引きこもりたい
あぁ〜…。
幸せです。
このカラオケボックスに二人でずっと引きこもりたい…。
ずっとがダメならせめて一年…いや、半年…無理なら三日…。
トゥルルル トゥルルル
…三日ならぬ、あと十分で引きこもり終了のお知らせが届いた。
…えええぇ。
当たり前ですよ。
このオレが艶元さんとこんなに素敵な時間を過ごせたのに、さらにまだ要求しようとするなんて…
あつかましいにも程があると神さまがお怒りになったに違いない。
…バインダーに挟まっていた時間を確認すると…
⁉︎
三十分も早いじゃありませんか‼︎
か、神さま…
そんなに怒らないでください。
後で肉まんおごります…一口だけ…と心で謝ると
トゥルルル トゥルルル
とまた電話が鳴った。
お時間間違えてしまいました。すみません、お詫びに十分追加いたしますね。
と言われた。
か、神さま‼︎
肉まんでお許しくださった‼︎
しかも一口だけなのに。
ありがとう神さま。
肉まんのなるべく具の方をお供えいたします。と密かに誓ったオレなのでありました。
この狭いお部屋で艶元さんが呼吸した空気をオレが存分に吸わせていただく。
なんならお行儀よくストローで吸わせていただきたいものだ。
そんなくだらない…いや変態的な…ううん…充実した日々を送った結果ついに‼︎
ついに二人の曲がうまれた‼︎
もう…二人の子どもを授かったような、なんとも言えない感動が込み上げてきた。
二人で最終曲合わせが終了した。
終わったと同時に二人で手を取り合い、
「「できたーー‼︎」」
と思わず興奮して手と手を取り合いすぐに抱きしめ合った。
そんな達成感を味わった数日後。
さて、曲はできたものの……艶元さんはギターが弾けることをみんなに秘密にしていたわけだし、オレも特に河原でひとりでストレス発散のためだけに歌っていたので特に曲が完成したからどうってわけでもなかった。
ただ、いまだに一緒に下校はしている。
いいんでしょうか?
もうなんか目的達成してしまったし…
なんならもう一曲一緒に…なんてまたあつかましいことを思うオレ。
でもさ、そもそもバンド組もうって誘われたわけだし、サークル的な感じでまだ続くんだよね⁈
ね⁉︎
艶元さん?
と、無言で問いかけてみた。
続く。