手
ムフフと妄想を膨らませていたオレだけどすぐに我に帰った。
一年後よりも今じゃん⁉︎
あの艶元さんとキスだよ⁉︎
ただでさえ毎日一緒に帰っているだけでもありがたいのに、それに加えてハグもしてるし、挙句にほぼ毎日カラオケボックスに二人で入り浸りだよ⁉︎
もう、デートみたいなもんじゃん⁉︎
奇跡的な日常だよね⁉︎
少し前のオレがまさかこんなことになるなんておもいもしなかったことだよ…?
艶元さんだよ⁉︎
学校のアイドルサマですよ⁉︎
そのアイドルサマにキス⁉︎
まぁ、口にするわけじゃないけどさ…でもさ…いいんっすか⁉︎
オレだよ⁉︎
…なんか申し訳ない気持ちになってきましたよ…。
一瞬にして色々考えた。
…
艶元さんは、ワクワクしながら待っておられる…。
どこどこ?どこにしてくれるの⁉︎みたいな感じだ。
もしかして、一か月ごとにバンド仲間同士キスすると売れるとかそんなジンクスがあるのかもしれないな…
オレももっと勉強しなきゃだめだな…
で………
ほんとにいいんだね⁉︎
するよ?
このオレが艶元さんにキスするんだよ⁈
ドキドキ…ドキドキ…
…
艶元さんは、ギターを弾くからやっぱりここは、手にしといた方がいいよな⁇
きっと…
「じゃあ、艶元さん…するよ?」
「う、うん」
かわい〜‼︎
なんっすか⁉︎
その照れた感じは‼︎
クッソ!可愛すぎだろーー‼︎
「じゃあ、手に。」
「うん。」
艶元さんの細い手を優しく握り手の甲にチュッとさせていただいた。
白くて艶々なおてて。
間近でみるとなおさらきれいな手だなー。
自分でしておいてなんか…なんか照れるーと一人ドキドキしていた。
⁉︎んっ
艶元さんもドキドキしてくれた⁉︎
…のかな?
顔が真っ赤だ。
「な、なんか照れるね」
オレの言葉にコクンと頷く艶元さん。
そんな艶元さんがいきなり、
「じゃあ、わたしもお礼に」
と言いながらオレの手を優しく握りましたよ⁉︎
えぇっ⁉︎
ま、まさか⁉︎
チュッ
‼︎えぇえええぇ‼︎
まさかの艶元さんからのキス…
おててにだけどさ、艶元さんの唇が…
唇がオレの手に…。
ゾワゾワぁ〜。
素敵な体験に思わず鳥肌が立った。
続く。