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心地よいハグ

 モテの嵐はとまらない。

 

 あー…、つ、辛い。

 

 告白されてはじめは…おーっ‼︎なんて浮かれていたけど、断るのがなんか…辛い。

 

 呼び出された時点で告白ってなんとなく予測できる。

 

 でも、告白ならお断りなんて言えるわがないし、ましてや告白じゃなかったら…自惚れんなってなるから、結局ついていくしかない。

 

 で、やっぱり告白されてお断りパターンが日々繰り返される。

 

 もう、断るの嫌だーー‼︎

 相手のかなしい顔みたくねー…

 

 でも、好きでもない人と付き合うのはもっと失礼だと思うし…。

 

 いつまで続くんですかー…?

 

 ‼︎

 また、髪伸ばせばよくね⁉︎

 てか、そんなん何年かかる?

 

 …

 

 でも、オレ髪伸びるの早いし…

 

 あー、でも短い方がシャンプーとドライヤーが楽なことに気づいてしまったんだよなぁ。

 

 裏庭でひとりゴロンと草の上に転がりブツブツと脳内会議。

 

 …うん。

 いいアイディアまるでなし‼︎

 

 アイディアがないまま、ウトウト…。

 

 あー、おひさまが暖かい。

 暖かい空気のお布団に包まっているかのような心地よさ。

 

 このまま、草に転生してずっとここにいたい。

 風に揺られながら人生ならぬ草生を送ろうか。

 

 …

 

 そんなの無理に決まってる。

 

 …

 

 でも、このままがいい。

 ずっと空気のお布団がいい。

 

 目をつぶって両手を上にあげた。

 

「さぁ、おいで」

 

 暖かい空気のお布団よ。

 

 ムギュ〜。

 

 ⁉︎

 えっ⁇

 何⁉︎

 

 寝転びながら両手をあげたら…

 なんか空気のお布団じゃない物体が来た…

 

 

 慌てて目を開けると…

 

 ‼︎

 だれかがオレに抱きついてる…てか、オレが抱きしめてる…

 

 え…

 だれ⁉︎

 

 でも、すんごい心地よいんっすけど〜。

 

 離れたいけど、離したくない…。

 

 完全に制服女子だよな。

 髪も長い。

 で、いい匂い。

 

 …

 

 なぜかしばらく芝生で抱き合った。

 

 しかも無言で。

 

 …

 

 でも、だれだかわかんないし…

 

 意を決して抱きしめながら、

「だれ?」

 と聞いた。

 

 そしたら、いきなりその子がオレから離れて、

「ごめんなさい」

 と謝った。

 

 ‼︎

 

 顔を見ると…

 まさかの艶元さんじゃん‼︎

 

 オレ艶元さんを抱きしめていた…⁉︎

 

「あ、えと…」

「ごめんなさい。いきなり瀬野くんがハグのポーズしてきたから…その…思わず飛び込んでしまって」

 …あー、空気のお布団呼び込んだ時だ。

 

「いや、オレの方こそ…いきなりごめん」

「ううん…こちらこそ」

 

 …

 

 さっきハグしていたとは思えないくらいのよそよそしさだった。

 

 続く。

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