表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ

「付き合ってほしい」

 酒を()()わしながら先程まで来週投票のある選挙の話をしていた。そこに突然この台詞(せりふ)を割り込ませてきた友人の意図が掴めない。

 いや、解りたくない、というのが正解だろうか。

 選挙の投票に、ではなく、恐らくそのままの意味だ。

 そう、今回の選挙には同性関連を推す候補者が多く、世の中が動き始めたよなって話をしていた最中だったのだから。

「水、もらうか」

 だから、聞かなかったことにした。酔っ払いの戯言(ざれごと)だと、それに巻き込んでくれるなと、そういった意味を含ませて。

 チェーン店のように呼び出しボタンのない半個室から、店員を呼ぶため立ち上がりかけたおれの服を友人が掴んで()めた。

「酔っ払ってない」

 逃さない。

 眼鏡の奥に隠された瞳が強くおれを惹きつけ、縫い()める。

「解った」

 どかりと座り直して、おれはがしがしと頭を掻きながら(こた)えた。

 ほっとしたように頷いた友人から口許(くちもと)を隠すように煙草へ火をつける。

 きっと、今、おれの口許(くちもと)は嬉しさを隠せず、緩んでしまっていると自覚していたから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