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第三十六話







 1944年2月17日、米海軍の攻撃を受けたのはトラック諸島であった。近藤の耳に入ったのは攻撃を受けてから2時間後の事である。


「それで状況は?」

「輸送船7隻、特務哨戒艇14隻等が環礁内で撃沈破しました。夏島や春島の航空基地も攻撃を受け滑走路は暫く使用不能です。擬装の為に滑走路に駐機していた旧式航空機の被害はありますが、航空隊は退避していたので被害はありません」


 近藤の問いにたまたま『高雄』に来ていた草鹿はそう答える。


「取り敢えずの復旧は可能です」

「ん。完全喪失なら放棄もやむを得ないが復旧が可能ならまだやれそうだな」

「そのようです」

「……………………」

「どうした奥宮?」

「はっ……此処は罠を仕掛けてみては如何ですか?」

「罠?」

「はい。奴等の暗号解読を上手く利用するのです」


 この頃、海軍は元より陸軍も米軍に暗号解読をされていると認識していた。海軍も『海軍甲事件』は暗号解読による待ち伏せと認識していた。というのも山本がブーゲンヴィル島に向かう時に行動予定の長文を発信しており訪問先の第11航空戦隊司令官の城島少将(当時)は暗号解読の節があるので訪問を取り止めるよう具申していたが山本は前線の将兵の訪問の為、これを却下していた。しかし、暗号の変更は訪問が終わり次第実施するとなっていた。だが、山本はブーゲンヴィル島上空で待ち伏せに合い、戦死を遂げてしまったのだ。

 その後、近藤がGF長官に就任してから直ぐに暗号は変更されたものの、解読されている節が再び見受けられたのである。


「これは樋端参謀からの案ですがーー」


 奥宮の説明に白石らは唖然としたが近藤はカッカッカと笑った。


「成る程成る程……ソイツは素敵だ、面白くなってきたなッ」

「長官……それで奥宮、そうなると通信文は増やした方が良いな?」

「そうですね。この際、大量に流しましょう」


 との事で海軍は大量に通信文を発し始め無論、それは米海軍も傍受していたのである。


「諸君、ジャップの通信量がこの頃多いようだ」

「と言いますと?」

「先日のトラック諸島空襲だ。情報では重巡3隻、軽巡2隻、駆逐艦7隻が撃沈され負傷者が多数有りと奴等の暗号を解読した」

「成る程。攻撃をしたうちのパイロット達も巡洋艦を多数攻撃して撃沈したと報告をあげている。辻褄は合いますね……」


 ニミッツ長官の言葉にスプルーアンスは頷く。ただ、懸念事項もあったのだ。


「ですがパイロット側にも問題はあります。攻撃に参加した大半のパイロットは初陣であり誤認がある可能性も捨てきれません」


 米機動部隊は前年の南太平洋海戦(米側はサンタ・クルーズ諸島沖海戦)で航空機の大量喪失をしてパイロットの育成はまさに1からのスタートだった。そして今回のパイロット達は殆どが初陣であり戦果誤認もあるだろうとスプルーアンスは認識していたのだ。


「だろうな。此処は慎重に調べる必要がある」


 ニミッツはそう認識したが、報告を聞いたルーズベルトはラジオ放送にてトラック諸島を攻撃した事を発表したのである。


『我が精鋭なる空母部隊は2月の上旬にジャップの根城であるトラック諸島を攻撃、この攻撃でジャップの巡洋艦8隻、戦艦『マツシマ』『ヒラヤマ』を撃沈しました』

「……何という事を……幾ら国民の士気を上げるからと言って……」


 ラジオ放送を聞いていたニミッツは溜め息を吐く。しかしながらルーズベルト側にも理由はあった。先の日本本土空襲でB-29全機撃墜され軍の士気低下もあり例え誤報であろうとも士気を上げる必要はあったのだ。

 ルーズベルトは国民の士気は向上する事には成功した。しかしながら軍の士気はそこまでの向上とはならなかったのであった。

 そんな事はさておき、近藤の聯合艦隊も3月から行動を開始していた。山口中将の第一機動艦隊、宇垣中将の第一艦隊、南雲中将の第二艦隊、そして近藤のGF直卒隊はそれぞれタウイタウイ泊地に進出して航空隊の錬成等に余念がなかったのである。(角田中将の第二機動部隊はインド洋)




