お隣さんってオレ
艶元さん…
オレは少し調子に乗っていたのかもしれません。
艶元さんに話しかけられて傘に入り次の日風邪ひかなくてよかったねなんていわれたりもしましたが…
そんな時代もありましたが…
今はいい思い出です。
艶元さんにしてみたらたくさん転がっている石みたいなもんですよね…
オレなんて…
あー、オレは馬鹿みたいにはしゃいでしまっていた。
…ゴミでも出しに行こう。
ゴミみたいな男は、ゴミでも捨てていればいいんだ。
うちのマンションは、いつでもゴミを出していいシステムになっている。
ゴミ捨て場をあけると、艶元さんもちょうどゴミを捨てるところだった。
「あ、どうも」
「あ、お隣さん。こんにちは」
にっこりと微笑んでくださる艶元さん。
お隣さんと言ってくださった。
ホッ。
一応お隣さんとの認識は、されているみたいだ。
…なんかよかった。
そしてこのお隣さん認識が後に、またオレのテンションを上げることとなる。
てか、テンション爆上がりだ。
なんでそんなくだらないことでと思われるだろう。
しかし、聞いてしまったのだ。
艶元さんの好きな人は…
まさかの…
まさかのお隣のお兄さんだと。
お隣さんってオレじゃね⁉︎
てか、オレだろ!
だって艶元さん家の隣ってうちだけだもんな。
反対側は、窓だし…
その隣は、ベランダになってるんだもんな。
うんうん。
オレー‼︎
お隣さんは、オレー‼︎
てかさ、うちのお父さん?も候補に上がる?
いやいや、ないない。
だってお兄さんだもん。
あとは、オレのほかにオレの兄も弟もいるわけじゃないし。
やっぱりオレしかいないでしょ。
と、浮かれる浮かれる。
油断するとニマニマ顔になってしまうよ!
いかんいかん。
落ち着け…。
って、落ち着けるわけないじゃないですかぁ。
どうやって落ち着くんですか?
「なー、艶元さんの好きな人聞いたか?」
と友達から言われた。
「も・ち・ろ・ん」
と答えると、
「なんか、キモいなー。その言い方」
とキモがられた。
…いいさ、いいさ。
キモがられるのは、慣れっこよ。
でも、好かれるのは…
お初?
しかも、艶元さんから好かれるとかありえなくない?
もー、オレったらー。
やっぱり髪全開にあげといた方がいいのかなぁ。
なんて鏡とにらめっこするのでありました。
続く。