艶元さんのポップコーン
隣の艶元さんは…めっちゃ泣いていた。
「だ、大丈夫⁉︎」
と慌ててティッシュを差し出した。
さっき来るときティッシュ配りの人にいただいておいてよかった。
「あ、ありがと〜」
といいながらティッシュを受け取った。
まぁ、ハンカチ持ってたみたいだけどめっちゃ泣いてるし、ハンカチびしょびしょだもんね…。
てかさ、泣いててもポップコーン絶対離さないんだ…な。
誰も取らないのに…。
しばらく泣きながらポップコーンを抱き抱える艶元さんを見入ってしまった。
あー、かわいい。
ポップコーン抱えてる艶元さんを待ち受けにしたいくらいだわー。
誰にもあげないんだからねっ!みたいな。
でも、誰もポップコーン奪ってないのになぜボロ泣き⁉︎
艶元さんの隣の人が間違えて艶元さんの食べちゃったとか?
それで盗られて…でもわたしのですって言いづらくて泣いた?
なんてくだらないことを思っていると、
「すごいね〜。感動しちゃった〜」
と艶元さんが涙をポロポロ流しながら話しかけてくるからあんまりかわいくて頭ヨシヨシをしてしまった。
あぁ、そうか。
ポップコーン奪われたわけじゃなかったのか。
しかし…なんで無意識に手が出てしまったのか…少し照れ臭いな。
でも…この手…戻すのもったいないな。
てわけで、そのまま艶元さんの肩を抱きながら頭ポンポンを続けた。
艶元さんのぬくもりを感じながら艶元さんの弾いているギターを映画館で聴いた。
あぁ…オレは人生で数回訪れるといわれている幸福とやらを今かんじている。
あと何回幸福が訪れるかわからないが、この瞬間のこの幸せを存分に全身で感じ浸った。
漬物かよ⁉︎ってくらい浸かったのであった。
そしていいあんばいに浸かったころ映画も終了した。
あぁ、キスがしたい。
この映画みるとやたらとキスがしたくなる。
歌詞にもキスってフレーズが出てくる。
出てくるというか、オレがキスってフレーズを入れたのだが…
そしていつもこの時、艶元さんの顔が頭をよぎる。
なんなら、映画観てる時となりに居たし…キスしたかったなぁ〜。
なんて思いながら映画館をでようと…したら…
‼︎
あっぶねー。
意外と暗くて他のお客さんとぶつかりそうになった…んだけどー…
オレはその時とっさにとある行動にでたのでありました。
続く。




