、単に全てとは言い切れは無いでしょう」

「と言うと?」

「海軍はワシントンとロンドンの各条約によって艦艇の縛りを受けています。だから航空隊の拡充を図る。それは分かります。ですが航空隊を拡充するなら色々と拡充しなければならない筈です」


 近藤は黒板に航空機の絵を書く。


「1機の航空機を生産するには工場が必要となります。では何の工場が必要なのか? 航空機の部品を製造する工場、航空機の鉄板を製造する工場、航空機を組み立てる工場等々、こういった細かいのが多いのです」

「成る程。確かに細かい部品等は多そうだな」

「はい。なのでまず航空機を揃えるにはこういった工場等の拡充が必要と思われます」


 近藤はそう言ってお茶を一口啜り喉を潤す。そして呼吸が落ち着いたところで再度口を開く。


「これらが可能となってからは大量生産も可能でしょう。また、航空機も技術開発は必要です。今は三式艦上戦闘機の発動機が400ちょいですが技術力を向上させる事によって1000、1500馬力の発動機も開発可能になるでしょう」

「ハハハ、成る程。大艦巨砲主義者らからしたら夢物語に近いな」

「いやいや、そうなりますよ。戦国時代で例えたら種子島のようなものです。今の日本海軍の航空機や航空隊は種子島に欧米人が漂着して鉄砲の開発に成功したばかりのようなものです」

「成る程、それなら分かりやすいですね」


 近藤の言葉に和田も頷くのである。


「それに航空機の拡充を図るのも良いですが、一番はパイロットの育成です。パイロット無くして航空機は操縦出来ませんから」

「フム、確かにな。パイロットの彼等が居なければ作戦のさの字も出てこないな」

「となると攻撃機の拡充でしょうか?」

「いえ、戦闘機です」

「ほぅ。戦闘機か」


 近藤の言葉に山本は意外そうな表情をした。


「例えば、敵空母を発見しました。攻撃機だけの攻撃隊を送ります。しかし、敵空母の上空には大量の敵戦闘機がいました。護衛の戦闘機を持たない攻撃隊はどうなるでしょう」

「……最悪は全滅するな」

「ですが、攻撃隊にも旋回機銃はある筈です」

「旋回機銃でも高々1挺ですよ。それに戦闘機は場合によって機首や主翼にも機銃を搭載可能です。例えば7.7ミリ機銃を機首に2挺、主翼2挺を搭載した戦闘機と旋回機銃1挺しか無い攻撃機は勝てますか? 戦闘機は固定式なので反動やブレはありません。対して旋回機銃は人が撃つので反動は無いかもしれませんがブレはあるでしょう。4挺の機銃が上からシャワーのように弾丸を降らせて来るのですよ」

『…………………』


 近藤の言葉に山本や和田は成る程と納得する。少なくともこの時点で山本の頭に戦闘機無用論というモノは完全に除外されたに等しかったのである。


「近藤君の話は頷けるのは多々ある。これは大いに我々も学ぶべきだろうな」


 コッソリと話を聞いていた松山少将はそう呟く。これが後に『八試特殊偵察機』にも影響を与える事になるとは近藤もこの時は思わなかったのである。






御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
>グレイスは早速とばかりに特別なラム酒を空けていたりする。 特別とはいえお祝いにラム酒は安すぎる! 流石海賊の末裔!
一位おめ まあ、零戦先生だからなあ。 そんなこともあるだろ。 ノッブw それは、かの…おっと、誰か来たようだ。
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