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第十一話







(さてさて……山本さんには困ったものだ……)


 『大和』を下艦後、近藤は空路で南方に戻りつつ頭を悩ませる。自身の艦隊と合わせて都合3個艦隊を指揮下に収めるという荒業であった。と言っても史実でも近藤が全体の指揮を取っていたりする。


(……仕方ない、多少荒業を使うとするかな)


 そう思う近藤であった。シンガポールに戻ると近藤は小沢と一航艦の招集をかけて近かった小沢はそのまま空路で澤田参謀長とシンガポールへ、一航艦の南雲はケンダリのスターリング湾に待機していたのでこれも空路で草鹿参謀長、航空参謀源田中佐を伴いシンガポールに向かったのである。


「呼び出して済まないね。どうしても作戦の練り合わしがあるからね」

「いや、問題ありません」

「同じくです」

「分かった。では早速本題に入ろう」


 近藤はそう言ってインド洋の地図を拡げる。


「各艦隊にはそれぞれの役割があるが共通する役割は三つ、セイロン島の基地能力喪失、英東洋艦隊の撃滅、インド洋の通商破壊になる」


 近藤は指揮棒をトントンと三つの箇所を示した。


「一つはベンガル湾一帯、一つはセイロン島、一つは……モルディブ諸島の南にあるアッドゥ環礁だ」


 近藤がそう言い終わるとスッと手を挙げる者がいた。第一航空艦隊航空参謀の源田中佐だった。将官がいるのにも関わらず源田の行為に小沢は目を細めたがそれ以上は言わなかった。


「源田中佐」

「ベンガル湾一帯とセイロン島は分かります。しかし、何故モルディブ諸島の環礁を攻撃する必要があるので?」

「アッドゥ環礁に英東洋艦隊の基地がある可能性があるからだ」

『ッ』


 近藤の言葉に部屋の空気が一変する。


「その環礁にいると間違いないので?」

「確信は無い。何せ情報源が情報源だからな……(俺の記憶からとは言えんしな……)」

「ほぅ、情報源が怪しいのに近藤長官は信じるのですか?」

「いやいや、行き掛けの駄賃というものでな」

「フッ、確信が無いのであればいきなりの攻撃は出来ません。少なくとも最低限、偵察を行う必要があります」

「ッ」

(ち、長官ッ。抑えて抑えて……)


 源田の言葉に小沢が思わず席を立とうとするのを澤田参謀長が小声で抑えていたりする。なお、近藤は笑っていた。


「ハッハッハ。偵察を行うのは我が二艦隊でやる。一航艦はセイロン島と英東洋艦隊を叩けば良い」

「分かりました」

「但し、二航戦は臨時で二艦隊の配備とする」

「な、何と言われます!?」


 近藤の決定に草鹿と源田は驚愕する。いきなりの空母ーーしかも二航戦を取り上げて二艦隊に配備するというのだ。驚くのも無理はなかった。


「何を驚くのかね? 一航艦はセイロン島と英東洋艦隊を叩くのが任務と伝えたではないか?」

「では何故二航戦を取り上げるのです!?」

「アッドゥ環礁を偵察するためだが? 無論、そこに英東洋艦隊が停泊していたら二航戦で攻撃してもらう。いなければ一航艦に合流させるが何か文句があるのかね?」

「い、いや、それは……」


 近藤の言葉に源田はしどろもどろになる。確かに環礁にいれば二航戦で叩けば御の字、残存艦艇がいれば一航艦が駆けつければ問題無かったのだ。


「では今一度確認する。小沢中将の馬来部隊はベンガル湾一帯の通商破壊及び敵基地航空戦力の撃滅」

「分かりました」

「南雲中将の一航艦はセイロン島の基地能力喪失及び航空戦力の撃滅及び英東洋艦隊の撃滅」

「……分かりました」

「我が第二艦隊はアッドゥ環礁を強行偵察、敵英東洋艦隊が停泊していればこれを叩く」


 斯くして方針は決まったのである。






 第一航空艦隊

 司令長官 南雲忠一中将

 第一航空戦隊

 『赤城』

 【零戦27機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機】

 『加賀』(史実とは異なりパラオで座礁しなかった)

