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私はNo.7(ジーベン)

 私はアンノウンのナンバーズ、No.7(ジーベン)です。


 普通の冒険者としても登録していて、そちらではミハと名乗っています。


 登録魔力レベルは5で、これでもギルドの中ではかなりの強者と認識されてしまっています。


 一応か弱い乙女なのですが……


 でも、本当の魔力レベルは99なので、この数値が公になってしまうと、強者ではなく化け物と認識されそうです。


 ナンバーズが冒険者登録をするときに、偽装で魔力レベルを低くするように指示をして下さったジトロ様には感謝です!


 そうそう、私はナンバーズの中でも特に解析・鑑定が得意です。


 そのため、今回バイチ帝国のナバロン騎士隊長の戦力アップ任務を受ける事になりました。


 補助にはテイム・召喚が得意なNo.2(ツヴァイ)が付く事になっています。


 このバイチ帝国ですが、ジトロ様の理想をそのまま国にしたような場所で、犯罪奴隷以外の奴隷が存在しておりませんし、身分よる差別もないのです。


 そのため、常に奴隷推奨国家である他国による攻勢の危険に晒されています。


 最近では、あのドストラ・アーデが所属していたバリッジと言う良く分からない組織も、バイチ帝国を潰そうとしている動きが見えてきています。

 

 アンノウンとしても助力を約束し、ジトロ副ギルドマスター補佐心得としてもバイチ帝国の重鎮の方々と仲の良い我らが主であるジトロ様。


 ナバロン騎士隊長の魔力レベルを現在の10から40へ引き上げる事の許可を出されていました。


 これが今回の私達の任務です。


 なぜ魔力レベル40なのかと言うと、今までのバリッジの戦力が魔力レベル40近辺であったためです。


 ナバロン騎士隊長は約束通り緊急依頼を出し、私達と連絡を取ろうとしています。


 冒険者ギルドに張り出されている依頼書をすかさず剥ぎ取ると、お昼頃に騎士隊長のお部屋にアンノウンのNo.7(ジーベン)として転移しました。


 なぜお昼に行ったかと言うと、きっと朝はお仕事が忙しいかもしれないと言う思いからです。決して、おいしいお昼が出る事を期待していたわけではありませんから!


 こうして無事にナバロン騎士隊長と共に、以前ナップルさん達が魔道具、いえ、あれは破壊兵器と呼んだ方が良いと思うのですが、“炸裂玉”なる物で森を平原に変えてしまった場所に転移します。


 ここであれば想定外の魔獣に対する警戒もいつも以上に楽になりますし、ナバロン騎士隊長も集中できるのではないかと考えたのです。


 まず始めは、魔力の並列起動です。


 でも、ジトロ様曰く、普通の人族には複数種類の並列起動はかなり難易度が高いと助言を頂いていましたので、二つに絞っています。


 これも、アンノウン皆で考えました。


 やはり基本となる身体強化、そして探知です。


 なぜ感知にしなかったかと言うと、能力的には非常に似ていますが、自ら意識して発見する対象を察知するのが探知、対象を絞り込むことが難しいのが感知です。


 ナバロン騎士隊長の場合、対象を絞り込めないまま数多くの情報が入ってきてしまうと、その処理を行う程の魔力レベルにはないので、察知する対象を限定しやすい探知としたのです。


 ナバロン騎士隊長は並列起動の考えが一切なかったようで、私の説明に驚かれていました。


 でも、この技術を習得して頂かないと次に進む事はできません。


 多少危険な状態で修行すれば身につく可能性が高いとジトロ様よりお聞きしていますので、探知と身体強化で簡単に倒せる魔獣をNo.2(ツヴァイ)に召喚して頂きました。


 あくまでも、並列起動の習得を行うための魔獣です。


 ナバロン騎士隊長は気合をみなぎらせて魔獣に対処しようとしていますが、初めてで即上手く行くわけもなく、魔獣によってボロボロにされてしまっています。


 すかさず回復させて頂きました。


 回復後のナバロン騎士隊長は、漲らせていた気合も萎れてしまっているように見えなくもないですが、きっとその気合を頭脳のほうに回されているに違いありません。


 そう、並列起動習得に向けて最善の道を探っておられるのです。


 流石はジトロ様がお認めになったお方です。

 その証拠に、私に助言を求めてこられました。


No.7(ジーベン)殿、何かこう、コツの様な物はないだろうか?」


 必死の形相です。決死の覚悟で並列起動を習得する方法を考えられているに違いありません。


 ですが申し訳ありません。私、いえナンバーズ達は全員術数無制限の並列起動を苦労なく習得してしまっているので、コツと言われてもわからないのです。


 私は必死に考えて、返事をさせて頂きました。


「えっと、コツですか?気合ですかね!」


 私の回答に、深く考えるように静かにされているナバロン騎士隊長。気合を入れているに違いありませんね!


 その成果もあって、簡単な並列起動は行えるようになったのです。


 ここまでくれば、急激に魔力レベルを上昇させても魔力回路の暴走もないでしょう。


 魔力の制御技術が格段に上昇しているからです。


 今度はレベル上げの為の魔獣、魔力レベル23をNo.2(ツヴァイ)に召喚して頂きました。


 私がナバロン騎士隊長に討伐対象の魔獣を説明させて頂くと、再び気合が入られたのかこう仰いました。


「まっ、待ってくれ、No.7(ジーベン)殿!魔力レベル23!?10以上の差があるのに、大丈夫なのか?」


 並列起動を習得しているので、全く問題ありません。


 しかし、初めて並列起動を身について即実践となってしまうので、並列起動が確実にものにできているかを確認されているのでしょう。


 ナバロン騎士隊長の不安を払拭するように、私は全力で返事をさせて頂きました。


「はい!大丈夫です。自信をもって戦ってください」


 この後のナバロン騎士隊長は、それは素晴らしい動きでした。


 トルネリア単体では既に敵ではないので、更に練度を上げられるように魔獣の数を増やし、種類も増やさせて頂きます。


 言葉少なくなってしまっているナバロン騎士隊長ですが、魔獣に集中されているが故でしょう。


 時折大ダメージを負ってしまっていますが、そこは私が責任をもって即修行に戻れるように回復させて頂いています。


 こうして、ナバロン騎士隊長は魔力レベル40の域に到達されたのです。


 騎士隊長のお部屋にお送りする時には、感動からか一言も発せずに放心されていました。


 私としても、それほど感激して頂けるとは思ってもいませんでした。


 ナバロン騎士隊長!目標魔力レベル到達、おめでとうございます!!

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