アメ
オレは艶元さんと水樹さんがそんなことになっていたなんて全く気づいてあげれていなかった。
ごめん。
艶元さん…。
「ほんっとごめん‼︎」
「…え、あたし今ふられた?」
⁉︎
なぜそうなる⁉︎
「いや、そうじゃなくて!そんなことになってたなんて全く気づかなくてさ。」
「あぁ…うん」
「それに、水樹さんがオレのこと好きだなんてさっき聞いてね。…ダメだなーオレ。ほんと情け無い。でもさ、きちんと水樹さんには断るからね!だから、艶元さんは気にしないでって言っても、無理な話なんだけどオレきちんと断るから。だから待ってて欲しい。」
と伝えると、
「うん。」
とゆっくりうなずいてくれた艶元さん。
「あ、あとなんかあったら些細なことでもいいから話してくれていいからね」
というと艶元さんは、ニッコリして
「うん!わかった、ありがとう。じゃあ帰ろっか」
と明るく言ってくれた。
その日艶元さんは、とくにオレを責めるわけでもなくたわいもない会話を一生懸命に明るくしてくれていたのが伝わった。
オレのせいなのに、艶元さん…あんなに明るく一生懸命振る舞ってくれて…
なんとか早く水樹さんに断ってわかってもらわないとなー。
でも、なんにもいい案が思い浮かばないまま朝を迎えてしまった…
でもさ、好きとか言われても今までなんにもなかったし、とにかく様子見てお断りしよっと。
軽く考えていたオレ…
甘かった…
学校に行くといきなり水樹さんがオレのところに駆け寄ってきて、
「昨日は、ごめんなさい。傷痛む?」
なんてオレのオデコを触ろうとした。
だからオレは、水樹さんの手を優しく下に下げた。
「うん。もう大丈夫だから。」
と。
そして席に着こうとすると、
「やっぱり怒ってるんだ…わたしが傷物にしたから…だからそんなにわたしに冷たくするんだ…」
と泣き出した。
「えっ、あの…そうじゃなくて…」
…
どうしよう…
女の子泣かしちゃったよ⁉︎
今までオレの前で泣く子は、妹くらいしかいなかったからな…
オレずっとロン毛のキモやろうだったから、こんな時どうしたらわからない…。
妹が転んで泣いた時は、アメあげると元気になったけど、水樹さんもそのてでいける…かな⁇
恐る恐るポケットからアメを出した。
でも、このアメがそんな展開になるなんて…
続く。