ついに
つ、ついに‼︎
デビュー致します‼︎
でも、オレたちは顔出しをしないので特殊なデビューだ。
どんなのかというと、曲を配信する配信者なのである。
これはとても素晴らしく、いつでもどこでも好きな時間に配信できるのだ。
しかし、どこで配信すればいいのかと疑問に思っていたのだが、事務所がマンションだと、音漏れの苦情がきてしまうだろうし、まさかカラオケボックスからの配信というわけにはいかないよね、ということでマンションの一室を防音の部屋に改装してくださり、心置きなく歌ったり弾いたりできるようにしていただいたのだ。
しかも、オレたちの住むマンションの一室が空いていたのでいちいち外に出ださなくていいのである。
隠れ家みたいだ。
外に出ないで仕事場に行けるなんて。
変そうもしなくて済む。
あ、元々顔出ししていないから変そうの必要はなかった。
で、
艶元さんとドキドキしながらいざ入室。
おぉう。
マンションだ。
…当たり前か。
そして、配信の準備。
意外と大勢の大人の方々がお集まりだった。
…
ここがこれからオレたちの仕事場になるんだ。
なんか、まだ慣れないけどマンション自体は、自宅とほとんど同じ内装なのですぐに慣れそうだなとホッとした。
そしてついに準備が整い…
配信ーー‼︎
ドキドキ…、そしてワクワク…
で、配信が開始されると同時に、たくさんのダウンロードがされていく。
どんどん数字がのびていく。
オレと艶元さんと女性マネージャーさんとそして、音楽関係者の方も大喜びだ。
おぉお、夢でも見てるんじゃないかってくらいだ。
どんどん増えるからなんだか麻痺してしまいそうだ。
一時間もすると、予想以上の数字をたたき出していた。
もう、桁がよくわからない…
でも、嬉しいのは事実だ。
こうして数時間、皆で画面の数字と睨めっこしたりしていた。
…よく考えると、みんな暇か⁉︎
そんなに数字気にして他にやることないのか⁇と、ふと我に帰る。
あぁ、やることたくさんあるんですよ…
テーブルには、お菓子とジュースが置いてあるんだけれど、もう一つのテーブルには書類がびっしりだ。
仕方なく書類に手を伸ばす。
…
てか、書類の文字もびっしりっす…
これ、きちんと読んだら頭がどうにかなりそうです。
でも、一応きちんと目を通さないと気が済まないオレ。
数字を気にしつつ、きちんと任務完了!
艶元さんもきちんと目を通していた。
なんなら、わからないところはきちんと質問までしていて、実に素晴らしい!と隣で納得していたオレなのでありました。
この日は、とにかく数字が伸びて満足な一日となった。
でも、満足はこれだけじゃおさまらないのでございました。
続く。




