わんちゃん
艶元さんがすぐさまオレのところに駆け寄って来てくれた。
「ごめん、瀬野くん…今日一緒に帰れないかもしれなくて…」
申し訳なさそうな顔の艶元さんもかわいい。
「うん、まだ帰らないよ。これから買い出しでしょ?オレも手伝うよ」
「えぇっ⁉︎そんな…悪いよ」
「ううん、どうせ暇だから」
というと艶元さんは、ニッコリして
「ありがとう」
とお礼を言って支度をして戻ってきた。
そして、無事お買い物も終了して少し作業もお手伝いした。
クラス違うのに、瀬野くんって優しくない⁉︎とか、やっぱり瀬野くん最高なんてヒソヒソと女子からの高評価をいただきました。
艶元さんからの評価も上がったかな⁇
作業も無事進み艶元さんのクラスも解散となった。
ふぅ。
これで、やっと艶元さんと一緒に帰れるぅ。
「そんじゃ、帰ろっ」
「うんっ」
かわゆいです♡
とびきりの笑顔いただきました。
そんな、これからお散歩に行けるワンちゃんみたいな眼差しでオレを見つめないでください……‼︎
んもー‼︎
今すぐ抱きしめてキスしたいんですけどーー‼︎
って…、それは無理っすよねー…
クラスでの艶元さんの立場もありますからねー…。
というわけで、我慢して歩き出した。
暗いし、校舎でたらすぐさま抱きしめてもいい?
でも、艶元さんおつかれでそんな抱きしめられてるよりも早く帰りたいか…。
欲張りなオレだけど、待てができる偉い子なのだ‼︎
仕方ない。
今日は、諦めよう。
一緒に帰れただけでも幸せなんだ。
隣にいてくれるだけでも充分幸せだ。
「ねぇ、瀬野くん」
「ん?」
「今日は、うちのクラスのお手伝いありがとうね」
「あぁ、どうせ帰っても暇だから」
「じゃあ、これお礼にどうぞ。疲れたときは、甘いもの」
と艶元さんが差し出してくれたのは、飴ちゃんとチョコレートだった。
「じゃあ、艶元さんも疲れてるからチョコは艶元さんどうぞ」
とチョコは艶元さんに渡した。
すると艶元さんがいきなりオレに抱きついてきて、
「わたしは、こっちのほうが元気でます」
と、ギュ〜っとしてくれた。
ウホォう♡
や、ヤバいっすよ。
そんな不意打ち。
ならばとオレも艶元さんにギュ〜のお返しをさせていただいた。
はぁ〜♡
お手もおかわりもしていないのにこんなご褒美ありがたい。
しっぽが生えてなくてよかった。
生えてたらオレ、今ごろブンブンなってたな…
続く。




