コトリバコ
「ねえねえみっちゃん、コトリバコって知ってる?」
「コトリバコ?知らない」
「なんかね、女の人と子供だけを呪う呪いの箱なんだって」
「へー」
まったくまーちゃんは、どこからそんな話を引っ張り出してくるのか。
「でね、あそこのゴミ屋敷にコトリバコがあるんじゃないかって噂があるの!」
「あの学校の近くのゴミ屋敷に?」
「そう!」
目をキラキラ輝かせるまーちゃんに嫌な予感がする。
「…まーちゃん、まさか」
「うん!今度探検しよう!」
「嫌だよ」
「おーねーがーいー」
「…じゃあ、今度の土日ね。平日は無理」
まーちゃんのおねだり攻撃に結局最終的に頷いてしまう私だった。
「みっちゃん、商店街でおつかい頼める?」
「うん、お母さん」
お母さんからお金と買い物メモをもらい、商店街へ行く。
お釣りはお小遣いにしていいとのことなのでご機嫌でおつかいを済ませた。
今日は商店街で福引をしているようなので、ついでにガラガラポンしてみたら…なんと!
「おめでとうございますー!三等賞の我が街名物の高級おまんじゅうですー!」
「わぁ!!!」
この高級おまんじゅうは、父方の祖母のお気に入りだ。
一応日持ちするタイプなのだが、早く渡してあげたいな。
あ、でも祖母の家は遠いから…。
「お母さん!買い物してきたよ!」
「ありがとう、みっちゃん」
「福引で三等のおまんじゅうが当たったんだけど、おばあちゃんに会いに行く?」
「あらすごい!そうねぇ、おばあちゃんも一人暮らしでさみしいから土日に持って行ってあげようか。そのままお泊りさせてもらいましょうね」
「でもお友達と約束があって…」
そこでメールが届いた。
まーちゃんからだ。
『ごめんねみっちゃん、福引で一等が当たって家族で旅行に行くことになったから今度の土日いけないや』
なんだ、まーちゃんも買い物に来ていたらしい。
しかも一等とはすごい。
「お母さん、今約束潰れたからおばあちゃんに会いに行こう」
「あらあら」
「おばあちゃん喜んでくれるかな」
「もちろん喜んでくれるに決まってるわ」
おばあちゃんにはお母さんから連絡してくれて、おばあちゃんのところに会いに行く約束をした。
「ねえねえみっちゃん!」
「なに?」
おばあちゃんの家に遊びに行った後の月曜日。
まーちゃんは興奮した様子で話しかけてきた。
「昨日、学校の男子があのゴミ屋敷に忍び込んでコトリバコっぽいのを発見したんだって!」
「え、本当にあったんだ」
「でもその子、原因不明の急病で入院だって!祓い屋さんに見てもらって、コトリバコも処分したからなんとかなったらしいんだけど…」
「え、コワ」
「ねー、行かなくて良かったね!」
まったくまーちゃんたら、厄ネタばかり持ち込むんだから。
でも、その男子もなんとか助かって良かった。
その日の放課後、土日ゆーちゃんに献花できなかった分献花しにきた。
「ゆーちゃん、今回福引当ててくれたのってもしかしてゆーちゃん?」
温かな気配が頷いた気がした。
「ありがとう、ゆーちゃん」
なんとなく照れてる気配を感じた。




