不思議な生徒会
生徒会の方々…
な、なんなんっすかーー⁉︎
一番にオレにしがみついたのは生徒会長の城ヶ崎先輩だった。
クールだけどズバッと意見をいうところが女子からのモテポイントだと豪語する生徒会長。
その生徒会長がいきなり、
「さっきの曲なに?君が歌ってたやつ。今からダウンロードするから曲名教えて」
と携帯片手に言われた。
えっ…
すると副会長さんが、
「ちょっと会長、そうじゃなくて学園祭で披露してもらうために今交渉しようと走ったのではないのですか?」
と、言いながら長い三つ編みの自分の髪をパサンと手で払った。
「いや、校歌にしようと交渉に来たのですよね?」
書記の男性の方が眼鏡をクイッとなおして言った。
おいおい…
生徒会…みんなバラバラ意見かよ‼︎
オレと艶元さんが困っていると会長がコホンと咳をして、
「いやぁ、実に素晴らしい歌声じゃないか。君たち、たしか学園祭の出し物に参加してくれる生徒さんだよね?」
「「はい…」」
二人して頷くと、
「うん‼︎素晴らしい学園祭になること間違いなしだよ‼︎楽しみにしているよ!」
とだけいうと、みんな学校の方へ戻って行くじゃないか…
「あのっ」
オレは思わず生徒会の方々を呼び止めた。
「ん?」
全員同時に振り向いた。
あ、そこは皆さんシンクロするんだ…
って、感心している場合じゃない。
「なんで、河原にいたのですか?」
と質問するとまさかの…
「気晴らしに、ここで会議していたまでさ」
と爽やかに答えてくれた生徒会長。
そして、じゃ!みたいなジェスチャーをして帰っていった。
…
青春っすね。
嵐のように過ぎ去った生徒会の方々。
で、結局なぜあんな全力で走ってきたのだろう…。
学園祭楽しみにしてるよってさ…
さっきの歌を披露してくださいって言われたようなもんだよな…。
…
でも、艶元さんってギター弾いてるのみんなに秘密って言ってたからなー。
どうすっかなー…
なんて一人脳内会議をしていたら艶元さんが、
「せっかく曲できたし、つくるだけつくっても、もったいないからこの際披露しちゃわない⁉︎」なんておっしゃった。
「あー、オレは別にいいけど…艶元さん今までギター弾いてるのみんなに秘密にしてたのに大丈夫?」
と聞いてみると、
「うん!大丈夫!瀬野くんと一緒ならなんでもうまくいく気がするの」
とニッコリした。
…か、かわいい。
夕日に照らされた艶元さんの笑顔がなんとも輝いていて、オレの中ではすでに優勝決定‼︎状態だ。
「じゃあ、頑張ろっか」
「うんっ」
オレたちは、仲良く手を繋いで河原を歩いた。
続く。




