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第二部 プロローグ

予約したのは良いが投稿時間間違えたのでこのまま投下

日本放送協会の件は一応その場面も作っていたが某掲示板と似てしまったので敢え無くボツに。

第二部プロローグを投下したのでアンケの話類は削除しました







「それで制空権は未だにジャップにあるんだな?」

「はい。ヨロンアイランドとイヘヤアイランドの航空基地は叩きましたがオキノエラブ、トクノシマ、アマミオオシマのアイランドの航空基地は残っています」

「フン、ジャップは卑怯な戦法が好きだからな。だからレイも油断をして『マリアナの暗殺』にやられたんだ」


 米海軍太平洋艦隊第三艦隊司令官のウィリアム・ハルゼー大将は参謀長のカーニー少将の報告に葉巻を取り出し火をつけて吹かす。

 1945年3月26日、ハルゼー大将の第三艦隊は正規空母12隻、軽空母1隻、護衛空母52隻という艦隊であった。しかしそのうちの『ボクサー』は繰り上げての就役をさせられ戦線に参加していた程である。そして第三艦隊は沖縄攻略作戦である『アイスバーグ作戦』に参加していたのだ。

 しかし、第三艦隊の中身は1944年1月に比べたら練度は低下していた。というのも第三艦隊ーースプルーアンスが指揮していた時は第五艦隊は同年2月17日〜18日に実施したトラック諸島空襲の『ヘイルストーン作戦』からその戦力を減らし続けていた。

 トラック諸島空襲では日本海軍にその作戦を読まれ第五艦隊から発艦した攻撃隊はトラック諸島上空に待機していた零戦や正式採用されたばかりの新型艦上戦闘機『烈風』等に待ち伏せされ攻撃隊は壊滅、しかも送り狼として放った日本海軍の攻撃隊は空母『イントレピッド』の舵を破壊させ後に日本海軍は鹵獲させる事に成功させるのである。

 それでも第五艦隊はこの時、正規空母8隻、軽空母7隻を保有していたのでたかが1隻程度の損失は気にしていなかった。しかし、それはただの慢心に過ぎなかったのである。

 6月15日から実施されたマリアナ諸島攻略作戦で第五艦隊はサイパン島やグアム島、テニアン島を空襲したが、彼等の眼下にあった目標の飛行場等は既に穴だらけであり爆撃しても意味は無かった。しかも偵察の結果、日本軍は撤退した形跡があり上陸部隊が上陸した後に飛行場等を占領したが滑走路は穴だらけで直ぐに使用可能とは言えなかったのだ。

 そんな折に第五艦隊の対空レーダーが500機以上の航空機を探知したのだ。第五艦隊は直ちに約450機余りの戦闘機を上空に挙げて日本軍の攻撃隊に差し向けた。


『ジーザス!? ジャップの奴等、戦闘機だけしかいないぞ!!』


 タウイタウイ方面から急行してきた小沢中将の第一機動艦隊から発艦した攻撃隊は艦戦『烈風』と偵察機『彩雲』で構成された550機の航空機であった。後に『マリアナの鴨撃ち』と称された空戦は日本側の圧勝であった。F6Fは約290機近くを喪失する羽目になる。しかも第二次攻撃隊もやはり戦闘機と偵察機のみの攻撃隊300機でありこの二波に及ぶ空戦により第五艦隊の戦闘機は補充を含めて180機近くまで減少したのである。

 それが日本軍の狙いだった。そして滑走路を拡張したヤップ島から発進した一式陸攻90機、その後継爆撃機『銀河』60機、第一機動艦隊から発艦した『烈風』と『彩雲』の合計160機が途中で合流し第三次攻撃隊として第五艦隊に襲い掛かったのである。

 この時、攻撃隊を指揮した野中少佐は初めて実戦投入される新型の爆弾に不安を抱きつつも爆撃を始めるとその不安は掻き消されたと帰還後に語る。


「投下ァァァァァァァ!!」


 150機の双発爆撃機から投下されたのは滑空式の誘導爆弾であった。後の調査で日本海軍はドイツからフリッツXの設計図と実物を入手していた事が判明、この時に使用されたのもその量産型であった。しかし、150発の爆弾は殆どは外れて水柱を吹き上げる。