 GF直卒隊

 総旗艦

 『高雄』

 第四戦隊第一小隊

 『高雄』『愛宕』

 第二戦隊第二小隊

 『伊勢』『日向』

 第三水雷戦隊

 『矢矧』

 第二駆逐隊

 『夕立』『五月雨』『春雨』『時雨』

 第十五駆逐隊

 『黒潮』『親潮』『早潮』『夏潮』

 第三十四駆逐隊

 『玉波』『浜波』『沖波』『岸波』




 第一機動艦隊

 司令長官 山口多聞中将

 参謀長 古村啓蔵少将

 航空参謀 淵田大佐

 旗艦

 『大鳳』

 第一航空戦隊

 『大鳳』『飛龍』

 第二航空戦隊

 『翔鶴』『瑞鶴』

 第三航空戦隊

 『雲龍』『天城』

 第五航空戦隊

 『加賀』『鳳鶴』(元『ホーネット』)

 第六航空戦隊

 『葛城』『笠置』

 第一防空戦隊

 『千歳』『千代田』

 第八戦隊

 『利根』『筑摩』

 第十一戦隊

 『駿河』『常陸』

 第一護衛戦隊

 『五十鈴』『名取』

 第二護衛戦隊

 『長良』『阿武隈』

 第六十一駆逐隊

 『秋月』『照月』『涼月』『初月』

 第六十二駆逐隊

 『新月』『若月』『霜月』『冬月』

 第六十三駆逐隊

 『春月』『宵月』『夏月』『満月』

 第十駆逐隊

 『夕雲』『巻雲』『風雲』『秋雲』

 第十七駆逐隊

 『浦風』『谷風』『磯風』『浜風』




 第一艦隊

 司令長官 宇垣纏中将

 参謀長 松田千秋少将

 旗艦

 『大和』

 第一戦隊

 『大和』『武蔵』『長門』『陸奥』

 第七戦隊

 『最上』『三隈』『鈴谷』『熊野』

 第一水雷戦隊

 『阿賀野』

 第六駆逐隊

 『暁』『響』『雷』『電』

 第七駆逐隊

 『曙』『漣』『潮』

 第十八駆逐隊

 『陽炎』『不知火』『霞』『薄雲』

 第二十一駆逐隊

 『初春』『初霜』『若葉』

 第二防空戦隊

 『瑞鳳』『龍鳳』





 第二艦隊

 司令長官 南雲忠一中将

 参謀長 木村昌福少将

 旗艦

 『金剛』

 第三戦隊

 『金剛』『比叡』『榛名』『霧島』

 第五戦隊

 『妙高』『那智』『足柄』『羽黒』

 第二水雷戦隊

 『能代』『島風』

 第十六駆逐隊

 『初風』『雪風』『天津風』『時津風』

 第三十一駆逐隊

 『長波』『巻波』『高波』『大波』

 第三十二駆逐隊

 『鈴波』『藤波』『早波』『清波』

 第三防空戦隊

 『龍驤』『日進』




 第一補給隊

 タンカー16隻

 海防艦10隻


 第二補給隊

 タンカー10隻

 海防艦8隻



 なお、他にも対潜装備を施した哨戒艇や海防艦も10隻を揃えタウイタウイ泊地周辺の対潜掃討を行っていた。対潜掃討のおかげでタウイタウイ泊地に侵入しようとしていた米潜水艦4隻は撃沈、2隻を損傷させた。しかし、米潜水艦も反撃で海防艦2隻、哨戒艇1隻を撃沈し一矢は報いているのである。


「我々にも大和魂があるように、向こうにもヤンキー魂がある。油断は禁物だな」


 報告を受けた近藤はそう訓示するのである。それでも対潜掃討のおかげで米潜水艦隊はタウイタウイ泊地周辺に活動する事はなく、機動艦隊も航空機の発着艦訓練は支障なく行える事が出来たのである。


「小沢の第一航空艦隊はヤップ島入りしたか?」

「はい。3月6日までにはヤップ島入りをしています」


 拡張工事が完了したヤップ島に基地航空の主力である第一航空艦隊約1600機が移動完了をしていた。それでも300機程はサイパン島防空の為にサイパン島に派遣をされていたりするが主力なのは言うまでもない。


(よし、全ての準備は整った……後は奴等が来るのを待つのみ……)


 近藤はそう思うのであった。そして3月30日、パラオ泊地が第58任務部隊の攻撃を受け4月1日もヤップ島等も攻撃された。しかし、パラオ泊地は既に艦船はトラック諸島と同じく撤退していたので地上施設の損傷のみであった。ヤップ島の攻撃も対空電探の探知により航空艦隊は空中退避やサイパン島へ向かったので損害は実質無しであったのである。

 そして5月27日、アメリカ陸軍を主力にした連合軍はビアク島に上陸を開始したのである。







御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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