 【零戦27機 九九式艦爆18機 九七式艦攻27機】

 第五航空戦隊

 『翔鶴』

 【零戦27機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機】

 『瑞鶴』

 【零戦27機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機 試作偵察機2機】

 支援部隊

 第三戦隊

『比叡』『霧島』『榛名』『金剛』

 第八戦隊

 『利根』『筑摩』

 機動部隊警戒隊

 第一水雷戦隊

 『阿武隈』(大森少将旗艦)

 第四駆逐隊第二小隊

 『萩風』『舞風』

 第十七駆逐隊

 『谷風』『浦風』『浜風』『磯風』

 第十八駆逐隊

 『不知火』『霞』『陽炎』『霰』

 第五航空戦隊

 『秋雲』

 補給部隊

 第一補給隊

 『神國丸』『健洋丸』『日本丸』『東榮丸』『國洋丸』『旭東丸』

 第二補給隊

 『日朗丸』『第二共榮丸』『豊光丸』




 馬来部隊

 第一南遣艦隊

 司令長官 小沢治三郎中将

 北方隊

 第七戦隊第一小隊

 『熊野』『鈴谷』

 第二十駆逐隊

 『白雲』

 中央隊

 第四戦隊

 『鳥海』

 第五潜水戦隊

 『由良』

 第三航空戦隊第二小隊

 『瑞鳳』

 【零戦18機 九七式艦攻12機】

 第四航空戦隊第一小隊

 『龍驤』

 【零戦18機 九七式艦攻18機】

 『隼鷹』

 【零戦18機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機】

 『飛鷹』

 【零戦18機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機】

第二十駆逐隊

 『夕霧』『朝霧』

南方隊

 第七戦隊第二小隊

 『三隈』『最上』

 第二十駆逐隊

 『天霧』

 補給部隊

 駆逐艦『綾波』『汐風』

 給油艦『日栄丸』

 警戒隊

 第三水雷戦隊

 『川内』(第三水雷戦隊司令官橋本少将旗艦)

 第十九駆逐隊第1小隊

 『浦波』『磯波』

 第十一駆逐隊

 『初雪』『白雪』『吹雪』『叢雲』

 丙潜水部隊

 第二潜水戦隊

 司令官 市岡寿少将

 伊『七』伊『三』伊『二』

 第八潜水隊

 伊『四』伊『六』

 南方部隊航空部隊

 第十一航空艦隊

 司令官 塚原二四三少将

 基地航空隊、飛行艇部隊



 南方部隊本隊

 第二艦隊

 司令長官 近藤信竹中将

 旗艦『高雄』

 第二航空戦隊

 『蒼龍』

 【零戦18機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機】

 『飛龍』

 【零戦18機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機】

 第四航空戦隊第二小隊

 『春日丸』

 【零戦18機 九七式艦攻6機】

 第十一航空戦隊

 『瑞穂』

 【零式観測機12機 九四水偵3機】

 『千歳』

 【零式観測機8機 零式水偵10機】

 第二戦隊第二小隊

 『伊勢』『日向』

 第四戦隊

 『高雄』

 第十六戦隊第二小隊

 『五十鈴』『長良』

 第四駆逐隊第一小隊

 『嵐』『野分』

 第三十二駆逐隊

 『夕雲』『巻雲』『風雲』『長波』





 以上の艦艇がインド洋機動作戦に参加するのである。また、この戦いでは第三十二駆逐隊の駆逐艦4隻が初陣を迎える事になる。


「しかし長官、腑に落ちないのが一つあります」

「何かな?」

「どうして水母の2隻を参加させたので?」

「あぁ……2隻の水上機の偵察が必要でな」

「偵察……ですか?」

「あぁ、偵察だ」


 白石の言葉に近藤はニヤリと笑みを浮かべるのである。そして各艦隊は4月5日攻撃開始と定めたのである。






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