 だが、1発の爆弾が第五艦隊旗艦『インディアナポリス』の艦橋に直撃しスプルーアンス大将ら幕僚もろとも吹き飛ばしたのだ。更には正規空母『ホーネット2』『レキシントン2』も被弾し後に撃沈する羽目になるのである。

 結局、太平洋艦隊司令長官のニミッツ大将は作戦の中止を発令し第五艦隊と上陸部隊は撤退するのである。


(その後だ……レイが戦死したから俺が第三艦隊司令長官になってしまい……『灼熱地獄のレイテ』が待っていた……)


 マリアナ諸島を攻略出来なかった事にマッカーサーは日本と南方を絶つ為のフィリピン攻略を強く主張した。

 また、中国大陸から新型爆撃機であるB-29が日本の九州地方の爆撃を開始したが二日目には高度一万メートルまで飛行する日本海軍の局地戦闘機『雷電』に陸軍の四式複戦『嵐龍』(史実キ83)等に阻まれて壊滅したりする。

 そんな中でのフィリピン攻略である。米軍が作戦を開始したのは史実と同じく10月20日からであった。マッカーサーは確かにフィリピンに戻れた。

 しかし、僅か2週間程で追い返されるとは夢にも思わなかっただろう。日本海軍の艦隊が内地からとブルネイ方面から出撃したのを潜水艦で確認した第三艦隊は小沢中将の機動部隊を警戒していた。その為、ブルネイ方面から向かってくる3個遊撃部隊には扠したる警戒は無かった。だがニミッツからの指令やカーニー少将らの具申もありハルゼーは攻撃隊を出した。

 遊撃部隊には軽空母が数隻配備されており直掩に零戦隊がいた。その為、攻撃隊も損害を出していた。そんな折に偵察機が遂に機動部隊を発見したのである。


「オザワの機動部隊だ!! 徹底的にオザワを叩け!!」


 ハルゼーの第三艦隊は小沢中将の機動部隊への攻撃を優先した。遊撃部隊なぞマッカーサーの私物艦隊と化した第七艦隊で十分だ、ハルゼーはそう判断したのだ。

 しかし、第三艦隊は北へ釣り上げられ攻撃隊を出したが小沢機動部隊上空は大量の『烈風』が飛翔していたのである。この空戦でマリアナ沖で生き残っていた戦闘機パイロットをまたしても減らす事になりその練度は酷く低下する事になる。

 そしてハルゼーが自身の艦隊が釣り上げられている事を知ったのはスプレイグ少将の第77任務部隊第4群第3集団の護衛空母群(タフィ3)からの緊急電であった。


『我、敵艦隊ト遭遇。全滅寸前、救援乞ウ』


 サマール島沖でレイテ島への上陸支援を行っていたスプレイグ少将の護衛空母群は遊撃部隊と会敵してしまったのだ。


「千載一遇の機会だ。宇垣、指揮は君が取れ」

「お任せ下さい」


 第一遊撃部隊司令官の南雲中将は第一戦隊司令官の宇垣中将にそう告げ、宇垣も笑みを浮かべ砲戦の指揮を取りスプレイグ少将の護衛空母群は僅か1時間と28分で全滅したのである。

 そして遊撃部隊は進撃を続け、状況を聞いた第七艦隊は足止めとしてオルデンドルフ少将の第77任務部隊第2群を差し向けた。これが後に言われる『第二次サマール島沖海戦』である。オルデンドルフ少将の戦艦は全て旧式であったがそれでも6隻はいたので戦力としては十分である。

 しかし南雲中将の遊撃部隊は『大和』以下でも戦艦8隻であり46サンチ砲を搭載した『大和』『武蔵』がいたのだ。遊撃部隊と第77任務部隊第2群は夕刻前に戦闘に入り2100には全てが終わっていた。オルデンドルフ少将の旧式戦艦は全て撃沈しオルデンドルフ少将も戦死、ディヨー少将も負傷してしまいレイテへの道は開かれたのである。

 斯くして遊撃部隊は10月26日、レイテ島タクロバン付近に到着し輸送船団に対し砲雷撃戦を展開、その殆どを撃沈した。

 また、『大和』以下の戦艦部隊は上陸部隊にも三式弾による艦砲射撃を行いマッカーサーは負傷して再びフィリピンを脱出する事になる。


(それもこれも……全てはヤツが事ある如く関わっているからだ!!)


