映画
映画を見終わった後、なんだか心がほっこりとしていた。
なんだろう…
この感じは…
不思議な感覚だ。
なんか…オレの道徳心が単独でホカホカのお湯に数時間浸かって、そのあと優しめのマッサージをされてきたかのようだ。
心があたたかい。
そして、胸がいっぱいと思っていたら艶元さんが
「素敵な映画ね、もうお腹いっぱい」
とお腹をさすった。
あぁ、それはポップコーンとジュースのせいだろう。
だって艶元さん、あんなにたくさんのポップコーンを完食しているじゃないか。
と、空のポップコーン箱に視線をやった。
…
空のポップコーン…
‼︎
なんかいい歌詞が思い浮かんだよ‼︎
ペンと紙を手に取りサラサラサラサラ…
そしてさらにサラサラサラサラ。
「できたー‼︎」
「「えっ⁉︎」」
艶元さんとマネージャーさんが顔を見合わせて驚いていた。
「は、早くありません⁈」
マネージャーさんの言葉にオレは、
「あぁ、とりあえずって感じですよ。これから手直ししますから」
と言いながら書いた紙に視線を落とすと、「できた歌詞みせてもらってもいい?」
と艶元さんがいうのでお渡しした。
そのお礼にと、わたしの譜面もまだ途中だけど、どうぞと差し出された。
…うん。
ありがとうございますだけど、譜面読めねーっすよー‼︎
と思いつつ、一応見てみた。
きれいに並んだ音符さん。
てか、音符の書き方きれいだなー。
きっちり並んでるわー。
艶元さんっぽいきちんと感。
でも…
でもさー…
音符…やっぱりわからない。
この棒に繋がってるやつらはなんなんだろう?
ふたご?
同時に弾くとか?
斜めの棒とかに繋がっているふたごのやつもいれば、単独だけど、旗みたいなのついてたりするやついるし…
小さい黒丸みたいなのくっついてるやつもいる。
ホクロ?
…もー、わかんねー。
なので後で曲を弾いてもらうことにした。
艶元さんが歌詞を見てすぐに歌詞の一部分と一緒にサビを歌いながら弾いてくれた。
⁉︎
艶元さんが弾いたあと、オレはマネージャーさんとバチっと目があった。
お互い声に出さなくてもわかった。
心の中ですげ〜いい‼︎と大絶賛していた事を。
サビができればこっちのもんだ。
てかさー、艶元さん天才かよ‼︎
もし採用じゃなくてもオレはこの映画をもう一度みたら、必ずこの曲を思い出すだろうなあと、一人しみじみ思った。
いや、映画の題名聞いただけで脳内にこの曲が流れるんだろうなぁ。
てか、脳内でずっと流れ続けてる…
艶元さんの優しい歌声…最高‼︎
着信音にしたい…なんてキモイ事考えてるけど、言えるわけがないよね。
続く。




