静かな放課後
朝、登校すると艶元さんがオレを見つけて
「放課後楽しみだね」
とニッコリした。
「うん!」
と、返事をしてオレも微笑んだ。
…よかったー。
艶元さんが笑顔だったってことは、両親から反対されなかったのだろう。
そしてオレはその日、清々しい気持ちで授業を受けた。
休み時間、何気なく携帯を見ると妹から写真添付が送られてきていた。
見ると…まさかの…
え…
ドン引きだ。
何って…
カンガルーのスリッパをアタマにくくりつけた妹の変顔ドアップ。
そして、文章が添えられていた。
昨日盗み聞きしたよ。
受験終わったら、わたしもお兄ちゃんたちに混ぜてもらってもいいよ。笛くらいなら吹ける。
と来ていた。
いえ、こんな風変わりなお方は、お断りいたします。
と丁寧にお断りしておいた。
すると、不採用のご連絡ありがとうございます。
では、これからは縦笛ではなく横笛で猛練習して再度面接よろしくお願いします。
ときた。
暇人か。
なので、とりあえず今は勉強な。
と入れると、当たり前だ。
と入ってきた。
…はい。
じゃあ、オレも休み時間終わるし勉強に専念することといたします。
というわけで、きちんと数時間お勉強をしました。
そして、ついに放課後。
相談室まで艶元さんと一緒に向かった。
クラスが違うから学校内を一緒に歩くのはなんかドキドキするな。
放課後の静かな廊下は、なんだか病院と錯覚してしまうのは、オレだけだろうか…
なんて思っていたら艶元さんが、
「ねぇ、放課後ってさ、課題が終わった後に放たれる。で放課後っていうのかな?てかさ、だれもいない廊下ってなんか不思議だし、ちょっとこわいよね。」
と言った。
うん。
そうかもね。
放課後の意味なんて考えもしなかったな。
てか、艶元さんもやっぱり静かな放課後は、なんかこわいんだ。
オレだけじゃなくてよかった。
「だよね。それより昨日のこと親はなんて言ってた?」
と聞くと、
「おめでとうって言われたよ」
との事だった。
あー…、なんかアバウト…。
「そ、そっか。ならよかった」
「うん。で、瀬野くんの親はなんて?」
「うちも、好きにしたらいいって」
「そっか、ならよかった〜」
と安心した表情をする艶元さん。
でも、まさかあの人があんな事を言うなんて…
相談室に入るといつもの生徒会の方々がオレたちの席をあけて座って待っていた。
そして…
続く。