 ハルゼーは忌々しげに短くなった葉巻を捨て新しい葉巻をカットで切り落として火を付けて吸う。あの男のせいでと思うとイライラするのはハルゼー然りニミッツも然り、キング作戦部長も然りである。

 聯合艦隊司令長官の山本亡き後も『インド洋作戦』を継続させたあの男に流石のチャーチルも『現代の海賊は我々の筈であったがあの男が掻っ攫っていった』と言わしめた男であった。


「おいカーニー君よ、ヤツの旗艦は見つかったか?」

「いえ……まだ捜索中ではあります。ですが何れ見つかりましょう」

「それはいつ見つかるんだいエリートのカーニー君? マリアナでもレイテでもヤツの旗艦は前線に出て指揮をしているんだ。だからこそ、必ず何処かにいて俺達を狙っているんだぞカーニー!!」

「……全力を尽くします……」


 ハルゼーに雷を落とされたカーニーはそう言うしかなかった。その様子にハルゼーは舌打ちをしつつ葉巻を吸う。


(今度こそ……このオキナワで決着をつけてやるぞ……アドミラル・コンドー!!)


 ハルゼーは内心にてそう叫ぶのである。そしてハルゼーに内心で叫ばれた男ーー山本亡き後に第28代聯合艦隊司令長官に就任した近藤信竹は聯合艦隊旗艦『高雄』の艦橋にて盛大なくしゃみをしていた。


「風邪ですか長官?」

「ん? いやなに、誰かが俺への悪い噂でもしているんだろ」


 聯合艦隊航空参謀である吉岡中佐の言葉に近藤は苦笑しつつ出撃準備をする『高雄』達の作業を見ていた。場所は佐世保であり目指す場所は沖縄である。


「福留や草鹿達は貧乏くじを引かされたと思っているかな?」

「いえ、むしろ日吉に籠もっていられるからイキイキとしているでしょう」


 聯合艦隊参謀長となっている白石中将は聯合艦隊副参謀長の福留中将と草鹿中将を思い出しつつそう呟く。人にはちょっかいを出すが自身の命となればケツに火が付くのも当然である。


「呉の艦隊はどうしている?」

「先程、『呉の市民』達に見送られて出撃しました」


 『大和』以下宇垣中将の第一艦隊、小沢中将の第一機動部隊、山口中将の第二機動部隊の3個艦隊は呉から出撃。その際、近藤の命令により呉市民を大量に集めて3個艦隊を見送らせたのである。

 なお、豊後水道にて敵潜水艦はいたが防備戦隊の駆逐艇、海防艦の掃討により豊後水道に潜んでいた3隻は撃沈され、残りも後退していたので3個艦隊の出撃をハルゼーは確認出来なかったのである。


「此方も1500には出撃出来ます。無論、それまでに佐世保市民も大量に集まるでしょう」

「ん、頼むぞ」


 そして4月2日1500、佐世保に停泊していた橋本中将の第五艦隊とGF直卒部隊が出撃した。その出撃の際に佐世保市民の見送りもあった。後年、日本放送協会が作成したドラマ風ドキュメント番組ではアナウンサーのナレーションに当時参加していた各艦隊の生き残りの乗員達は涙を流したと言われている。

 沖縄を、そして戦後を巡る最後の戦いが始まるのである。






御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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― 新着の感想 ―
待ってました。 近頃臨場感ある作品が少ないので、楽しみにしています。
新章開始有難うございます!! 惨憺たる有様^^>米軍 新型機配備やスイーパー採用などわくわく^^ 次回も楽しみにしています。
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